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※2024年7月30日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字起こし
※紙面抜粋
事実上の米国の支配下、勝手に日本を売る岸田首相(=中央、日米2プラス2と)/(C)共同通信社
2+2で在日米軍との一体化、核抑止力の強化など一線を越えた軍事同盟が確認されたが、驚くべきは日本が自ら「拡大抑止」を望んだ裏側だ。
広島選出首相のニ枚舌とレームダック政権同士の密約まがいの交渉に、後出しジャンケン批判の大マスコミの無責任。
◇ ◇ ◇
パリ五輪に出場する日本選手のメダル獲得にメディアが浮き立つ裏で、この国では剣呑な事態が進行している。
28日、東京で日米安全保障協議委員会(2+2)が開かれた。日本側は上川外相と木原防衛相、米国側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席。在日米軍と自衛隊の指揮統制強化や武器の共同開発・生産などを進める方針が確認されたのだ。これはもはや一線を越えた軍事同盟と言っていい。
米国は在日米軍を再編して「統合軍司令部」を新設。この統合軍司令部は、日本側が陸海空の3自衛隊を一元指揮するために今年度末までに立ち上げる「統合作戦司令部」のカウンターパートになり、ハワイの米インド太平洋軍司令部が握っている権限の一部が移譲されるという。
いわゆる「台湾有事」や朝鮮半島危機に備えるため、日米の連携を強化するわけだ。
この変容について、オースティン国防長官は2+2後の共同会見で「在日米軍の創設以来、日米の軍事関係にとって最大の歴史的な改善」と手放しで称賛していた。
共同文書には「威嚇的かつ挑発的な活動」「挑発的な戦略的軍事協力の強化」などと、中国とロシアを名指しで厳しく批判する言葉が並び、日米は共同訓練や演習の「改善・拡大」でも合意。同日から九州・沖縄の各地で陸上自衛隊とアメリカ海兵隊の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン24」も始まった。離島作戦を想定した訓練で、国内最大規模の約400人が参加し、8月7日まで行われる。今年3月に発足したばかりの地対艦ミサイル部隊も初めて訓練に参加する予定だ。
民主主義の手続きを無視
こうした自衛隊と米軍の指揮統制の連携強化は「事実上の軍事一体化です」と、防衛ジャーナリストの半田滋氏がこう指摘する。
「原点は第2次安倍政権下で成立した安保法制で集団的自衛権の行使を認めたことです。ただし、この時点ではまだ自衛隊に専守防衛の枠がはめられていた。そこへ岸田首相は安保3文書を改定して敵基地攻撃能力の保有を認め、自衛隊が国外に出て戦闘することに実効性を与えた。実効性があっても米軍の情報がなければ何もできませんから、自衛隊が米軍の指揮下に入るということです。安保法制はまがりなりにも国会審議を経て成立したが、岸田首相は閣議決定や行政協定で勝手に決めてしまったから悪辣です。憲法を無視して、米軍と自衛隊の一体化に突き進んできた。それが今回の2+2の共同文書でいよいよ完成段階に来たわけですが、その前提になっているのは、今春に国賓待遇で訪米して舞い上がった岸田首相が、米議会の演説で『日米同盟を世界のあらゆる領域・レベルで協働する“グローバル・パートナーシップ”に格上げする』と約束してきたことです。議会制民主主義の手続きも踏んでいない。こんな重要な安全保障体制の転換をレームダック化した日米の政権がこっそり進めていることも問題です」
2+2に合わせて「拡大抑止」をめぐる初の閣僚級会合も開かれたことも嫌な感じだ。拡大抑止とは、もともとはいわゆる「核の傘」を指す軍事用語で、同盟国への攻撃に対しても核兵器で報復する意思を示すことで敵国に攻撃を思いとどまらせるという文脈で使われる。日米の閣僚会合では拡大抑止の強化も確認されたというが、29日付の朝日新聞にそのおぞましい裏側が書かれていた。外務・防衛当局の実務者レベルで開催されていた「拡大抑止協議(EDD)」を閣僚級に引き上げたのは日本側の要請だったというのだ。
平和式典を間近に控えて「核の傘」を誇示する矛盾
最大規模の日米共同訓練も始まった(C)共同通信社
