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※紙面抜粋
※文字起こし
生命の危惧さえ自己演出の道具に(C)ロイター
「米社会の不和と分断は癒やされなければならない」「米国の半分でなく、全体のための大統領になろうと立候補した」--。とりあえず「分断から結束へ」と訴えた。
18日(日本時間19日午前)、米ウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれた共和党全国大会の最終日。11月の米大統領選で2度目の当選を目指すトランプ前大統領が党候補の指名受諾演説をした。
13日の暗殺未遂事件後、公の場で演説するのは初めて。トランプが銃撃で負傷した右耳に白いガーゼをつけて登壇すると、会場に詰めかけた推定5万人の聴衆は総立ちとなり、拍手と歓声で迎えた。1時間半にわたる独演は序盤こそ、いつもの過激な発言を抑え、落ち着いたトーンだったが、現政権批判を繰り広げるうちにエスカレート。
「歴代大統領の中で史上最悪だった10人が与えた損害を足し合わせても、バイデン大統領ほどの損害を与えていない。バイデンの名前を使うのは、この一度だけにする」
背後のスクリーンには、銃撃で血を流した自身の写真を映し、ステージ脇には事件で死亡したボランティア消防士が着ていた消防服とヘルメットが置かれた。トランプはそばに近づき、各州の代議員や党員らが感極まった表情で見守る中、ヘルメットに追悼のキス。敬意を表するため、会場に黙祷を呼びかけた。
生命を脅かす危機さえも自己演出の舞台に変える。大衆心理を掴む術にたけた劇場型ポピュリストの本領発揮である。
「神に選ばれし者」による独裁宣言
印象深かったのは、トランプが銃撃事件に言及したくだりだ。「最後の瞬間に私が頭を動かさなければ、暗殺者の弾丸が命中していただろう」と死を免れた状況を振り返り、「私は今夜ここにはいないはずだった」と語りかけると、聴衆は熱狂し「あなたはここにいるべきだ!」と叫んだ。
続けざまにトランプは「神のご加護によって、私はこのアリーナで皆さんの前に立っている」と強調。生命の危機に直面し生き残った自分は「神から選ばれた特別な存在だ」と言いたげで、キリスト教右派・福音派の支持者らの間で広まるトランプの神格化に自ら拍車をかけた格好である。
そう捉えると団結を呼びかけた「米国の半分でなく、全体のための大統領」との発言も神がかった言葉に聞こえる。「神に選ばれし者の独裁宣言」みたいなものだ。
「不和と分断。今の米国社会を覆う病理を招いた張本人こそ、トランプ氏です」と言うのは、国際ジャーナリストの春名幹男氏だ。こう続ける。
「4つの刑事事件で訴追された『犯罪者』であり、うち1件の米連邦議事堂襲撃事件は民主主義の根幹をなす選挙を踏みにじる暴挙です。事件発生は2021年1月6日。この日は連邦議会で前回大統領選の選挙人投票の結果承認があり、バイデン氏の当選を覆すため、トランプ氏の支持者はあらゆる妨害の手だてを企て、最後は大挙して議会に乱入した。警察官を含む5人が死亡し、1000人以上が訴追されました。当時、根拠もなく『選挙の不正』を主張し、乱入直前の支持者集会で議会に向かうよう扇動したのもトランプ氏です。その反省もなく、再び出馬。今月には連邦最高裁まで『大統領在任中の公務としての行動は免責される』との判断を示し、下級審に審理を差し戻した。米国は司法までおかしくなり、そのさなかに銃撃事件が発生し、トランプ氏は自身の神格化を強めている。今回は優秀な選挙スタッフをそろえ、従来の野蛮なイメージの払拭にも余念がない。このまま『暴力に屈しない強いリーダー像』が全米に広まれば、民主主義の危機は強まるばかりです」
トランプの巻き添えを望む対米従属の危うさ
後ろ盾にも見放され(C)ゲッティ=共同
