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※2024年8月9日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字起こし
※紙面抜粋
※2024年8月9日 日刊ゲンダイ2面
「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」で平和宣言を読み上げる鈴木史朗長崎市長(C)共同通信社
安倍、菅、岸田の憲法破壊で今や、平和国家の見る影もないが、長崎市の 矜持、正論に無視を決め込む米国隷従に改めて慄然。その一方で総裁選の人気取りに突然、9条を持ち出す岸田という男の看過できない危険性。
◇ ◇ ◇
長崎に原爆が投下されてから79年が経過──。長崎市が9日、執り行う平和祈念式典の対応を巡って、米国を中心とした国際社会から「拒否反応」が出ている。
市がウクライナに侵攻したロシアや同盟関係にあるベラルーシに加え、中東ガザ地区を実効支配するイスラム組織・ハマスと戦闘するイスラエルも式典に招待しなかったためだ。日本を除くG7各国は日本の大手メディアに「イスラエルをロシアやベラルーシと同列に扱うのは残念で、誤解を招く」と見解を示し、いずれも駐日大使を式典に参加させない対応を取った。
市はもともと、在日イスラエル大使館への招待状送付について「ガザ地区の危機的な人道状況や国際世論に鑑み、式典で不測の事態が発生するリスクが懸念される」との理由で保留していたが、先月末に招待見送りを正式表明。これに、イスラエル寄りの欧米が反発した格好だ。エマニュエル駐日米大使は6日、イスラエルの招待見送りについて「政治的な決定で、安全とは無関係だ」とする書簡を鈴木史朗・長崎市長宛てに送付。市の決定により「(式典欠席を)余儀なくされた」と被害者ヅラである。
しかし、市の判断は極めてまっとうだろう。大前提として、一方的にウクライナに侵攻したロシアと、ハマスの攻撃を受けて戦闘を始めたイスラエルの事情は異なっている。
ただ、イスラエルがいま、実施している攻撃は「自衛」の範囲を超えた「殺戮」と言うしかない。ガザ地区では子供を含めた犠牲者が約4万人にも上っているのだ。
ロシアもイスラエルも市民の殺戮を現在進行形で進めている国に違いはない。ロシアを非難する一方、イスラエルを擁護する欧米こそダブルスタンダードで、批判されるべきだろう。そうした二重基準にとらわれず、ロシアとイスラエル双方の招待を見送った長崎市は、世界平和を願う被爆地の矜持を示したと言える。
ノーコメントはあり得ない対応
長崎市を突き放し「戦争できる国」へまっしぐら(憲法改正実現本部会合での岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
ところが、そんな市の正論に無視を決め込んでいるのが、日本の岸田政権である。林官房長官は「式典に誰を招待するかは主催者の長崎市で判断することであり、政府としてコメントする立場にない」と、まるで他人事のような言いぶりだ。本来、日本政府は原爆を落とした当事者の米国に抗議のひとつでもするべきではないのか。せめて、「長崎市の判断を尊重する」くらい言えないものか。国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言う。
「日本政府は結局、欧米各国に忖度し、足並みを揃えることしか頭にないから、余計なことは言えないのでしょう。しかし、ノーコメントはあり得ない対応です。どの国を式典に招待するのかは、主催者である長崎市が決めること。各国が参加不参加を決めるのは自由ですが、欧米が徒党を組んで抗議するなど完全な筋違いです。特に米国は原爆を投下した当事者として、反省がないとしか思えません。日本政府は『ここは政治闘争の場ではない』『核兵器の根絶と平和実現を目指す場だ』と、ハッキリと発言すべきでした。外務省も水面下で各国に長崎市の立場を理解するよう求めるのがスジですが、そんな様子もない。これでは、イスラエルを擁護したも同然です」
