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※紙面抜粋
※2024年6月28日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
やりたい放題だった(上、=安倍元首相と菅前首相)。隠蔽否定も晴れない疑惑(鹿児島県警の野川本部長=下)(C)日刊ゲンダイ
衝撃が広がっている。大阪高検が25日、元大阪地検検事正で弁護士の北川健太郎容疑者(64)を逮捕。容疑は準強制性交の疑い。大阪地検トップ、検事正に上り詰めた「関西検察のエース」が、女性を陵辱したかどで身柄を拘束されたのだ。
北川は森友事件の背任・公文書改ざん捜査の真っただ中の2018年2月に検事正に着任。高知地検次席検事時代に県庁の不正融資事件の捜査を指揮し、当時の副知事を背任罪で起訴した実績があった。公務員を背任で立件した事例は少ない。森友事件を取材してきたジャーナリストの相澤冬樹氏は〈彼が森友捜査の最高責任者となったことで財務官僚の背任も立件されるのではないかと、私は淡い期待を抱いた〉と、27日発売の本紙に寄稿していた。
相澤氏によると、当初は立件に前向きだったが、5月半ばから北川は不機嫌になっていったという。5月末日には全員不起訴。東京の本省サイドから大阪に捜査の早期収束を求める圧力があったとの見方もあった。性的暴行の事案は検事正当時のこと。森友事件で検察審査会から「不起訴不当」の議決を受け、再捜査で再び全員不起訴とした時期に近いとの情報もある。
それが今回の事件と関係しているのかは分からないが、検察関係者の間では当時の状況や北川の私生活、被害者に関する情報や臆測が飛び交っている。というのも大阪高検が具体的な容疑内容を明かさないからだ。
報道の自由を蹂躙する捜査権の乱用
逮捕発表は北川の氏名や職業などを記したA4用紙1枚を報道機関に配ったきり。元地検トップの大不祥事にも、いつどこで、誰にどのような行為に及んだのか、罪状認否も公表しない。
記者会見も開かず、高検の次席検事が記者クラブ加盟の1社ずつ個別に対応しただけで、逮捕容疑について「被害者のプライバシー保護のため差し控える」と繰り返したという。
逮捕翌日には大手メディアの取材で、容疑が検事正当時に自身の官舎で部下の女性に性的暴行をした疑いと判明。地検トップの地位を背景にした性犯罪の可能性がある。確かに性犯罪の被害者保護は重要だが、徹底した検察組織の箝口令の異様さは目につく。
捜査当局が容疑内容をオープンにしなければ、国民は逮捕の妥当性を判断できない。それが公権力の乱用につながる恐れがある。ダンマリを決め込む高検の態度にモヤモヤが募るのは、まさに権力乱用を疑わせる事案が発生した直後だからだ。
信じられない不祥事と隠蔽が相次ぐ鹿児島県警のことである。
鹿児島地検は先週、職務上知り得た秘密を漏らしたとして国家公務員法(守秘義務)違反の罪で県警の前生活安全部長を起訴した。退職後の今年3月、県警の不祥事をまとめた文書をフリー記者に送ったとされる。
端緒は昨年にさかのぼる。福岡のネットメディア「ハンター」が鹿児島県警OBの子息による強制性交事件の捜査に疑問を呈する記事を掲載。県警の内部資料の写しをもとに批判した。県警は今年3月、その資料の漏洩を公表し、4月には所轄署の巡査長を守秘義務違反の疑いで逮捕。同日にハンターへの家宅捜索に踏み切り、前部長が記者に送った文書が見つかったことで逮捕した。
ハンターは内部情報に基づく県警批判を繰り返してきた。漏れ出た情報の出どころを探り、自らに不都合な報道を抑え込む。これだけでも「報道の自由」「国民の知る権利」を踏みにじる権力の乱用だが、さらに前部長の爆弾告発で状況は一転。逮捕後の裁判手続きで「県警職員の盗撮事件を県警本部長が隠蔽しようとしたのが許せなかった」と陳述したのである。
上から下まで腐りはてた抹消・隠蔽体質
たった1人のための法解釈変更も(黒川弘務元東京高検検事長)/(C)共同通信社
