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※2024年11月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年11月7日 日刊ゲンダイ2面
「もしトラ」「ほぼトラ」が「確トラ」になった(C)ロイター
それにしても、連邦議会議事堂乱入の乱暴者が堂々の復活に世界の緊迫。予測不能の混乱は間違いないが、「地位協定の見直し」と勇んでいた石破・対米外交はどうなるのか。政権基盤の弱さに加えて、ディールのトランプ相手に短命政権の漂流は必至。
◇ ◇ ◇
「もしトラ」「ほぼトラ」「確トラ」と言われてきたが、やっぱりトランプだった──。
現地時間5日に投開票された米大統領選は、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が女性初の大統領を目指した民主党のカマラ・ハリス副大統領(60)に勝利した。大統領の返り咲きは19世紀のクリーブランド以来132年ぶりで、史上2人目だという。
大接戦のため勝者が確定するのに数日かかると懸念されたが、フタを開けてみれば、開票はスムーズに進んだ。南部フロリダ州で開票を見守ったトランプは、現地6日未明の午前2時半(日本時間6日午後4時半)に支持者の前に登場し、「米国の真の黄金時代がやってくる」「米国を再び偉大にする」と勝利宣言。トランプはいわゆる激戦7州で次々、勝利を重ねた。
それにしても、だ。前回の大統領選後に「選挙が盗まれた」と大騒ぎし、支援者をけしかけて連邦議会議事堂を襲撃させた乱暴者が、堂々の復活である。一体、米国民は何を考えているのか。トランプは民主主義の脅威ではないのか。トランプ復活に世界が驚き、落胆し、「米国第一主義」を押し付けられる悪夢の再来に身構えている。
上智大教授の前嶋和弘氏(現代米国政治)はこう言う。
「世論調査通りの結果だったと思います。ハリス氏にもチャンスはあった。トランプ氏勝利の最後の決め手は、どちらに入れるか決めかねている人をいかに投票に向かわせるか、いかに民主党支持層のやる気をなくさせるかという争点づくりでした。トランプ氏の『女が大統領になっていいのか』という訴えはマッチョな層に響いた。特に民主党支持層の多い黒人男性に影響しました。また、ヒスパニック系には『バイデン政権は不法移民対策を何もやっていない。だから合法的な移民も不法移民と一緒にされてしまう』という主張が響いた。そして『バイデンフレーション』です。『バイデンのインフレ』という意味の造語ですが、いまの物価高はバイデン政権がつくったという訴えを浸透させることに成功した」
民主主義よりインフレ対策
「不法移民がペットの犬や猫を食べている」などと、平気でグロテスクな嘘をつくトランプである。人間の邪悪な深層心理に訴えかけるのはたやすいことなのだろう。加えて、多数の米国民にとってはハリスが訴えた「人工妊娠中絶を認める女性の権利」や「民主主義を守る」ことより、目の前のインフレ対策、つまりカネと生活の方が大事ということだ。
トランプは大統領経験者として初めて起訴され、4つの刑事裁判を抱えている。だが、多くの米国民が「そんなの関係ねぇ!」とトランプを支持。刑事事件で有罪評決を受けていようが、一国のリーダーにふさわしくない暴言を吐こうが、経済を良くしてくれるなら構わない、米国を脅かす不法移民をどうにかしてくれ、ということである。
ハリス勝利なら「内戦が起きるかもしれない」と警戒されたが、トランプ勝利でその懸念は後退した。だが、米国内の分断は深刻で、さらに深まりそうだ。
「トランプ氏は今回、分断をより大きくすることで勝利したわけですからね。来年1月に大統領に就任したらすぐ、自らの恩赦とともに、連邦議会議事堂を襲撃した支援者らも恩赦するのではないか。自分を追い込んだバイデン政権のメンバーの訴追に動く恐れもある。かねて就任初日は独裁者になると公言しているのがトランプ氏です。不法移民の強制退去やバイデン政権で復帰した気候変動対策『パリ協定』の再離脱なども、やりかねません」(前嶋和弘氏=前出)