対する民主党のバイデン大統領は高齢不安を抱え、17日には新型コロナウイルス感染が判明。もうボロボロだ。米メディアを賑わすのは大統領選からの撤退観測ばかり。先月下旬のテレビ討論会後、公然とバイデン撤退を求めた民主党の上下両院議員は計約30人。後ろ盾となってきたオバマ元大統領も最近、撤退を真剣に検討すべきとの考えを側近に示したという。
さながらバイデン撤退包囲網の様相で、トランプはなおさらツケ上がる。受諾演説でバイデンへの個人攻撃を控えめにしたのも、余裕の表れ。暗殺未遂の政治利用がまんまとハマり、すっかり大統領気分に浸っているに違いない。前出の春名幹男氏はこう言った。
「民主主義を蹂躙するトランプ氏が『超大国』のトップに就けば、世界にとって何ひとつ良いことはありません。安定的な国際関係の基盤である『外交・安保の継続性』を度外視し、悪い意味で1期目以上に自信を深め、世界の分断と亀裂を深めるだけです。ウクライナへの軍事支援を止めるかもしれないし、NATO加盟国との共闘もカネ次第。激しい戦闘が繰り広げられるウクライナ東部と南部の領土をロシアに割譲する形で、強引に終戦へと導きかねません。米中両国の対立も確実に深まり、いつ同盟国の日本が巻き込まれてもおかしくない。再び在日米軍駐留費の負担増や、円安で予定通りに進まない米兵器の爆買いも求めてくるのは目に見えています。そんな理不尽な要求にこの国の政治家は抵抗するどころか、『台湾有事』などとあおる。在日米軍の出撃は日米両政府の事前協議の対象という安保条約の規定に見向きもせず、日米一体の軍事行動を望む手合いが多いだけに、いっそう危ういのです」
米有権者の冷静さがせめてもの救い
トランプは地球温暖化も信じておらず、バイデン政権が進める電気自動車普及策を「大統領就任の初日に終わらせる」と公言。莫大な選挙資金を引き出すため、米国の石油・石炭産業を儲けさせることしか考えない。日本政府が迎合すれば「2050年の脱炭素社会実現」という壮大な政治目標も水泡に帰す。今まで積み上げてきた努力もガラガラポンだ。
「すでに世界の金融市場は『トランプトレード』と化しています。台湾に対する『米国の半導体ビジネスのほぼ100%を奪った』『自国防御のために米国に防衛費を払うべきだ』との発言を受け、日本株の牽引役の東京エレクトロンなど、各国の半導体株が大暴落。トランプ氏の経済政策も不透明で、米国の株式・債券市場の値動きは激しい。何よりトランプ氏は常識が通じない。大統領選の優勢が伝わるほど、予測不可能な世界経済への不安は増す一方です」(経済評論家・斎藤満氏)
世界は「もしもトランプが米大統領に復帰したら」の「もしトラ」から「ほぼトラ」を過ぎ、今や「確トラ」(確実にトランプ)ムード。民主党が地滑り的大敗を喫すれば、あのトランプ独裁が始まる不安と不穏に身構えている。トランプとのパイプがない岸田政権も同様で、特にバイデンに媚び続け、国賓訪米にこぎ着けた岸田首相は青ざめていることだろう。とはいえ、秋の自民党総裁選で誰が「ポスト岸田」に選ばれようが、結果は同じ。対米従属の伝統は変わらず、トランプの言いなりとなるだけだ。
せめてもの救いは、米国の有権者が意外と冷静なこと。銃撃事件後の世論調査でトランプのリードは小幅にとどまり、ロイター通信は「事件は有権者の考えに大きな変化をもたらしていない」と分析していた。
「バイデン氏が健康不安を理由に撤退するなら、残る大統領任期もハリス副大統領に明け渡せばいい。新大統領就任の盛大なセレモニーに加え、新たな副大統領人事でサプライズを起こせば、民主党に追い風が吹く。この先のハプニングも予測不可能です」(斎藤満氏=前出)
世界情勢も「一寸先は闇」。11月5日の大統領選の投開票まで、どんな運命が待ち受けるのか、まるで予想がつかない。
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