<■1246行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 国民を富ませない移民の経済効果 正論2024年7月号 青山学院大学教授 福井義高 政府が進める外国人の受け入れ策は事実上、移民社会へと舵を切ることにならないか。 その是非を巡って推進、制限論者とも自分たちの主張に拘泥し、感情論になりがちで、建設的な議論が進まぬ中、なし崩しに外国人労働者の受け入れは進んでいく。 筆者は2023年の本誌7月号で主にジョージ・ボーハス教授(米ハーバード大)による研究を基に、移民の経済効果を検討した。 建設的議論の一助とすべく移民を 「感情」 でなく 「勘定」 の問題として考えてみたのである。 その結果分かったのが、移民の受け入れは、受け入れ国のGDP(国民総生産)を増加させるけれど、移民の受け取る賃金相当分を除いた自国民に帰属するGDPはほとんど変わらないことである。 2015年の時点で移民労働者が全労働者の16%を占める米国でも、元からいる米国民分のGDPへの効果は全GDPの0.3%しかなかった。 ただし、移民の効果は企業と労働者で大きく異なる。 移民受け入れで賃金は下がり、企業利益(資本所得)は12%増加したのに対し、賃金は5%減少と推計された。 更に、自国労働者のうち移民労働者と競合する職種の賃金が下がる一方、移民と競合しない自国労働者は移民が従事するサービスの価格低下の恩恵を受ける。 こうした移民の経済効果は、米国に限らない。 2003年にオランダ中央計画局(CPB)が公表した報告書 「移民とオランダ経済」(Immigration and the Dutch Economy) によれば、移民により労働者が5%増えると、資本(投資)財価格が一定で、移民が全て単純労働者だった場合、オランダの自国民全体への効果はほとんどない一方(GDPが0.06%増)、企業利益は4%増、非単純労働者賃金2%増に対し、単純労働者賃金は6%減少する。 米国とオランダの例から明らかなように、移民受け入れは、自国民の所得増を伴わない、格差を拡大する所得再分配政策なのである。 勝者は企業とエリート、敗者は一般国民である。 ■不都合な結果 たとえ格差が拡大しても、高齢化が加速する中、外国人労働者に頼ることなしに日本経済は回らないのだから、受け入れざるを得ないという主張もあろう。 しかし、移民推進は、高齢化により益々厳しくなる国の財政状態を多少とも改善するどころか、更に悪化させるのである。 2023年に前述の 「移民とオランダ経済」 のアップデート版とも言うべき移民が財政に与える影響に焦点を当てた報告書 「国境なき福祉国家」(Borderless Welfare State) の最終版が公表された。 (https://demo-demo.nl/wp-content/uploads/2023/06/Borderless_Welfare_State-2.pdf) ただし、 「移民とオランダ経済」 が明らかにした移民の経済効果は、多文化共生を是とし移民受け入れを推進する政府にとって都合が悪いものだったこともあり、今回の報告は民間プロジェクトとして行われた。 オランダは2023年現在、人口が1800万人で日本の7分の1程度、65歳以上人口の割合は20%で日本の29%より低いものの高齢化が進んでおり、2021年のGDP比国民負担率(税金と社会保険料の合計がGDPに占める割合)は39%で日本の34%より高い。 日本同様、高齢化が財政に与えるマイナスの影響が深刻な問題と考えられている。 ただし、移民流入により人口は増加している。 例えば2022は前年に比べ、《native》即ち土着のオランダ人の人口は0.1%(2万人)減少したものの、移民とその子供は3.1%(13万人)増加し、全体では0.7%(12万人)増加した。 こうした中、報告書 「国境なき福祉国家」 は、通常アクセスできないオランダ全人口1720万人(2016年初人口+年間出生児数)の個人データを使い、オランダ人と移民、後者は出身地地域別にそれぞれどれだけ財政に貢献し、また支出を伴ったかを推計している。 まず、全人口がオランダ人1340万人と移民385万人に大別される。 移民は他国で出生しオランダにやって来た1世(第1世代)とその子供である2世(第2世代)からなり、全体の22%を占める。 尚、当初から帰国する予定の外国人労働者とその家族も含まれている。 移民は欧米(western)出身と非欧米(non-western)出身に大別され、更に42地域にグループ分けされている。 欧米に含まれるのは、ロシアを含む欧州諸国、北米(米国とカナダ)、大洋州(オーストラリアとカナダ)、インドネシア(旧オランダ領)そして日本である。 調査の基準となる2016年のデータを基に、オランダ人と移民に分けて財政への単年度ベースの影響を示したのが表1だ。 ★表1 オランダ人・移民別財政への影響(単年度ベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算) (注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計/日本は欧米に分類 「@人口(百万人)A人口(全体比)B貢献額(兆円)C支出額(兆円)D純貢献額(兆円)E純貢献額(GDP比)F1人当たり純貢献額(万円)」 ・合計:@17.2AーB60.2C60.5D-0.2E-0.2%Fー ・オランダ人:@13.4A78%B49.5C46.3D3.2E2.3%F20 ・移民全体:@3.8A22%B10.7C14.2D-3.5E-2.4%F-90 ・移民欧米:@1.7A10%B5.9C5.7D0.2E0.1%F10 ・移民非欧米:@2.1A12%B4.8C8.5D-3.7E-2.6%F-170 単年度ベースというのは、この1年間の収支に基づく、筆者たちの表現を借りれば 「静的」 な推計である。 尚、 「国境なき福祉国家」 のデータは全て2016年価格のユーロで表示され、その後のインフレが考慮されていない。 