<■2240行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 自民 不記載議員12人を衆院選で非公認 執行部に不服も 2024年10月9日 10時02分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241009/k10014604941000.html 衆議院選挙に向けて、自民党は、政治資金収支報告書に不記載があった議員などあわせて12人を公認しないと発表しました。 民党は9日午前、石破総理大臣や菅副総裁、森山幹事長らが出席して、選挙対策本部の会合を開きました。 冒頭、石破総理大臣は 「本日、衆議院を解散する」 「私どもがこの選挙を勝つことが日本国のためであるという確信の下、有権者に真摯に向き合い、誠実にこの選挙を戦っていく」 「全ての同志が勝ち残ってもらえるよう全身全霊でこの選挙に臨む」 と述べました。 そして、衆議院選挙の第1次公認候補として小選挙区と比例代表のあわせて279人を決定しました。 このあと、森山幹事長は記者団に対し、政治資金収支報告書に収入を記載していなかった議員など12人を公認しないと発表しました。 公認しないのは、 「党員資格停止」 などの処分を受けこれまでに非公認とする方針を固めていた 下村元文部科学大臣、 西村元経済産業大臣、 高木元国会対策委員長、 萩生田元政務調査会長、 平沢元復興大臣、 三ツ林裕己氏の6人に加え、 半年間の 「党の役職停止」 と 「戒告」 の処分を受けた議員で地元での理解が十分に進んでいないと判断した 菅家一郎氏、 中根一幸氏、 小田原潔氏、 細田健一氏、 処分は受けていないものの、不記載があった 越智隆雄氏と 元議員の今村洋史氏の6人です。 このうち越智氏はすでに立候補しない意向を示しています。 また、9日の会合では処分の有無にかかわらず、収支報告書に不記載があった議員は小選挙区と比例代表との重複立候補を認めないことも改めて確認しました。 森山氏は 「今回の決定は、石破総裁から示された方針の下、都道府県連の申請やそれぞれの選挙区の状況を吟味したうえで判断した」 と述べました。 その上で 「この厳しい決断の上で、民主主義の根幹である選挙で、再び国民に信頼してもらうため全ての候補者が、有権者と真摯に向き合って説明を尽くしてもらいたい」 と述べました。 一方、9日の会合では、執行部の判断に不服を訴える意見も出ました。 ■旧安倍派 大塚氏「党のあり方としていかがなものか」 自民党旧安倍派の大塚拓氏は、選挙対策本部の会合に出席したあと記者団に対し 「このようなやり方は自民党の在り方として如何なものかという意見を申し上げた」 「これまでのやり方の見直しについて、色々とお願いした」 と述べました。自民、衆院選で不記載12人を非公認 旧安倍派の中根一幸氏、菅家一郎氏ら6人追加 2024/10/9 9:34 https://www.sankei.com/article/20241009-JLTEYLJ2GBMWNFIEYVYFPC7YKA/ 自民党は9日午前、石破茂首相が出席し選挙対策本部会議を開き、派閥パーティー収入不記載問題に関係した議員12人を衆院選で非公認にすると決めた。 既に非公認とする方針を決めていた6人に加え、追加で旧安倍派の菅家一郎、小田原潔、中根一幸、越智隆雄、細田健一、今村洋史各氏を非公認にした。 越智氏は既に衆院選に出馬しない意向を表明している。 既に非公認とする方針が決まっていたのは、下村博文、西村康稔、高木毅、三ツ林裕巳、平沢勝栄、萩生田光一各氏。 追加非公認の措置は、都道府県連など地元組織の意向、党の情勢調査の結果、不記載額が多く比較的重い処分を受けたことなどを踏まえた判断とみられる。 首相は9日の選対本部会議で 「全ての同志が勝ち残るよう全身全霊で選挙に臨む」 と述べた。 <正論>新政権、経済安保の軸ぶらすな 明星大学教授・細川昌彦 2024/10/9 8:00 https://www.sankei.com/article/20241009-SUUGHYHLKZP37OETSW2IPKHWXM/ 1日、石破茂新政権が発足して、政策の行方に注目が集まる。 しかし残念ながら不安な船出だ。 安全保障では石破首相が提唱する 「アジア版NATO構想」 や日米地位協定の改定には、非現実的との内外からの批判が上がる。 さすがに所信表明演説では封印した。 早期に軌道修正しなければ、日米同盟を揺るがしかねず、喜ぶのは中国、ロシアだ。 また外交面でも 「中国を刺激しない」 との対中姿勢など、 「軸のある」 政策が期待できるか危ぶむ声も上がる。 国内の経済政策でも増税路線や金融政策での石破首相自身の発言のブレも懸念される。 こうした軸をぶらすことが許されない政策が経済安全保障だ。 ■岸田政権の評価と宿題 所信表明演説では経済安保への言及は数行に過ぎない。 能動的サイバー防御といった前政権の仕掛かりの引き継ぎ≠セけだ。 3年前の岸田政権発足時にはどうだったか。 経済成長戦略の柱の1つとして経済安保を位置付け、新設の担当大臣や法案策定まで言及した。 単なる 「文章上の差」 であればいいが、 「意気込みの差」 であってはならない。 取り巻く国際情勢はますます厳しくなっている。 まず岸田政権での経済安保政策を総括しよう。 結論から言えば、中国リスクを念頭に着実に進展した。 「戦略的自立性」 と 「戦略的不可欠性」 を2大目標に掲げ、世界に先駆け 「経済安保推進法」 を制定し、懸案の 「セキュリティ・クリアランス制度」 も実現した。 半導体など戦略物資の産業基盤への大胆な支援にも踏み切った。 経済安保の国際連携も進んだ。 米欧など2国間だけでなく、先進7カ国(G7)、日米豪印4カ国(クアッド)、インド太平洋経済枠組み(IPEF)でも重要テーマで、いずれも日本が貢献し、 「重層的な国際連携」 を担う。 ただし積み残した課題は多い。 国内の課題は前述の能動的サイバー防御の導入だけではない。 データの漏洩防止や信頼性の担保など 「データ・セキュリティ」 も重要だ。 また本稿でも累時取り上げてきたが、歴史的な転換期を迎えた輸出管理の再設計、綻びが露呈した投資審査の補強も重要課題だ。 さらに官民の経済インテリジェンスの強化も急務だ。 決定的に不足する専門人材の育成や、シンクタンクやリスク分析など関連産業も含めた 「コミュニティの形成」 も必要だ。 取り巻く国際環境はどうか。 中国を巡る経済安保リスクは 「モノの依存」 「技術の流出」 だが、この3年でより深刻になっている。 ■ミドルパワーとしての役割 中国は戦略産業の自前化戦略を加速している。 そのボトルネックになっている技術の入手に手法も巧妙化する。 国産化できると巨額の補助金で過剰生産し、安価な製品で海外市場を席巻する。 他国産業に致命的なダメージを与え中国依存状況を戦略的に作り出す。 太陽光や蓄電池、汎用半導体でも同様だ。 これは 「経済の武器化」 につながり、各国共通の懸念だ。 2023年はガリウム、黒鉛など重要鉱物の輸出を規制し、今後さらに拡大する懸念がある。 戦略産業では米中両大国による 「産業政策の大競争」 も起こっている。 それに伴い保護主義のリスクも顕在化した。 米国のインフレ抑制法(IRA)のように、巨額の補助金や税制による自国への産業囲い込みの動きだ。 こうして大国が巨大市場を背景にパワーゲームを繰り広げる中で、日本はミドルパワーの国として、ルールによる国際秩序を志向する。 その際、途上国(グローバルサウス)も含めた仲間づくりがカギになる。 これらの国々は中国による過剰供給の被害者でもある。 対米不信の国も少なからずあり、日本が米欧との橋渡し役として果たす役割は重要だ。 ■「公正」のルール主導を こうしたルールによる国際秩序の焦点は 「公正な貿易」 のルール作りだ。 単なる自由貿易だけを掲げて済んでいた時代ではもはやない。 しかも中国は言行不一致の 「エセ自由主義」 だ。 中国による市場を歪曲する不公正な政策・慣行が、過剰生産と中国への過剰依存を招いている。 それを解消する 「デリスキング(リスク軽減)」 が重要だが、そのために国内の戦略産業の基盤を強化する。 そうした供給面と同時に、需要面でも価格だけでなく 「公正さ」 も考慮した製品市場を作ることが肝要だ。 具体的には人権や環境、さらには供給遮断、情報漏洩のリスクなどへの信頼性だ。 しかも巨大市場の米欧を巻き込んで国際ルールを作ることが重要となる。 本年のG7首脳宣言ではこうしたルール作りで合意した。 石破新政権が取り組むべきはその具体化だ。 重要鉱物、汎用半導体、医薬品など戦略分野ごとに、日本がルール作りを主導する重責を担う。 こうした内外の課題は多面的で多くの省庁に関わる。 経済安保担当大臣任せではいけない。 石破首相自身のやる気と覚悟が問われている。 「防衛シフト」の石破政権 安全保障に精通した議員を要職起用 現実路線で対中抑止を 2024/10/9 6:00 https://www.sankei.com/article/20241009-RYPOGACQBRNERI5WD7MFPFJZQY/ 石破茂新政権が1日に発足した。 日本は今、戦後最も複雑で厳しい安全保障環境に置かれている。 特に中国は、自民党総裁選最中の 「政治空白」 に合わせて日本周辺での軍事活動をあからさまに活発化させている。 中国と軍事的連携を強めるロシア、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の動向も予断を許さない。 日本自らの防衛力に加え日米同盟、同志国との連携を強化し、如何に抑止力・対処力を高めるか。 首相の指導力が問われる。 ■党要職に防衛相経験者 「これだけ安保政策が前面に出て、注目される新内閣は珍しい」。 石破政権発足後、防衛省幹部はこう漏らした。 防衛庁長官、防衛相をそれぞれ経験し、安保政策通を自任する首相をトップに、外相には岩屋毅氏、防衛相には中谷元氏、自民党政調会長には小野寺五典氏と政府、党の要職にいずれも防衛相経験者を充てた。 加えて首相の側近となる政務担当の首相秘書官2人のうち1人には槌道明宏元防衛審議官を就けた。 槌道氏は昭和60年に防衛庁(当時)に入庁し、石破氏の防衛相時代の秘書官を務めた経験がある。 防衛政策に明るい人材で脇を固める石破政権の布陣は、日本が置かれる厳しい安保環境に対する危機感の表れとも見て取れる。 首相は自民党総裁選で、 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 の創設や日米地位協定の改定、米国内の自衛隊訓練基地設置など独自の安保政策を掲げたが、その実現性については懐疑的な指摘が相次いだ。 首相は7日の衆院代表質問で、アジア版NATOについて 「私自身の一国会議員としての考えを述べてきたが、一朝一夕で実現するとは当然思っていない」 と語った。 4日の所信表明演説でも、アジア版NATOの他、地位協定の改定や米国内の自衛隊訓練基地設置には触れなかった。 7日の衆院代表質問では 「一国の首相としてまずは喫緊の安全保障上の課題に取り組んでいく」 とも強調し、現実路線にシフトしつつあるようだ。 ■台湾有事は「重要影響事態」 石破政権にとって中国の軍事的脅威にどう対抗するかは重要課題の1つとなる。 日本は自民党総裁選と衆院解散・総選挙、米国は大統領選の最中にあって、日米でそれぞれ 「政治的空白」 が生じる隙を突いて、中国は軍機による初の領空侵犯や領海侵入、空母による初の接続水域侵入など挑発行動を繰り返した。 日本政府は対抗措置として9月、海上自衛隊の護衛艦による初の台湾海峡通過に踏み切った。 中国は猛反発し、軍事的挑発を更に強める恐れがある。 昭和29年の自衛隊創設以来、初となる海自艦艇による台湾海峡の通過は、日本としても中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡の安定重視を打ち出すため、政府内で検討されてきたが、尖閣諸島(沖縄県石垣市)などで中国の挑発活動がエスカレートする事態を懸念し、見送ってきた経緯がある。 日本にとって海自艦艇の台湾海峡通過は 「切り得る最大のカードのうちの1つ」(自衛隊幹部) であり、今後中国に対し毅然とした態度を示しつつも、軍事的緊張を激化させないためにどう対応するかは大きな課題となる。 中国の習近平国家主席は、2027(令和9)年までに台湾侵攻の準備を完了させるよう指示したとされ、この期間は首相の自民党総裁任期(9年9月末まで)と重なる。 首相は総裁選期間中のテレビ番組で、台湾有事について 「少なくとも(安全保障関連法で定められた日本の平和と安全に重要な影響を与える)重要影響事態だ」 との認識を示した。 ■実効的な対応が求められる 約3年に及んだ前の岸田文雄政権は、国家安全保障戦略など安保3文書を策定し、防衛費の大幅増額や反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を決定した。 防衛装備移転に関する規制も緩和し、地対空誘導弾パトリオットを米国に輸出するなど日米同盟の強化に努めた。 オーストラリアや英国など同志国との防衛協力も積極的に進めた。 念頭にあったのは対中包囲網の構築だ。 「自由で開かれたインド太平洋」 を唱えた安倍晋三元首相以降、岸田氏にまで引き継がれた外交安保政策を継承、発展させ、台湾の武力統一も見据えて軍事活動を活発化させる中国をどう抑止するか、実効的な対応が求められる。 <主張>代表質問 安全保障の論議不十分だ 社説 2024/10/9 5:00 https://www.sankei.com/article/20241009-N3ZCWLPEKJIFNBCCPHJ3MP7ZMA/ 石破茂首相の所信表明演説への国会の代表質問が終わった。 政権選択選挙である衆院選を前にした国会である。 「政治とカネ」 を巡る問題が盛んに議論された。 その一方で、日本の独立と繁栄の基盤となる安全保障の論議が深まらなかったのは残念だ。 自民党議員は中国軍の領空侵犯や領海侵入、空母「遼寧」の接続水域航行、ロシア軍の領空侵犯を取り上げ、小野寺五典政調会長は 「国民の命と暮らし、領土・領海・領空を守り抜く」 ことを求めた。 日本維新の会の馬場伸幸代表は台湾有事について質した。 首相が最近の著書で 「『台湾有事、即日本有事』となる可能性は相当低い」 と指摘しているからだ。 馬場氏は 「対中抑止力や国民の国防意識を削ぐことになる」 と懸念を示した。 首相は 「仮定の質問に答えるのは差し控える」 とした上で 「台湾海峡の平和と安定は国際社会の安定にとっても重要だ」 と指摘した。 国防の決意と具体策をもっと語る必要がある。 物足りなかったのは野党第一党の立憲民主党である。 野田佳彦代表が首相のアジア版NATO(北大西洋条約機構)構想に関し 「日米同盟の抑止力に疑念があると思われかねない」 「非現実的ではないか」 と疑問を呈したのは妥当である。 だが、立民として日本をどう守るつもりかを語らなかった。 対中認識を含む現下の国際情勢に対する見方も示さなかった。 田名部匡代参院幹事長はロシアに侵略されたウクライナで、なぜ抑止力が効かなかったのかを質した。 ウクライナ問題を論ずるのではなく、アジア版NATOを巡る首相の言行不一致を引き出したかっただけのようだ。 安保政策を十分語らずに政権交代を迫っても、説得力は感じられない。 憲法改正については自民、立民、維新などが質問した。 首相は緊急事態条項の創設や自衛隊明記について、自民内の議論を 「後戻りさせることなく、前に進めていく決意だ」 と語った。 同時に、任期中に国会への発議を実現したいとし、憲法審査会で議論を深めるよう求めた。 ただ、それだけでは足りない。 首相や憲法改正に前向きな政党は、どの項目をいつまでに条文化したいのかを明らかにすることも重要である。 首相、世論と党内融和で板挟み 「聞く力」発揮は 衆院選結果次第では「石破降ろしも」 2024/10/8 6:00 https://www.sankei.com/article/20241008-ZVRGPKMP4FIUHGX35IF7KBFX7U/ 石破茂首相(自民党総裁)は就任後初の視察先として、1月に地震、9月には記録的な豪雨に見舞われた石川県に赴き、被災者の声を聞いて回った。 先の党総裁選の討論会やテレビ番組では得意な論戦で 「語る力」 が目立っていたが、視察現場では 「聞く力」 を重視した。 次期衆院選に向け派閥パーティー収入不記載事件の関係議員への厳しい対応を迫られる中、 「聞く力」 を発揮し、党勢を立て直すことができるのか注目される。 ■正座で被災者に寄り添い 「国も、ちゃんと分かってくれとるね、と実感してもらわんといけんと思っとるんですよ」。 首相は5日、同県輪島市内の避難所を訪れ、高齢の被災者らに、こう語りかけた。 防災庁創設を掲げ、避難所の環境改善を訴えてきた首相は、被災者に食事の内容やコンテナ型トイレの使用感などを熱心に聞き取った。 その間、正座で被災者と向き合い、 「困ってる、なんとかならんか、ということがあったらおっしゃってください」 と柔和な表情で繰り返し声をかけた。 首相はこの日、午前9時ごろに能登空港(同県輪島市)に到着すると、政府専用車両ではなく、大型バスに随行の首相秘書官らと乗り、被災現場や避難所を回った。午後4時半ごろに同空港を発つまでに7カ所回った。 震災の被害が甚大だった同県珠洲市内の避難所でも、 「(今も)飲み水はペットボトルですか」 「携帯電話はすぐに通じるようになったのですか」 などと質問し、被災者に寄り添った。 ■「自己満足にひたっていてはいけない」 視察先で 「聞く力」 をアピールした首相だが、ライフワークとする安全保障分野や憲法改正の議論ではこれまで持論を展開してきた。 党や政権に物言う姿勢を貫き、世論調査での人気は高いが、党内では 「後ろ足で砂をかける」 「後ろから鉄砲を撃つ」 との評価が付きまとってきた。 平成21年の麻生太郎内閣末期に急先鋒で 「麻生降ろし」 を始めたのは首相だった。 先の党総裁選で麻生氏が石破氏ではなく高市早苗前経済安全保障担当相を支援したのは、この時に出来た溝が原因だ。 首相自身も 「後ろから鉄砲を撃つ」 という評価については自覚があり、5度目の挑戦となった先の党総裁選期間中の産経新聞の単独インタビューでは、 「『俺は正しいことを言っている』という自己満足に浸っていてはいけない」 と言及。 「原理原則論」 を前面に押し出す言動を控えた。 実際、首相就任後は自身が提唱してきた 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 創設や日米地位協定の改定に関し、党内や関係各所との合意を得る努力を進めていくとの考えを示した。 また、総裁選では賛意を示した選択的夫婦別姓制度についても党内に根強い反対意見に配慮し、今は慎重姿勢を取る。 ■不記載議員の公認問題で安倍派は不満 「石破カラーを出すと党内から怒られる」 就任当初、こう漏らした首相は、野党からの 「これまでの発言からブレた」 との批判も甘んじて受け、党内融和に腐心してきた。 しかし、次期衆院選に向けた派閥パーティー収入不記載事件の関係議員の公認を巡っては、厳しい判断を迫られた。 