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特別国会首班指名に向け大攻防
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2024年10月28日 植草一秀の『知られざる真実』
10月27日に実施された衆院総選挙で自公の与党は大敗し、過半数を割り込んだ。
政党別獲得議席数は以下の通り。
自民 191
公明 24
与党計 215
立民 148
維新 38
国民 28
れいわ 9
共産 8
参政 3
保守 3
社民 1
野党計 238
無所属 12
衆議院過半数は233。
無所属当選者は
自民の公認を得られず無所属で立候補して当選した者 4名
野党系無所属の「有志の会」当選者 4名
野党系無所属で当選した者 2名
自民系無所属で当選した者 2名
となっている。
憲法54条の規定により総選挙から30日以内に特別国会を召集しなければならない。
特別国会が召集されると内閣は総辞職する。
そのうえで総理大臣指名選挙が衆参両院で行われる。
1回目投票で議員の過半数を得た議員が内閣総理大臣に指名される。
衆参が異なる指名を議決したときは両院協議会が開催されるが、最終的には衆議院の議決が国会の議決とされる。
1回目投票で議員の過半数を得る議員がいない場合は、上位2者による決選投票が行われ、多数を得た者を当選人とする。
得票数が同じときはくじで当選人を定める。
野党が結束して首相指名選挙に臨めば野党候補が総理大臣に指名される。
政権交代が実現する。
自公は215議席しか確保できなかったため、233票を獲得するには18票の上積みが必要になる。
国民民主党が自公との連立政権に加わるなら自公国で新たな政権が樹立される。
野党側では立維国とれいわ・共産・社民の間に隔たりがあり、連立協議が速やかに整う情勢ではない。
また、維新と立民・国民の間の距離もある。
1993年には野党が8会派での連立政権を樹立したが、このときは小沢一郎氏が水面下で調整に尽力した。
今回も小沢一郎氏が水面下での調整を実行するのかどうかが注目される。
野党間調整が整わず、自公と国民の連立協議が不調に終わる場合は、自公が少数与党による連立政権を維持することになる可能性が高い。
しかし、この場合、予算成立、法案可決に野党の協力を得ることが必要不可欠になり、政策運営は困難を伴うことになる。
通常国会での予算審議を通じて、2025年度当初予算採決の段階で国民民主を政権与党に組み入れる協議が行われる可能性が生じるかも知れない。
2025年夏に参議院議員通常選挙が予定されている。
各政党はこの参院選での勝利を目指すため、現時点で安易な妥協に見える行動を示しにくい。
参議院選挙に向けて非自公陣営の新たな共闘体制の構築があるのかどうかも注目点になる。
今回選挙の特徴は立民と国民が議席を大幅に増大させたこと。
二つの勢力の背後に連合が存在する。
現在の連合は「6産別」が実権を握っており、「大企業御用組合連合」の色彩が強い。
対米隷属容認、原発容認・推進、消費税容認・推進の方向性が強い。
「第二自公」とも呼べる政治勢力である。
維新は自ら「第二自民」と表現する政治勢力であり、日本政治が自公と第二自公による二大政治勢力体制に移行する気配が強まりつつある。
今回選挙でれいわは議席を3倍増させた。
れいわの山本太郎代表は「立民と自民は変わらない」と指摘しており、立民との連携に対する拒絶反応を示している。
政局は混迷期に移行することになるが、単なる数合わせで非自公が連携して政権を樹立しても、内部の政策方針の相違から政権自体が行き詰まる懸念も強い。
れいわに象徴される反自公、非立維国の「第三勢力」の伸長が観測されたことは大いなる救いであると言える。
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