ここでは、オランダの2023年消費者物価指数が2016年比26%上昇したことを反映させ1ユーロを160円で換算して、2023年価格で表す。 以下、同様である。 全体の78%を占めるオランダ人の財政への貢献は49兆円5000億円だったのに対し、46兆3000億円が支出されたので、差し引き純貢献額はプラス3兆2000億円、GDP比プラス2.3%の貢献となった。 一方、全体の22%を占める移民は貢献額10兆7000億円に対し支出14兆2000億円で純貢献額マイナス3兆5000億円、GDP比2.4%の負担(-2.4%)をかけたことになる。 ただし、欧米出身と非欧米出身で大きく異なる。 全体の10%を占める欧米出身移民は貢献額5兆9000億円に対し支出額5兆7000億円で純貢献額プラス2000億円、GDP比プラス0.1%でほぼ収支トントンであった。 ところが、全体の12%を占める非欧米出身移民は、貢献額4兆8000億円に対し支出額8兆5000億円でGDP比2.6%の負担(-2.6%)をかけたことになる。 これは、1.6%と推計されているオランダにおける高齢化がもたらすマイナスの影響を上回っている。 1人当たりで見ると、非欧米出身移民は170万円の負担(マイナス170万円)となっている。 欧米出身移民は貢献額と支出額が釣り合っているので、移民の財政負担はほぼ全てオランダ人の肩にのしかかることになる。 ■資本ストックで見る重要さ しかしながら、単年度ベースの数値は、移民受け入れの効果を判断する上で、必ずしも適切な指標とは言えない。 移民受け入れは(マイナス価値のある場合も含め)一種の投資であり、永住せず出国(remigration)する移民もいるけれど、長期に渡って財政に影響を与えることは間違いない。 移民を受け入れることに伴い、学校教育や医療、その他行政サービスを追加的に提供する必要が生じ、財政負担が増す。 従って、将来に渡る移民のストック(複数年度ベース)価値を推計する必要がある。 実際、 「国境なき福祉国家」 では、単年度ベースの静的アプローチでなく、経済学で 「世代会計」 と呼ばれる手法を用いたストックベースの動的アプローチが必須であることは移民に限らない。 政府がある年に長期に渡る支出にコミットしても、その年の支出として計上されるのは実際に支払った額だけである。 例えば、日本政府が10年間毎年1兆円合計10兆円の新規道路建設を決定しても、最初の年には1兆円しか支出計上されない。 しかし、財政への影響を考える場合に重要なのは、長期に渡って必要となる10兆円という金額であることは自明だろう。 さて、投資即ちストックとしての移民を考える場合、移って来た本人のみならず、その子供たちの分も考慮する必要がある。 また、移民全てが永住するわけではないので、受け入れ国にとってのストック価値を推計するには、出国する可能性も考慮し、その分を控除する必要がある。 「国境なき福祉国家」 は、この2点を考慮に入れた推計をメインの数値としてしている。 移民1人当たりの子供の数については、出身地域別で出生率が違うことも考慮されている。 まず、欧米出身移民に関しては、ストック価値はほぼゼロと推計された。 つまりオランダ財政に貢献もしないけれど、負担にもならないということである。 ★表2 非欧米出身移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ160円換算) @2016年A2015〜2019年平均B1995〜2019年平均 ・純貢献額(兆円):@-6.4A-5.4B-3.4 ・2016年GDP比:@-4.5%A-3.8%B-2.4% 一方、表2に示したように、非欧米出身移民は、1995〜2019年の25年間で見ると、財政への純貢献額は年平均マイナス3兆4000億円、GDP比2.4の負担(-2.4%)であった。 2015〜2019年の直近5年間だと、純貢献額はマイナス5兆4000億円、GDP比3.8%の負担(-3.8%)、2016年は難民が大量に入国したため、純貢献額はマイナス6兆5000億円、GDP比4.5%の負担(-4.5%)であった。 要するに、非欧米出身移民はマイナスの資本ストックであり、オランダ人にとって移民受け入れは、ただでさえ高齢化によって厳しくなる一方の財政状況を更に悪化させる負の投資ということになる。 「今年いくらかかったか」 というフローで見るよりもストックで見た方が、貢献額がプラスの場合は小さく、マイナスの場合は更にマイナス幅が大きくなる。 これは、移民1世は大人になってから入国するので、オランダ人にも共通する、子供時代の財政上のマイナス要因(公教育コストなど)がかからないためである。 ■移民1人当たりはどうか 移民全体でなく、移民1人当たりで見た場合、オランダで生まれる子供や出国の可能性を考慮した、ストックとしての財政への影響はどのくらいなのか示したのが表3である。 ★表3 出身地別1人当たり移民の財政への影響(ストックベース、2023年価格、1ユーロ=160円換算) (注)「国境なき福祉国家」に基づき筆者推計 @出国の可能性を考慮した場合(基本推計)A出国の可能性を考慮した場合(最小推計)B出国の可能性を考慮した場合(最大推計)C永住した場合 (単位:億円) ・仮想オランダ人:@プラス0.2AーBーCプラス0.4 ・移民平均:@マイナス0.3AーBーCマイナス0.5 ・移民欧米:@0.0AーBーCプラス0.1 ・移民日本:@プラス0.4Aプラス0.3Bプラス0.5Cプラス1.0 ・移民非欧米:@マイナス0.6AーBーCマイナス1.0 ・移民中国:@マイナス0.1Aマイナス0.2B0.0Cマイナス0.2 ・移民トルコ:@マイナス0.7Aマイナス1.0Bマイナス0.6Cマイナス1.1 ・難民平均:@マイナス1.0AーBーCー ・難民欧米:@マイナス0.6AーBーCー ・難民非欧米:@マイナス1.1AーBーCー ・難民トルコ:@1.0AーBーCー 推計に際して、当然ながら多くの仮定が置かれており、仮定を変更すると数値が大きく変動するようでは信頼が置けない。 その懸念に対応し、仮定をもっともらしい範囲内で変えた推計がいくつか試みられている。 