経済思想家の斎藤幸平東大准教授は民放の番組で、開催中のパリ五輪について「全然、見ていない。私は反五輪でボイコットしている」と発言。その理由として「ロシアは戦争を理由に参加することはできない。ところが、国際司法裁判所がイスラエルのやっていることはジェノサイドであり、(占領政策については)国際法違反であると勧告しているにもかかわらず、国際社会がイスラエルとして参加を認めているダブルスタンダードがある」と言っていたが、その通りだろう。被爆国の日本は、これくらい毅然とした態度をとるべきだ。なのに、長崎市を突き放すなど驚くほどの冷酷さである。
会見で利するのも結局は米国
米国ベッタリで、“身内”の長崎市の擁護すらできない岸田政権に、被爆地で平和を祈念する資格があるのか。
この国は、第2次安倍政権以降、米国の言われるがままに集団的自衛権の行使を容認する憲法破壊で軍拡に突き進み、「戦争できる国」に変わり果ててしまった。特に岸田首相は、防衛費倍増に敵基地攻撃能力の保有まで決めた。右寄りの安倍政権よりもヒドイ“壊憲”を進め、おかげで平和国家は見る影もない惨状である。
そんな岸田は、あろうことか、9月の自民党総裁選での再選という自己保身のために改憲を政治利用するありさまだ。岸田は7日、自民党本部で開かれた憲法改正実現本部の全体会合に出席。憲法9条への自衛隊明記に関する論点整理について「8月末を目指して議論を加速させて欲しい」と訴えた上で、改憲の是非を問う国民投票にも触れ「緊急事態条項と併せ、自衛隊明記の国民の判断をいただくことが重要だ」と強調した。この「改憲論」ブチ上げは、総裁再選を睨んだ保守層へのアピールとみられているのだ。
「保守層に訴えるためのめぼしい政策がない岸田総理は、改憲に活路を見いだそうとしているようです。とはいえ、本気で改憲の発議にまでこぎつけるつもりはありません。内閣支持率が低迷する中、国民投票になれば政権批判票が集まるのは必至。過半数の賛成を得られなければ総理は立場がなくなってしまいますから、そんなリスクは冒さないはずです。あくまで改憲に意欲を示すことで、保守層の歓心を得る腹積もりです」(官邸事情通)
空っぽ首相が軍拡推進の恐怖
総裁選への出馬が取り沙汰されている小泉進次郎元環境相と、「コバホーク」と呼ばれる小林鷹之前経済安保相の2人も改憲に意欲を示し始めている。
注目の若手2人の台頭への焦りもあり、岸田は改憲に前のめりになっているにすぎない。
いずれにせよ、人気取りのために9条を持ち出すとは、とても看過できない危険性である。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「結局、改憲で利するのも、突き詰めれば米国です。彼らは日本について『グローバル・パートナー』と言っています。この言葉には、『世界の警察』である力を失った米国が、同盟国日本を地球規模で戦争に動員できるようにしようという意図が透けて見える。そんな米国にとって、憲法は邪魔なわけです。総理の座に居座りたいだけの岸田首相は、米国やそのシンパのタカ派議員の歓心を得るために改憲に前のめりになっているのでしょうが、このまま突き進めば、将来的に日本は米国の戦争に巻き込まれる恐れもある。あまりに危険な発想です」
宏池会出身の岸田はハト派に見えるため国民は気付きづらいだろうが、タカ派を隠そうともしなかった安倍元首相よりもある意味で危うい。首相として特にやりたいこともなく、ご自慢の「聞く耳」を米国や自民党重鎮に傾け、次々と壊憲、軍拡に邁進。麻生副総裁も「防衛費を上げるということに関しても、安倍内閣ではできなかったが、岸田になったら1年でできた。確実に仕事をしている。岸田の持っている、あの雰囲気が良い。皆を納得させた」と評価していたほどである。
まさに亡国首相と言うしかない。こんな男に任せていたら、長崎市のような存在は無視され、日本はいつの間にか後戻りできない地点まで進んでしまうだろう。即刻、退場願うしかない。
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