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※紙面抜粋
※2024年8月14日 日刊ゲンダイ2面
岸田首相退陣表明 絶望的に選択肢がない自民党の総裁選
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/359068
2024/08/14 日刊ゲンダイ ※記事更新、後段文字起こし
自民党総裁選への不出馬を表明する岸田首相(C)共同通信社
日刊ゲンダイの既報の通りというか、岸田首相が14日、9月に行われる総裁選に出ないことを表明した。
岸田はこの日の会見で「今回の総裁選は自民党が変わる姿、『新生・自民党』を国民の前にしっかり示すことが大事だ。自民党が変わることを示すもっともも分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ。総裁選には出馬しない」と語り、裏金問題で支持率が低迷しているころから、「不出馬」を検討していたことを匂わせた。
ただちに責任を取らずに首相を続けた理由については「政治家としてやりたいことがあった。政治家の意地」という言い方をしたが、真相は違うだろう。
権力の座にしがみつくために、あれこれ模索したが、万策尽きた――こう見るべきだ。通常国会終了後、総裁選前の内閣改造・党役員人事を実施し、刷新感を打ち出す策も検討したが、泥舟の岸田内閣で閣僚のなり手は見当たらず、頓挫した。そんな事態を受けて、“身内”の岸田派議員もソッポを向き始めていた。
「岸田派のある幹部は最近『岸田さんじゃ次の選挙は勝てない』と周囲にこぼしていた。誰がいいのかと問われると『進次郎さんがいい』と言っていた。背に腹は代えられないのだろう、と思った」とは永田町関係者。別の関係者は「バイデン大統領の不出馬も大きかった。ジョー、フミオと言い合う関係で、選挙を乗り越え、再会する約束をしていたのに、バイデン大統領は撤退した。その頃から、岸田さんも元気がなかった」と言った。そんなことから「お盆休みにいろいろ考えたり、相談するかもしれない。8月中旬にも不出馬表明をするのではないか」という見方が急速に広まっていたのである。
いずれにしても、岸田首相が不出馬となったことで、総裁選の号砲が鳴り響いた。岸田内閣の閣僚、党役員も出馬できるため、百花繚乱の総裁選になりそうだが、シャッポを挿げ替えて、自民党が新しくなるのか。そのうえ、総裁選候補として、メディアに出てくるのは冗談のような名前ばかりだ。
まずは小泉進次郎元環境相。大臣時代は「気候変動問題はクールでセクシーに取り組む」と意味不明な発言ばかりが目につき、実績は「レジ袋有料化」くらいのもの。ただし、国民的な人気は高く、バックには非主流派の“ドン”菅義偉前首相がついているとされる。
「菅さんの手中には進次郎さんのほか、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相の『小石河』カードがある。3人のうち、菅さんが重視する『刷新感』に一番ふさわしいのが進次郎さん。菅さんは彼を総裁候補に担ぎ上げるのでは、とみられています」(菅に近い自民党議員)
さらに、進次郎の背後には、あの森喜朗元首相の影もチラついている。「バラバラになった安倍派の一部をまとめるために、森さんは進次郎さんを担ぐ気だ」(官邸事情通)というから、何ともおぞましい話である。
「コバホーク」に群がる有象無象
もう一人、名前が挙がるのが「コバホーク」こと小林鷹之前経済安保相。にわかに注目を浴び、有象無象が群がっている状況だ。その代表格は“口利きワイロ”疑惑がくすぶる甘利明前幹事長。党の経済安保推進本部で議論を重ねてきた間柄で、小林を初代経済安保相に推したという。
他にも、安倍派中堅の福田達夫筆頭副幹事長と、それに連なる若手議員、西村康稔前経産相、萩生田光一前政調会長が既に小林に近づいている。高身長イケメンで腰が低く「非の打ちどころがない」と評される小林に多くの自民党議員が将来性を見いだし、自らの生き残りをかけて近づいているのが実態だ。ただ、ある自民党関係者は小林について「一点だけ不安材料がある」と言い、こう続ける。