結果的に、最小推計と最大推計の差はさほど大きくなく、基本推計の数値はかなり信頼度が高いと思われる。 まず、比較の基準として、オランダ人と同じ属性の人間が移民として訪れた場合を考える。 入国する年齢や出国の可能性も考慮した、この 「仮想オランダ人」 のストック価値はプラス2000万円である。 移民は平均でマイナス3000万円と推計される。 ただし、出身地域別の違いは大きい。 欧米出身移民は全体ではほぼ財政に中立的ながら、日本出身移民はプラス4000万円の 「優良資産」 となっている。 日本以外では北米、大洋州、北欧、そして西欧の一部からの移民のストック価値が高い。 皮肉なことに、途上国の移民が行きたいと願う国からの移民こそ、オランダにとって 「資産」 価値があるということだ。 一方、欧米系でも東欧の一部からの移民のストック価値はマイナスである。 非欧米出身は平均でマイナス6000万円の 「負債」 となる。 ただし、やはり出身地別のバラツキは大きく、中国がマイナス1000万円であるのに対し、トルコはマイナス7000万円となっている。 移民は更に入国理由別に推計されており、オランダに限らず受入国にとって最も負担となる難民の場合、欧米出身(旧ユーゴスラビアなど)がマイナス6000万円、非欧米出身はマイナス1億1000万円だった。 その多くがクルド系と思われるトルコからの難民はマイナス1億円である。 更に、移民が永住した場合の推計も行われている。 財政貢献がプラスにせよマイナスにせよ、永住を仮定しない基本推計よりも、絶対値(プラス幅あるいはマイナス幅)は大きくなる。 とりわけ、例外的に日本出身移民は2世になってもオランダ人より純貢献額が大きいので、ストック価値はプラス1億円となる。 一方、トルコ出身移民はマイナス1億1000万円である。 トルコ出身のうち難民の数値は未公表なものの、恐らく1億5000万円前後と思われる。 日本出身移民が例外的というのは、日本以外でストック価値が高い欧米出身移民の場合、2世になるとほぼ財政に中立的なオランダ人(2016年生まれの場合、ストック価値マイナス60万円」)にほとんど同化するのに対し、日本出身2世はストック価値がプラス2000万円と推計されるからである。 ■福祉国家が終わる オランダ財政に貢献する移民と負担となる移民を分けるものは何か。 学力(教育レベル)と共に重要なのが文化的距離(宗教や慣習などの隔たりの大きさ)である。 学力が高いほど、出身地とオランダの文化的距離が近いほど貢献額は大きく(負担額は小さく)なる。 実は、日本出身移民はオランダ人より学力が高く、日本は米国よりも文化的距離がオランダに近いとされている。 その結果、日本出身移民の財政から見た同化度はオランダ人(定義上100%)を上回る134%となっている。 一方、貢献額がマイナス即ちオランダ財政の負担となっているのが、学力や文化的距離で隔たりがある 「アフリカ・イスラム・クラスター」 である。 推計では2世までしか考慮されていないけれども、こうした地域からの移民は、3世以降もオランダ社会への同化が進んでいないため、財政上の重荷である状態が続くと考えられる。 従って非欧米出身移民による財政への負の影響は、推計値よりもっと大きい可能性が高い。 尚 「アフリカ・イスラム・クラスター」 の移民2世にかかる治安維持コストは他地域の2世の2.3倍と推計されている。 日本同様、オランダでも少子高齢化が進んでいる。 推計時の出生率はオランダ人女性1.7、欧米移民女性1.4、非欧米移民女性2.0であった。 コロナ禍前2019年には更に低下し、オランダ人女性1.6、欧米移民女性1.3、非欧米移民女性1.9だった。 少子高齢化による年金財政悪化、経済成長率低下に対処するには、移民を必要とする意見がある。 しかし、 「国境なき福祉国家」 が示したのは、途上国からの移民流入は、財政を更に悪化させ、そのマイナスの影響は高齢化の影響を上回るという現実である。 途上国出身の場合、難民だけでなく、労働移民であっても財政には負担となる。 「働くならば移民は問題ない」 という主張は正しくないのだ。 財政問題を度外視するとして、オランダが現実の年齢人口バランスを維持するために移民受け入れを進めた結果、21世紀終わりには人口は1億人に達する。 ただしオランダ人は僅か1割の少数派になってしまう。 「国境なき福祉国家」 が指摘するように、移民で少子高齢化を抑制する試みは必ず行き詰まる 「ネズミ講」 のようなものである。 今回の推計に含まれていないけれど、オランダのように既に人口密度が高い国の場合、人口増が社会・自然環境にもたらす非財政的コストや、自国民の心理的コストを無視することができない。 可住地面積当たり人口密度がオランダの倍近く、同質性の高い社会を長年に渡って構築してきた日本の場合、こうしたコストは更に大きなものとなるのは確実である。 オランダ政府は、ほぼ無条件に受け入れている 「難民」 と称する移民の多くが制度を悪用していることを認めている。 にもかかわらず、有効な対策を取ろうとしない。 労働移民についても、選り好みせず途上国から受け入れている。 <報告書は 「政府の移民政策」 が長期的に何を意味するかについて以下のことを疑いなく示した> <財政への増大するプレッシャー、そして最終的には我々が知る福祉国家の終わりである> <従って、現在の法的枠組みを続けるという選択は、明示することなく福祉国家に反対する選択なのだ> ■議論に欠けるもの 本稿ではオランダを例に、移民を財政的観点から分析する見方を紹介した。 多文化共生あるいは人権の観点に基づく移民推進論者は、移民の是非を金銭価値のみで判断するのはけしからんと主張するであろう。 しかし、移民を巡って、どのような美辞麗句で飾り立てようと、途上国からの大量移民は、一般国民からエリートへの所得再分配をもたらす上、財政を圧迫し、自国民に対する行政サービス水準を低下させる。 とりわけ弱者に対するセーフティーネットを劣化させる可能性が高い。 如何なる政治信条の持ち主であろうと、政治家が第1に考えねばならないのは、まず自国民、とりわけ弱い立場にある国民の福利であるはず。 