「政治とカネ」 を巡り世論の逆風が止まない中、首相は7日、政治資金収支報告書に不記載が確認された議員を次期衆院選で公認した場合でも、比例代表との重複立候補を認めない方針を決め、非公認の対象も広げた。 党内には世論の声を聞いた首相の決断を評価する声がある一方、不記載事件に関与した議員が多い旧安倍派からは恨み節が漏れる。 旧安倍派の中堅議員は 「首相との間にしこりは残るに決まっている」 「もう修復は出来ないよ」 と吐き捨てる。 総裁選で首相と争い、首相とは異なる保守的な政治信条を持つ高市氏や小林鷹之元経済安保担当相も首相の提示したポストを固辞するなど距離を置く。 報道各社の世論調査で総裁に相応しい候補として上位を維持してきた首相だが、首相就任後の各社の調査では内閣支持率は50%前後にとどまった。 次期衆院選の結果次第では党内で 「石破降ろし」 が始まりかねない。 首相は世論の期待と党内融和の狭間で難しい政権運営を強いられそうだ。 石破首相は「2代目検討使」「岸破%煌t」 国民・玉木雄一郎代表が皮肉 2024/10/7 21:35 https://www.sankei.com/article/20241007-DU4WL3DGINJ7VB2YMMNEFVTHRU/ 国民民主党の玉木雄一郎代表は7日、衆院本会議の代表質問で 「検討する」 との答弁を連発した石破茂首相を皮肉った。 岸田文雄前首相が 「検討使」 と揶揄されたのを引き合いに 「第2次検討使が派遣され、2代目を襲名したようだ」 と国会内で記者団に語った。 両氏の名前をもじり 「『岸破内閣』という感じだ。中身が全く一緒だ」 とも述べた。 更にに、ガソリン税を一部軽減する 「トリガー条項」 の凍結解除などの答弁が岸田氏と同じだったと指摘。 「石破カラーを感じられない官僚答弁だった」 「石破氏の着ぐるみを着た岸田氏かと思った」 と語った。 <主張>不記載議員対応 またもや「言行不一致」か 社説 2024/10/8 5:00 https://www.sankei.com/article/20241008-VVITD4HYDZJN3DGCSNBHI6GB44/ 石破茂首相(自民党総裁)と党執行部が、派閥パーティー収入不記載に関係した同党衆院議員らへの衆院選対応を決めた。 不記載議員を選挙区で原則公認する一方、比例代表への重複立候補は認めない。 旧安倍派幹部3人に加え、国会の政治倫理審査会(政倫審)に出席していない旧安倍派、旧二階派の議員3人も公認を見送る。 首相は 「国民の不信や怒りにきちんと対応することが必要だ」 と語った。 今回の措置は、議員の政治生命に関わる方針転換である。 衆院選で苦戦を強いることを見越した選挙目当ての策と言える。 党執行部は当初、重複立候補を認める構えだった。 首相は言行不一致と指摘されても仕方のない行動にまたもや走ったことになる。 首相は総裁選時に、今回のような措置を講ずると語っていなかった。 出馬表明時こそ 「公認するに相応しいかどうかの議論は徹底的に行われるべきだ」 と非公認の可能性に言及したが批判を浴びて軌道修正していた。 総裁選時に何も語らずに議員に支持を求め、当選したら掌返しをするのは総裁選という選挙を軽んじている。 騙し討ちのような手法は感心しない。 総裁選の公約で 「不記載議員1人1人と向き合い厳しく反省を求める」 と明記したが、当選後にそれを行っている形跡もない。 首相は議員への聞き取りについて 「厳しい時間の制約はある」 と述べて消極的だ。 だが、前言を翻して予算委員会を開かず衆院解散を急いでいるのは首相ではないか。 石破内閣への世論の視線は厳しい。 早期解散に走ったり、総裁選で掲げた主要政策を次々に軌道修正したりした言行不一致や、挙党体制を取らない組閣などが響いている。 いずれも首相自身が招いた事態である。 強引な衆院選対応を決めても党の団結を損なう。 また、有権者の心にどこまで響くかは不透明だ。 公認基準を巡っても解せない点がある。 「党役職停止」 処分中の議員のうち、政倫審で説明した議員は非公認の対象から除いた。 政倫審で弁明はあったが、それで事件が解明されたとは到底言えない。 石破首相と自民に求められるのは、なぜ事件が起きてしまったかを説明することだ。 無役の自民・高市早苗氏にSP 衆院選期間中、加害予告の投稿受け異例の対応 2024/10/7 18:59 https://www.sankei.com/article/20241007-6TNQSVIATJKIRCGC6OC5HHMJBM/ 衆院選(15日公示、27日投開票予定)の選挙運動期間中、自民党の高市早苗前経済安全保障担当相が警護対象者となり、SP(警護官)がつくことが7日、わかった。 インターネット上に高市氏に対する加害予告の投稿が発見されたためで、政府や党の要職についていない 「無役」 の議員が警護対象になるのは異例となる。 高市氏周辺によると、総裁選の1回目の投票で首位だった高市氏には党所属議員から衆院選の応援要請が殺到しており、全国各地で応援演説を行う予定だ。 だが、関係者によると、警察当局によるサイバーパトロールで、高市氏に危害を加えるとの趣旨の投稿が複数確認された。 国内外で要人襲撃事件が相次いでいることもあり、SPがつく異例の対応が決まった。 まさかの低支持率「石破政権」いきなりヤバい理由 国民人気は高いと思われていたのに何が? 安積 明子 : ジャーナリスト 2024/10/7 11:50 https://toyokeizai.net/articles/-/832155#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%95%E3%81%8B%E3%81%AE%E4%BD%8E%E6%94%AF%E6%8C%81%E7%8E%87%EF%BD%A2%E7%9F%B3 10月1日に発足した石破政権だが、滑り出しがよくない。 各社が行った世論調査でも、第1次安倍政権以降の10の政権の中で石破政権はおしなべて9位を占めた。 なお支持率最下位の麻生政権のときに、自民党は下野している。 ■「国民人気はある」と認知されていたが… まさかの数字に驚愕したのは、石破茂首相だけではないだろう。 自民党内で石破首相は、 「党内では人気がいまいちだが、国民には人気がある」 と認知され、長らく本人もそれを自負していたに違いない。 石破首相は2012年の総裁選の1回目の投票で165票という大量の党員票を獲得し、故・安倍晋三元首相らを押さえて1位に躍り出たからだ。 だから9月27日の総裁選で、高市早苗前経済安全保障担当相が109票の党員票を獲得し、たとえ1票差とはいえ石破首相を上回った時、大きなショックが広がった。 決選投票前の演説で、うなだれる石破首相とは対照的に高市氏がはしゃいでいるように見えたのも、それが一因だったかもしれない。 しかし、決選投票で石破氏は議員票を143票伸ばし、都道府県連票を含めた全体では高市氏を21票差で下して勝利した。 「差はそれほど大きくない」 「10人ほどがひっくり返れば、結果は逆になったはずだ」。 ある自民党議員がそう言った。 確かに1回目の投票で投じられた46票の議員票は別として、決選投票で石破首相に追加に投じられた143票の議員票すべてが 「石破氏でなくては絶対にダメ」 というわけではなかっただろう。 だからこそ石破首相は 「党内の和」 を第一とし、森山裕幹事長を任命した。 次期衆院選での裏金議員の処遇についても、一時は 「原則公認」 との姿勢を示したのも、それ故だろう。 しかし国民は忘れてはいない。 石破首相は8月24日に総裁選への出馬を表明した際、確かにこう言ったのだ。 「自由民主党公認候補として、公認するに相応しいかどうか」 「そういう議論は選挙対策委員会で徹底的に行われるべきだと思っています」 場所は鳥取県八頭町の和多理神社で、石破首相の生家に近く、幼い頃の遊び場でもあった。 社を背に話す石破首相の表情は、今回の総裁選を最後とする決意が滲み出ていた。 ■「早期解散」の動きには抗えなかった しかし、徹底的な検証には時間がかかる。 既に自民党では、小泉進次郎選対委員長が総裁選で勝利した場合の 「衆議院の早期解散」 が決まっていた。 「人気のあるうちに衆院選を行ってしまおう」 という魂胆だが、実はこの後に続きがある。 「次期参院選までは(人気が)持たないので、それまでにもう1度、総裁選が行われる」 というものだ。 実際には石破首相が勝利したものの、党内基盤が弱い石破首相は 「早期解散」 の動きに抗することができなかった。 また裏金議員の処遇についても総裁選で宣言したような措置は取れず、 「原則公認」 と後退した。 しかし世論はそれでは納得できない。 5日夜に自民党本部で森山氏や小泉氏が集まり、能登の被災地視察から戻ってきた石破首相も合流した。 そして翌6日午後、石破首相は党員資格停止処分を受けた議員、および役職停止中で、政倫審で説明していない議員を非公認とすると共に、説明責任を果たさず地元の理解が得られていない議員についても公認しないことを発表した。 同時に処分を受けなかった議員など40人については選挙区での公認を認めるが、比例重複は認めないことも決定。 選挙基盤が弱い議員にとっては厳しい措置となった。 風を変えたのは選対委員長の小泉氏だと言われる。 小泉氏は同日午後、東京・江東区で行われた街頭演説会で 「自民党が自らに鋭いメスを入れ、失った信頼を再び築き上げる覚悟を持って国民と向き合う選挙にしなければならない」 と訴えた。 ■「絵に描いた餅」状態になっていないか それでも怒りに震える国民にとっては、物足りない処分だろう。 第1、石破首相の行動に覚悟が見えないのだ。 その1つが10月4日に発表された内閣の布陣で、加藤勝信財務相や平将明デジタル相にはそれなりの方向性が見えるものの、全体的には何をアピールしているのかが不明だ。 大体 「若者・女性の機会を守る」 を含む5つの 「守る」 を石破首相が宣言していながら、女性閣僚がたった2人では”有言不実行”と言えまいか。 また、総裁選投票日にアメリカの保守系シンクタンク、ハドソン研究所のホームページに掲載された 「日本の外交政策の将来」 と題した寄稿では、 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 の設立や、日米安保条約、日米地位協定の改定が提唱されたが、多くの専門家に一笑に付されている。 そしてこれらは 「軍事オタク」 として知られる石破首相の目玉政策とされるべきものだったにもかかわらず、所信表明では一切触れられていない。 要するに総裁選初出馬から16年を経て、念願の総理総裁になったものの、石破首相は政策についても、仲間作りについても、ほとんど準備をしていなかったということになる。 そもそも総裁就任と同時に、株価が大暴落。 これが弱気の始まりだと思われるが、石破首相が目指す国民の 「納得と共感」 を得るためには数々の試練を潜り抜けなくてはいけない。 ■注目される財政政策 石破氏自身は財政再建派だが、まずはデフレ脱却のために増税路線を封印すべきではないだろうか。 それには国が金を吸収するのではなく、むしろ民から民へ金をまわす施策を考える必要がある。 石破首相は総裁選の最中に、金融所得課税増税や法人税増税を口にしたが、もしそうした直接税を増税するのなら、消費税など間接税引き下げの議論があってもいい。 実際に消費税の税収は2004年度予算で23.8兆円にものぼり、過去最高額となっている。 減税により消費が喚起されれば、大きく減じる危険もない。 既に 「短命政権」 との声も出ている石破政権だが、たとえ党内基盤は弱くても、国民の支持があれば存続できる。 そのためには各界からの優秀なブレーンとともに、石破首相が 「聞く耳」 を広く持つことも必要だろう。 石破内閣支持率53・3% 不記載議員「公認すべきでない」47・4% 産経・FNN合同世論調査 世論調査 2024/10/7 11:54 https://www.sankei.com/article/20241007-44ZLILCISZOCBIC6AHZR3OL7ZQ/ 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が5、6両日に実施した合同世論調査で、1日に発足した石破茂内閣の支持率は53・3%、不支持率は35・8%だった。 支持率は岸田文雄内閣の最後となった前回調査(9月14、15両日)から27・6ポイント上昇して5割に乗せた。 一方で、令和3年10月の岸田内閣発足時(63・2%)と比べると9・9ポイント低かった。 石破内閣を「支持する」と回答した人を対象に理由を聞いたところ、「他によい人がいないから」が32・2%で最多。13人が初入閣となった石破内閣には「期待しない」(49・3%)との回答が「期待する」(43・1%)を上回った。 取り組んでほしい政策に関する質問(2つ選択)では「物価高・賃上げ対策」が39・5%でトップ。「経済対策・景気対策」(35・0%)▽「年金・医療・介護」(27・3%)▽「子供・子育て支援」(24・9%)−などと続いた。 また、首相が今月27日に投開票を行うと表明した衆院選のタイミングについては「国会論戦を行った後、年内にやるべきだった」が39・8%に上った一方、「適切だ」は24・0%にとどまった。自民が派閥のパーティー収入不記載事件で不記載が指摘された議員らを公認してよいかについて尋ねたところ、「公認するべきではない」が47・4%(前回比4・2ポイント減)で最も多く、次いで「説明責任を果たせば公認してよい」が42・5%(同2・6ポイント増)。 「公認してよい」は6・9%(同0・6ポイント増)にとどまった。 一方、先月23日の立憲民主党代表選で勝利した野田佳彦代表に「期待する」との回答は49・6%だったのに対し「期待しない」は44・0%。次期衆院選で与党に対抗するために野党は候補者を一本化すべきか尋ねたところ、「一本化すべき」が51・7%(同3・5ポイント増)となった。 ただ、次期衆院選後の政権については「自民、公明中心の政権の継続」が53・1%(同5・2ポイント増)で、「今の野党を中心とした政権交代」の35・3%(同5・9ポイント減)を上回った。次期衆院選の比例代表の投票先では、自民34・1%(同1・1ポイント増)▽立民13・0%(同0・7ポイント増)▽日本維新の会5・3%(同0・7ポイント減)▽公明党3・9%(同0・2ポイント増)▽共産党2・2%(同0・7ポイント減)▽国民民主党2・0%(同0・4ポイント増)−などの順となった。 調査では内閣支持率に関し、答えが不明確な場合は「どちらかと言えば」と再度、質問して回答を得た。 石破茂氏、新首相に就任 米紙、日米の緊張を予測 韓国紙、首相の歴史認識を総じて歓迎 世界の論点 2024/10/7 10:00 https://www.sankei.com/article/20241007-3FUSPZIZPFJIDMVN6QIJPB5WJ4/ 自民党の石破茂氏が1日、新首相に就任した。 石破氏はかねて、 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 創設などを主張してきたことから、米メディアは日米間に緊張が走ると予測している。 韓国メディアは、石破氏の歴史認識を総じて歓迎。 ただ、アジア版NATO構想には、保革双方から懸念の声が出ている。 ◇ ■同盟に緊張 中国と衝突危惧(米国) 複数の米メディアは 「アジア版NATO」 創設や日米地位協定の見直しなどを主張する石破茂新首相の外交安全保障政策により、日米間に緊張、日中間では衝突が起きる懸念を指摘した。 石破氏が故安倍晋三元首相に批判的で、党内で異端視されてきた経緯を紹介するメディアもあった。 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は9月27日、防衛相も務めた石破氏が日米同盟を不平等な関係と考え、同盟関係の再構築を望んでいるとして、 「ワシントン(米政府)との間で緊張が起きる予感がする」 と伝えた。 日米安保条約では、日本が攻撃された場合、米国に日本支援のため駆け付ける義務があるが、日本には同様のことが求められていない。 一方、日本が約5万5千人の米軍を国内に受け入れ、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)は経費全体の75%に上る。 同紙は、石破氏が 「同盟の非対称的な側面に苛立っている」 と指摘。 同盟の 「基本的な構造」 を変えることなく、防衛費の増額に取り組み、米国との関係深化を図ってきた安倍氏や岸田文雄前首相と 「異なる立場」 を示すのが石破氏だと評した。 自民党総裁選の期間中、石破氏が 「米軍機が日本で墜落した場合など、日本の米軍基地への立ち入りや装備品への接触を制限する条約上の制限に異議を唱えている」 と、懸念も滲ませせた。 米誌タイム(電子版)は9月27日、石破氏について、日本による韓国併合の「過ちを認める」数少ない政治家の一人で、「独特で異端な一面がある」とし、韓国との関係強化を重視している政治家だと論じた。一方、アジア版NATO創設を推進するなら、「北京(中国政府)との衝突は避けられない」と予測した。 AP通信は9月27日、石破氏が安倍氏による「タカ派政治」を声高に非難し、党内の一部から長年、「面倒な部外者」扱いをされてきたと紹介。石破氏が米国内に自衛隊の訓練基地を置く構想など、「より平等で双務的な」日米同盟の構築を目指していると指摘した。また、アジア版NATOの創設を提唱する石破氏について、「米国が日本に求める範囲を超える安全保障に関する考えを持つ」とする日本人有識者のコメントを紹介。「実現可能性」に疑問を呈した形だ。一方、「日米の外交安保関係に変化が生じるとは思わない」との同有識者の見方も伝えた。(岡田美月) ◇ ■歴史認識で歓迎 安保は懸念(韓国) 石破茂氏の首相就任に関し、韓国では 「右翼勢力と違う歴史認識を持つ政治家」 として保守・革新両陣営から歓迎の声が相次いだ。 一方、中国への牽制を念頭に「アジア版NATO」を創設し日韓の防衛協力強化を図る石破氏の安全保障構想に対しては、保革双方で懸念の声が相次いでいる。 石破氏は2017年、韓国紙のインタビューで日韓間の歴史認識問題について問われ、 「(韓国側の)納得を得られるまで謝罪し続けるしかない」 と発言。 韓国では 「周辺国との関係を重視する穏健派」(革新系の京郷新聞) と評価されてきた。 石破氏について今回、保守系の中央日報は社説で 「韓日関係をこじらせてきた歴史認識で前向きな態度を見せてきた」 と評し、2023年以降の両国関係改善がさらに進展することへの期待を示した。 革新系のハンギョレ紙も社説で 「安保問題に専門的見識を持つ保守政治家として知られ、歴史問題でも合理的な見解を明らかにしてきた」 と好意的に紹介した。 キリスト教徒の多い韓国では、石破氏が日本では少数派のクリスチャンであることに着目する報道も目立った。 夕刊紙、文化日報は、歴史認識で石破氏が「反省」の意を繰り返し示してきたことについて 「日本のキリスト教会の考えが影響を及ぼした」 と分析。 靖国神社参拝に否定的な態度を示す理由の1つに、石破氏の信仰を挙げる専門家の談話も紹介した。 一方、アジア版NATOの創設や米国との核兵器共有に前向きな石破氏の安保政策には、各紙の評価が分かれた。 