「相当、強固な右派思想の持ち主。いわゆる岩盤保守層以外に支持を広げられるのかどうか」
先月上旬には、福岡市で右派組織「日本会議」の関連団体が後援した会合で講演していたほどだ。
他に総裁選への出馬が取りざたされる河野はマイナカード問題で話にならないし、高市早苗経済安保相は総務相時代にテレビ局の「電波停止」に言及した札付きだ。石破は戦争の放棄を明記した憲法9条の2項の削除を求めているし、ま、これはこれの持論としてしょうがないとして、ガックリするのは、閉塞感に覆われている国民が高揚するような「政策」を打ち出せていないことだ。茂木敏充幹事長もパワハラ疑惑にまみれ「政治とカネ」の問題がくすぶったまま。この総裁選は、絶望的な選択肢のなさである。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「第2次安倍政権以降の自民党議員は『1強』の総理の歓心を買うため、平和憲法をないがしろにし、どんどん右傾化していきました。その結果、所属議員の多様性が失われていったのです。どの議員も同じような主張を展開していますから、選択肢がないのは当然と言えば当然です。加えて、官邸の顔色をうかがう議員や、世襲が優遇される状況になったことで、全体の質も落ち込んでいる。その結果が裏金事件だと言えます。もはや、自民党は自浄作用が失われており、総裁選を通じた疑似政権交代では何も変わらないでしょう」
立憲の「泉じゃダメ」は「岸田では選挙に勝てない」と同レベル
名前が挙がる小泉進次郎元環境相(左)と小林鷹之前経済安保相(C)日刊ゲンダイ
頼みは野党第1党の立憲民主党だが、どうにも頼りない。
泉健太代表の任期満了に伴う代表選は9月7日告示、23日投開票だ。自民党の総裁選とほぼ同じ時期に実施される。
岡田克也幹事長は、「日程が重なった方が比較しやすい。候補者の議論を見て、どちらが政権を担うにふさわしいか有権者に判断してほしい」と発言。その狙いは理解できるが、目下、党内からは「泉ではダメ」という声ばかりが聞こえてくる。
確かに泉は迫力不足かもしれない。しかし、政党支持率が上向かない立憲の問題の本質は「代表の顔」なのか。立憲は先月の都知事選で党の「顔」である蓮舫前参院議員が、完全無所属の石丸伸二・前安芸高田市長の後塵を拝し、大惨敗を喫した。
その原因は、立憲を含む既成政党への嫌悪感だったとされる。「泉ではダメ」は、自民党内から噴出する「岸田では選挙に勝てない」と同じレベルの発想ではないか。本来、必要なのは看板の付け替えではなく「自分たちなら日本を良くできる」というビジョンを示し、政権批判の受け皿となることのはずだ。
世界ではAがダメならBという政権交代が当たり前に起きている。なぜ日本では万年自民党なのか。裏金事件への対応を見ても分かるように、自民党政権のままではお先真っ暗だ。
「見せ方」を変えれば、政権交代も見えてくる
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「立憲は掲げている政策自体は決して悪くありません。にもかかわらず、支持されない原因は『見せ方』によるところが大きい。自民党総裁選と立憲の代表選を比較しても、自民党は中身はともかく3〜4人の名前がパッと出てきますが、立憲で挙がるのは泉代表と枝野幸男前代表くらい。本来、もっと多くの中堅・若手が手を挙げ闊達に議論を交わし、ウイングの広い政党であることをアピールすべき。ところが、立候補に必要な推薦人は20人とか、党内のグループ単位による支援体制とか、形式ばかり自民党の真似事をし、魅力を埋没させてしまっている。自分たちのビジョンをどう見せるのか──、そこを変えれば将来的な政権交代も見えてくるはずです」
国民は選択肢なき総裁選よりも、野党の動きを注視すべきではないか。
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