「軍事一体 踏み込む日米」「『核の傘』初の閣僚級会合で誇示」という見出しで、朝日はこう伝えた。
<背景には、オバマ米政権が打ち出した「核なき世界」がある。これに「核の傘」の提供を受ける日本側が危機感を抱き、「『核の傘』の重要性を伝える場」として米側にEDD立ち上げを要請>
<複数の日本政府関係者によると、EDDの閣僚級への引き上げは、日本側からの要請>
<ある防衛省幹部はこう胸を張った。「日米の閣僚間で拡大抑止を話し合えるようになったのは大きな前進だ」>
被爆地である広島選出の岸田首相は、議長を務めた昨年のG7広島サミットで「核兵器のない世界」を提唱していたのではなかったか。しかも、まもなく広島、長崎に原爆が投下された日の平和式典を迎えるタイミングである。そんな時に米国の威を借りて「核の傘」を国際社会にことさら誇示しようと躍起になる。何という二枚舌なのか。
林官房長官は29日の記者会見で「核兵器なき世界」を掲げる岸田政権の方針と拡大抑止強化の整合性を問われ、「国の安全保障を確保しつつ、同時に核兵器のない世界に近づけるべく取り組むことは決して矛盾しない」とか言っていた。意味不明だ。
「唯一の被爆国で、しかも被爆地選出の首相が核抑止力への依存を強めて、『核の傘』に守られていることを誇示するなんて、明らかに矛盾している。国民をバカにしているし、核廃絶を願う世界中の人々の気持ちも踏みにじっています」(半田滋氏=前出)
平和の祭典も平和憲法も形骸化
29日誕生日を迎えた岸田は、官邸でブリンケン国務長官、オースティン国防長官と面会。2+2は「有意義だった」と評価し、「さまざまなレベル、分野の協力を通じて同盟の抑止力、対処力をより一層強化していきたい」と前向きだ。
自らの手で米国の戦争に参画する可能性を高めた悲壮感や、自身が訴える「核なき世界」との矛盾を露呈してしまった恥辱、双肩に国の未来を背負って決断を下すに至った懊悩はどこにも見えない。そういう能天気だから、秋の総裁選での再選にも自信を持っていられるのだろう。この手の大将は敵より怖いというヤツだ。
「秋の米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、再び在日米軍を無駄なコストと言い出す可能性がある。その前に同盟強化を進めてしまうのが岸田首相の狙いでしょう。『核の傘』で米国に守ってもらうために進んでスリ寄り、自衛隊を米軍の下請け組織に差し出した。中国との外交努力を放棄して危機をあおり、有事の際には自ら橋頭堡になろうとするのは、自民党内でも国民世論にも不人気の岸田首相がすがるのは米国という後ろ盾しかないからです。保身のために日本の主権も、自衛隊の独立も、国民の安全も米国に売り渡した。こんな亡国政権はありません。それも、国民にしっかり説明することがないまま、五輪に気を取られている間に密約まがいの交渉が進められている。大メディアも五輪報道にかまけていないで、こういう安全保障上の重要な問題を大きく報じて警鐘を鳴らすべきでしょう。いつもの後出しジャンケン批判で済ませるのは、あまりに無責任です」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
五輪は「平和の祭典」と呼ばれる。古代ギリシャの伝統にのっとり、1994年のリレハンメル冬季五輪から、オリンピック・パラリンピック期間前後の「オリンピック休戦」が国連総会で採択されてきた。しかし、パリ五輪の最中でロシアとウクライナの戦闘も、イスラエル軍によるガザ侵攻も続いている。「平和の祭典」はすっかり形骸化してしまった。そして、戦後日本が誇ってきた平和憲法も完全に破壊されようとしている。
30日、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会で防衛省と自衛隊で相次ぐ不祥事についての閉会中審査が行われる。パワハラや特定秘密の不適切な管理などはもちろん、自衛隊と米軍が一体化する懸念に関しても徹底議論してもらいたい。だが、自衛隊に統合作戦司令部を創設する関連法には、立憲民主党をはじめとする野党もこぞって賛同していた。それを「現実路線」とか言って胸を張っているのだからどうしようもない。一体この国はどこへ向かおうとしているのか。
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