中央日報社説が日米韓の安保協力強化を課題に挙げ、石破氏と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による 「ウィンウィン」 の協力加速に期待を示したのに対し、同じ保守系の朝鮮日報は 「アジア版NATOに参加する国はほとんどなく、米国が日本と核共有に直ちに乗り出す可能性もない」 と断じた。 ハンギョレは、韓国に対する 「謝罪と反省」 に進展がなければ 「中国を排除して韓国と事実上の軍事同盟を結ぼうという意見に同意する韓国人はほとんどいない」 とし、アジア版NATOの議論が進めば 「韓日の摩擦は避けられない」 との見通しを示した。 保守系・東亜日報の東京特派員は、石破新政権が歴史認識問題で歩み寄りつつ共同防衛への参加を韓国に提案すれば、韓国はより複雑な判断を迫られると指摘。 親日的で 「眉をひそめるほど純真」 な尹政権与党と、親中に振れる野党以外の選択肢がない状況に 「韓国国民は冷や汗をかいている」 と訴えた。 自民に激震「比例重複認めず」 非公認対象広がる 党勢後退すれば首相の責任問題も 2024/10/6 20:15 https://www.sankei.com/article/20241006-DWEKPHC3DFPW7OQQ3KTHK2NZI4/ 石破茂首相(自民党総裁)が政治資金収支報告書に不記載が確認された自民党議員を次期衆院選で公認した場合でも、比例代表との重複立候補を認めない方針を固めた。 重複立候補できない非公認の対象も従来より広がる。 衆院選を前に有権者の不満を抑える狙いがある。 ただ、当選の確率が下がるだけに自民議員の動揺は激しい。 ]深刻な党勢後退を懸念する声も強まっている。 「(世論調査などで)地元から説明責任が評価されていないと判断された議員は非公認となる」 「厳しい判断だ」。 自民幹部は首相の決断についてこう語った。 自民の森山裕幹事長は4日、派閥パーティー収入不記載事件で処分した衆院議員をめぐり、原則として公認する意向を示していた。 既に不記載事件への党の処分が下された中、非公認が 「2重処分」 に当たるとの指摘もあった。 非公認となればテレビの政見放送でアピールできず、配布ビラの枚数も減るなど厳しい選挙戦は避けられない。 自民重鎮は 「公認問題は決着済みだと聞いていたので総裁選で首相を応援した」 「話が違う」 と語気を強めた。 不記載事件に関与した議員が多い旧安倍派を狙い撃ちした動きとの見方も広がっている。 首相は生前の安倍晋三元首相と距離があったためだ。 重複立候補の道を断たれた旧安倍派中堅は 「しこりは残る」 「政権を支えようと思っていたが無理だ」 と吐き捨てた。 「内閣支持率が期待したほど上がらなかった中で『政治とカネ』の問題に焦点を当てられてしまった」 「衆院選を見据えた苦肉の策だ」 自民関係者は首相の狙いをこう解説した。 ただ、衆院選で落選する自民議員が続出すれば、首相自らが責任問題に直面することになる。 自民の閣僚経験者は 「郵政解散で党内が割れたときは『刺客』を立てたので、減った議員数を補充できた」 「(刺客を出さない)今回はかなりの議席を減らすのではないか」 と呟いた。 石破首相 党員資格停止議員など非公認の方針 強い反発も 2024年10月7日 5時54分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241007/k10014602761000.html 次の衆議院選挙に向けて、石破総理大臣は、自民党の政治とカネをめぐる問題で収支報告書に収入を記載していなかった議員の一部を公認しない方針を示しました。 党内からは理解を示す意見がある一方、非公認となる議員がいる旧安倍派を中心に強い反発が出ています。 石破総理大臣は6日、次の衆議院選挙に向けて、自民党の政治とカネをめぐる問題で政治資金収支報告書に収入を記載せず 「党員資格停止」 の処分を受けた議員などを公認しない方針を明らかにしました。 これにより、党から 「党員資格停止」 の処分を受けた下村元文部科学大臣、西村元経済産業大臣、高木元国会対策委員長と、1年間の 「党の役職停止」 の処分が継続していて、政治倫理審査会での説明を行っていない萩生田元政務調査会長、平沢元復興大臣、三ツ林裕己・衆議院議員の6人が非公認となる見通しです。 この他かの処分を受けた議員についても地元の都道府県連の公認申請や選挙区の情勢を踏まえて最終的に判断する方針で、公認されない議員が増える可能性があります。 また、処分の有無にかかわらず収支報告書に記載していなかった議員は小選挙区と比例代表との重複立候補を認めないとしていて、少なくとも30人を超える見通しです。 石破総理大臣は 「有権者1人1人に真摯に向き合い、国民の納得と共感を求める」 「国民の信頼を得る観点から公認権者として責任を持って最終的に判断していく」 と述べました。 今回の方針について党内からは 「これくらいの対応をしないと世論は納得しない」 など理解を示す意見がある一方、非公認や比例代表との重複立候補が認められない議員が多い旧安倍派を中心に 「既に処分が終わっているにもかかわらずゴールポストを動かすようなもので『旧安倍派潰し』だ」 など強い反発が出ています。 これに対し、野党側は7日と8日に行われる代表質問で、収入を記載していなかった議員への対応を含め、自民党の政治とカネの問題を厳しく追及する方針です。 立憲民主党の野田代表は 「このスキームでは、大半が公認される仕組みではないかと思っており、国民の理解を得ることは全然できない」 と批判しました。 石破総理大臣は、9日衆議院を解散する意向で今月27日に行われる見通しの衆議院選挙に向けて、与野党の対決姿勢が強まっています。 「不記載議員の重複立候補は認めない」衆院選公認で自民執行部が方針 石破首相の全発言 2024/10/6 17:22 https://www.sankei.com/article/20241006-ALWDRKNLWFBYBC2HYPUX6MMUMY/ 石破茂首相(自民党総裁)は6日、次期衆院選(15日公示、27日投開票予定)を巡り、党本部で森山裕幹事長、小泉進次郎選対委員長と協議し、派閥パーティー収入不記載事件を受けた関係議員の公認の是非に関する方針を決めた。 「選挙における非公認」 より重い処分を受けた議員を公認しないほか、政治資金収支報告書に不記載が確認された議員については比例代表との重複立候補は認めないこととした。 非公認の対象には、党員資格停止処分だった下村博文、西村康稔、高木毅氏らが含まれる。 記者団に対する首相の発言は以下の通り。 ■「相当程度の非公認生じる」 私はこれまで一貫して 「政治資金を巡る問題に対する国民の不信、怒りに対して、自民党としてきちんと対応することが必要だ」 と言ってきた。 本日、来る総選挙における、党としての対応について、方針を確認をした。 まず、小選挙区の公認について、党則で定める8段階の処分のうち、 「選挙における非公認」 より重い処分を受けた者については、非公認とする。 二、選挙の非公認より軽い処分でも現時点で引き続き処分が継続している者については、政倫審で説明責任を果たしている者を除き非公認とする。 三、処分を受けた、その他の議員のうち、説明責任が十分に果たされず、地元での理解が十分に進んでいないと判断される者についても非公認とする。 結果として、相当程度の非公認が生じることとなるが、国民の信頼を得る観点から、公認権者として責任を持って最終的に判断をしていくものとする。 ■「総裁も党四役も重複立候補せず」 その上で、派閥の政治資金パーティーを巡る不記載があった、その他の議員についても、比例名簿への搭載はしないこととし、候補者が選挙区において説明責任を果たし、退路を断って、有権者の審判に当落を委ねることとする。 地元の有権者一人一人と真摯に向き合い、何としても小選挙区を勝ち抜いてくることを求めたい。 なお、党所属議員にこうした対応を取る以上、私並びに党四役についても重複立候補はしないこととする。ともに責任を果たしていく所存だ。 以上が総選挙に向けた対応の方向性だ。選挙は民主主義の根幹そのものであり、わが党所属の議員には、いかなる立場となっても有権者一人一人に真摯に向き合い、説明を尽くし、理解を得て、一票一票を積み重ねる努力を行っていくことを求めることで、党として国民の皆さんの納得と共感を求めたい。 安倍元首相存命なら困難だった石破新首相誕生 暗殺事件から2年、変質した自民党主流派 2024/10/6 10:00 https://www.sankei.com/article/20241006-YEI453KQUZD5PNTL6WB5OTHQZY/ 10月1日召集の臨時国会で自民党の石破茂総裁が第102代首相に指名され、石破内閣がスタートを切った。 石破首相はこれに先立つ9月27日の自民党総裁選で第28代総裁に選出された。 総裁選では1回目の投票で過半数に達した候補者はなく、上位2人による決選投票で高市早苗前経済安全保障担当相を破った。 1回目の投票結果は高市氏が181票(議員票72、党員票109)で1位。 首相は154票(議員票46、党員票108)で、議員票、党員票ともに高市氏を下回った。 ▼自民党総裁選、第1回投票結果一覧 高市氏181票、石破氏154票、小泉氏136票 ところが決選投票では首相が215票(議員票189、都道府県連票26)で、194票(議員票173、都道府県連票21)だった高市氏を下した。 この結果に交流サイト(SNS)では、 「てっきり高市氏で決まりと思っていただけに驚いた」 「1回目の国会議員の投票では高市氏が石破氏を上回っていた」 「なぜこのような結果になってしまったのか全く分からない」 といった驚きの声が多く見られた。 ▼自民党総裁選決選投票の結果 石破氏215票、高市氏194票 ■自民党総裁選の開票結果 しかし、舞台裏を探ると、カラクリは至極分かりやすいものだった。 1回目の投票で小泉進次郎元環境相を支持した菅義偉元首相のグループと、派内の2候補に票を分散させていた岸田文雄前首相率いる旧岸田派が、決選投票で石破首相支持に回ったことが大逆転劇を生んでいたのだ。 ▼総裁選決選投票で逆転の石破氏、旧岸田派の「高市敬遠」勝因「レガシーひっくり返される」 菅氏は約7年8カ月続いた第2次安倍政権を通して官房長官を務め、安倍氏退陣後に政権を継承。 岸田氏も第2次安倍政権で外相を約4年8カ月務め、菅氏の後に政権を引き継いで安倍路線を継承してきた。 両氏が 「安倍路線の継承」 を掲げた高市氏ではなく、石破首相を支持したことは、令和4年7月の安倍氏暗殺事件から2年が経過し、自民主流派の政策が大きく変質したことを意味する。 石破首相の政策は、安倍氏に代表される自民党保守派とは大きな距離感があった。 総裁選期間中、首相は選択的夫婦別姓の導入について 「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」 と賛成の意向を表明。 エネルギー政策では出馬会見で 「原発をゼロに近づける努力を最大限する」 と訴えた。 外国人材の受け入れに関しても、総裁選の9候補を対象に共同通信が9月20日に集計した政策アンケートで 「国内の雇用・労働環境への影響に配慮して進める」 と回答している。 ▼新総裁の石破氏 政治とカネに厳しく、選択的夫婦別姓賛成、外国人材受け入れ「進める」 さらに安定的な皇位継承を巡り、令和2年には前例のない 「女系天皇」 を選択肢から排除しない考えを示している。 ▼自民総裁選候補共同会見 9氏は男系継承重視 石破氏は「女系天皇」含み 安倍氏は第2次政権発足時こそ石破首相を幹事長に起用したものの、その後はこうした考え方の違いもあって政権の中枢から遠ざけてきた。 その流れは安倍氏と蜜月≠セった菅、岸田両氏の政権でも長く続いてきたが、今回はその菅、岸田両氏が石破首相支持へ舵を切ったことになる。 岸田前政権で非主流派だった菅氏は石破政権で副総裁に就き、主流派入りを果たした。 岸田氏は自身の経済政策の継承を石破首相に約束させ、内閣の要の官房長官ポストに旧岸田派ナンバー2の林氏を残留させることに成功した。 いずれも石破首相を誕生させることで十分な 「政治的見返り」 を得た形だ。 ▼【動画】石破茂新内閣が正式発足 林官房長官が閣僚名簿 皇居で首相任命式、閣僚認証式 ただ、こうした政局的な背景は国会の外にいる一般国民には見えにくい。 それが総裁選での石破首相勝利を巡る前述の驚き、違和感に繋がっているのだと思う。 首相は自民党の勝利を狙って9日に衆院を解散する。 ただ、総裁選結果を巡る国民の違和感がいつまでも解消されないようだと、支持拡大への足枷となりかねない。 もちろん、首相勝利の背景が明確になることによって、逆に支持離れが広がる可能性もある。 田村秀男「お金は知っている」 石破首相「成長派」への変身は本物か 岸田前政権の戦略継承、財政出動へ官僚の圧力はね返せるか 長年、反アベノミクスの言動も 2024.10/4 06:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241004-GTJ6LR5MEFICFFM6I75DABYO5A/2/ 石破茂政権がスタートした。 経済政策では脱デフレ完遂を掲げ、岸田文雄前政権の成長戦略を継承するという。 長年、反アベノミクスの言動を繰り返してきた石破さんの成長派への変身は本物なのだろうか。 まずは、筆者と石破さんの間の秘話を紹介しよう。 2012年9月の自民党総裁選の数カ月前、筆者は東京都内で石破さんに会い、脱デフレ策を進言したが、石破さんは一蹴した。 有権者は物価の下落を歓迎し、上昇にはノーだから、まずいというのだ。 そこで、拙論は日本型デフレとは物価下落以上の幅で賃金が下がる、つまり実質賃金が下がるので、有権者のためにはならないと説明したが無駄だった。総裁選では脱デフレを掲げた安倍晋三元首相に敗れた。 そして2014年1月、ある勉強会で石破さんと同席した。 石破さんは聴衆の前で 「あの時、田村さんの提言を受け入れればよかった」 とスピーチしたのには、少なからず感心させられた。 ところが石破さんはその後、いつの間にかアベノミクスの批判に終始するようになった。 財政出動に否定的で、日銀の異次元金融緩和を厳しく批判するのだ。 そして、2014年8月下旬。 石破さんのブレーンから突如、経済問題で助言を依頼された。 石破さんは産経新聞や本欄など拙論に目を通しているとも聞かされた。 ならば、とA4判で1枚程度のメモを送付した。 要点は、脱デフレ、財政出動、実質可処分所得の引き上げ、家計消費の拡大、税収増の民間への全面還元、日銀利上げの凍結などの提言である。 ブレーンからは 「石破さんはしっかりと読んでいます」 との返事。 他の識者などからも提案があるだろうから、拙メモがどの程度役立ったかは知る由もないが、9月に入ると、石破さんの発言が変わってきた。 「財政出動なければ経済が持たない」 「税増収分の防衛費や少子化対策への充当」 「最低賃金の引き上げ」 と言い出した。 9月27日の総裁選勝利後の会見では 「デフレからの脱却を完全なものにする」、 「物価上昇を上回る賃金上昇」 「海外の生産拠点の国内回帰」 を強調した。 そして、石破政権の経済財政・再生相に就任した赤沢亮正さんが日銀利上げに慎重さを求めたのは、まさに正解だ。 だが、石破政権の本気度が試されるのは、財政にある。 緊縮財政至上主義の財務官僚の執念は凄まじい。 某財務省大物OBは岸田前政権について、 「史上最悪のバラマキを行った」 「安倍政権のほうがまだましだった」 と憤懣やる方ない。 電気・ガス料金補助、定額減税などをやり玉に挙げるのだが、メディアなどから 「増税メガネ」 と揶揄された岸田さんにとってみれば、心外もいいところだろう。 岸田前政権のもと基礎的財政収支(プライマリーバランス)が大幅に改善し、来年度は黒字化が確実になっている。 財務省はそんなことには満足せず、さらなる緊縮財政と増税を石破政権に仕込む魂胆だろう。 石破さんは、財務官僚の圧力をはね返せるだろうか。 (産経新聞特別記者・田村秀男) NHK「放送テロ」を慰安婦問題にすりかえ 「自分党」議員に見抜けぬ中韓の歴史認識捏造 2024/10/6 6:00 https://www.sankei.com/article/20241006-MQ2TRVYGS5KLFLBGQJHFHHTG4U/ 自民党はしばしば 「自分党」 と揶揄されてきた。 それが今日ほど露骨な時はない。 内閣支持率20%台を迷走した岸田文雄首相が次期総裁選不出馬を表明すると、自薦他薦の総裁候補者たちが雨後の筍の如く出現した。 そのいずれもがパーティー券問題から始まった裏金(政治資金)問題や派閥問題を語るが、派閥と政治資金は自民党政治の宿痾である。 ■機能しない内閣 党勢を伸ばすには所属議員の数を増やさねばならず、それには資金が欠かせない。 その中で選出された自民党総裁が、日本国の首相になっている。 この政治システムは自分党の政権維持には都合よく機能しても、民意を国政に反映させることには向いていない。 昨今の政治不信は、日本国のリーダーを直接選べないことに起因している。 憲法第68条では国務大臣の過半数を国会議員から選ぶよう規定しているとはいえ、民間から抜擢するケースは稀れで、現内閣などは全員が国会議員である。組閣後の常套句は「適材適所」だが、実際は総裁選に協力した派閥に対する論功行賞で、多くは派閥の古参議員やかつての盟友と関係のある世襲議員である。 尖閣諸島や竹島の問題と関連して領土担当相(現領土問題担当相)が誕生したのは2013年。 だが現在まで、当該大臣が外交の表舞台で活躍したと聞いたことがない。 2024年8月19日、NHKで中国籍の人物による 「放送テロ」 が発生。 26日には中国軍の情報収集機が長崎県・男女群島南東沖の日本領空を侵犯。 31日、中国軍の測量艦が鹿児島県の口永良部島沖で日本領海に侵入。 いずれの事案でも閑職の出番はなかった。 総裁候補者たちは、この一連の妄動に非難の声を上げたというが、その 「遺憾砲」 にどれだけの意味があるのだろうか。 国家主権が侵され続ける責任の一端は自民党にある。 前回のコラムでも触れたが、中国が暴走する端緒を作ったのは小泉純一郎政権である。 2005年3月、島根県議会が 「竹島の日」 条例を制定して、竹島問題解決の糸口を掴もうとしたが、それを小泉政権が牽制し、中露政府に誤ったシグナルを送ってしまったからだ。 ■安倍・岸田政権も これは安倍晋三政権も同じである。 竹島問題では 「静かな外交」 を謳ってきた韓国が竹島問題や慰安婦問題などで対日攻勢をかけると、 「領土・主権対策企画調整室」 を開設して内外に対する情報発信に方針転換し、歴史戦の最前線から離脱してしまったからだ。 その間、韓国では政策提言機関である 「東北アジア歴史財団」 を軸に、竹島や慰安婦、いわゆる徴用工の問題などへの対応、軍艦島と佐渡金山の世界遺産登録に対する妨害などを通じて左傾化が進んでいた。 その韓国に尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が誕生し、左傾化した韓国社会の軌道修正に乗り出したが、岸田政権はその機を生かすこともできなかった。中国海警局の艦艇が尖閣諸島周辺の接続水域への侵入を繰り返す最中、 「自分党」 がしたことは裏金問題の弁明と派閥解消という弥縫策だった。 