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※紙面抜粋
※2024年7月12日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
党刷新の顔(小泉進次郎元環境相)/(C)日刊ゲンダイ
自民党の党勢を占うとされた「東京都議補選」(7日)は、結局、自民党の惨敗に終わった。自民党は最低でも「4勝4敗」を目標にしていたが、「2勝6敗」という惨憺たる結果だった。
さすがに自民党内からは、「いま衆院選をしたらボロ負けするとよくわかった」「このままでは政権交代までいってしまう」と悲鳴があがっている。
「自民党議員は、都知事選よりも、党勢が直接反映される都議補選の結果を重視していました。衆院小選挙区と同じく当選者は1人、しかも無党派層が多い東京の補選は、次期衆院選を占う先行指標になるからです。だから、党幹部が連日、応援に入った。なのに大敗してしまった。もはや、党勢回復の手だては、不人気な岸田首相には退陣してもらい、9月の総裁選でトップの顔を代えることくらいしか残っていません」(自民党関係者)
実際、都議補選の結果をみれば、岸田首相では“選挙の顔”にならないことはハッキリしている。都議補選が惨敗に終わったら「岸田おろし」の号砲が鳴る──と、メディアも報じていた。
ところが、だ。自民党内から「岸田退陣」を求める声は、ほとんどあがってこない。都議補選後、「岸田総裁は国民の声に耳を傾けて辞職し、新しい総裁を9月に選ばなければいけない」と、表だって岸田退陣を訴えたのは、東京選出の大西英男衆院議員くらいのものだ。
驚くことに、岸田本人も、辞める気はサラサラないらしい。6月21日、事実上の通常国会閉会を受けて開いた会見でも、「気力は十分みなぎっている。やる気、気力、これからもしっかり示していきたい」と語ってみせた。
月刊誌「選択」は、「『岸田再選』消えない理由」と報じている。
「鈍感力が強いのか、岸田さんは本気で9月に再選されるつもりでいるようです。6月21日の会見でも『道半ばで重要課題が山積している』と続投に意欲をにじませていた。物価高対策として電気、ガス代の補助を復活させたのも、総裁選での再選を意識してのこと。6月末からスタートさせた地方行脚も、前回2021年の総裁選の票の出方を分析しながら、視察スケジュールを組んでいる。本人は『自分に代わる者はいない』と自信を持っているといいます」(政界関係者)
岸田続投の悪夢も
しかし、内閣支持率が15%まで下落しても、都議補選が惨敗に終わっても、それでも「岸田おろし」が本格化しないとは、自民党も末期的と言うしかないのではないか。
一昔前の自民党だったら、危機感を強めた中堅や若手がとっくに「岸田おろし」に動いていたはずだ。実際、麻生政権の時は、若手が次々に声をあげ、閣僚までが退陣を迫っていたくらいである。
なのに、散発的にしか「岸田退陣」を求める声があがらないのだから、自民党はかつてのエネルギーを完全に失っている。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「9月に総裁選を控えているために『勝負は3カ月後だ』と、かえって“岸田おろし”の動きが鈍くなっているということはあるでしょう。問題は、このままでは本当に“岸田続投”の可能性さえあることです。かつての総裁候補は、田中角栄にしろ、竹下登にしろ、自ら手勢を率いて総裁選に挑むパワーがあったが、いま“ポスト岸田”に名前があがっているのは、石破茂にしろ、河野太郎にしろ、同志が少なく、自力では総裁選に挑むことすら難しい顔ぶればかりです。麻生太郎や菅義偉といったキングメーカーに頼ろうとしている。“ポスト岸田”候補にパワーがないのでは、“岸田おろし”だって迫力が出ませんよ」
それにしても、支持率15%の岸田すら代えられないなんて、自民党の人材払底も、行き着くところまで行き着いたのではないか。
新聞に名前が出てくる「ポスト岸田」候補の面々も、石破茂、河野太郎、高市早苗、茂木敏充……と、手垢にまみれた同じ穴のムジナばかりだ。石破茂は、次回は5回目の挑戦になる。他に人はいないのだろうか。
若手は若手で、福田達夫、小林鷹之、斎藤健といった名前が取り沙汰されているが、最初から勝てる見込みはほとんどなく、この際、名前を売っておこうといった程度の連中ばかりだ。
いまや、小泉進次郎が「党刷新の顔」だというのだから、ほとんどポエムである。環境大臣の時、無能ということが発覚し、完全に化けの皮が剥がれたのに、9月の総裁選に出馬したら「大本命」だというのだから、いかに自民党に人がいないのか、よくわかるというものだ。
安倍政権の10年で人材が消えた
トリックスター(石丸伸二氏)/(C)日刊ゲンダイ
「人材の宝庫といわれた自民党から人材が消えたのは、やはり安倍政権の10年間が大きかったと思う。かつて、国民政党と呼ばれていた時の自民党は、右から左まで本当に幅が広かった。異論を排さず、議員の考え方も多種多様でした。だから、いわゆる“振り子の理論”も使えた。右寄りの政権が行き詰まると、リベラル色の強いリーダーを首相に就けるなど、“疑似政権交代”を重ねることで、自民党は政権を維持してきた。幅が広かったから、いざ党が危機に陥った時も、隠れていた人材が頭角を現した。ところが、安倍政権の10年間で自民党は“アベ政治”一色になってしまった。どこを切っても同じ顔の金太郎あめ。しかも、安倍首相は、異論を排し、逆らった者を徹底的に冷遇したから、イエスマンばかりが増え、人材が育たなかった。いま“ポスト岸田”が不在なのも、アベ政治の帰結です」(本澤二郎氏=前出)
しかし、政権政党から人材が枯渇し、その結果、国民の支持を失った岸田が9月の総裁選で再選されたり、小泉進次郎のような男が総理総裁に就くようなことになったら、この国は、いよいよ政治の底が抜けてしまうのではないか。
石丸伸二・前安芸高田市長のようなトリックスターが、都知事選で支持を集めているだけに、日本の民主政治は瓦解する恐れがある。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「自民党の支持率は、16%にまで落ち込んでいます。もはや自民党を支援してきた有権者すら、自民党を見限っているということです。イギリスでは、政権政党だった保守党が国民の信頼を失って総選挙で大敗を喫し、野党の労働党が地滑り的な勝利を収め、14年ぶりに政権交代が起きています。労働党が支持されたというより、保守党が国民から怒りと不信を買ったことが原因でした。日本でも、イギリスと同じ現象が起きれば、政権交代となるでしょう。しかし、日本では、自民党に対する不信感が、いまや既成政党全体への不信感に拡大している状況です。都知事選で2位になった石丸氏のような勢力が議席を伸ばす可能性があります」
この状況になっても、自民党議員は「9月の総裁選に多くの若手が出馬して、メディアジャックすれば、自民党の支持率は回復する」と、甘く考えているという。末期的である。
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