予測不能の混乱になるのは間違いない。敵か味方かしか頭にない独裁者の再登板に世界が緊迫している。
えげつない商売人に「巻き込まれる」「買わされる」
大丈夫か(C)共同通信社
11日召集の特別国会での首相指名を経て続投する見通しの石破首相は、トランプとどう付き合うのか。
日本への影響としてはまず、日本製鉄によるUSスチールの買収がご破算になる可能性が高い。「関税を引き上げる」とすでに公言しているため、自動車メーカーなど輸出企業が打撃を受けそうだ。
そして、在日米軍の駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増額。前のトランプ政権では4倍増を突き付けられた。ディール重視のトランプのことだ。前回同様の「バイ・アメリカン」で、米国製武器の爆買いも強要されるだろう。
トランプの勝利宣言を受け、6日石破は「日米同盟をさらなる高みに引き上げていきたい」「今後、トランプ氏と接点を早急に持つべく努力していきたい」と発言していた。どうやら、ブラジルで今月18日から開催される20カ国・地域首脳会議(G20サミット)からの帰国途中に米国に立ち寄り、トランプとの初顔合わせを目指すことで調整しているようだ。
一日でも早く新大統領と会いたいのは、「個人的な関係を構築するため」などとされるが、「シンゾー・ドナルド」ばりに石破も米国に媚びるポチ外交を展開するのか。あれほど毛嫌いしていた安倍元首相の「悪夢の民主党」というフレーズを使った石破である。「シゲル・ドナルドの関係が重要」とか言い出しかねない。
“やぶへび”になる恐れ
しかし、だ。石破は現在の日米関係を「非対称な関係」だと問題視してきたではないか。「日本は主権独立国家だ」と繰り返し、在日米軍に法的な特権を認めた「日米地位協定の見直しに着手すべき」と勇んでいた。トランプ相手に、地位協定改定が進むのか。
沖縄国際大学大学院教授の前泊博盛氏は言う。
「そもそも石破さんが『日米地位協定』について十分に理解しているのか疑わしい。密約が多いうえ、交渉できるだけのパワーのある官僚も政治家もいない。見直しの実現にはほど遠い状況です。そうした中でトランプ氏が相手となると、1つ要求したら逆に10の条件をのまされるなど、交渉が“やぶへび”になりかねません。ただでさえ地位協定で決められたことすら守られていない現状がある。プロジェクトチームを組み、優先順位をつけて取り組まないとどうにもなりません」
対米外交にも不安がいっぱいだ。石破は防衛相こそ経験しているが、外相や経産相など対米交渉を担当する重要閣僚に就いたことはない。
そこへ、あの強引なトランプである。前回以上に「米国第一主義」を振りかざし、やりたい放題を仕掛けてくる可能性が高い。
「安全保障面では日本が危険な状況になりかねません。トランプ氏は中国を力ずくでねじ伏せると言っているので、日本が巻き込まれる恐れがある。特に沖縄は厳しい状況です。日本には独自の対中外交が求められる。防衛費についても、5年で43兆円どころか、さらなる支出を要求されかねません。前政権時に当時の安倍首相がステルス戦闘機F35を100機も追加購入させられ、『シンゾー、ありがとう』とトランプ氏に明かされるという事例がありましたからね。とにかく『巻き込まれる』『買わされる』をどうしたら避けられるのか、ということです」(前泊博盛氏=前出)
来年1月に正式に第47代大統領に就任するトランプは、この先、4年間は安泰だ。一方の石破は少数与党で政権基盤が不安定。「持って年度末か、来夏の参院選までか」(自民党関係者)だから、足元を見られ、えげつない商売人のトランプに弄ばれかねない。短命政権の漂流は必至。今ごろ石破は、自らに課せられた苦難に狼狽しているのではないか。
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