国民目線で見てもこの日本では危うい。 沖縄タイムスによると、石垣市議会の9月定例会ではNHKの 「放送テロ」 と関連して抗議決議案などを審議したという。 それを同紙では、中国国籍者の尖閣に関する発言よりも 「慰安婦を忘れるな」 とした慰安婦問題を主に報じ、 「民間の慰安婦はいた」 「従軍慰安婦はいなかった」 「性奴隷ではなく、しっかりお金を頂いた方たちはいた」 と発言した市議を批判的に扱っていた。 そこに 「『慰安婦か娼婦か』を問う差別的な言説だ」 「政治家としての基礎的な見識を欠いている」 とする識者を登場させ、 「河野談話」 を引き合いに出して、河野洋平官房長官(当時)は談話の中で旧日本軍の関与や強制性を認めて 「謝罪している」 と伝えた。 だがこの談話が出される前の韓国では、 「日本兵を相手にしていたのは、自尊心が許さない」 「無理やりさせられたことにしてほしい」 との声が出ていた。 河野談話は実態を調査することなく、発表されていたのである。 ■負の歴史への視点 慰安婦問題が表面化した1990年代、金泳三(キム・ヨンサム)大統領が 「歴史の立て直し」 を唱え、韓国では歴史の 「修正主義」 が流行った。 それが日本の 「村山談話」 につながり、 「植民統治」 とすべき語句が 「植民地支配」 と表記され、村山富市首相(当時)も 「現在取り組んでいる戦後処理問題」 に 「誠実に対応」 すると誓ったのである。 だが、戦後処理問題の淵源は、戦後の日韓の国交正常化交渉にあった。 それは当時の李承晩(イ・スンマン)大統領が公海上に 「李ライン」 を設定してライン内側水域にある竹島の領有を一方的に宣言し、拿捕・抑留した日本人漁船員を盾に取った人質外交から始まった。 村山談話には、竹島侵奪を正当化する韓国側の誤った歴史認識と日本人漁船員を拿捕・抑留した負の歴史に対する視点がない。 国会議員の浅知恵では、中韓の歴史学者による歴史認識の捏造は見抜けない。 <主張>対露協力相の廃止 首相の判断を評価したい 社説 2024/10/6 5:00 https://www.sankei.com/article/20241006-WW4RIW63GVIWLARRTYIBZEWKXY/ 石破茂内閣で、これまで経済産業相が兼務してきた 「ロシア経済分野協力担当相」 のポストが廃止された。 林芳正官房長官は会見で、同担当相廃止について 「石破首相が判断した」 と明らかにした。 首相の政治判断をまずは評価したい。 ロシアはウクライナ侵略を続けている。 日本はプーチン露政権に対して経済制裁を科してきた。 それと並行して、経済協力担当の閣僚ポストを存続させてきたこと自体が矛盾だった。 このポストは平成28年9月、安倍晋三首相(当時)が世耕弘成経産相(同)に兼務させる形で新設した。 この4カ月前、訪露した安倍氏がプーチン大統領に石油、天然ガスの開発協力や極東の産業振興など8項目の 「日露協力プラン」 を提示し、日本企業に投資を呼びかけていた。 このプランを推進するのが対露経済協力相だった。 ロシアによる不法占拠が続く北方領土の返還問題と平和条約締結交渉を前進させたい安倍政権の思惑があった。 だが、一昨年2月のウクライナ侵略開始で、日本側は対露経済協力を凍結し、担当相は無用の存在になった。 その時点で廃止すべきだったが、岸田文雄内閣(当時)は 「日本企業の円滑な撤退支援」 を理由に閣僚ポストを存続させてきた。 撤退支援なら閣僚ポストを維持する必要はないのが道理だ。 侵略者ロシアに圧力をかけねばならない時に経済協力相を残すのは、プーチン政権に誤ったシグナルを送る悪手だった。 そもそも、プーチン氏の念頭には領土抜きの平和条約締結しかない。 日本の経済協力が北方領土返還につながる可能性はほぼないと言っていい。 プーチン氏はウクライナ侵略後、北方領土を経済特区化して内外の進出企業を税制優遇する法案に署名した。 許しがたい日本の主権侵害だ。 対日平和条約交渉も一方的に中断を宣言した。 ロシア軍は北方領土を舞台に演習を繰り返したり、中国の海空軍と 「合同パトロール」 と称する対日威嚇を重ねたりしている。 石破首相が所信表明演説で 「対露制裁、対ウクライナ支援は今後とも強力に推し進める」 と語ったのは妥当だ。 首相はロシアに領土を奪われている国の首脳同士として、ウクライナのゼレンスキー大統領と連携を図るべきである。 林官房長官、ロシア経済分野協力担当見送りは「首相が判断」 2024/10/2 0:14 https://www.sankei.com/article/20241002-YKSJUAOH2RM7VHJDAEO3QVKYNE/ 林芳正官房長官は1日の記者会見で、石破茂首相が設置を見送った 「ロシア経済分野協力担当」 について 「ロシアがウクライナ侵攻を続けている現状を踏まえ、首相が判断した」 と理由を説明した。 「政府として在ロシア日本大使館などを通じ、ロシアで活動する日本企業の活動支援などは行っており、今後とも企業支援は継続していく」 と説明した。 ロシア経済分野協力担当は平成28年に当時の安倍晋三首相が北方領土返還を巡る対ロシア経済協力を具体化するために新設した。 ウクライナ侵攻後も歴代政権は担当相を置いていた。 ロシア外務省が領空侵犯の抗議拒否 日本が「政治問題化」「非生産的」と反発 2024/10/3 16:22 https://www.sankei.com/article/20241003-CMDFUWH7QFPCDIOEUDQ3DGL5ZQ/ ロシア外務省のザハロワ報道官は2日の記者会見で、露軍哨戒機による日本の領空侵犯を巡り、 「日本は外交ルートを通じて抗議しようとしたが、我々(露外務省)は拒否した」 「我々は抗議の根拠となる如何なる情報も持っていない」 と述べた。 ザハロワ氏はまた、日本がこの件を 「政治問題化」 しているとし、 「非生産的だ」 と反発した。 領空侵犯についてロシア側が公式にコメントしたのは初めて。 ザハロワ氏は 「適切な所管ルートを通じて協議すべきだ」 と述べ、日本の防衛省と露国防省の間で対処すべき問題だとした。 領空侵犯問題は9月23日、北海道礼文島北方で発生。 防衛省によると、露軍のIL38哨戒機は航空自衛隊のF15戦闘機による警告などにもかかわらず、3回に渡って日本の領空に侵入した。 同時期には露極東ウラジオストク沖の日本海で露太平洋艦隊と中国艦隊による合同軍事演習が行われており、哨戒機は潜水艦の探索訓練などを行っていた可能性がある。 一方、ザハロワ氏は日本の経済産業相が従来兼任してきた 「ロシア経済分野協力担当相」 の設置を石破茂内閣が見送ったことにも言及。 「日本がロシアとの経済関係を発展させる気がないことを示している」 と述べた。 日本は対露制裁により自身が経済的打撃を受けているとも主張した。 <産経抄>衆院選、首相が変節漢で「信」は得られるのか 2024/10/5 5:00 https://www.sankei.com/article/20241005-VDAJHFXQ6RODHIAJE73ZVZLOTE/ 石破茂首相の今年6月14日のブログが野党議員の間で話題である。 首相は衆院解散について記している。 「天皇の国事行為を定めたに過ぎない(憲法)第7条を根拠として『今解散すれば勝てる』とばかりに衆議院を解散することは、国会を『国権の最高機関』とする憲法第41条の趣旨にも反する」 ▼同時にこうも指摘していた。 「内閣不信任案の可決や信任案の否決など、内閣と衆議院の立場の相違が明確となった場合に限り、内閣が主権者である国民の意思を問うために行われるべき」。 自民党総裁選でも 「国民が判断する材料を提供するのは首相の責任だ。すぐ解散するという言い方はしない」 と明言している。 ▼それがいざ総裁に当選すると、首相就任前の時点で10月9日に解散して27日に投開票とする考えを表明したのである。 「過ちては改むるにはばかることなかれ」とも「君子は豹変(ひょうへん)す」ともいうが、そんな立派なものではない。 信念を捨てて党利党略に走ったと言われても仕方がないだろう。 ▼かと思うと4日の所信表明演説では、年来の主張だったアジア版NATOにも、日米地位協定の改定にも触れなかった。 現実路線に修正したといえば聞こえがいいが、できもしないことを国民に訴えてきたのか。 それでは、政権公約(マニフェスト)詐欺と怒りを買った民主党の政権奪取と選ぶところがない。 ▼「flip―flopping(変節)の名手」。 国民民主党の玉木雄一郎代表は3日、自身のX(旧ツイッター)で首相を皮肉った。 これまた首相が従来の主張をたがえて、追加利上げに慎重姿勢を示した件である。 ▼衆院選は政権が国民の信を問う場だが、ころころと意見が変わるリーダーが信用されるだろうか。 自民党新総裁への期待と直言 石破茂新総裁は愚かな「脱炭素」止め万全なインフラ投資を 台湾有事、中国は日本のエネルギーを狙う…現状では3カ月と持たない 2024.10/2 11:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20241002-KI57HQ3MB5JRRHUZ5RYOSOAGTE/ キヤノングローバル戦略研究所研究主幹杉山大志氏 元防衛相の石破茂新総裁に申し上げる。 日本のエネルギーインフラは破壊され続けている。 菅義偉政権が 「2050年CO2実質排出量ゼロ」 を宣言し、岸田文雄政権がその法制化を進めた結果だ。 「台湾有事」 となれば日本は巻き込まれるのは必定で、中国は必ずや日本のエネルギーを狙う。 このままでは、日本は3カ月も持たずに屈服してしまうだろう。 緊急に対策が必要で、愚かな 「脱炭素」 は止めるべきだ。 ロシアはウクライナの発電所をミサイルやドローンで攻撃し、7割を破壊した。 ウクライナもロシアのディーゼル燃料精製工場の2割を破壊した。 中国が日本各地のエネルギーインフラを攻撃したら、日本は防げるのか。 イエメンの親イラン武装組織フーシ派は紅海を航行する欧州諸国の船を攻撃し、パナマ運河の入り口にある紅海を事実上封鎖している。 中国によって日本近海の船や港湾が攻撃されると、日本への輸入も途絶える。 ウクライナがそれでも2年間も持ちこたえているのは、資源が豊富で隣国と地続きの大陸国家だからだ。 だが、日本は島国で国産のエネルギーも乏しい。 エネルギー供給の8割以上を占める化石燃料は、ほぼ全量が輸入である。 これが止まったらどうするのか。 石油の備蓄は200日分あるが攻撃されるだろう。 石炭と天然ガスは1カ月分もない。 ただちにエネルギー備蓄を積み増し、 「エネルギーインフラの防衛策」 を講じなければならない。 原発は稼働していれば、いざという時には在庫の燃料だけで3年は持つ。 いまテロ対策を理由に稼働を止めている原発があるが、これはかえって国を脆弱にしている。 太陽・風力発電は不安定で、有事の頼りにならない。 菅政権以来、日本は 「脱炭素」 をエネルギー政策における最優先の課題として、化石燃料インフラは破壊されてきた。 化石燃料を敵視する政策のせいで、火力発電所は採算が合わず、維持費は削られ、故障しても修理されず、次々と閉鎖されている。 揚げ句、節電要請が恒例行事になってしまった。 戦争になれば軍事目標へのミサイル攻撃と同時に、エネルギーインフラへのドローン攻撃があるだろう。 エネルギーは日本のアキレス腱であり、真っ先に狙われる。 ところがいま、日本政府は、敵に破壊される以前に、愚かな 「脱炭素」 政策で自ら破壊している。 政府は化石燃料を敵視するのを止め、日本の生命線であると認識を改め、平時から万全なインフラ投資をすべきだ。 容易には負けない備え、それこそが有事に対する抑止になる。 石破政権の課題 変われぬまま選挙に臨む自民 論争を撃つ 石井聡 2024/10/5 11:00 https://www.sankei.com/article/20241005-DRPULNNOU5JUZP5ZGSBNYJ3OWY/ 5度目の挑戦、決選投票での逆転勝利でその座をつかんだ石破茂首相はいったい何がしたいのだろう。 自民党総裁選で当選した後、NHKの「日曜討論」で 「岸田政権を基本的に引き継ぐ」 とサラリと語ったのを聞いて、その印象はさらに強まった。 もとより、地方創生、災害被災者への支援拡充といった政策の柱を掲げてはいた。 だが、選挙期間中にどれだけ具体的なイメージを伴いながら国民に伝わったかといえば疑問である。 「防災庁」 構想には被災地、被災者などから関心と期待が向けられているが、 「簡単なことではない」 とトーンダウンする場面もあった。 政策通と目されてきた分だけ、それらを実現する力量を伴うかどうかが厳しく問われる。 ■早期解散は同じ 出馬表明当初は最有力とみられた小泉進次郎元環境相は、途中失速で決選投票にも残れず敗退した。 掲げた主張は説明力の不足もあり、多くの反論、批判を浴びたが、総裁選の論戦の軸となった側面もある。 総裁選が終わって政策論争に明確な決着がついたわけでもない。 とくに解雇規制緩和や夫婦別姓の導入などについて候補者間の対立があったことは、政権与党の自民党が一貫性を持って政策を遂行できるのか、疑問を生じさせたともいえる。 小泉氏は当選した場合、首相就任後ただちに衆院解散に踏み切る考えを際立たせた。 他候補からは臨時国会で一定の審議を行い国民の判断材料を示すべきだとの反論が相次いだ。 石破氏もその一人だったが、総裁就任後は 「できるだけ早く国民の審判を仰ぎたい」 と軌道修正し、立憲民主党の野田佳彦代表から 「裏金解散」 だと牽制されている。 結局、首相もその小泉氏を党選挙対策委員長に起用して10月中の総選挙実施に踏み切った。 この選挙を乗り切ることが当面の最大課題となることから、新内閣のご祝儀ムードが続く間に事に臨もうとするのはわかる。 だが、今度の選挙は 「自民党は変わったのか」 という点がこれまで以上に厳しく問われている。 「政治とカネ」 の問題をめぐり、総裁選が自民党の転換点になるという結論には至らなかった。 総裁選は世代交代を図るものでもなかった。 不信感が払拭できたのかといえば、否定的に受け取らざるを得ない。 ■政策の刷新は… その分、政策面での刷新感がより求められるが、それを国会で吟味する時間も乏しいとすれば、国民に判断材料を提示するのは難しい。 それにしても組閣人事には「論功」の臭いが強く漂い、重要課題を推進できる布陣なのか疑わしい。 党内の政権基盤が脆弱な石破内閣で、閣僚の失態などが相次ぐ事態になれば、首相が早期に求心力を失う展開も考えられる。 総裁就任直後、米保守系シンクタンクのハドソン研究所のサイトに 「日本の外交政策の将来」 と題する石破氏の論文が掲載された。 中国、ロシアや北朝鮮に対する抑止力を確保するため北大西洋条約機構(NATO)のアジア版を創設し、この枠組みの中で米国の核兵器の共有、持ち込みを検討すべきだ、という主張などが盛り込まれている。 新総裁に当選する前に提供してあった論文とみられるが、当選後はほどなく首相となる微妙な時期だ。 実現可能性のメドが立たない持論を多く盛り込んだ論考を公表することは、極めて不見識だと指摘しておきたい。 まさか、自分が当選することはないと思って書いたのでもあるまい。 ■不用意な寄稿も 石破氏が考えるアジア版NATO構想や同盟国、有志国との連携による集団防衛に、現行憲法の下で日本が参加することはできないと考えられている。 日米同盟でもその片務性は解消されておらず、集団的自衛権の限定行使では不十分であるという問題を提起すること自体には意味がある。 しかし、一議員として将来への期待を語るのはともかく、首相就任後は直ちに現行法制や現存する対外関係の枠組みに基づいて外交・安全保障を担わなければならない。 不用意な論考の公表はもっとも重要な同盟国に誤解を与えかねず、アジア太平洋地域の諸国からも不安を招きかねない。 こうしたことが繰り返されれば、普天間飛行場の移設をめぐり 「県外移設」 を掲げて日米関係を悪化させた旧民主党の鳩山由紀夫政権の二の舞いとなりかねない。 ■適切なルールか 緊迫する国際情勢に対応するため、総裁選を機に政治とカネをめぐる議論からの脱却が図られるのを期待していたが、そうなりそうもないのは残念である。 論戦の中でも「裏金」問題への対処の議論はしだいに後退した。 違和感があったのは 「いったん処分が下されたものを見直すことは、党のガバナンスとして問題がある」 ということが、あたかも正論のように語られていた点だ。 党執行部の統治能力が欠如していたことこそが問題を長期化、肥大化させ、的確な対処もできずに国民の不信を招いた。 それを忘れてはなるまい。 石破首相は 「ルールを守る自民党」 ということを盛んに言い出した。 守らないより守った方がよいが、肝心なのはそのルールが適切なものかどうかである。 NHKの番組で物価高について問われ、 「高いねえ。おかわり自由というのがいつの間にかなくなっちゃった」 と答えた。 麻生太郎党最高顧問の口からはとても聞けなさそうな言葉だが、そうした国民目線は悪くない。 政策の立案や遂行に役立てられるだろうか。 「石破カラー」薄く…アジア版NATO、日米地位協定見直しに言及なし 所信表明 2024/10/4 20:30 https://www.sankei.com/article/20241004-UCKMZA6KXFJB3LSKTURLHEO2DE/ 石破茂首相の4日の所信表明演説は、首相が自民党総裁選で訴えた 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」 構想などへの言及はなく、 「石破カラー」 を抑えた。 衆院解散・総選挙を間近に控え、安全運転に徹する狙いがあるとみられる。 だが一方で 「総花的で、首相らしさが出ていない」(自民ベテラン議員) と物足りなさを指摘する声もあった。 ■不記載事件対応、抽象的 「首相として全身全霊を捧げ、日本と日本の未来を守り抜く」。 首相は演説の冒頭、こう切り出した。 続けて派閥のパーティー収入不記載事件にも言及し、岸田文雄前首相の退任に 「政治改革を前に進めるとの思いを持って決断された」 と敬意を表した。 ただ、不記載事件への対応については 「問題を指摘された議員1人1人と改めて向き合い、反省を求め、ルールを守る倫理観の確立に全力を挙げる」 と抽象的な表現にとどめた。 首相は総裁選で衆院選での非公認の可能性に言及したが、徐々にトーンダウン。 党内基盤が弱く、問題が指摘された旧安倍派や旧二階派の議員らの反発を避けたい思惑も透ける。 首相が得意とする外交・安全保障でも、持論のアジア版NATO構想や日米地位協定の見直しには言及しなかった。 いずれも党内の議論は不十分な上、アジア版NATO構想には閣内でも 「直ちに設立するのは難しい」(岩屋毅外相) との意見があるためだ。 演説では憲法改正や安定的な皇位継承には言及したが、持論である憲法9条2項の削除や、選択肢として排除しない考えを示していた 「女系天皇」 には触れなかった。 ■「災害関連死ゼロ」掲げる 一方、災害対策では被災者の避難所での厳しい生活に思いを寄せ、災害関連死ゼロを掲げたのは 「首相の強い思いからだ」(首相側近) という。 政権の目玉である防災庁設置準備も 「事前防災の徹底に向けて予算・人員の両面において抜本的に強化し、不断に万全の備えを行う」 と改めて強調した。 