前部長は、現職警官の盗撮容疑に本部長が「最後のチャンスをやろう」「泳がせよう」と言って捜査を進めなかったと主張。県警トップの野川明輝本部長は隠蔽の指示を一切、否定するが、最初の報告から盗撮警官の逮捕まで5カ月も要した。しかも逮捕は、前部長からフリー記者への資料流出の確認後。隠蔽がバレる前に手を打ったかのような不自然さだ。
逮捕された32歳の警官はその後の捜査で複数の女子トイレに侵入し、昨年12月までの約4年間に少なくとも80回の盗撮行為が判明。9回は勤務中で、同じ女性に対し計12回の盗撮を繰り返したというから、おぞましい。
一昨年の野川本部長の赴任後、県警は13歳未満の少女との性交や、大麻の譲り受けで現職警官が逮捕されるなど不祥事連発。前部長の「新たな不祥事を恐れたのでは」との指摘は説得力がある。弁護人らは「公益通報」と主張し、前部長の逮捕・勾留を非難。本来なら保護すべき対象を「口封じ」のため、県警は捜査権を行使したのか。
強大な権限を持つ捜査当局が一線を踏み越え、批判的なメディアをガサ入れ、押収資料をもとに内部告発者を逮捕──。この見立て通りなら権力の乱用と言うほかない。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「都合の悪いことを抹消、隠蔽する捜査当局の体質は、どうしても7年8カ月もの長期に及んだ安倍政権を想起させます。何しろ森友事件では公文書を改ざんしてまで、不都合な事実をモミ消そうとしたのです。発覚後も当事者は知らぬ存ぜぬを貫き、捜査当局もおとがめなしで逃げ切りを許した。その悪しき成功体験が『これでいいんだ』と末端に行き渡り、いとも簡単に暴走して歯止めが利かなくなっているとしか思えません。上が腐れば下まで腐るのです」
詭弁一蹴の判決を正常化の第一歩に
そんな腐った長期政権の「怪しい人事」にモノ申す判決が下った。20年5月、緊急事態宣言下の賭けマージャンで辞めた東京高検の黒川弘務元検事長を巡り、安倍政権は同年1月に法解釈を変更し閣議決定で定年延長を認めた。この決定にいたる協議記録を不開示とした国の決定の当否が争われた訴訟で、大阪地裁が27日、大半の決定を違法として取り消し、一部の記録開示を命じた。閣議決定は黒川氏の退官予定のわずか7日前。法解釈の変更について、判決は「黒川氏の定年延長が目的と考えざるを得ない」と断じた。
安倍政権は最高裁判事、内閣法制局長官、日銀理事など独立性を担保すべき組織の人事にまで手を突っ込み、やりたい放題。法解釈をネジ曲げてまで定年延長を強行したのは、黒川氏を次期検事総長に就かせるためだ。
当時の検察庁法は総長以外の検察官の定年を63歳と規定。黒川氏はその年齢となる20年2月の誕生日をもって退官の予定のはずが、安倍元首相が桜を見る会疑惑で激しい追及を受け、刑事告発の動きもあった。捜査の手が及ばぬよう「官邸の守護神」と呼ばれた黒川氏を検察トップに据える意向はミエミエだった。
それでも今回の裁判で証人尋問に出廷した当時の法務省次官も、法解釈の変更は「黒川氏の定年延長を目的としたものではない」と証言。安倍政権下に蔓延した霞が関の忖度文化の根深さをうかがわせたが、判決は一蹴したのだ。訴訟を提起した神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言った。
「誰もがウソと感じる政府側の強弁に対し、極めて常識的な判決を出してくれました。安倍政権下では、特定の個人のため、恣意的に法解釈を変更するという法治国家としてあり得ないことが起きていたのです。独裁国のような権力乱用が一体、誰の指示でなされたのか。政府の立場から説明させ、真相を解明する必要がある。今回の判決をこの国を正常化する第一歩にしてほしい」
モリカケサクラは言うに及ばず、自民党派閥の裏金事件も妙な幕引きで脱税はウヤムヤ。怪しい人事と不祥事続出の因果関係を突き止めなければ、この国の捜査当局への根強い不信は払拭できない。
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