ここで指摘した移民の経済財政効果を十分考慮せず、なし崩しに外国人労働者を受け入れることは、自国民への裏切りと言っても過言ではない。 【付記】本稿作成に当たり、「国境なき福祉国家」の筆頭著者ヤン・ファンデベーク博士より貴重な助言を賜った。人手不足論はまやかしの市場重視 正論2023年7月号 青山学院大学教授 福井義高 海外からの移民を積極的に受け入れるべきという意見には2つのタイプがある。 まず、昨今流行りのダイバーシティ、多文化共生の観点からのもの。 一方、こうした移民による多様化推進論に対しては、日本社会の独自性を保つため、移民は受け入れるにしても限定的にすべきという主張も有力である。 もう1つの移民推進論は、人口が減少する中、経済成長を実現するには、移民による労働力確保が不可欠という、経済的要請によるものである。 実際、様々な分野で、なし崩しに外国人労働者受け入れが進んでいる。 多様性か独自性かという、特定の価値観に基づく主張は、お互い自分が正しいことを前提に相手を非難する感情論になりがちで、言いっ放しに終わってしまう。 それに対し、経済的観点からの是非は、生前、経済倫理学を提唱された竹内靖雄元成蹊大教授に倣って、感情ではなく勘定、つまり損得の問題として、検討することが可能である。 「感情」 ではなく 「勘定」、 つまり損得の問題として、検討することが可能である。 というわけで、ここでは高邁な文化論は避け、対象を移民(外国人労働者)の経済効果に絞って考えてみたい。 ■もし国境を撤廃したら 第二大戦後、米国主導で進められた貿易自由化によって経済成長が促進され、日本のみならず各国国民の生活水準は大きく向上した。 貿易自由化とは、モノの移動に関して国境を撤廃するということなので、ヒトの移動に関しても国境を撤廃すれば、更に経済成長が促進されると考えても不思議ではない。 実際、グローバル経済推進論者は、そのように主張している。 もし世界中で移民制限を撤廃し、ヒトの移動を完全自由化すれば、その経済効果は如何ほどなのか。 幸い、移民の経済研究の第一人者であるジョージ・ボーハス教授(ハーバード大)がシミュレーションを行っているので、その結果(一部筆者推計)を紹介しよう。 ここでは、途上国の労働者は祖国を離れることに特別なコストは伴わないケースを取り上げる。 まず、世界銀行の推計に基づき、世界を人口11億人うち労働者6億人の先進国と、人口59億人うち労働者27億人の発展途上国に大別する。 現実のデータに即して、先進国・途上国共に、企業が利益を人件費に回す割合を示す 「労働分配率」 を70%、先進国と途上国の賃金格差を4対1と仮定する。 移民自由化の賃金格差は、労働力の質ではなく、社会の仕組みを反映したもので、先進国の高賃金は、途上国に比べて、より効率的な経済活動を可能とするものになっているからと考える。 従って、移民を完全自由化すれば、自由貿易によって同じモノの値段が世界中で等しくなるように、ヒトの値段即ち賃金も世界中で同じなる。 また、移民を完全自由化すると、先進国と途上国の人口と賃金はそれぞれどうなるのか、2つの場合を考える。 まず、移民を受け入れても、それまで効率的な経済活動を可能にしてきた先進国の社会体制が変わらない場合、そして、途上国からの大量移民で、先進国の社会が半ば途上国化する場合である。 先進国社会不変の場合、世界全体の国内総生産(GDP)は57%増加する。 ただし、先進国経済に対する移民の経済効果を見るには、移民自身が得る経済効果(賃金)を除外し、土着の自国労働者賃金と自国資本に帰属する所得の合計を、移民自由化前後で比較する必要がある。 移民賃金を除外しても先進国のGDPは39%増加するので、モノの自由貿易同様、ヒトの移動自由化は自国民に帰属する経済のパイを大きくする。 しかし、移民自由化がもたらすGDP増加は、大規模な移民と表裏一体である。 国境撤廃によって、労働者の家族も含めて、途上国人口の95%に当たる56億人が先進国に移住することになるのだ。 その結果、国民・移民共通の先進国賃金は39%減少する。 ただし、途上国からの移民から見れば143%の増加である。 一方、先進国の資本所得(企業利益)は、労働者増・賃下げの恩恵で、220%増加する。 大量の移民が流入すれば、受け入れる側の先進国の社会体制が、その経済効率性も含めて、大きく変化すると考える方がもっともらしい。 やって来るのは、働くロボットではなく、人間なのだから。 途上国からの大量移民で先進国社会が半ば途上国化する場合、移民自由化前より低下するとはいえ、それでも途上国より高い生産性が維持される先進国に、途上国人口の84%に当たる50億人がやって来る。 その結果、世界全体のGDPは13%増加するものの、社会の途上国化で、移民に支払われる賃金を除外した先進国のGDPは7%減少すると共に、自国民・移民共通の先進国賃金は56%減少する。 それでも移民から見れば74%の賃上げである。 一方、先進国の資本所得(企業利益)は、社会の途上国化によるマイナス効果にもかかわらず、労働者増・賃下げ効果がそれ以上に 「貢献」 し、108%増加する。 移民自由化の勝ち組は、言うまでもなく、まず先進国で働くことで賃金が大幅に上昇する途上国からの移民である。 そして、途上国から安い労働力を 「輸入」 することで、利益を大幅に増やすことができる企業である。 一方、負け組は、移民労働者による 「賃金ダンピング」 で、大幅な賃下げを余儀なくされる先進国の自国労働者である。 先進国における移民推進とは、グローバル化とか多様性とかいった美辞麗句を取り去って、その経済効果を直視すれば、労働者から資本家・経営者への所得再分配政策である。 ボーハス教授が指摘するように、 「先進国の労働者が、国境撤廃論者に従うことを拒否するのは、人種差別や外国人排斥とはほとんど関係ない」 「単に新世界秩序(New World Order)から恩恵を受けないからなのだ」。 移民推進は、先進国の国民大多数から見ると、勘定の問題として割に合わないのである。 ■移民大国、米国の場合 国境完全撤廃によって途上国民の大半が移民するケースなど非現実的過ぎて、今後の日本の移民政策の参考にならないという批判があろう。 