思い入れの強い地方創生では 「交付金を当初予算ベースで倍増を目指す」 と明言した。 「総裁選では票を集めるために多少は大きいことをいうものだ」 「現実路線だ」。 自民の閣僚経験者は演説の内容に一定の理解を示す。 ただ、首相は演説以外でも、慎重だった早期衆院解散の方針を表明。 利上げに慎重な考えを表明するなど 「変節」 を繰り返している。 自身の過去の発言との齟齬が大きければ国民の支持を失う可能性がある。 自民党若手議員は、首相がかつて時の首相や党執行部に正論≠ぶつけ 「後ろから鉄砲を撃つ」 と揶揄されていたことを念頭に、こう呟いた。 「自身が首相になった今となっては、過去の自分に後ろから鉄砲を撃たれる状況が続くのではないか」 「勇気と真心で真実を語る」石破首相の所信表明、故渡辺美智雄元副総理の言葉引用 2024/10/4 16:31 https://www.sankei.com/article/20241004-JNF22JLBVJNUXIWWE53KDMMRTI/ 石破茂首相は所信表明演説で、故渡辺美智雄元副総理の言葉 「政治家の仕事は勇気と真心を持って、真実を語ることだ」 を引用し、自民党派閥裏金事件で失われた国民の信頼回復を目指すと訴えた。 かつて同じ派閥に所属した渡辺氏は 「政治の師」 と仰ぐ存在だ。 演説全体は約9500字で、2012年の自民政権復帰以降、最多となった。 地元・鳥取に隣り合う島根選出の故竹下登元首相を登場させた。 ふるさと創生を掲げた竹下氏の 「地域が自主性と責任を持って、各々の知恵と情熱を生かし、地域づくりを自ら考え実践していく」 とのフレーズを用いて、地方創生に取り組む姿勢を示した。 演説分量は約13%を地方創生に割いた。 持論の防災庁設置など災害対応関連にも約10%を充て、自身の政策をアピールした形だ。 「勇気と真心で真実を語る」石破首相の所信表明、故渡辺美智雄元副総理の言葉引用 2024/10/4 16:31 https://www.sankei.com/article/20241004-JNF22JLBVJNUXIWWE53KDMMRTI/ 石破茂首相は所信表明演説で、故渡辺美智雄元副総理の言葉 「政治家の仕事は勇気と真心を持って、真実を語ることだ」 を引用し、自民党派閥裏金事件で失われた国民の信頼回復を目指すと訴えた。 かつて同じ派閥に所属した渡辺氏は 「政治の師」 と仰ぐ存在だ。 演説全体は約9500字で、2012年の自民政権復帰以降、最多となった。 地元・鳥取に隣り合う島根選出の故竹下登元首相を登場させた。 ふるさと創生を掲げた竹下氏の 「地域が自主性と責任を持って、各々の知恵と情熱を生かし、地域づくりを自ら考え実践していく」 とのフレーズを用いて、地方創生に取り組む姿勢を示した。 演説分量は約13%を地方創生に割いた。 持論の防災庁設置など災害対応関連にも約10%を充て、自身の政策をアピールした形だ。 自民、地元申請あれば不記載議員も原則公認 森山裕幹事長「党の決まりに基づき対応」 2024/10/4 16:55 https://www.sankei.com/article/20241004-DP7LPPQ2FVLCNCDBYRW3GFF2LA/ 自民党の森山裕幹事長は4日、党本部で記者団に、派閥パーティー収入不記載事件で処分した衆院議員に関し、次期衆院選(15日公示、27日投開票)で一律に非公認とはしない考えを表明した。 選挙区では、都道府県連など地元組織から公認候補予定者としての申請があり、党の情勢分析で当選可能と判断すれば原則として公認する方向だ。 森山氏は 「党の決まりに基づいて対応することが大事だ」 と強調し、地元組織の公認申請が条件になると語った。 さらに 「当選第一というのが選挙で一番大事だ」 「当選可能なのかどうかも1つの判断の基準」 と語った。 世論は不記載議員への厳しい対応を求める声が根強いが、森山氏は 「党として調査し、(4月に)処分を下した」 「その現実をしっかり捉えることは大事だ」 と述べ、不記載議員の非公認が 「二重処分」 に当たるとの認識を示唆した。 一方、石破茂首相は4日、官邸で記者団に、不記載議員の公認問題に関して 「何にも決まっていない」 と述べた。 首相は党総裁選出馬を表明した8月下旬、 「公認するに相応しいかどうかの議論は徹底的に行われるべきだ」 と述べ、非公認とする可能性に言及していた。 石破政権短命危機=u早く解散しないとボロが…」 現実を無視した理想論吹聴→困難とわかると「豹変」 党内には早くも反乱の気配 2024.10/4 15:30 https://www.zakzak.co.jp/article/20241004-GXJZSACMKNMY7JQIUQHCUBM4AY/ 石破茂首相は4日、衆参両院本会議で初の所信表明演説に臨み、 「経済対策の策定」 など、当面の政治課題への政府方針を表明する。 9日解散、27日投開票の衆院選を間近に控え、経済回復の道筋を示す狙いのようだ。 報道各社の世論調査では、石破内閣の支持率は50%前後と伸び悩んでいる。 「論功行賞」 「リベラル重用・保守派外し」 という色彩が強いうえ、安倍晋三元首相を 「国賊」 と罵倒した村上誠一郎氏を総務相に抜擢した影響なのか。 ジャーナリストの長谷川幸洋氏は、現実を無視した理想論を吹聴して困難と分かると豹変する 「石破首相の本質」 を喝破し、 「短命内閣の危険性」 を指摘した。 ◇ 石破政権が誕生した。石破首相は9日の衆院解散を表明したが、早くも自民党総裁選での発言をひっくり返した形だ。 新内閣は挙党一致のドリーム・チームにもならなかった。 野党はもちろん、自民党内の反・石破勢力は倒閣に動くだろう。 発足当初から、これほど不人気な政権も珍しい。 石破総裁誕生が伝えられると、株式市場は暴落で反応した。 それも当然だ。 石破氏は 「金融所得課税の強化」 をはじめ、 「法人税や所得税の増税」 を滲ませ、岸田文雄政権がぶち上げた防衛増税1兆円の構想も引き継ぐ考えを示した。 日銀の利上げにも肯定的だ。 これで株価が上がるわけがない。 いずれ実体経済に波及し、下手をすれば、デフレに逆戻りする可能性もある。 解散表明にも驚かされた。 総裁選では 「国民に判断材料を与えないまま、解散はしない」 と言っていたのに、突如、豹変した。 しかも、国会で内閣総理大臣の指名を受け、皇居での首相任命式を終える前の解散表明である。 「選挙準備のためだ」 などと理由を語ったが、 「憲政の核心」 に関わる話なのに、言い訳にもなっていない。 これは 「石破首相の本質」 を物語っている。 彼はいつも一見もっともらしい建前論を語るが、実現可能かどうか、しっかり検討した上での話ではない。 単に理想を語っただけだ。 現実の壁に直面して、困難と分かると、たちまち豹変するのである。 解散は森山裕幹事長の進言を受けたからだった。 「早く解散しないとボロが出て、支持率が落ちるぞ」 と諭されたに違いない。 そこで初めて 「現実の厳しさ」 に気が付いたのだ。 他の重要課題はどうか。 例えば、 「アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設」 である。 NATOは加盟国に集団的自衛権に基づく相互防衛義務を課している。 だが、専守防衛を旨とする日本は、他国防衛のために軍事力を行使できない。 したがって、憲法改正が不可欠になる。 ■党内には早くも反乱の気配 「日米地位協定の改定」 も同じだ。 米国には日本防衛義務があるが、日本には米国防衛義務がない。 だからこそ、かつてドナルド・トランプ前大統領は 「日本は米国が攻撃されても、ソニーのテレビを見ていられる」 と不満を漏らした。 米国は 「地位協定を改定したいなら、まず片務的な条約を改めたらどうだ」 と反論するのではないか。 途中のハードルをどう越えるか、を考えずに、いきなり理想論に走る。 これが石破氏の発想である。 一言で言えば 「書生論」 だ。 だから、誰かから現実の壁を指摘されると、途端に腰砕けになってしまう。 このパターンは今度も繰り返されるに違いない。 石破首相は、いわゆる 「裏金議員」 の公認問題について、 「公認権者である自分が説明責任を果たす」 と言明した。 甘い対応をするようなら、批判を招く。 逆に、裏金議員を公認しないようなら、反・石破陣営は黙っていないだろう。 最高顧問に就任した麻生太郎元首相は、記念撮影への同席を拒否した。 党内には、早くも反乱の気配が漂っている。 石破政権は短命に終わるのではないか。 スパイ防止法に反対した村上誠一郎氏 昭和61年初当選当時「現行法の手直しで十分」 2024/10/4 10:59 https://www.sankei.com/article/20241004-OROBZLT4CFDYLBBW7LV4RHDNEU/ 石破茂内閣で再入閣した村上誠一郎総務相は、衆院議員に初当選した昭和61年当時、自民党が制定を目指していたスパイ防止法について 「現時点においては不必要」 と党内で反対していた。 スパイ防止法を巡る動きを振り返ってみた。 ■「スパイ天国」返上目指した自民 戦後、日本はソ連や北朝鮮によるスパイ活動を厳しく取り締まる法律がなく、 「スパイ天国」 と呼ばれてきた。 昭和53年10月の参院予算委員会で福田赳夫首相は 「スパイ天国と言われる状態を放置しておいていいのかどうか」 と述べ、将来はスパイ防止法が必要との認識を示した。 翌54年には保守系の学者や文化人が発起人となって 「スパイ防止法制定促進国民会議」 が発足した。 昭和55年に陸上自衛隊の陸将補がソ連に情報を流したとして逮捕されたが、自衛隊法の守秘義務違反で懲役1年に問われただけだったことから、制定の機運が高まり、地方議会での推進意見書可決が相次いだ。 昭和57年に就任した中曽根康弘首相も積極的な姿勢を見せ、昭和59年には 「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」 が発足し、政界を引退した岸信介元首相が会長に就任した。 現在文化庁長官を務める作曲家、都倉俊一氏も発起人に名を連ねた。 ■谷垣、鳩山氏らと意見書提出 自民党は昭和60年、 「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」 を議員立法で提出した。 外交・防衛上の国家秘密を外国に漏らした場合、最高刑を死刑とした。 この動きに対し、社会党や共産党などは 「国民の権利を制限する」 などと反対した。 スパイ防止法制定促進国民会議の事務局が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)系の政治団体 「国際勝共連合」 だったこともあり、社共を中心とした勢力の反対運動は激しく、実質審議に入らないまま廃案となった。 昭和61年、中曽根首相は法案の再提出に意欲を示し、党内の特別委員会が最高刑を無期懲役に引き下げるなどした修正案をまとめた。 村上氏はこの年昭和61年の7月、衆院旧愛媛2区で初当選。 昭和61年11月に、法案に反対する自民党の中堅・若手議員12人の意見書に名を連ねた。 他の11人は次の通り(敬称略、カッコ内は後の役職)。 大島理森(衆院議長)、太田誠一(農林水産相)、熊谷弘(通商産業相)、熊川次男、白川勝彦(自治相)、杉浦正健(法相)、谷垣禎一(自民総裁)、鳩山由紀夫(首相)、谷津義男(農水相)、石井一二、佐藤栄佐久(福島県知事) 村上氏は「中央公論」昭和62年4月号の 「われら自民党議員『スパイ防止法案』に反対する」 と題した特集で、 「自衛隊法、国家公務員法、刑法等の手直しで十分対処することができよう」 などと論じた。 その後、法案は再提出されず、岸氏の死去や中曽根内閣の退陣で制定の機運はしぼんだ。 共産などにとっては、村上氏ら自民内の反対論は心強かったに違いない。(渡辺浩、肩書は当時) <主張>中国の海外闇警察 「スパイ天国」でいいのか 社説 2024/3/16 5:00 https://www.sankei.com/article/20240316-H4BDHEZJSJMAJPA4WOC6PFTEAA/ 左右の過激派や外国勢力を捜査対象として治安を守る警視庁公安部が、なぜ詐欺事件を摘発したのか。 それは日本に、直接スパイ活動を摘発する法律がないからである。 公安部は2024年2月、風俗店を整体院と称して新型コロナウイルス対策の持続化給付金100万円を詐取した疑いで、中国籍の女を書類送検した。 2023年5月には、女が一時幹部を務めた東京・秋葉原の一般社団法人を、同容疑で家宅捜索していた。 一般社団法人が入居するビルは、スペインのNGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が2022年、中国の非公然警察署の拠点であると指摘していた。 当時の林芳正外相は 「(日本の主権を侵害しているなら)断じて認められない旨の申し入れを行っている」 と述べた。 同NGOによれば、海外闇警察とも言われる中国の非公然警察署は世界50カ国、100カ所以上にあり、 「国外の中国人の政治活動の監視」 や 「帰国の説得」 などを任務としている。 2023年4月には米ニューヨークで、非公然警察署の開設や運営に関与したとして中国系米国人2人が逮捕された。 警視庁による摘発は、非公然警察署の実態把握の過程で犯罪容疑が浮かんだとみられる。 平成24年にはスパイ活動を行った疑惑のある在日中国大使館の元1等書記官を、外国人登録法違反容疑で送検した。 2023年は研究データを中国企業に漏洩したとして、不正競争防止法違反容疑で国立研究開発法人 「産業技術総合研究所」 の中国籍の研究員を逮捕した。 その容疑名に捜査当局の苦心が窺える。 日本が 「スパイ天国」 と称されるのは、諸外国にはあるスパイ活動を防止する法律がなく、同法を根拠とする本格的な防諜機関もないためである。 加えて給付金詐欺容疑で送検された女は、自民党の松下新平参院議員の事務所に一時期 「外交顧問兼外交秘書」 として出入りしていた。 外国工作員はあの手この手で政権中枢への接触を図る。 受け入れる側の無自覚ぶりには目を覆いたくなる。 「スパイ防止法案」 は昭和60年に議員立法で提出されたが、昭和60年に廃案となった。 その後、特定秘密保護法などが成立したが、まだ不完全だ。 スパイ天国を解消すべく、防止法と防諜機関の創設を急ぐべきである。 スパイ防止法 諜報活動野放し、摘発へ法整備を 立命館大教授・上久保誠人 明解説 2024/3/2 10:00 https://www.sankei.com/article/20240302-B2AHWG5YAVPIBCAUVHT7EUPR6E/ 日本では諸外国のスパイが暗躍しているとされる。 法整備を進める政府は2024年2月27日、経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有資格者に限る 「セキュリティー・クリアランス(SC、適格性評価)」 制度を創設する 「重要経済安保情報保護・活用法案」 を閣議決定し、衆院に提出した。 それで機密情報の漏洩を防げるのか。 中国人留学生を指導する立命館大の上久保誠人教授は、スパイ防止法の制定を訴えている。 ◇ ■日本だけ制度なく SC制度は、日本の企業、役所、またそのスタッフ、職員について、漏洩すると国の安全保障に支障を与える恐れがある情報を扱うに足る組織や人物、身分かを確認し、海外に情報を流す違反をした場合に罰則を設けるということだが、現行法を含め肝心の外国からのスパイ自体をきちんと取り締まる部分がない。 それは、先進7カ国(G7)の中で日本だけで、まるでスパイ天国だとされる。 諜報活動をする外国人は基本的には犯罪行為を起こさないよう注意を払っており、法の網にかかりにくい。 公安関連組織がスパイらしい人物を捕まえる時は、スパイ摘発と直接関係のない現行法を何とか運用しているのが現実だ。 例えば、東京・池袋のパスポートセンターで中国人職員が個人情報を入手して逮捕された事件が2023年あったが、窃盗罪が適用された。 私が勤務するような学校は、最前線の1つかもしれない。 学校に映画に出てくるようなスパイがいるわけではない。 しかし、留学生が本国にスパイ活動をさせられていると言われており、緊張感があることは否めないからだ。 ■中国人は協力義務 中国には国家情報法があり、国家安全部(省)の指示で海外の留学生や在住者は中国共産党の情報活動に協力しなければならない。 同法は、最先端技術などの情報を政府や企業、大学から取り、政府に渡すことを義務付けている。 拒めば、実家が脅されかねない。 大学教育は、そんな中で行われている。 理系はもちろん最前線だが、私のような文系でも民主主義や民主政治を語っていると、それ自体が中国人を教育している行為に当たる。 普通に日本に政治を学びにきた留学生でも、中国当局からの指示で教官がどんな思想信条で家族構成はどうなっているか、朝から夜までどんな日常生活を送っているかといった情報を取っているとの不安は拭えない。 外国から情報を盗みに来る、あるいはそれに加担させられる人を摘発することができる法律として、スパイ防止法が必要である。 それは、逆説的に感じる人もいるだろうが、言論や思想信条、学問の自由を守ることにもなる。 大学で、私は目の前の留学生に民主主義を説く。 それを不安なくやるには、スパイを摘発する制度がきっちりと整っていなければならない。 そのため、ある日突然、私の学生が拘束されて消えることがあっても構わない。 安心して活動できるために法律を整備してほしい。 ■留学生や人材守る 日本は少子高齢化で若者が少ない。 政府は対策を取っているとはいえ、政策効果が出るのは30年後だ。 だから、ある意味で移民と言える優秀な人材を受け入れざるを得ない。 外国人を受け入れつつ国家の安全を守るために、厳しいチェックと管理ができる法律が必要なのはG7の国であれば常識ではないか。 そう思う理由の1つに、私の英国での留学経験がある。 空港でもロンドン市内でも自動小銃を持っているような人はおらず、オープンな雰囲気に見えたが実は英国は強力な監視国家で、私を含む留学生が完全に情報機関に生活を把握されていた。 当時、当局の要注意リストに外国人3000人が掲載され300人が監視下にあったと聞いていた。 ある大学で、留学生が集会をしようとした瞬間に当局が全員検挙したという事例があった。 それほど普段から留学生や外国人の動向を把握しているということだ。 テロやスパイ活動を防止するため、事前に全てを把握する体制があり、スパイ防止の法律が存在していた。 一方で、市民は当局の監視の息苦しさを日常的に感じることはなかった。 いわゆるリベラル、左翼の考え方とは真逆の考え方だろうが、同様の制度が日本にほしい。 それが、良い留学生や優秀な人材を守ることにも繋がるはずだ。 ◇ 【用語解説】スパイ防止法 昭和55年1月の宮永幸久元陸将補らによる防衛庁スパイ事件をきっかけに昭和60年6月、通常国会に自民党から議員提案された。 野党側が ▽「国家の秘密」の範囲が曖昧 ▷国民の知る権利、言論と報道の自由など基本的人権を侵害する ▷最高刑を死刑とするなど重罰化が目立つ などと反対。 1度も審議に入らないまま、昭和60年末の臨時国会で廃案となった。 <主張>気象と防災の日 首相に制定を提案したい 社説 2024/10/4 5:00 https://www.sankei.com/article/20241004-REJPIIGFFFOFHIQ3QHRD7JXMME/ 石破茂首相は「防災庁」の創設を政策の柱の一つに掲げている。ただ、実現には一定の時間がかかる。 そうであるなら、手間をかけずに防災に資する方策も考えたい。「気象と防災の日」を制定してはどうか。 地球温暖化の影響とされる気象の激甚化で、多くの国民の命と暮らしを脅かす大規模水害が毎年起きている。豪雨や台風が多発する時季の前に、国民、地域、自治体、国が連携して大規模水害に備える機会が、必要であり不可欠だ。 国民的な防災の日である9月1日は、大規模地震を想定した訓練や啓発活動に重点が置かれてきた。豪雨や台風に備えるには9月では遅い。8月26日は「火山防災の日」、11月5日は「津波防災の日」(世界津波の日)であるが、最も発生頻度が高く、かつ全ての国民に関わる気象災害については、これに相当する日がない。 地震を想定した訓練を実施している地域や自治体は多いが、水害を想定した訓練はあまり行われていないのが現状だ。 「自然災害が多発する日本に、専門の省庁がない方が異常だ」と考えるのであれば、大規模水害を重点に気象災害に備える「防災の日」の必要性は明白だろう。 産経新聞は社説(主張)で、気象記念日である6月1日を「気象と防災の日」とすることを提唱してきた。大規模水害を想定した訓練を多くの自治体に普及、定着させるとともに、地球規模の気候変動について多くの国民が学ぶ契機とする、というのが提唱の趣旨である。 日付と名称にはこだわらないが、この趣旨には賛同が得られるはずだ。 東日本大震災、西日本豪雨などで、日頃の訓練が住民避難や安全確保に繫(つな)がった事例は多い。訓練の実施で直ちに救える命があり、訓練の定着で将来の命も救える。 「気象と防災の日」制定に多額の費用はかかるまい。考えられる施策としては、最も費用対効果が高いのではないか。 防災庁の創設を掲げている首相が、政府の災害対応力を大幅に向上させる必要があると認識していることに異論はない。ただし、役人と役所仕事を増やしても、それが必ずしも国民の命を守ることに直結しないことは銘記する必要がある。 地震の地割れから大量の土砂「人災」と批判も 能登水害、家も車も埋まった 2024/10/4 6:30 https://www.sankei.com/article/20241004-6CXKCYFYA5NPBF5JU2HBCR4RUM/ 9月21日に能登半島で発生した記録的豪雨で、石川県輪島市の市立輪島中グラウンドに元日の地震で生じた地割れから大量の土砂が流出し、周囲の家や車を埋め尽くした。地震後、地割れから水が染み出すなどの予兆もあり、市側は土囊(どのう)を置くといった対策を講じてきたが、豪雨には効果がなかった。市に繰り返し対策の強化を求めてきた住民からは「危険性は明らか」「人災だ」といった批判の声も上がる。 輪島市中心部の高台にある輪島中では、元日の地震で約1万6千平方メートルあるグラウンドに地割れが発生した。グラウンドを管理する輪島市教育委員会によると、地割れは最大で長さ約130メートルに及び、グラウンドの約半分が崩れ落ちた。 地震後、高台の下で暮らす住民は、雨が降るたびに恐怖を感じた。息子宅の前が土砂に埋まった服部陽子さん(65)は「大きく崩れた斜面から雨が降るたびに水が染み出したり、小石が落ちてきたりした」と振り返る。住民から対策を求める声もあり、市は斜面にブルーシートを張ったり、大型土囊を置いたりしたほか、雨水が斜面に流れないよう仮設の排水管も設置した。 しかし、今回の豪雨では対策の効果もなく地割れから大量の土砂が流出。高台から約300メートルにわたる坂道には、グラウンドの土砂を含む濁流が川のように流れた。仮設の排水管は十分に機能しないまま壊れ、最大で高さ1メートルほどの土砂が民家や道路、駐車中の車を覆った。服部さんは「しっかり補強していれば被害はもう少し抑えられたのでは」とため息を漏らす。 ■市教委「被害受けられた方におわび」 高台の土砂崩れの危険性を市に何度も訴えた住民もいる。輪島中が立つ高台のすぐ下に自宅がある女性(55)によると、地震後、雨が降るたびにグラウンドの砂が自宅前を流れたという。 土砂流出の危険性は目に見えていたため、女性は輪島中の周辺を土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定するよう市側に要望したが、「教育委員会との兼ね合いがある」などとして取り合ってもらえなかったと憤る。実際、輪島市が公開するハザードマップは令和元年度末から更新されておらず、土砂が流出した範囲は土砂災害警戒区域(イエローゾーン)からも外れたままだ。 女性宅は今回の土砂流出で床下まで泥水につかり、前の道路も地中の水道管やマンホールがむき出しになるなどした。複数の予兆があったにもかかわらず土砂流出を防げなかったことに、女性は「市の対応はあくまで応急処置に過ぎない。その後の対応はなく、人災と言っても過言ではない」と訴える。 これに対し、輪島中のグラウンドを管理する市教委は、地震後に一定の対策をとってきたとした上で、「被害を受けられた方におわびする。さらに被害が拡大しないように対策を講じる」と述べるにとどめた。 <主張>中東の戦火拡大 なぜNSCを開かぬのか 社説 2024/10/3 5:00 https://www.sankei.com/article/20241003-4YRNMLACHBI6FNK2GDIOJIQ5N4/ 石破茂首相に問いたい。 なぜ国家安全保障会議(NSC)を開催しないのか。 中東の戦火が拡大しているからである。 イスラエルがレバノンの首都ベイルートにある親イラン民兵組織ヒズボラの本部を空爆し指導者ナスララ師を殺害した。 ヒズボラの脅威を除こうとイスラエル軍はレバノン南部へ侵攻した。 ヒズボラの後ろ盾であるイランは報復と称しイスラエルに向けて大規模な弾道ミサイル攻撃を行った。 米英両軍などが協力して迎撃したが一部が着弾し、被害が出た。 イランの対イスラエル直接攻撃は4月以来だ。 どちらも中東有数の軍事大国だ。 双方に自制を求めたい。 ただし事態がエスカレートすれば 「第5次中東戦争」 になりかねない。 日本や世界のエネルギー供給にとっても、経済情勢にとっても、何より中東地域の邦人の安全にとっても、看過できない緊迫した状況である。 日本は一連の事態を遠い地域の出来事と見做すのではなく、自らの問題と捉え、対応しなければならない。 石破首相は2日、イランの弾道ミサイル攻撃を非難し 「全面戦争に拡大しないように(米国などと)連携を取りたい」 と述べた。 そうであるならば、石破首相は、NSCの4大臣会合などを開き、邦人保護や万一の際のエネルギー需給、イスラエル、イラン双方への働きかけについて協議すべきである。 国家安全保障局や外務省の幹部と面会したが、それだけでは足りない。 NSCを開催すれば、日本企業や現地の邦人に対応を促すシグナルにもなる。 石破首相が自民党総裁に当選した9月27日に、岸田文雄内閣の木原稔防衛相はレバノンからの邦人退避に備え、航空自衛隊のC2輸送機を近隣のヨルダンとギリシャへ派遣する命令を発した。 レバノンには約50人の邦人が滞在している。 政権末期でも邦人保護へ動いた岸田政権の対応は妥当だ。 退避では韓国との相互協力も進めたい。 ただし、レバノンからの邦人退避の備えは日本が為すべき対応の一部に過ぎない。 戦火が一気に拡大しかねない時代だ。 危機は政権交代の事情など勘案しない。 石破首相には内閣発足直後であろうと国民を守り抜いてほしい。 石破政権は北朝鮮に近く優しい? 拉致議連会長からの変節 阿比留瑠比の極言御免 2024/10/3 1:00 https://www.sankei.com/article/20241003-KRI3XHTSOZIS7BSKYCT3ZS5YKA/ 9月28日の本紙社会面記事で、拉致被害者の横田めぐみさんの母、早紀江さんが石破茂新首相と過去に会話をした経験について、こう述べていた。 「ほとんどない」 一読、何とも言えない寂しさを感じた。 なぜなら首相は平成14年4月から、9月に小泉純一郎内閣の防衛庁長官に抜擢されるまで、北朝鮮に毅然とした姿勢で対峙する 「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(拉致議連) の会長を務めていたからである。 ■被害者家族と距離 にもかかわらず以後、首相は早紀江さんの言葉にあるように、拉致被害者家族との間に距離を置いたのだった。 家族らにすれば、見捨てられたに等しい。 この年平成14年4月、自民党政調副会長だった首相が拉致議連会長に内定した際に中川昭一元財務相から筆者に、嬉しそうな様子で掛かってきた電話が鮮明に記憶に残っている。 「(北に比較的融和的というイメージがある自民党の)橋本派の石破さんが受けてくれたのは大きいよ。インパクトがある」 筆者も早速、首相(石破氏)にインタビュー(平成14年4月24日朝刊掲載)すると、首相はこう語った。 「とにかく行動すること、北朝鮮に毅然たる姿勢で臨むことの2点に議連の意味がある」 「日本はこれまで、コメ支援や朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への援助など、太陽政策的な措置をとってきた」 「それなのに北朝鮮は『行方不明者(拉致被害者)は捜索したがいなかった』と非常に不誠実な答えを繰り返し、ミサイルを撃ち、工作船を航行させるという行動に出ている」 「拉致容疑は人権問題でもあるが、それ以前に国家主権の侵害だ」 至極もっともな発言である。 ところが、その首相による現在の主張や今回の党役員と閣僚人事を見ると、過去との余りの差異に愕然とする。 首相は拉致議連から手を引く代わりに、北朝鮮に余りに融和的だと拉致被害者家族会が警戒する日朝国交正常化推進議員連盟の一員となった。 総裁選で首相が掲げた東京と平壌に連絡事務所を置いて拉致被害者について調査するという考えは、かねて日朝議連が主張してきたことである。 だが、北朝鮮当局は拉致被害者を厳しい監視下に置いており、どこにいるかは当然、把握している。 連絡事務所の設置とは、北朝鮮に都合のいい情報を受け取り、その意のままに動くことである。 首相はまた、拉致被害者家族会が絶対に譲れないと訴える 「全拉致被害者の即時一括帰国」 という方針にも疑問を示している。 ■なぜ変節したのか 党役員を見ても、要の森山裕幹事長と坂本哲志国対委員長は日朝議連に入っているとされる。 それどころか、石破内閣で安全保障問題を担う首相をはじめ岩屋毅外相も中谷元防衛相も日朝議連メンバーという極端な配置となっている。 まだ石破政権が発足したばかりだから今後どうなるか分からないが、人事から受ける印象は 「北朝鮮に近く優しい政権」 となろう。 政治家であろうと、歳月の中で考え方が変わっていくことはあるだろう。 とはいえ、かつては北朝鮮に対する太陽政策の無意味さを説き、毅然とした姿勢を強調していた者が、なぜここまで変節したのか。 自ら拉致被害者奪還運動に取り組みつつも、最後の場面では首相や政治家に頼らざるを得ない家族らの心境を思うと、やるせない思いが募るばかりである。 石破首相の原発ゼロ方針「今は訂正されていると承知」 武藤経産相、総裁選の発言巡り 2024/10/2 16:24 https://www.sankei.com/article/20241002-CV7OIQS64VLMXAWUKIN4VH2RGM/ 武藤容治経済産業相は2日、就任後初の記者会見を開き、石破茂首相が自民党総裁選で 「原発をゼロに近づける」 とした発言について、 「今は訂正されていると承知している」 との考えを示した。 原発については 「安全という前提で最大利用を進める」 と語った。 首相は総裁選への立候補を表明した8月の記者会見で原発をゼロに近づける考えを示した。 総裁選中は電力需要の増加を踏まえ 「必要な原発の稼働は進めていかねばならない」 とも語っていた。 武藤氏は総裁選の政策集で 「安全を大前提とした原発の利活用」 に言及されていると指摘。 原発利用などの方針について、 「首相と認識は共有している」 とも話した。 また武藤氏は、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について 「地元の不安の声や地域振興を含めた要望を踏まえ、再稼働の理解が進むよう政府を挙げて取り組む」 との意向を示した。 柏崎刈羽原発の再稼働に向けては、地元同意を得ることが焦点となっている。 武藤氏は 「福島第一原発の事故を起こした東電への不安の声があり、(柏崎刈羽原発の)安全安心の取り組みも十分には浸透していない」 と指摘し、理解を得るよう努めるとした。 武藤氏はこの他、次世代半導体の量産を目指すラピダスの支援に関する法案に関し、 「出融資の活用拡大を含む必要な支援を行うための法案を早期に国会に提出すべく検討を進めないといけない」 と述べた。 2024.10.01 「あの男だけは、誰もが嫌っている」…石破茂新政権は長続きできるのか 「北京のランダム・ウォーカー」第749回・後編 https://gendai.media/articles/-/138394?imp=0 ■石破氏は還暦を過ぎて変わることができるのか さて後半は、石破新首相の 「政治家としての資質」 に立ち入ってみたい。 「前編」 の冒頭で述べた 「還暦を超えて人は変われるのか」 という命題である。 2024年9月27日の午後に行われた自民党総裁選挙の議事進行は、概ね前例を踏襲したが、いくつか細かい変更が行われた。 その1つが、決戦投票の前に、勝ち残った2人の候補者に、それぞれ5分間ずつ 「最終スピーチ」 の時間を設けるというものだった。 それは、1回目の投票で2位の候補者、1位の候補者の順で行われた。 つまり、1回目154票だった石破候補が、181票だった高市候補よりも、先に壇上に上がった。 石破候補にとっては、1回目の投票で敗退した7人の候補、及び7人の候補の支持者たちに 「直訴する」 最後のチャンスだった。 私も、石破候補が何を話すのかと、固唾を呑んで見守っていた。 すると、壇上の選挙管理委員会の面々に向かって、3度も丁寧にお辞儀した後、訥々と、こう切り出したのだった。 「私は、至らぬ者であります」 「議員生活38年になります」 「多くの足らざる所があり、多くの方々の気持ちを傷付けたり、色んな嫌な思いをされたりした方が多かったと思います」 「自らの至らぬ点を、心からお詫びを申し上げます……」 何とあのプライドの塊のような石破氏が、 「過去のお詫び」 から入ったのである。 NHKの生中継を見ていた人は、 「何のこっちゃ?」 と思われたかもしれない。 ■自民党議員の根強い「石破アレルギー」 だが実際に、自民党議員たちの 「石破アレルギー」 は相当なものがある。 私も少なからぬ議員たちから、様々なエピソードを聞いたものだ。 今回の自民党総裁選の間も、永田町界隈では、 「石破茂の裏切りの歴史」 なる文書が拡散されていたほどだ。 コロナ禍の前のことになるが、ある自民党本部の幹部職員が定年退職し、数名の記者で退職祝いをやった。 その中で、 「自民党職員たちから見て、総理総裁になってほしい政治家は誰ですか?」 と、記者の1人が質問した。 すると元幹部職員は、赤ら顔を和ませ、たちまち10人近くの名前を挙げて、 「我が党は人材の宝庫だ」 と胸を張った。 そこで私が、 「では逆に、自民党職員から見て、総理総裁になってほしくない政治家は?」 と水を向けた。 すると即座に、こう答えたのだ。 「石破茂! あの男だけは、党職員の誰もが嫌っている」 その後は、酔いも回ってか、呆れるようなエピソードを次々に披歴した。 重ねて言うが、酒席の話で裏を取ったわけではないので、事実かどうかは不明だ。 ■渡した名刺を投げ、せせら笑う石破氏 だが、実は私にも、苦い経験が1つある。 2012年9の自民党総裁選で、 「安倍vs石破」 の自民党史に残る対決となった時のことだ。 当時所属していた『週刊現代』で、 「強の誌面対決」 のページを作るべく、両者にインタビューを申し込んだ。 すると、両候補とも 「30分だけなら」 と快諾してくれ、同日に時間差でのインタビューとなった。 まずはカメラマンと2人で、国会議員会館の石破事務所を訪ねた。 少し早く着いて、応接間で待たされたが、書棚には重厚な本がぎっしり並んでいた。 失敬して何冊か取り出してみたら、どの本にも要所に赤鉛筆で波線が引かれ、文字の上の隙間には、本人の所感が書かれていた。 さすが政界一の勉強家と、尊敬の念を深くして待っていると、間もなく本人が現れた。 私とカメラマンは、立ち上がって名刺を差し出し、 「本日はよろしくお願いします」 と頭を下げた。 すると石破氏、 「言っとくけど、きっかり30分だよ」 と言って、我々の名刺を見もせずに、ポイと机上に投げ捨てた。 そのうち1枚が床に落ち、慌ててカメラマンが拾って机上に置いた。 「君たちが聞きたいのは、キャンディーズのことかい? でもそんなこと聞いてると、時間が経っちゃうよ」 そう言って、ヘラヘラ笑い出した。 そのうち、我々の名刺を、まるでルービックキューブでも遊ぶように、両手でクルクルと回し始めた。 そして5分経つごとに、 「ハイ、あと20分!」 などと言って、せせら笑う。 こちらは、当時問題になっていた中国との尖閣諸島の問題などを聞きたかったのだが、常に 「上から目線」 で、まるで初心者相手のように説くので、噛み合わなかった。 1度だけ、石破氏の回答が事実関係と異っていて突き詰めたら、キッとなった。 そして書棚に駆け寄り、関連関書を開いて 「そうだな、アンタの言う通りかもな」 と呟いた。 最後は、 「ほらほら、ラスト5分だよっ、キッキッ」 と冷笑した。 そしてほどなく、おもむろに立ち上がると、無言のまま離席してしまった。 27分が経ったところだった。 私はトイレにでも行ったのかと思い、しばし待ったが、ついぞ戻ってこなかった。 カメラマンが三脚を片付けて、事務所を出た。 石破氏の名刺は、受け取らずじまいだった。 ■出口まで見送りにきた安倍氏 続いてインタビューした安倍氏は、仏様のように映った。 「週刊現代には過去に、色んな事を書かれたけど、よく勉強させてもらっていますよ」 「今日は短い時間しか取れなくて、すみませんね」。 そう言って安倍氏は私とカメラマンに会釈しながら、自分の名刺を差し出した。 安倍事務所の応接室の書棚には、本が1冊もなく、代わりに世界の著名人と撮った写真ばかり飾り立ててあった。 それでも、熱意と誠意が感じられる30分のインタビューだった。 「これからの日中関係は、きっと厳しいものになると思いますよ」 などと、率直に語った。 終わると、わざわざ事務所の出口まで送りに来てくれて、 「下へ降りるエレベーターはあっちの方ですから」 と笑顔で言い添えた。 帰路、私とカメラマンの意見は一致した。 「どちらが賢いかと言えば、石破さんだろうが、もし自分が自民党議員で、どちらに投票するかとなれば、絶対に安倍さんだな」 かくして、1回目の投票では石破候補が首位だったが、議員票がものを言う決選投票で、安倍候補が逆転。 2012年12月に発足した第2期安倍政権は、7年9ヵ月続いて歴代最長政権となった。 反面、石破氏には 「長い冬の時代」 が続いたのである。 ■石破政権は「割りばし政権」? それで、 「還暦を超えて人は変われるのか」 という命題である。 「高市候補に投じた」 というある自民党議員に聞くと、石破新政権について、決して楽観視はしていなかった。 「どうせ来たる総選挙用の『割りばし政権』だろう」 「総選挙が終われば、また石破は例によって独りよがりになり、『裸の王様』と化し、周囲が離反していく」 「挙げ句、内閣支持率が低迷して、総辞職ではないか」 「割りばし」 とは、 「1回きりの使い捨て」 という意味だそうだ。 2024年9月27日の夕刻、自民党総裁選は、9人の候補者全員が壇上に上がり、連なって握手して万歳するシーンでお開きとなった。 互いの手を離すと、8人の敗者たちは、そのまま壇上を去ったが、石破氏だけは、向かって右奥の選挙管理委員会席に歩み寄っていった。 そして、逢沢一郎選挙管理委員長を始め、選挙管理委員を務めた議員たち1人1人と握手し、頭を下げて労を労ったのだった。 こうした行動は、 「人格が丸くなった」 ことを示す証左と言える。 だが週明けの2024年9月30日には、 「前編」 の冒頭で述べたように、 「天に唾する自民党総裁による解散宣言」 をやってのけ、国民を唖然とさせた。 1つ言えるのは、石破新首相は間違いなく、今世紀に入ってから首相を経験した12人の中で、最も頭脳明晰な首相であるということだ。 人間関係まで含めて、その 「賢明さ」 が前面に出たなら、長期政権の可能性もないとは言えない。 何と言っても、 「時の流れ」 を掴んでいるのだから。 だが同時に、 「時の流れ」 は移ろいやすいのも事実だ。 「平成の明智光秀」 は、果たして 「令和の徳川家康」 になれるのか。 新政権発足早々に総選挙を迎えて、日本の政治が、一段と面白くなってきたことは確かだ。(連載第749回) 2024.10.01 # 政治 石破新総理、総選挙後にありかも電撃訪中…中国ウォッチャーの風変わりな「石破茂論」 https://gendai.media/articles/-/138393?imp=0 「北京のランダム・ウォーカー」第749回・前編 近藤 大介『現代ビジネス』編集次長 ■石破茂氏が新総裁に 「新政権はできる限り早期に国民の審判を受けることが重要であると考えており、諸条件が整えば、10月27日に解散総選挙を行いたい」 「いま内閣総理大臣でないものがこのようなことを行うのは、かなり異例のことであると承知しております」 「これが不適切なものだと考えているわけではございません」 石破自民党新総裁が、9月30日15時から党本部で行った記者会見で、いきなりの 「解散爆弾」 をブチ上げた。 憲法第7条には、 「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ」 として、 「国事行為」 の3番目に 「衆議院を解散すること」 と記されている。 だが石破自民党総裁は、9月30日時点で、 「助言と承認をする内閣」 を築いていない。 そのため、これは 「異例」 であると同時に、 「不適切」 であるのは言うまでもない。 こんなことが許されるなら、自民党は中国共産党と同じになってしまう。 解散したければ、翌10月1日に、正式に総理に就任し、内閣を築いてから宣言すればよいだけのことだ。 たかが1日の違いだが、 「総理でない自民党総裁が解散を宣言する」 というのは、 「天に唾する行為」 である。 この 「石破流ゴーマニズム宣言」 によって、せっかく掴んだと思われていた 「時の流れ」 を、自ら早々に手放してしまうかもしれない−−。 時の流れを先週末に戻そう。 9月27日に東京・永田町にある狭苦しい自民党本部8階ホールで実施された、事実上の日本の最高権力者を決める総裁選挙は、劇的な結末を迎えた。 実に5回目の挑戦で、 「最後の戦い」 と背水の陣を張った石破茂候補(67歳)が、一発転劇によって他の8候補を打ち負かしたのだ。 この石破新総裁誕生については、既に多くの政治の専門家たちが多くのことを話し、書いているので、重複はしない。 私の心に湧き上がるのは、前にもこのコラムで綴った 「時の流れ」 ということと、 「還暦を超えて人は変われるのか」 という2点だ。 以下、中国ウォッチャーによる、やや風変わりな 「石破茂論」 を申し述べたい。 普段、 「中南海」(北京の最高幹部の職住地) の権力闘争を追っていると、ふと見えてくる 「永田町の風景」 もあるのだ。 まず、 「時の流れ」 に関しては、約1ヵ月前(9月3日)にアップした本コラム 「中国は『待ちハリ』…カマラ・ハリスは『反中でなく弱くて予測可能』な理想のリーダー」(連載第745回) で、私はこう述べた。 政治の世界には、 「時の流れ」 というものがある。 「時流」 を得た政治家は、まるで舟に乗って川下りをするが如く、スルスルと遊泳し、 「勝機」 を掴んでいく。 まさに 「勝ち将棋鬼の如し」 だ。 逆に、 「時流」 に乗れない政治家は、 「鮭(さけ)の川上り」 のような状態になる。 すなわち、いくら七転八倒しながら這い進んでも、結果が伴わない。 逆境に斃れてしまう。 こうしたことは、個々の政治家の実績や資質というよりは、 「時流」 が自分に来ているかどうかの問題である。 広い意味で 「運」 と呼んでもいい。 現在、周知のように、日本とアメリカで同時に、国の最高権力者を決める 「大一番」 が展開中である。 この自民党総裁選と米大統領選を見る時、私はどうしても 「どの候補に時流が来ているか」 という視点に立ってしまう。 日米に共通している今の 「時流」 を一言で言い表すなら、 「刷新感」 である。 日本は、2012年末から7年9ヵ月続いた安倍晋三政権と、その後の菅義偉政権、岸田文雄政権の残滓のような、自民党の裏金問題が勃発した。 そこからの脱却を図ろうと、総裁選史上最多の9人が、政策を競っている。 そのキーワードが、 「刷新感」 である。 この 「時流」 に一番うまく乗った候補が、最終的な勝者となる。(以下略) ■「刷新感」にうまく乗った石破氏 私の見立てでは、この 「刷新感」 という時流に、自民党総裁選で一番うまく乗ったのが、石破氏だったと言える。 当選12回の石破氏に、何が 「刷新感」 かと思われるかもしれないが、ここで言う 「刷新感」 とは、年齢や当選回数ではない。 「派閥」「裏金」(統一教会などとの)「癒着」といった、いわば 「平成的政治手法」 からの脱却という意味での 「刷新感」 である。 自民党安倍派の裏金問題が俎上に上る以前から、 「孤高の人」 石破氏に派閥はなかった。 かつて 「水月会」(石破派) という小派閥を擁していたが、令和3(2021)年の年末に、それまでの6年あまりの活動に終止符を打って解消してしまった。 当時の朝日新聞(2021年12月13日付)は、 「これが冷や飯を食らい続けた首相候補の末路なのか」 と、にべもない。 私も、 「水月会」 の政治資金パーティに顔を出したことがあるが、それは 「斜陽の中小企業の株主総会」 を見るかのようだった。 見栄を張って有名ホテルの大広間で催すのだが、参加者が少ないため、何とも寒々しい。 おまけに、会長の石破氏が、例の渋面で長広舌をぶつものだから、さらに場がしらけていく。 熱心に石破演説を聴いているのは、われわれ記者の一部くらいだ。 当時は首相派閥である 「清和会」(安倍派) の全盛期で、安倍晋三首相が 「太陽」 なら、石破氏は 「月」 だった。 野球で言うなら、安倍氏が 「長嶋茂雄」 で、石破氏は 「野村克也」。 誠に明暗甚だしかった。 だが、 「令和の政治」 は 「平成の政治」 とは大きく異なる。 日本の社会環境は、少子高齢化と地方の過疎化が進み、日本のGDPは2位からまもなく5位まで落ち、スマホ・ネイティブ世代が成人を迎えた。 平成の後半に栄華を極めた安倍氏は、周知のように2年前にテロに斃れた。 同時に安倍氏の 「盟友」 だった麻生太郎元首相(84歳)や二階俊博元幹事長(85歳)も、 「引き際」 を迎えている(麻生氏は9月30日に「自民党最高顧問」なる新奇な役職を与えられたが、党幹部一同の記念撮影にも応じず退出してしまった)。 反面、 「平成元禄に背を向けていた」 石破氏に、 「時の流れ」 が巡ってきたのである。 鳥取という日本の過疎化を象徴するような日本海側の地からやって来て、金銭欲もなく飾りもせず、正論を訥々と吐く変わり種が脚光を浴びる時代の到来である。 廃れていく地方は、そんな石破氏に一抹の希望を見出した。 同時に、1年1ヵ月以内に確実に選挙を迎える自民党の衆議院議員も、また2025年7月に半数が選挙を迎える参議院議員も、自民党に吹き荒れる逆風の中で、 「石破人気」 に縋(すが)るしかなかったのである。 関連記事 「あの男だけは、誰もが嫌っている」…石破茂新政権は長続きで… 党員票で躍進の高市氏背景には地方行脚とネット選挙 捲土重来へのカギは議員からの支持拡大 2024/10/2 6:00 https://www.sankei.com/article/20241002-6W56DR5QNNNY5NBDNIADQBL3NQ/ 過去最多となる9人が立候補した先の自民党総裁選では、高市早苗前経済安全保障担当相と石破茂首相が激しく競り合った。 高市氏は決選投票で敗れはしたが、1回目の投票では国会議員票と地方票のいずれも首相を上回る健闘を見せた。 令和3年の前回総裁選で高市氏を支えた安倍晋三元首相は死去した。 党内基盤が脆弱で、20人の推薦人の確保にも難儀した高市氏はなぜ躍進できたのか。 ■回った地域「数えようがないくらい」 「私自身の力不足だ」 「多くの方に助けていただきながら申し訳ない」 総裁選終了後の9月27日午後、党本部で記者団の取材に応じた高市氏はこう敗戦の弁を述べた。 目は赤く、表情には悔しさが滲んでいた。 1回目の投票で獲得した議員票は首相の46票を上回る72票。 また、地方票でも109票を獲得し、108票の首相を1票上回った。 決選投票では議員票で首相の後塵を拝したが、47都道府県の地方票のうち都市部を中心に21票を獲得した。 「予想以上だよ、想定外」。 高市氏を支援したベテラン議員は、地方票で首相を上回ったことに驚きを隠さなかった。 総裁選では安倍氏の支援を受け、4候補のうち2番目に多い議員票を獲得しながら、地方票が伸びず、決選投票に進めなかった。 その後、高市氏は政調会長に再任された。 直後の衆院選では他の議員の応援演説で全国を駆け回り、自身の選挙区に入ったのは 「数時間」(高市氏) だった。 「次」 を見据えた高市氏は地方行脚を続け、昨年10月のBS番組では 「また戦わせていただく」 と表明。 2024年8月に地元・奈良県で行った講演では、会場を埋め尽くした聴衆を前に 「(3年間で)回った地域は数えようがないくらい」 と振り返った。 今回の総裁選の結果について関係者は 「地方を回り続けてきたことが大きい」 と語る。 ■ネット上での話題「圧倒」 高市氏の地方票の獲得数を見ると、東京や大阪をはじめ都市部での強さが際立っている。 陣営幹部は 「ネット戦略がうまくいった」 と解説する。 高市氏の陣営には、7月の東京都知事選で2位に食い込んだ前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏の選対事務局長を務めた藤川晋之助氏も加わった。 石丸氏躍進の要因となったインターネットを活用した選挙活動を高市陣営でも展開。 総裁選期間中はSNS上に人柄を紹介する短い動画などを頻繁に投稿し、ネット上で話題に上る回数は他候補を圧倒した。 選挙戦が進むにつれ、大本命と言われた小泉進次郎選対委員長の 「討論力」 の低さが露呈し、報道各社の世論調査で高市氏が急浮上した。 中露軍機による相次ぐ領空侵犯や、中国広東省深圳で日本人男児が刺殺された事件を受け、中国に厳しい姿勢を示す高市氏が保守層を中心に期待を集めたとみられる。 高市氏が追い風を受ける中、伸び悩んでいた河野太郎前デジタル相を支援していた麻生派会長の麻生太郎最高顧問も動いた。 党内で唯一、派閥を維持する麻生氏は、小泉氏を支援した菅義偉副総裁、かつて自身に退陣を迫った首相のいずれとも関係が良好ではない。 麻生氏側は高市陣営との水面下での交渉を本格化。 選挙戦終盤になると高市陣営は 「麻生氏は高市を支援する」 と自信を見せ始めた。 ■リーフレット問題で包囲網 麻生氏の支援を取り付けたものの、高市氏は結果的に首相に勝つことはできなかった。 総裁選挙管理委員会が文書郵送の禁止を通知した後に、全国の党員らに高市氏の政策リーフレットが届いた問題が発覚したことも尾を引いた。 リーフレットが党員票の拡大に繋がるとの見方もあり、他陣営から 「不公平だ」 と批判を受けた。 陣営幹部は 「高市包囲網が出来てしまった」 と悔やむ。 「私を支援した入閣適齢期の議員の処遇を優先してほしい」。 総裁選後、高市氏は石破氏から総務会長就任の要請を受けたが、辞退した。 「党執行部に入れば自由に発言ができなくなる」 「全国行脚で地方固めを進めた方がいい」。 高市氏の関係者は 「無役」 でいることのメリットも説く。 高市氏が次の総裁選でリベンジを目指すならば、先の総裁選に省みる点もある。 首相が決選投票直前の演説で 「ルールを守る自民党…」 と繰り返したのは高市氏への当てこすりとの見方もあるが、一定の共感を呼んだのは間違いない。 高市氏の捲土重来へのカギは 「ルールを守らなかった」 という党内の誤解を解きつつ、苦手とされる仲間作りを克服して党内基盤を固めることだろう。 <主張>石破新内閣 危機感持ち日本守り抜け 挙党体制築かぬままの船出か 社説 2024/10/2 5:00 https://www.sankei.com/article/20241002-EUMWOOOJIFNPPNZIZVO6JOJL7M/ 衆参両院で自民党の石破茂総裁が第102代首相に指名され、宮中での親任式などを経て、内閣を発足させた。 石破首相は9日に衆院を解散し、衆院選を 「15日公示、27日投開票」 の日程で行う方針だ。臨時国会では所信表明演説と代表質問は行うが、予算委員会での十分な審議は行われない見通しである。 国民に信を問う上で判断材料を提供するのは首相の責務である。 論戦が不十分でよいのだろうか。 「国民に正面から向き合い誠心誠意語っていく」 「逃げずに実行する内閣にする」 と述べた。 にもかかわらず、実際には丁寧な質疑を避けようとしているのは残念である。 ◆改憲案作成へ動く時だ 首相には保守の矜持をしっかり持ってもらいたい。 党綱領は 「日本らしい日本の確立」 を謳い、自らを 「保守政党」 と位置付けている。 この理念を踏まえ国家国民を守り抜かねばならない。 岸田文雄前首相が語った 「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」 という危機感を共有し、安倍晋三元首相以降の外交安全保障政策を継承、発展させる必要がある。 アジア版NATO(北大西洋条約機構)の具体化には憲法問題があり、各国との交渉に大きなエネルギーも要する。 この構想は取り下げた方がよい。 今求められるのは、中国やロシア、北朝鮮といった現実の脅威に対処することだ。 日米同盟を盤石なものとし、抑止力と対処力の向上へ防衛力の抜本的強化を加速させることである。 日本に対する主権侵害などには、毅然とした対応を取ってもらいたい。 憲法改正は自民の党是である。 党は既に憲法に 「第9条の2」 の条文を新設して自衛隊を明記することや、緊急政令の根拠規定創設を盛り込んだ論点整理をまとめている。 これを前提に他党を説得し、改憲原案の条文を早期に完成させるべきだ。 目標とする憲法改正の時期も明らかにしてほしい。 安定的な皇位継承を巡っては男系(父系)継承を確実にしなければならない。 岸田内閣時の報告書の実現を求める。 国の根幹をなす課題であり、保守の真価が問われる。 北朝鮮による日本人拉致問題について首相は 「東京と平壌に連絡事務所を開設して交渉の足掛かりとする」 と唱えてきたが、家族会は時間稼ぎに利用されるだけだと反対している。 被害者と家族は高齢化している。 全員の早期救出に力を尽くさねばならない。 ◆経済の道筋を具体的に 経済は国力の基盤である。 物価高を上回る持続的な賃上げを確実にし、デフレからの完全脱却を果たすことは重要だ。 東京株式市場では一時、日経平均株価が大幅下落した。 石破首相の経済・財政政策に対する警戒感が広がったとの見方がある。 政策の方向性や道筋を具体的に示し、丁寧な政策運営をすることが肝要である。 「政治とカネ」 の問題では政治資金の透明性確保やパーティー収入不記載事件の再発防止策を着実に進め、政治への信頼を取り戻すことが求められる。 理解に苦しむのは石破政権が挙党体制になっていない点だ。 弱い党内基盤の強化が本来取るべき対応だった。 決選投票で僅差で敗れた高市早苗前経済安全保障担当相には党ナンバー2の幹事長への就任を求めず、総務会長を打診し固辞された。 決選投票で高市氏に投票したとされる茂木敏充前幹事長には重要ポストを提示した形跡はない。 総裁選の勝利に貢献した菅義偉副総裁や、菅氏の盟友である森山裕幹事長、そして首相自身に近い議員の登用が目立つ。 総務相に村上誠一郎元行政改革担当相を起用したのには驚いた。 村上氏は、安倍氏が暗殺された後、安倍氏を 「国賊」 と呼び、1年間の党役職停止処分を受けた人物だ。 党内対立を煽る人事と言わざるを得ない。 岩屋毅外相は総裁選で石破陣営の選対本部長だった。 防衛相当時、韓国軍による海上自衛隊機へのレーダー照射があった。岩屋氏は抗議をしつつも、韓国の国防相と笑顔で握手した人物である。 国益を踏まえた外交を展開してほしい。 必ずしも適材適所と言えない陣容で衆院選を乗り切り、政策を遂行するのは困難を伴う。 首相は日本を守り抜く政治を心掛けてほしい。 <産経抄>地図と現実の誤差、石破新政権を待つ難題 2024/10/2 5:00 https://www.sankei.com/article/20241002-BPWWXSQX3FPSVAC7G73M2WY4OY/ 「眠狂四郎」などの剣豪小説で知られる柴田錬三郎の元を、作家の吉行淳之介が訪ねてきた。 男女の性を通し人間の生を描き続ける吉行が、次は 「鼠小僧」 を書くという。 ついては時代物の急所について講義を願いたい、と。 ▼江戸を舞台にするのなら、江戸の町を頭の中で歩けるようにならなければ―。 「柴錬」 先生はそう助言した。 吉行は勧めに従って、鼠小僧のいた時代の古地図を買い求めたそうである。 作中で描いた街並みは、地図を忠実に再現したものだという。 ▼日本の針路を正しく示すべきこの人は、どんな地図をお持ちか。 第102代首相に選ばれ、新政権を発足させた石破茂氏である。 自民党では長く 「党内野党」 の立場にあり、時の内閣への直言も辞さなかった。 トップに立ち、眺める地図と現実の間には誤差≠烽るだろう。 ▼総裁選では、国民に判断材料を提供するのが首相の責任だと語っていた。 そこから一転し、 「27日投開票」 の衆院選を明言したのには驚かされた。 臨時国会は9日までと短く、十分な論戦は出来ないと言われている。 公約の反故になりはしないか。 ▼政治とカネを巡る国民の不信感を拭うのは容易なことではない。 デフレ克服を目指す経済政策はどうなる。 安全保障政策にしても、石破氏の掲げる 「アジア版NATO」 と実際のアジア情勢の間には、隔たりがある。 