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もぬけの殻政治資金規正法改正案
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2024年6月 3日 植草一秀の『知られざる真実』
岸田内閣の支持率が危険水域から脱しない。
5月中旬に実施された世論調査での岸田内閣支持率は
時事通信社 18.7%(前月比+2.1%ポイント)
毎日新聞社 20%(前月比−2%ポイント)
JNN(TBS系列)が5月上旬に実施した世論調査で内閣支持率が前月比7.0%ポイント上昇して29.8%になったとの報道があったが、この数値が当初の見立て通り異常値だった。
JNNの6月調査では内閣支持率が前月比4.7%ポイント下落して25.1%になった。
メディア各社が思惑をもって世論調査数値を発表している。
2010年9月に実施された民主党代表選に際して、日本経済新聞元経済部長で当時テレビ東京副社長の職にあった池内正人氏が、ウェブサイト「あらたにす」に次のように記述した。
「大新聞が得意の世論調査をやればいい」
「これが国政選挙の場合だったらこの種の世論調査は不可能 選挙法に触れるかもしれない。
しかし一政党内の選挙ならば、規制する法律はないと思う」
なんとおぞましい発言か。
「世論調査」を使って、政治的意図を実現すべきとの趣旨の見解を示した。
民主党代表選は菅直人氏と小沢一郎氏による一騎打ちの闘いだった。
「政治的意図」とは、「世論調査を使って小沢一郎氏を落選させる方向に誘導する」との意味だ。
日本のマスメディアの腐敗ぶりを端的に示す記述だ。
マスメディアが「マスゴミ」と呼ばれるのは致し方ない面がある。
4月28日の衆院3補選で自民党は3戦全敗した。
5月26日の静岡県知事選でも自民党推薦候補が惨敗した。
2月4日の群馬県前橋市長選では自公推薦の現職市長が野党系の無所属新人に大敗した。
5月21日の神奈川県小田原市長選では自公国推薦の現職候補が無所属の元職候補に大敗した。
同様に凋落が鮮明なのが小池百合子氏。
4月21日の目黒区長選で小池氏が支援した都民ファースト系候補が大敗した。
4月28日の東京15区衆院補選では小池氏が擁立した都民ファースト副代表の乙武洋匡氏が5位に沈んだ。
小池氏の凋落も鮮明である。
このなかで、当面の最大焦点が7月7日投開票の東京都知事選。
都知事選で自民系候補が落選すれば岸田氏の自民党総裁再選は完全消滅すると見られている。
岸田首相にとってまさに背水の陣。
この都知事選に立憲民主党の蓮舫議員が名乗りを上げた。
小池氏は情勢の厳しさを踏まえて5月29日の出馬表明を見送ったと見られる。
今後、情勢調査を実施して、勝算が立てば出馬表明を行うことになるだろう。
情勢調査が厳しい場合には出馬を見送ることも考えられる。
都知事選は6月20日に告示される。
最終決断までの時間猶予は僅かになった。
この情勢下で政治権力と癒着するマスメディアの情報工作が激しく、かつ露骨になっている。
二つの大きな工作を観察できる。
第一は自公維の政治資金規正法改正案の誇大宣伝。
名前を公表するパーティー券購入最低金額を10万円から5万円にしたところでほとんど差異はない。
企業はこの金額を下回るようにパーティー券購入金額を分割して別氏名で購入するだけのこと。
最低金額を設けずに、すべてを公開するなら意味があるが、違う。
また、企業団体献金、政治資金パーティーは、これまで通り温存。
政策活動費については10年後に領収書公開としたが10年後に問題が発覚したところで「過去の話」として一蹴されるだけのこと。
事実上の「ゼロ回答」を、「大きな決断」をしたかのように「偽装」する報道が展開されている。
第二は「蓮舫叩き」。
焦点は日本の有権者がメディアの卑劣な情報工作にどう対応するかだ。
自公維(国)政治の腐敗ぶりに、ようやく日本の主権者が気付き始めた。
この「気付き」を大切にしなければならない。
7月7日は東京都民の政治意識が問われる選挙になる。
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