確かにそうかもしれない。 そこで、移民大国である米国の実例を、ボーハス教授の推計(一部筆者推計)に依りながら、見てみよう。 結論から先に言ってしまえば、移民推進が所得再分配政策であるという、その本質は変わらない。 2015年のデータによると、全労働者のGDPに対する貢献分は12%を占める。 しかし、移民流入で増加したGDPから移民の取り分を除くと、移民が自国民にもたらす経済効果はGDPの0.3%でしかない。 ただし、GDPの内訳を見ると、自国労働者の取り分が3%減少したのに対し、企業の取り分は3%増えている。 国境完全撤廃でほとんどの途上国民が先進国に殺到する場合と異なり、移民労働者が全体に占める割合が 「僅か」 16%であっても、移民労働者がいない場合に比べ、賃金は5%低下し、企業利益は13%も増加するのである。 更に、移民に対して提供される公的サービスの財政負担増が移民の納税額を上回る、つまり財政純負担増は確実であり、移民流入のネットのGDP貢献分0.3%は、その純負担増で帳消しになるか、マイナスになっている可能性が高い。 ここまでは労働者を一括して扱ってきたけれども、労働者といっても、大企業経営幹部から非正規雇用の単純労働者まで様々である。 実際に、移民労働者との競争を強いられ、賃金低下圧力に晒されるのは、元から低賃金の職種に従事する自国労働者である。 ボーハス教授の推計によれば、移民流入で競合する職種の労働者が10%増えると、その賃金が少なくとも3%、場合によっては10%程度低下する。 一方、移民労働者と競合しないエリートたちは、むしろ移民労働の恩恵を受ける側である。 移民推進は労働から資本への所得移転のみならず、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転をもたらす。 そもそも、アメリカは移民の国とされるけれども、これまで常に大量の移民を受け入れてきたわけではない。 日本では 「排日移民法」 と呼ばれる1924年に成立した改正移民法により、北・西欧系を除く移民が大幅に制限され、1920年代半ば以降、移民が激減する。 それから約40年経った1965年に移民法改正が行われた際、法案を提出した国会議員も政府も、この改正は移民送出国の構成が若干変わるだけで、移民数自体が増加することはないと 「確約」 したにもかかわらず、移民数は激増、しかも、改正前と異なり、欧州ではなく、途上国からの移民が大多数を占めるようになった。 20世紀半ばの移民制限期に所得格差が縮小したのに対し、大量移民が始まった1970年代以降、所得格差が拡がり、今日に至っている。 この間、米国非管理職労働者のインフレ分を除いた実質賃金はほぼ横ばいだったのに対し、大企業社長(CEO)報酬は労働者賃金の20倍程度だったのが、300倍を超える水準となっている。 ■誰のための移民推進なのか まず、移民の経済的メリット・デメリットを検討するに当たり、何を基準とするのか、はっきりさせる必要がある。 移民自身から見れば、日本の移民受け入れはプラスに決まっている。 そうでなければ、そもそも日本にやって来ない。 しかし、デモクラシーにおける政策の判断基準は、まず主権者たる国民の幸福や豊かさであり、今いる日本人にとって新たな移民受け入れがどのような経済効果をもたらすかが、移民政策の是非を巡る判断基準となるべきであろう。 出生率の低下で人口が減少する中、新たな労働力として大量の移民を受け入れれば、日本のGDPが押し上げられることは間違いない。 ただし、経済成長政策として有効か否かを判断するには、移民を受け入れなかった場合のGDPと、受け入れた場合のGDPから移民賃金と移民受け入れに起因する純財政負担を引いた額を比較しなければならない。 米国の実例でも分かる通り、移民推進は自国民の経済成長にはほとんど影響しない、ほぼ純粋な所得再分配政策である。 社会の途上国化による生産性の低下、純財政負担を考慮すれば、経済成長への効果はむしろ全体としてマイナスの可能性が高い。 移民推進は、労働から資本への所得移転に加え、低賃金労働者から高賃金労働者への所得移転を引き起こす、弱肉強食の格差拡大政策なのだ。 企業経営者をはじめ社会のエリートたちに移民推進論者が多いのは、要するに自分にとって得だからである。 多様化推進の観点からの移民推進論も、こうした主張を行う人が概して高学歴エリートであることを鑑みれば、正義感溢れる 「感情」 論でカムフラージュされた 「勘定」 論と見ることもできる。 一方、欧米では弱者の味方のはずの左翼・リベラルが移民受け入れを推進しているけれども、これは比較的最近の現象である。 元々、左翼・リベラルの間では、支持基盤だった労働者の利益を守るため、移民受け入れに慎重な意見が有力であった。 冷戦時代、 「移民の継続は深刻な問題をもたらす」 「合法、不法とも移民をストップせねばならない」 と主張したのは、極右どころか欧州左翼の大立者ジョルジュ・マルシュ仏共産党書記長である。 米国のある有力な大統領候補もこう語っていた。 「不法移民流入を阻止せねばならない」 「この目的を達するため、国境警備要員を増やさねばならない」 「合法移民に関する法律も、合衆国が移民の数と質をもっとコントロールできるよう改正せねばならない」 「移民受け入れに関しては、まず、合衆国は、無責任な他国干渉への干渉ーこうした干渉はほぼ確実に政治難民を生み出すーによって難民が生じることだ」 「もっと用心しなければならない」 「本当に難民かどうか、より確実に難民申請を審査せねばならない」。 発言の主はドナルド・トランプ前大統領ではなく、ベトナム反戦で名を馳せたリベラルの雄、ユージン・マッカシー民主党元上院議員である。 要するに、今日の労働者は左翼・リベラル主流派に見捨てられたのである。 ただし、新たな動きも見られる。 ドイツで急進左翼の代表格とみなされてきた旧東独出身のザーラ・ヴァーゲンクネヒト左派党連邦議会議員が、大量移民は自国労働者の経済的利益を損なうという 「勘定」 論を前面に出した移民反対論を唱え、左翼・リベラル主流派から非難される一方、 「極右」 正統とされるAfD支持者の間で大人気となっている。 ■低賃金は企業の敗北宣言 豊かな社会では、必要であったも自国労働者がやりたがらない仕事が増え、移民なしにはやっていけないという主張をよく聞く。 しかし、先進国で移民が従事するのは、自国労働者がやらない仕事ではなく、現在の賃金水準ではやりたくない仕事である。 不法移民を一掃した米国のある地域で現実に起こったように、外国人労働者がいなければ、自国労働者がやりたくなる水準まで賃金は上昇する。 また、企業は技術革新で乗り切ろうとする。 実際、それは高度成長期の日本で起こったことである。 「人手不足」 にもかかわらず、移民を入れなかったことで、製造現場ではロボットが普及して省力化が進み、高学歴エリートと大衆の賃金格差が縮小し、戦前の大企業大卒社員の家庭では当たり前だった 「女中」 が賃金高騰でほとんど姿を消した。 一方、我々がどうしても生活に必要と考える財サービスであれば、十分に生産性を上げることができないため賃金上昇を価格に転嫁せざるを得ず高価格となっても、需要は残る。 一例として、生産性向上が困難な理美容業の料金は、高度成長前に比べ一般物価水準を超えて大きく上昇したけれども、今も需要は健在である。 低賃金でないと事業を継続できないというのは、高い価格を支払ってまで買う価値のある財サービスを提供できないという、企業としての敗北宣言に過ぎない。 低賃金の外国人労働者への依存は企業にとって麻薬のようなものであり、自国民の所得格差を拡げるのみならず、生産性向上努力を妨げ、結果的に、企業の衰退をもたらす。 経済的観点からの移民推進論者は、ほとんどの場合、自称市場重視論者でもある。 しかし、現在、 「人手不足」 が叫ばれている仕事の多くは、財サービス価格が低過ぎて超過需要が生じているのであって、価格を上げて需要を減少させるのが、本来の市場重視であろう。 その典型例が貨物輸送である。 人手不足対策に議論は不要である。 市場のシグナルに耳を傾け、トラック運転手の賃金を上げればよいのだ。 現在の価格で現時点の需要に応じようとする需要充足主義は、計画経済的・社会主義的発想であり、市場重視とは無縁である。 人手不足論者にみられる、こういう財サービスの価格あるいは職種の賃金は低くて当然という発想は、単なる思い込みに過ぎない。 理美容サービス料金に見られるように、社会の変化に伴い、財サービスの相対価格は劇的に変化してきた。 戦後、相対賃金が大きく変化したことは、先に述べた通りである。 人手不足を理由とした移民推進論は、国民経済の観点からは到底正当化できない。 市場のダイナミズムを無視したまやかしの市場重視、その実、反至上主義なのだ。 国境完全撤廃のシミュレーションはともかく、米国の実例は、EBPM(Evidence-based Policy Making:証拠に基づく政策立案)を標榜する日本政府にとって、移民政策を検討する際に、大いに参考になるはずである。 ともあれ、移民問題は感情ではなく、冷静な議論が可能な勘定の問題という認識が求められる。 EBPM(証拠に基づく政策立案)とは? EBPMとは、Evidence-based Policy Makingの略称であり、日本においては内閣官房が以下のように定義している。 (1)政策目的を明確化させ、 (2)その目的のため本当に効果が上がる行政手段は何かなど、当該政策の拠って立つ論理を明確にし、これに即してデータ等の証拠を可能な限り求め、「政策の基本的な枠組み」を明確にする取組。 つまり、たまたま見聞きした事例や経験(エピソード)のみに基づいて政策を企画するのではなく、データを活用し、合理的根拠(エビデンス)に基づいて企画すること。 人手不足解消のカギは外国人労働者を受け入れないこと Hanada2024年7月号 小西美術工藝社社長 D・アトキンソン ■衝撃的なアンケート結果 岸田政権は2024年3月29日、人手不足の分野で一定の技能がある外国人労働者を受け入れる在留資格 「特定技能」 について、2024年度から5年間の受け入れ枠を82万人とすることを閣議決定しました。 2023年度までの5年間で設定していた人数の2.4倍となり、外国人労働者の受け入れが加速することになります。 とんでもない話だと憤っていたら、最近、更に衝撃的なニュースが飛び込んできました。 「外国人労働者受け入れ『賛成』62%、高齢層で大幅増 朝日世論調査」(朝日デジタル) <朝日新聞社が全国世論調査(郵送)のテーマ「人手不足社会」に関連して、人手不足の業種を対象に外国人労働者の受け入れを拡大する政府方針への賛否を尋ねたところ、「賛成」62%が「反対」28%を大きく上回り、賛否が拮抗した5年余り前の調査から大きく変化した> もちろん、日本のマスコミの世論調査なので、どういう業種の人を対象にしたか、経営者だけにアンケートしたのかなど詳細が出ておらず、留意は必要ですが、6割もの人が外国人労働者受け入れに賛成というのは、驚きました。 人手不足に悩まされているのは、ほとんどが中小企業です。 人口減少の下、中小企業は生産性が低い。 有給休暇の取得率などを見ると、労働環境が大企業より厳しいので、労働者が不足すると、まず中小企業が人手不足になる。 日本の中小企業は社員数が非常に少ないので、すぐに大きなダメージを受けます。 日本企業の平均従業員数は9人。 85%の日本企業は、平均従業員数がたった3.4人。 仮に従業員数3人の職場から1人辞めると、労働力が3分の1減り、たちまち 「人手不足」 に陥ってしまうのです。 ■努力したくない中小企業 私から言わせれば、中小企業は人手不足を解消する努力が進んでいません。 私は以前から、中小企業は統合して、次第に規模を大きくしていかなければいけないと主張しています。 合併統合することで、経営陣などの管理職や経理はこれまでの半分で済み、その分、人手不足の部署に人手を回すことができる。 統合まではいかなくても、会社間でお互いに人手が足りない時には融通し合うことができるよう連携はするべきです。 もう1つは、機械化など設備投資による作業の効率化。 