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※2024年10月4日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2024年10月4日 日刊ゲンダイ2面
石破茂首相(C)共同通信社
石破ショックとやらにうろたえ、政府の立場で日銀に注文をつける禁じ手はルールを重んじる首相がやることなのか。総選挙までの株価維持なのか、その後も麻薬を打ち続けるのか。金融所得課税、法人増税も鳴りを潜め、グダグダ前政権と同じレールをまっしぐら。
◇ ◇ ◇
また前言を翻し、国民を裏切るつもりなのか。
自民党の新総裁に選出された途端、株式市場から「ノー」を突きつけられた石破首相が慌てふためいている。
新総裁就任を受けた9月30日の日経平均株価は、いきなり前週末比1910円安という大幅反落となった。下げ幅は過去5番目の大きさ。総裁選後初日の取引としては1990年以降、最大の下落率だった。いわゆる「石破ショック」である。
「総裁選に立候補した時、石破さんは『金融所得課税の強化』や『法人税増税』など、株価にマイナスとなる政策を次々に打ち出していた。しかも、アベノミクスに懐疑的な石破さんは、大規模な金融緩和に否定的で、日銀の正常化路線にも理解を示していました。金利を上げれば当然、株価は下がる。30日の株価下落は、本当は10営業日で4200円も上昇した株価の調整でもあったのですが、反アベノミクスの石破政権が誕生したから株価が下がった、と喧伝されてしまった格好です」(兜町関係者)
泰然としていればよかったのに、株価急落に石破は周章狼狽。
1日夜、記者会見で「金融緩和が維持されるべく、期待しながら見守っているところだ」と、釈明している。
さらに、2日には、わざわざ日銀の植田総裁を官邸に呼び、面会後、「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と記者団に語ってみせた。
これまで、アベノミクスの大規模緩和に否定的だったのに、百八十度の手のひら返しである。
総理からクギを刺され、追加利上げを考えていた植田も「(利上げを)見極める時間は十分にある」と、利上げを急がないと表明するしかなかった。
石破政権の態度急変を市場は歓迎し、3日の平均株価は743円も値上がりし、為替も2円以上、円安・ドル高が進んだ。
しかし、政府が日銀の政策に堂々と注文をつけるなんて許されるのか。
「一国のトップが中央銀行の政策に介入するのは、明らかな禁じ手です。金利政策は中央銀行の専管事項というのが先進国の共通認識です。どこの国も中央銀行の独立性を大事にしている。石破首相がやっていることは、日銀を支配下に置いた安倍首相と同じです。あれだけ、アベ政治を批判していたのに、どういうつもりなのでしょうか。『ルールを守る』を掲げている内閣のやることではないでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)
アベノミクスの弊害は明らかだ
植田日銀総裁(C)共同通信社
これでは、石破政権も、岸田政権と同じ轍を踏むだけだ。
ちょうど3年前、新総裁に選ばれた岸田首相は、「新しい資本主義」や「分配なくして成長なし」を掲げ、アベノミクスからの脱却をはかろうとしていた。アベノミクスの弊害が明らかになっていたからだろう。
ところが、目玉政策だった「金融所得課税の強化」が市場から嫌われ、総裁選に勝利した日から6営業日連続で株価が下落する、いわゆる「岸田ショック」が発生すると、慌てふためき、あっという間に軌道修正してしまった。
当初、掲げていた「格差是正」や「分厚い中間層の再生」は雲散霧消し、「令和版所得倍増」も、いつの間にか「資産所得倍増」に替わっていた。アベノミクスからの脱却どころか、アベノミクスを拡充させる始末だった。
石破も、岸田とまったく同じ間違いを犯そうとしている。
「安倍派議員を大臣にも党幹部にも登用せず、安倍批判の急先鋒だった村上誠一郎まで入閣させるなど、せっかく『脱アベノミクス』を進めやすい体制を組んだのに、株価が下がった途端、腰砕けとなっているのだから、石破首相は、情けないにもほどがあります。10年つづいたアベノミクスの弊害を修正するためには、株価が下落するなど痛みを伴うことは分かっていたはず。これでは元の木阿弥です」(斎藤満氏=前出)
アベノミクスが失敗に終わったことは、もはやハッキリしているはずだ。
ゼロ金利と円安によって、大企業はボロ儲けし、株価は高騰したが、「貧富の格差」が拡大しただけで、庶民にはまったく恩恵がなかった。
所得格差を示すジニ係数は、現在、過去50年で最大となっている。いまや単身世帯の36%が貯金ゼロ、2人以上の世帯でも24%が貯蓄ゼロである。
一般大衆が苦しんでいる物価高も、アベノミクスによって円安が進み、輸入物価が高騰したためだ。小麦、牛肉、電気代……と輸入に頼っているシロモノは、円安によって軒並み爆騰している。アベノミクス=円安は、国内で暮らす庶民にとって、いいことはほとんどない。
アベノミクスによって、都内のマンション価格は、とうとう平均1億円を突破してしまった。庶民が家を買えなくなる政策が、本当にいい政策なのだろうか。
いま石破政権が実施するべきは、株高を維持するための金融緩和の継続ではなく、アベノミクスの断罪なのではないか。
国民への裏切りに鉄槌を
一国のトップに就いた途端、信念を捨て、次々に前言を翻している石破。総裁選を戦っている時は前向きだった「選択的夫婦別姓」も、「政策活動費の廃止」も、結局、与党の「合意文書」には入れなかった。
格差を是正し、もう一度、分厚い中間層を再生するためには、大企業やカネ持ちに課税し、富を再分配する必要があるのに、いつの間にか、持論だった「法人税増税」や「金融所得課税の強化」も、口にしなくなってしまった。
その挙げ句、あれほど懐疑的だったアベノミクスの継続である。
いったい、石破は、なんのために10年以上、「冷や飯」覚悟でアベ政治を批判してきたのか。
総裁に当選した後も、こう挨拶していたはずだ。
「議員になり、閣僚になること、総理大臣になることも手段であって目的ではない。改めてそれを思い起こし、そうであらねばならないと思っております」
だったら、この10年間、訴えつづけてきた政策を実行するのが当たり前なのではないか。
「石破さんの国民人気が高かったのは、たとえ冷遇されても、1強だった安倍首相に対して、堂々と正論をぶつけていたからです。いま、石破首相に問われているのは、いままで訴えてきたことを総理総裁になっても、やり切れるかどうかです。なのに、総理に就任したら、党内に気を使い、市場の反応に怯え、いきなりトーンダウンしている。これでは、ご祝儀もなく、思ったほど支持率が高くなかったのも当然です。党内人気が低かった石破さんが総理総裁になれたのは、国民からの支持が高かったからでしょう。だったら、短命政権に終わってもいいと腹をくくり、国民世論に足場を置くべきです。アベノミクスに弊害が多いことは、国民の多くも気づいているはずです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
総裁選に出馬した時、裏金議員の公認について、石破は「ふさわしい候補者か、党として責任をもたなければならない」と、公認しない可能性も示唆していた。なのに、結局、原則公認し、比例代表との重複立候補も認める方向だ。
「正論」を吐きつづけてきた石破も、しょせん、その程度だったということだ。国民の期待を裏切ったらどうなるか、一票で思い知らせるしかない。
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