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※紙面抜粋
※2024年6月8日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
あざとい維新与党入り、我利我利亡者に国民の信頼は戻らない(左から公明・山口代表、岸田首相、日本維新の会・馬場代表)/(C)日刊ゲンダイ
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、同党が提出した政治資金規正法改正案が6日午後の衆院本会議で可決され、参院に送付された。
提出するまでに「3度の修正」という異例の展開となった自民案に対しては同党と公明党、日本維新の会が賛成し、立憲民主党や日本共産党などは反対した。
後半国会最大の焦点の同改正案は、7日、参院の政治改革特別委員会で趣旨説明が行われ、審議入り。23日までの会期内に成立する公算が強くなった。
「事件の再発防止、国民の信頼を取り戻す橋頭堡になる」
公明の山口代表は党中央幹事会で、自民案についてこう説明していたが冗談ではないだろう。
「橋頭堡」とは「その後の作戦の足場とする拠点。事に着手する足がかり。よりどころ」などを意味する言葉だが、抜け穴だらけのザル法のたたき台が、国民の信頼を取り戻す足掛かりになるはずがないではないか。
同改正案では@政治資金パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げるA使途公開が不要な「政策活動費」の領収書を10年後に公開するB政治資金収支報告書の不記載などで議員が確認を怠れば公民権停止の対象とする--ことなどが柱だが、具体策は軒並み「今後の検討課題」に先送りされたままだ。
裏金事件に対する真摯な反省もなく国民をバカにしている
「実効性がないという指摘は全くあたらない」
岸田は6日、こう言っていたがトボけるのもいいかげんにしてほしい。
例えば、パーティー券購入者の公開基準額の引き下げが盛り込まれたものの、あくまでパーティー1件当たりの基準額に過ぎないから、複数回開催したり、複数人数が分担して購入したりすれば従来とほぼ変わらない。
使途の報告義務がなく「ブラックボックス」と批判されてきた「政策活動費」の領収書公開についても、年間の上限額は決まっておらず、法案の付則で「早期に検討」とあるだけだ。そもそも「10年後に公開」とは一体何なのか。
政策活動費は秘匿性が極めて高い分類に位置づけられる国家機密でも何でもない。しかも、政治資金規正法違反の公訴時効は5年で、所得税法上も時効が成立した後の公開となるから、仮に10年後に違法行為や不正が発覚しても政治家や秘書らは無罪放免だ。
さらに言えば、議員本人が10年後も現職なのかさえ分からないし、政党そのものが解党している可能性だってあるのだ。
これでは何ら抑止効果が期待できないのは明らか。結局、これまで通り、「政治活動」という名のもとに「やりたい放題」が続くことになるだろう。
独立した第三者機関の設置や監査の在り方も付則に明記されたが、第三者委にどのような権限を持たせるのか。独立性をどう担保するのかは例によって今後の検討課題。監査の在り方だって、すでに現行の監査が形骸化している状況は分かっているはず。先延ばしせず、今すぐに改善できるところから手を付ければいいではないか。
政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「自民は相変わらず、まったくやる気がない。裏金事件に対する真摯な反省もなく国民をバカにしている。政治的感度に乏しいというよりも、ここまで愚鈍だと、もはや政党として存在意義が失われていると言ってもいいと思います」
“第2自民党”の本領を発揮した維新
国民をバカにし軽視している(C)日刊ゲンダイ
政策活動費の領収書の保存義務も明記されておらず、野党側が強く求めていた企業・団体献金の禁止も見送り。立憲の長妻政調会長は会見で「自民案はザルで、抜け穴だらけ。事実上、今と変わらない」と批判していたが、今以上に酷いと指摘せざるを得ないだろう。
それにしても、今回のザル法合意で、「与党の一員になった」などと有権者から冷ややかな声が上がっているのが維新だ。
維新は1月末に「維新版政治改革大綱」を公表。そこには政治資金パーティーについて、「広く薄く草の根の支援を集める本来の趣旨に立ち返る」として抜本的な見直しを提起。個人献金や少額の購入を促す仕組みを求めるとともに、企業・団体によるパーティー券の購入禁止、政策活動費の廃止にも踏み込んでいた。
ところがいざ、改正法案の審議が始まると“第2自民党”の本領を発揮。どんどん自民案にすり寄り、議員が会計責任者と同等の責任を負う「連座制」の導入についても、いつの間にやら頬かむりだ。馬場代表は「一歩でも二歩でも改革を進めていくのが維新だ」「100%、我が党の考え方が通った」などと大はしゃぎしていたが、国民から見れば裏切り行為以外の何物でもない。
自公維ともに次の選挙で鉄槌を下す以外にない
いずれにしても、今回の規正法改正をめぐる二転三転のドタバタ劇でハッキリしたのは、権力の座に居座り続けるためなら、公党の代表者同士が「合意書」まで交わしながら、平気で反故にする自民の破廉恥ぶりだろう。
そして、そんな人間性が疑われるような反社組織に近い集団から「連立解消」の文字をチラつかせられた途端にヘ〜コラする公明の愚かさ。おととい、国会内にある公明の国対委メンバーの控室に岸田から代理人を通じてシュークリームが差し入れられた際、佐藤国対委員長は「首相がだいぶ配慮してくれた」などとご満悦だったらしいが、何をかいわんや。シュークリームごときで「ザル法OK」なんて、マトモな国民から見れば怒りしか感じ得ないのではないか。
そんな国民愚弄の自公と対峙するのではなく、自分たちも利権のおこぼれにあやかりたいと本性を剥き出しにしている維新もまた卑しい。まさに権力亡者「ムジナ3兄弟」の浅ましさだ。
永田町では自公維による新連立、候補者調整など、さまざまな噂が飛び交っているが、すでに欠陥といわれている改正案のザルぶりが今後の参院審議でさらに浮き彫りになれば「ムジナ3兄弟」もどうなるか分からない。
しょせんはカネと権力欲しさでつながっただけの関係だ。新たな問題が噴出すれば、再び右往左往するのは間違いない。ドサクサ紛れに乗じて、さらなる浅ましい姿を見せれば、改めて国民は呆れることになるだろう。
脱税の疑いで裏金議員を刑事告発した「自民党のウラガネ・脱税を許さない会」の藤田高景代表はこう言う。
「自公維そろって政治資金問題を解決する気がまるでないことが分かりました。岸田首相は野党分断を狙って維新案を取り入れたのでしょうが、その維新案自体がまやかし。まったく資金透明化になりません。すべてが茶番劇、まやかしです」
自公維そろって次の選挙で鉄槌を下す以外にない。
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