現実との誤差が余りに大きい地図では、使い物になるまい。 ▼古地図といえば立川談志さんも江戸の街並みを詳細に記憶し、落語の語りに生かした。 「そういう部分がなければ『江戸の風』は吹かない」と。 さて石破首相である。 新政権は追い風を受けるというのが政界の常識だが、世論の風が期待通りに吹くとは限らない。 安倍氏「国賊」発言「遺族に謝罪」と村上誠一郎新総務相 記者に「少しは考えて」とも注文 2024/10/1 17:50 https://www.sankei.com/article/20241001-PCBZXCZGRRMVDEHMYRMJNTY7KI/ 村上誠一郎新総務相は1日、安倍晋三元首相の死去後、安倍氏を 「国賊」 と呼んだことについて 「遺族に謝罪した」 「役職停止になった」 「もう終わりで」 と釈明した。 質問した記者に対しては 「少しは考えてください」 とも注文を付けた。 官邸で記者団の質問に答えた。 村上氏は安倍氏を 「国賊」 と呼んだ発言が問題視され、1年間の党役職停止処分を受けた。 先の自民党総裁選では石破茂首相の推薦人を務めた。 首相指名選挙、参院で高市早苗氏と茂木敏充氏に予想外の1票 N国2議員が投票予告 2024/10/1 16:26 https://www.sankei.com/article/20241001-3Z6G3Y5ZS5IX3A2UMTP4HFHYQA/ 参院で1日に行われた首相指名選挙で、自民党の高市早苗前経済安全保障担当相と、茂木敏充前幹事長が予想外の1票を得た。 浜田聡参院議員が同日、自身のX(旧ツイッター)で 「今回の首班指名は茂木敏充と書いて投票予定です」 と投稿していた他、齊藤健一郎参院議員が同日、自身のYouTubeチャンネルで高市氏に投票すると明かしていた。 浜田、齊藤両氏は参院の会派 「NHKから国民を守る党」 に所属している。 首相指名では自身の所属する政党や会派のトップに票を投じるのが一般的だ。 浜田氏は9月17日、自身のXに 「増税ゼロを推進する茂木さんを世間が後押しすることに期待しています」 と投稿。 斎藤氏はYouTubeチャンネルで 「高市氏は素晴らしい政策を掲げられている」 「決選投票で敗れたが、応援する声を届けることに意味はある」 と理由を述べた。 石破首相は「円安」を受け入れるのか 田村秀男 2024/10/1 12:00 https://www.sankei.com/article/20241001-YTW6L37I2JIXZJ6C4HJN66ZQWE/?147052 本日中には、石破茂新政権が発足する。 さっそく打ち出される 「イシバノミクス」 はいくら綺麗事を並べても30年間も続いた慢性デフレから脱出させられるわけではない」 「鍵は円安基調の維持にある」 生真面目な石破さんは円安を受け入れるだろうか。 2012年9月の自民党総裁選の数カ月前、筆者は石破さんに会い、脱デフレ策を提案したことがある。 ところが石破さんは、有権者は物価の下落を歓迎し、上昇にはノーだと、真剣だ。 デフレとは物価下落以上の幅で賃金が下がる、つまり実質賃金が下がるので、国民が困窮化するのだと説得を試みたが、石破さんは最後まで納得しなかった。 以来、石破さんは 「反アベノミクス」 を貫いてきた。 そして、2024年8月下旬。 筆者知り合いの石破さんのブレーンから突如、経済問題で助言を依頼された。 石破さんは本欄など拙論に目を通しているとも聞かされた。 ならば、とA4判で1枚程度のメモを送付した。 要は脱デフレ、財政出動、実質可処分所得の引き上げ、家計消費の拡大、税収増の民間への全面還元、日銀利上げの凍結である。 ブレーンからは 「石破さんはしっかりと読んでいます」 との返事があったが、当方は半信半疑だ。 すると石破さんは9月に入ると、 「財政出動なければ経済が持たない」 「税増収分の防衛費や少子化対策への充当」 「最低賃金の引き上げ」 と言い出した。 9月27日の総裁選勝利後の会見では 「デフレからの脱却を完全なものにする」 「物価上昇を上回る賃金上昇」 「海外の生産拠点の国内回帰」 を強調した。 8月7日出版の「保守政治家 わが政策、わが天命」(講談社)での反アベノミクス色は薄れた。 「君子豹変」、 大いに結構だ。 ただ、1点だけ引っかかる。 超低金利、円安への批判こそ口にしないが、 「日銀は政府の子会社だとは思っていない」 と出演したテレビ東京の番組で語った。 日銀の政府からの独立性という建前を尊重するというニュアンスだ。 ルール尊重の石破さんらしいが、日銀は国家経済の成長と安定を目指す政府の目的に沿うのが日銀法の本義だ。 植田和男総裁の日銀は追加利上げによる円高誘導に前のめりだ。 7月末の追加利上げは投機筋による急激な円買いと株売りを招き、日経平均株価の大暴落を引き起こした。 日銀は9月には更なる利上げを見送ったが、依然として 「デフレ」 にはほとんど言及せず、ひたすら円安に伴う物価上昇を警戒し、利上げ姿勢を崩さない。 そもそも、政権が脱デフレを完遂させようというのに、円安の是正を急ぐ必要があるのだろうか。 グラフは国内総生産(GDP)の名目および実質額と円ドル相場について、アベノミクスが本格化した2013年度以降の推移である。 一目瞭然、2020年度以降、円安と名目GDPは寄り添うように動いている。 「円安」 というと 「悪者」 のイメージは強い。 コスト上昇に苦しむ個別の事業者にとっては確かに円安は気がかりだ。 しかし、経済、産業全体としては円安と共に名目GDPが拡大基調に転じて以来、脱デフレのチャンスが到来しているもう1つの現実がある。 先の春闘では賃上げ率が連合ベースで5%台に乗り、今夏はボーナスを含め、勤労者収入上昇率が物価の値上がり率を上回った。 瞬間風速とはいえ、実質賃金が上昇に転じた。 2022年以降の急速な円安は輸出企業の収益を大きく増やすばかりではない。 円安分を含めた輸入コストの急激な上昇は業種も、大企業も、中小零細企業も問わず、産業界全体のデフレ心理を劇的に転換させ、コスト上昇分を販売価格に転嫁する機運を普及させた。 すると企業の売上高が増え、収益もかさ上げされる。 もとより、人手不足は深刻だが、産業界を覆うデフレ心理が賃上げを抑えてきた。 名目収入増の見通しが立つと、経営者は賃上げ要求に応じるようになったのだ。 それでも脱デフレが確実とは言い難い。 内閣府の試算でも、この4〜6月期でも需要が供給能力を下回る 「需給ギャップ」 がマイナス、つまり需要不足の状況にある。 従ってデフレ圧力は依然として根強いと見るべきだ。 需給ギャップを埋めるためには家計消費を促す大幅賃上げの継続が必要で、円高はそれに水を差す。 円安でもその分以上に売り上げ、名目所得が上がれば全く問題はない。 利上げによって円高、株安を招けば、全てぶち壊しになるだろう。 (編集委員) 石破茂氏のアジア版NATO構想は反米か媚中か? 島田洋一、月刊「正論」で批判 正論11月号 連載「アメリカの深層」 2024/10/1 7:00 https://www.sankei.com/article/20241001-VGN2D4JFRNAWBMZAG4IAQCOWKE/?outputType=theme_monthly-seiron 過去に防衛大臣などを歴任した石破茂氏が、自民党総裁選出馬にあたり発表した基本政策の中に、 「アジア版NATO」 創設があった。 候補者討論会で、他候補から 「集団的自衛権の全面行使と憲法の関係はどうなるのか」 「また具体的にどの国が入るのか」 と当然の質問が出ている。 これに対し、石破氏は次のように答えた。 「まさしくそれらの点を、これから議論を詰めたい」 「中国を最初から排除するということを念頭に置いているわけではない」 呆れた回答という他ない。 当然ながら同盟国アメリカからは不信の声が出た。 筆者の所にもいくつか届いている。 代表的なものは、民主党政権で鳩山由紀夫首相が唱えた 「東アジア共同体」 構想の焼き直しではないのか、という疑問である。 まず改めて鳩山プランを振り返っておこう。 鳩山氏は月刊誌『Voice』(2009年9月号)で、同構想について 「東アジア地域を、我が国が生きていく基本的な生活空間と捉え、この地域に安定した経済協力と恒久的な安全保障の枠組みを創出する」 と概要を説明している。 さらに2009年10月、北京で開かれた日中韓首脳会議の冒頭、 「今までややもすると米国に依存し過ぎていた」 「アジアの一員としてアジアをもっと重視する政策を作り上げていきたい」 と述べている。 岡田克也外相は会議を前に 「日本、中国、韓国、ASEAN、インド、オーストラリア、ニュージーランドの範囲で(東アジア共同体を)考えたい」 と具体的なメンバーを挙げていた。 アメリカは明示的に外されている。 物理的距離は理由にならない。 ニュージーランドとアメリカ本土は、日本からほぼ等距離である。 米領で軍事拠点でもあるハワイ、グアム、アラスカなどは、ニュージーランドより遥かに近い。 尚、朝鮮半島北部即ち北朝鮮もこの共同体から除かれているが、 「恒久的な安全保障の枠組み」 という以上、無視してよいはずがない。 北朝鮮は体制崩壊させて統一韓国に含める趣旨というなら分かるが、単に深く考えていなかっただけだろう。 拉致問題で協力的な友好国、モンゴルを外した理由も分からない。 少し考えても穴だらけの 「構想」 であり、絵に描いたような軽挙妄動であった。 当時、米オバマ政権の国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長だったジェフリー・ベイダー氏によれば、 「中国の対抗力たるアメリカを外し、中国を中心に東アジア機構を作るというこの危険な発想」 に対し、ベトナムが特に強い懸念を抱き、国家主席自ら積極的に潰しに掛かったという。 「他ならぬ(共産党一党独裁の)ベトナムがこうした提案の戦略的愚かさを理解する一方、アジアにおける最大の同盟国が理解していなかった事実はオバマ政権に衝撃を与えた」 とベイダー氏は皮肉まじりに総括している。 やはり当時のオバマ政権のブレーンだったハーバード大名誉教授のジョセフ・ナイ氏も 「米国は『外されている』と感じたなら報復に打って出る」 と露骨に不快感を示していた。 民主党穏健派の2人にしてこの反応。 後は推して知るべしだろう。 慌てた鳩山首相は、 「アメリカとアジアの架け橋になるのが、自分の意図」 と釈明したが、米側からは、 「架け橋など不要」 「アメリカは自らアジアとの関係をコントロールできる」 と一蹴された。 鳩山氏に限らず、自民党幹部からも過去に危ない言動が出ている。 2019年4月、習近平国家主席を表敬訪問した二階俊博幹事長(当時)は、会談後 「協力し合って一帯一路構想を進めていく」 「米国の顔色を窺って日中の問題を考えていくものではない」 と啖呵を切った。 戦略性皆無の媚中発言であった。 石破氏の 「アジア版NATO」 だが、米国ではこうした鳩山、二階路線と同類だと見られよう。 (福井県立大学名誉教授 島田洋一) (月刊「正論」11月号から) 岸田文雄が放送禁止用語で高市早苗を「猛口撃」!感情むき出しの敵意が「石破茂新総裁」を生んだ https://article.auone.jp/detail/1/1/1/42_1_r_20241001_1727729993907897 自民党・石破茂新総裁誕生の立役者となったのは、岸田文雄前総裁だった。 自ら派閥を解散しておきながら、会長だった旧宏池会票を石破氏支持でまとめたからだ。 岸田氏が石破氏を支持した要因はいくつかあるが、個人的に高市氏を毛嫌いしていたこともある。 高市氏が総裁になった場合、靖国神社参拝を公言しているため、自身が積み重ねてきた日米、日韓関係に亀裂が生じる。 それを懸念したというのが、高市氏を支持できない表向きの理由とされる。 ところが宏池会関係者によると、岸田氏は高市氏について、放送禁止用語を使って 「あの××××女」 と感情を剝き出しにしていたという。 岸田氏は当初、旧宏池会議員に対して 「党員票が多い候補に入れる」 との指示を出していた。 石破氏が党員票でトップになることを見越しての発言だった。 ところが高市氏が党員票で石破氏を逆転しそうな情勢になると 「高市氏以外で」 と変更した。 岸田氏がなりふり構わず高市氏を追い落とそうとする行動に出たのはなぜか。 「両者は抜き差しならない関係になっていた」 と宏池会関係者は証言する。 直接のきっかけは、能登半島地震だ。 高市氏は1月16日、復興を最優先にすべく、来年開催の大阪・関西万博を延期するよう、岸田氏に進言した。 万博は所管外だったが、高市氏の行動は 「政権に反旗を翻したか」 と党内外に波紋を広げた。 対応を迫られた岸田氏は、予定通り実施することを決めた。 ところが高市氏が岸田氏とのやり取りを動画投稿サイトで暴露したため、岸田氏は激怒。 高市氏は会見で 「首相を信頼してお任せしたい」 と発言を後退させた。 高市氏は2022年12月にも、岸田氏が防衛費を増額するための財源の一部を増税で賄う方針を示すと、SNSで 「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解出来ません」 と批判した。 これを野党から追及されると、 「間違ったことを申し上げた、との考えはない」 「罷免されるなら仕方がないとの思いで申し上げた」 と言って開き直った。 こうしたことが積もり積もって、岸田氏とすれば高市氏にリベンジしたのだろうが、ある閣僚経験者は、 「個人的な感情を剝き出しに女性を攻撃するやり方は『ミスター・ジェントルマン』のすることではない」 と岸田氏を皮肉るのだった。 (田中紘二/政治ジャーナリスト) 「10・27投開票」石破新総裁の総選挙“前倒し”背景に「靖国神社に行かせない」驚きの“高市早苗つぶし”戦略 社会・政治FLASH編集部 記事投稿日:2024.09.30 18:11 最終更新日:2024.09.30 18:37 https://smart-flash.jp/sociopolitics/308911/1/1/ 永田町の秋は、あわただしいことになりそうだーー。 自民党の石破茂新総裁は10月1日に新内閣を発足、4日に衆参両院で所信表明演説を行った後、7日から各党の代表質問を行い、9日にも衆院を解散する方針を決めた。政治担当記者が解説する。 「当初は、10月29日公示、11月10日投開票という予定が有力でした」 「しかし、石破さんは“手のひら返し”で10月15日に公示、10月27日投開票という日程を選びました」 「一応表向きの理由としては、11月に投開票となると2024年度補正予算の成立が遅れ、2025年度の予算編成に日数的な影響が出る、という理由です」 「しかし実際は、参院岩手県選出議員の補選に合わせたようです」 「公設秘書の給与を騙し取った詐欺容疑で関係先を家宅捜索され辞任した、広瀬めぐみ元参院議員の補選が、同じ10月27日に投開票の予定です」 「岩手県の補選が、前哨戦的な扱いになっては困るというわけです」 元々、総裁選の“御祝儀相場”のうちに解散総選挙を打つ、というのが与党の方針だ。 その意味では既定路線とも言えるが、今回の“手のひら返し”にはもう1つの大きな理由があるのだという。 「総裁選で、ポスト石破の最右翼になった高市早苗さんの存在です」 と明かすのは、旧岸田派の中堅議員だ。 「総裁選で一瞬、全員が息を飲んだのが、第1回の投票結果が発表された瞬間です」 「高市さんが党員党友票で1位となり、石破さんですら顔が一瞬、真っ青になりました」 「結果的に、岸田文雄首相や菅義偉(よしひで)前首相の支持で勝つことができましたが、麻生太郎副総裁を後ろ盾とする“高市一派”は、今回の結果にブチギレ状態で、石破さんにとって自民党を分裂させかねない危険な存在です」 「総務会長のポストを拒否したところからも、党内の融和路線とはほど遠いことが分かります」 そのために、“高市一派”が目論んでいた、ある計画を潰す必要が出てきたのだ。 「実は10月17日から3日間、靖国神社の秋季例大祭が行われます」 「終戦記念日の公式参拝を総裁選の“公約”にしていた高市さんですが、この例大祭では、100人規模の超党派議員による参拝を計画していました」 「いわゆる旧安倍派を中心に、保守派の議員が集結するのは間違いありません」 「外交上の配慮はもちろんですが、石破さんとしては、これ以上、高市さんに目立ってほしくないところです」 「そこで、総選挙期間をぶつけたというわけです」 「さすがに選挙期間中となれば、参拝する議員は少ないはずですからね」 「いわば、危険なライバルとなった高石さんを『靖国神社に行かせない』という意味合いもあるというわけです」 (同前) 5度めのチャンスを掴んだ男は、やはりただ者ではない。 ( SmartFLASH ) <主張>石破氏の解散表明 掌返しで信を得られるか 社説 2024/10/1 5:00 https://www.sankei.com/article/20241001-ZTNJ4X45WVOOTCNYF2SENFZN4M/ 自民党の石破茂総裁が記者会見で、首相に就任後、衆院選を 「10月27日投開票」 の日程で行うと表明した。 衆院選は政権選択の選挙だ。 首相交代に合わせて実施すること自体は問題ないが、余りにも急ぎ過ぎてはいないか。 石破氏は党総裁選時には、国会で野党側と論戦を交わしてから衆院選を実施するのが望ましいという姿勢だった。 総裁になって言い出した 「10月27日投開票」 では、国会日程が極めて窮屈で、十分な論戦が出来るとは思われない。 これではまるで掌返しである。 石破氏は僅か半月前の日本記者クラブ主催の討論会で 「国民が判断する材料を提供するのは首相の責任だ」 「本当のやり取りは(国会の)予算委員会だ」 「すぐ解散するという言い方はしない」 と語っていた。 早期解散を唱えていた小泉進次郎候補と石破氏の考えは違う、と受け取った国民は多かったはずだ。 自民は1日召集の臨時国会の会期について 「9日まで」 とする日程を野党に提案した。 4日に首相の所信表明演説を行い、週明けの7日から衆参両院で代表質問を行う方向だ。 予算委や党首討論の開催が取り沙汰されているものの、9日までの日程では極めて短時間の開催しか望めまい。 立憲民主党からは早速反発の声が出ている。 石破氏は総裁就任時の会見で 「(自民は)謙虚な政党でなければならない」 と語った。 そうであるなら、予算委で野党側と堂々と論戦を交わすのが筋ではないだろうか。 政権発足の勢いに乗って衆院選を有利に進めたいのかもしれないが、言行が一致していないと見られれば期待感はしぼみかねない。 一方、石破氏を支える自民党4役が決まり、閣僚人事もほぼ固まったが、挙党態勢からは程遠い陣容となった。 決選投票で僅差だった高市早苗経済安全保障担当相に幹事長を打診しなかったのは理解に苦しむ。 平成24年の総裁選を制した安倍晋三元首相が、決選投票で敗れた石破氏を幹事長に起用したのとは対照的だ。 高市氏を支持した国会議員や党員・党友も包摂しなければ、党が結束して衆院選に臨むことは難しいだろう。 衆院選で各政党と全ての候補者は、日本の独立と繁栄を守る政策を有権者に提示し、競い合う必要がある。
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