ただ、経営者としては、日本人は低賃金でも仕事を真面目にこなしてくれるので、コストを掛けて設備投資を行う動機が生まれません。 機械化などをするより、低賃金で人間に働いてもらう方が安上がりなのです。 ここは肝心なポイントで、人口減少によって生じている人手不足は、本来、企業がそれに合わせてビジネスモデルを変えるチャンスであり、変えなければならないのです。 しかし、連携も合併もしたくない、設備投資で生産性向上もしない・・・中小企業がビジネスモデルを変える何の努力をすることもなく現状維持をするため、唯一残された方法が、減っていく日本人労働者の代わりに外国人労働者を受け入れることなのです。 現時点で、200万人の外国人労働者が日本に来ています。 2060年には生産年齢人口が3000万人減るので、低賃金労働者依存症の中小企業経営者を満足させるためには、1000万人単位で外国人労働者を受け入れなければならないでしょう。 主に最低賃金で働く外国人労働者が大量に入って来ると、日本人の賃金も上がらなくなります。 経営者は楽でしょうが、社会保障の負担が増える一方の日本で、財政も労働者も大きな打撃を受けます。 こんなふざけた話があるでしょうか。 ■これまで以上に増える軋轢 2023年、2500万人の外国人観光客が日本を訪れました。 一方、 「オーバーツーリズムだ」 (ある地域を訪れる人が急増したことにより、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況) と批判する声もあります。 満員でバスに乗れないとか、ホテルが満室で取れないとか、マスコミなどで 「オーバーツーリズム」 と批判されていることは、日本側の受け入れ体制の未整備によって起こっていることで、 「オーバーツーリズム」 などではありません。 1カ月当たり200万人来ているインバウンドは海外旅行できるレベルの層で、日本におカネを落として、欧米人などの場合、2〜3週間したら国に帰っていきます。 一方、外国人労働者は全く逆です。 中小企業が求めているのは、最低賃金で働いていくれる人材。 日本の最低賃金は世界23位で、ハンガリーやイランよりも低く、後進国レベル。 そんな低賃金であっても働きに来る外国人労働者は、言い方は悪いですが、どういう教育水準の人か分かりません。 そういう外国人が1000万人単位で日本に来て、定住するのです。 しかも最低賃金で働く外国人労働者は、経営者たちが住むようなエリアではなく、一般庶民が住むエリアで生活するようになる。 欧州などでは、低賃金の移民などは大変な問題を引き起こしています。 そもそも、イギリスがBrexit(イギリスが欧州連合 (EU) から離脱すること、離脱したこと)に踏み込んだ最大の原因は、庶民が強いられた移民の問題でした。 インバウンドは一時的にしかいないから、発生するトラブル、軋轢などたかが知れていますが、定住する外国人労働者は違います。 既にして、日本に住むイスラム教徒が 「土葬できる墓を作ってほしい」 と要請していたり、神社の賽銭箱を破壊したりする事態も起こっている。 1000万人単位で外国人が入ってきたら、これまで以上に様々な軋轢が生まれるでしょう。 なぜ経営者が低賃金で人をコキ使いたいがために、日本全体が迷惑を被らなければいけないのか。 「オーバーツーリズムだ!」 と騒いでいる人たちは、今すぐ外国人労働者受け入れに反対した方がいい。 どこの国でもそうですが、教育水準の低い移民を大量に入れれば、犯罪やトラブルが増えます。 移民政策で成功しているのは、高学歴かつポテンシャル(潜在的な力。可能性としての力)の高い人材を受け入れて、イノベーション(新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などによって、経済発展や景気循環がもたらされるとする概念)をどんどん起こしているアメリカくらい。 ■中小企業延命という愚策 私が日本に来た1990年代前半は、高学歴・高所得の外国人でないと就労ビザが下りませんでした。 「日本人にできる仕事は外国人にやってもらう必要がない」 という考え方で、よほどの特殊技能を持った外国人でなければ、日本で働くことができなかった。 自分で言うのも何ですが、イギリスでトップの大学であるオックスフォードを卒業していても、なかなか申請が通らなかったほどです。 人手不足が叫ばれたているのは、飲食宿泊や運送業など、労働環境が悪く、生産性も低い業種です。 高学歴の人材などを必要としていません。 少子化によって競争率が下がり、今の若者は名門大学、大企業に入れる確率が昔よりも飛躍的に上がっています。 そんな中で、若者が最低賃金でしか雇えないような会社を選ぶはずがない。 若い優秀な人材を確保したければ、先述したように、合併するなり設備投資するなりして、生産性を向上させ、若者にとっても魅力的な 「中堅企業」 になるしかありません。 ところが、政府は外国人労働者を受け入れて、中小企業を延命させようとしています。 これほどの愚策はありません。 成功例がほとんどないのに、なぜ政府は外国人労働者受け入れを拡大しているのか。 もちろん、中小企業経営者側からの要請もあるでしょうが、一番大きいのは、今の社会保障を維持するためでしょう。 先述したように、ピークから既に1300万人も減っている生産年齢人口は、2060年まで更に3000万人減ります。 そうなれば、今のビジネスモデルを維持して高齢化に伴う負担に応えるために、労働している人間の数を最低でも維持しないと、今の社会保障制度を維持することができなくなる。 だから低賃金の外国人労働者を入れようということなのでしょう。 しかし、この考え方は余りにも短絡的過ぎます。 ■日本人労働者は増やせる 政府には、外国人労働者を受け入れる前にやるべき事がたくさんある。 まず、日本人労働者の供給量を増やすべきです。 そのためには、扶養控除の廃止。 これだけ人手不足が騒がれる中で、フルに働かないことで税制優遇するなど、あり得ない制度です。 もう1つは、専業主婦(主夫)への年金制度の廃止。 サラリーマン(第2号被保険者)に扶養されている専業主婦(第3号被保険者)は保険料を自ら負担することなく、将来的に老齢基礎年金が受給できるのです。 