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安倍元首相銃撃から2年…事件現場で向けられた嫌悪と罵声 鈴木エイト カルトな金曜日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/357845
2024/07/19 日刊ゲンダイ ※後段文字起こし
銃撃事件から2年、献花台に飾られた安倍元首相の写真=奈良市(C)共同通信社
今月上旬、安倍晋三元首相銃撃事件の取材のため奈良へ行った。
これまでも数カ月おきに現場である近鉄大和西大寺駅北口へ足を運んできた。その情景を目に焼き付け、発生当日の思いを忘れないようにするためだ。行くたびに、なぜこんな重大事件に至ってしまったのかと思いを巡らせ、自分が行うべきことを考え続けている。
当時、大和西大寺駅の北口広場は大規模な造成工事の過程にあった。今はすべて完成しており、街の風景も様変わりした。現場脇の遊歩道内には広い人工芝スペースが設けられ、乳幼児が戯れる穏やかな空間となっている。
7日と8日には前年と同じく自民党奈良県連によって人工芝エリアに献花台が設置され、多くのメディアが取材に来ていた。この数日前、奈良地裁で開かれた山上徹也被告の第4回公判前整理手続きの取材現場で言葉を交わした記者クラブに所属する記者を中心に、テレビカメラも入っていた。
日本中を揺るがした衝撃的な事件から2年。献花に訪れた人々の目に、私はどのような存在として映っているのだろう。
私が現場に赴くことを快く思わない人も相当数存在している。事件発生から丸1年となった8日には、やはり献花に訪れていた年配男性から「何しに来たんや、帰れ!」と罵声を浴びた。私が追及してきた統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と安倍元首相の関係が、結果として安倍氏の命を奪う事件へとつながったことは事実である。短絡的に、私が安倍氏の名誉を汚しているとでも思ったのだろうか。
今年も、献花台一帯を取り仕切る自民党奈良県連の地方議員から「嫌ってる」「嫌い」と言われた。取材中の私の写真が悪意あるキャプション付きでネットにさらされ、憎悪をあおる書き込みとともに拡散された。
だが、悲観はしていない。私には故人をおとしめる意図はなく、「悲しむ人や被害に遭う人をどうすればなくすことができるか」との思いで言論活動を行っていることをいつか分かってもらえると思うからだ。私を「嫌い」と言った議員ともその後、直接メッセージのやりとりを続けている。余計な分断や軋轢を生むことなく、さまざまな問題解決への道筋を示していけたらと思っている。
鈴木エイト ジャーナリスト
1968年生まれ。日大卒。日本ペンクラブ会員。ニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。日本脱カルト協会理事。「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「『山上徹也』とは何者だったのか」などの著書のほか、共著・編著多数。
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