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※2024年8月2日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字起こし
※紙面抜粋
※2024年8月2日 日刊ゲンダイ2面
ダメダメ「キシウエ」コンビ(代表取材)
ようやく日銀が円安是正に動き出したが、これを手放しで喜べないのは凄まじい副作用に誰も責任を取らないからだ
日本経済を破綻させた経済政策の謝罪もなく、成長を強弁する岸田・日銀の身勝手と無責任にいつまで国民は振り回されるのか
◇ ◇ ◇
1日の東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=148円台半ばに急騰。3月以来、実に約4カ月半ぶりの円高水準となった。
3月にマイナス金利政策を解除した日銀は7月31日の金融政策決定会合で、短期金利の誘導目標を「0〜0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げる方針を決定。米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を据え置いているものの、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が9月会合で利下げを検討する可能性に言及したため日米の金利差の縮小が意識され、円買い・ドル売りの動きが加速したとみられる。
政策金利の到達点について、日銀の植田総裁は「ほぼ中立金利の近辺」と説明。「中立金利」とは景気を刺激することも冷ますこともない金利水準で、1〜2.5%程度と推計される。
植田は「0.5%を壁として意識していない」とも語り、さらなる利上げも辞さない構え。米国に加え、すでに利下げを始めている欧州中央銀行(ECB)との金利差がさらに縮まれば、歴史的な円安水準からの修正が期待される。
金融緩和は大企業を儲けさせ、個人を痛めた
ようやく「超」が付くほど進行した円安の是正に動き出した日銀だが、これはある意味、黒田前総裁が始めた「異次元金融緩和」が失敗だったと認めたのに等しいだろう。
安倍元首相と黒田によるアベクロコンビが旗振り役となり、2013年から進めてきた「アベノミクス」。市場にカネをじゃぶじゃぶと流せば、大企業の設備投資や生産活動などが活発化。その恩恵は水が滴り落ちるかのごとく「トリクルダウン」となって中小企業にも流れ、従業員の給料もアップ。バブル以降、長く景気が低迷していた日本経済は復活し、「経済の好循環が生まれる」「全国津々浦々で景気回復が実感できる」と喧伝された。
ところが実際は「トリクルダウン」は起きず、大企業は内部留保をためこみ、行き場を失った大量のカネは「株」と「土地」に流れただけ。それが過去最高となる日経平均株価4万円超えと、都内の億ションバブルをもたらしたのだ。
この間、欧米の中央銀行が相次いで利上げに転じたにもかかわらず、日銀は金融緩和に固執したため、円の「独り負け」とも言うべき円安が進行。
ロシア軍によるウクライナ侵攻などの影響も重なり、さらなる資源高、物価高が国民生活を直撃。個人消費は今年1〜3月期まで4四半期連続で前期を下回るほどメタメタになったのだ。
経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「日銀の異常な金融緩和は結局、大企業だけを儲けさせ、個人を痛めただけ。資源高、物価高を引き起こしたのも、日銀が欧米との金利差是正に早く取り組まなかったからです。今の日本経済は企業コストを個人のみが押し付けられる構造が定着してしまったが、そういう政策をやってきたのは他ならぬ日銀。物価の番人である日銀が本来の役割を果たしていれば、今のように実質賃金が減り続け、個人消費が長く落ち込む事態は避けられたでしょう。円安是正の動きは歓迎すべきですが、遅きに失した感は否めません」
「キシウエ」は国民生活を本気で考えていない
「アベクロ」コンビ“異次元金融緩和”の大失策、すべてはここから始まった(C)共同通信社
日銀が重い腰を上げて利上げに舵を切ったとはいえ、これを手放しで喜べない雰囲気が世論に漂っているのは凄まじい副作用が予想されるからだ。
最も顕著なのは日銀自体の財務体質に与える影響だろう。日銀はアベノミクスの一環で大量の国債を買い入れており、その残高は3月末の時点で589兆円余りにも達する。仮に「0.5%」を上回る水準に利上げした場合、日銀の利払い額は利息収入を上回り、「債務超過」に陥る懸念が指摘されている。
日銀はまた37.1兆円(同月末時点)ものETF(上場投資信託)を保有しているため、株価が急落したり、売却の動きを見せたりすれば、やはり日銀の財務を直撃しかねない。
実際、円安修正の動きは自動車株などの輸出関連銘柄の売りを誘発。1日の東京株式市場は全面安の展開となり、日経平均株価の下げ幅は一時、前日比1300円を超える場面も見られたのだが、こうした動きに翻弄され怯えているのが庶民ではないか。
「家計金融資産の貯蓄から投資への流れを加速する」──。岸田政権がこう旗を振り、今年1月から、非課税保有期間の無期限化、生涯投資枠の緩和といった新たな枠組みで始まった新NISA(少額投資非課税制度)。
半年経った今も加入者は増え続けており、新規口座開設数は約224万件、累計では1501万件で前年同期比の3倍近くに達しているのだが、日銀の方針転換で今後の株価はどうなるか分からない。利上げが続けば、乱高下する株式市場に庶民は右往左往するのは必至だろう。
庶民は物価高、資源高、消費増税などでカツカツ
能天気なのが岸田首相だ。日銀が追加利上げを決定したことを受け、官邸で「デフレ型経済から新しい成長型経済への30年ぶりの移行を成し遂げることが肝要だ。日銀の金融政策決定も、こうした認識に沿って行われたと考える」「新しい成長型経済ステージへの移行の兆しが明確になってきている」などとエラソーに言っていたが、何を根拠に言っているのかサッパリ分からない。
どうやら岸田の頭の中には、今春闘での賃上げや、6月に始まった定額減税などがあるようだが、賃上げはほとんどが大企業で、定額減税は雀の涙にもならない。
利上げによる住宅ローン負担増などのデメリットよりも、「1000兆円規模の国民の預貯金(に対する)金利増のプラス効果」を強調していたが、物価高、資源高に加え、消費増税、社会保険料の負担増などで日々の暮らしは今もカツカツ。
そんな中で、潤沢な預貯金を持つ庶民が一体どれだけいるのか。まるで国民生活を分かっちゃいない。
アベノミクスの懺悔なく「成長へと移行」とは驚くばかりではないか。
埼玉大学名誉教授の相澤幸悦氏(経済学、金融論)はこう言う。
「植田日銀が利上げに踏み切った理由として、マーケットでは、自民党の茂木幹事長が7月の講演で『段階的な利上げの検討』や『正常化する方向で着実に進める方針を打ち出すことが必要』などと発言したからだと言われています。総裁選などを控え、政治主導で輸入インフレを是正させた、などとアピールしたいのかもしれません。政治家のこうした発言は、日銀の独立性を歪めるために本来あってはならないこと。さらに『はい分かりました』とばかり、すぐに方針転換を図る植田総裁も総裁です。そろって国民生活を本気で考えているとは思えません」
日本経済を破綻させた経済政策に対する謝罪もなく、成長を強弁する岸田・日銀(キシウエ)の身勝手と無責任に、いつまで国民は振り回されるのか。
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