自分は払っていないのに年金を受け取れるというのは、社会保障の原則に反しているだけでなく、女性の働く動機を奪っています。 海外によくあるやり方を導入して、既に貰っている人は仕方ないですが、例えば平成何年生まれ以降の人の場合、第3号非被保険者を廃止すると決めればいい。 低賃金の外国人労働者を受け入れる前に、優秀な日本人女性にフルに活躍してもらう仕組みを徹底的に実施するべきです。 女性活躍を訴えるなら、まずこの2つの廃止は必須でしょう。 それに中小企業改革。 これまで何度も書いてきたように、規模が小さいというだけで日本の中小企業は優遇されています。 弱者扱いされて、期待もされません。 商工会議所などの中小企業の団体も、改善を要求されると、すぐに 「中小企業潰し!」 「中小企業淘汰論者!」 「中小企業は下請けいじめを受けている!」 などと煽ります。 それによって、中小企業は成長するインセンティブ( やる気を起こさせるような刺激。動機付け)が削がれています。 そうではなく、きちんと足腰の強い中堅企業に成長した企業をバックアップしていく。 規模が大きくなることで、人手不足にも強くなる。 ■逆説的な人手不足解消方法 経済合理性を歪ませる中小企業優遇の最たる例が、 「交際費」 です。 今は日本では中小企業というだけで、取引先との接待などに使う交際費を800万円まで損金扱いできます。 私の経験則でしかありませんが、私の周囲の中小企業経営者で、会社のためにこの800万円を使っている人はほとんどいません。 仕事に関係なく、高級寿司屋で食事をしたり、夜の店に行ったりと 「”社長自身”への接待」 に使われており、全く実態を伴っていない。 要するに、公私混同です。 この制度をフルに使うことができる企業はほぼ小規模事業者です。 成長して中堅企業になろうとすれば、この制度のメリットは次第に減ります。 更に、サラリーマンをやって何の経費も使えないよりは、公私混同が許されている小規模事業者になった方が圧倒的に有利になる。 経済合理性より、経営者優遇を狙って起業するインセンティブが働いていしまうのです。 これは考え過ぎではありません。 日本企業の場合、6割以上の企業が赤字企業です。 この比率は、1960年代から景気と関係なくずっと上がっています。 諸外国の例を分析すると、企業数の赤字比率は2割で、日本では如何に経済合理性の低い小規模事業者が多いか分かります。 実は、中小企業が2017年度に支出した交際費は約3兆円。 もし、この3兆円に法人税(23%)を掛ければ、6900億円もの税金を取ることができます。 政府の肩を持つわけではありませんが、日本は何か物事を動かそうと思えば、とにかく批判・反対の風です。 中小企業はもっと頑張れと言えば 「中小企業いじめだ」 と批判され、扶養控除廃止を言えば 「専業主婦いじめだ」 と批判される。 日本は本当に疲れる国です。 中小企業問題について、商工会議所前会頭の三村明夫氏は、未だに私を批判しています。 日経新聞(2024年4月27日)の 「私の履歴書」 で、三村氏はこう語っていました。 <中小企業はサボっているのではない> <統計の数字だけを見た 「生産性の低い中小企業は淘汰されるべきだ」 といった極論が罷り通れば、日本経済は本来の強さを失うだろう> 「統計の数字」 以外に、一体何を根拠にすればいいのでしょうか。 教育水準の高い日本人を低賃金で働かせている 「統計的事実」 について、三村氏はどう思っているのか、逆に訊きたいくらいです。 三村氏は、最低賃金を引き上げると大量に中小企業が倒産する、失業者は大量に増えるというような主張をよくしていました。 1990年代に比べて、最低賃金は2倍に上がっています。 安倍政権以降も1.3倍にもなっている。 三村氏の主張と真逆に、企業数は大幅に増えて、就業者数も史上最高水準になっている。 三村氏が主張していた 「大量の倒産」 も 「大量の失業者」 も、統計に表れていません。 だから、 「統計ではない」 と言うのでしょう。 政府も、強烈な反対に遭うことは目に見えているから、 「じゃあ、現状維持のために外国人労働者を入れるしかない」 と半ば諦めており、場当たり的な対応しか取れないのではないか。 この人手不足を解消するために、政府はどうすればいいか。 逆説的ですが、 「これ以上、外国人労働者を受け入れないこと」 です。 外国人労働者を受け入れないことで、中小企業はにっちもさっちもいかなくなり、自動的に中小企業間の提携・統合、設備投資による生産性向上が進みます。 それは、中小企業改革の前進にもなる。 先述したように、中小企業を延命させるために外国人労働者を受け入れるなど、百害あって一利なしの愚策中の愚策。 冒頭の世論調査で、外国人労働者受け入れに賛成した人には目を覚まして頂きたい。 政府は 「経営努力をしたくない」 「現状維持をしたい」 という経営者の甘え、自己中心的な考えなど一顧だにせず、毅然と対応してほしいと思います。 外国人受け入れ「特定技能制度」に4分野を追加、5年で82万人見込み 政府が閣議決定 2024/3/29 10:10 https://www.sankei.com/article/20240329-QQTAPVAO7JLS3PHI6X4N4G3SQQ/ 政府は2024年3月29日、外国人を中長期的に受け入れる 「特定技能制度」 の対象にトラック運転手などの自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野を追加し、対象分野を現在の12から16に広げる方針を閣議決定した。 令和6年度から5年間の受け入れ見込み数は最大で82万人とした。 パブリックコメント(意見公募)を経て省令を改正する。 受け入れ見込み数は、国内の雇用拡大や生産性向上だけでは不足する労働力を業界ごとに算出したもの。 5年間で約34万人としていた制度開始時から2倍超となった。 人口減少や時間外労働規制強化によって物流分野での人手不足が深刻化する 「2024年問題」 などが反映された。 追加4分野のうち、利用客と会話の機会が多いタクシーの運転手や鉄道の車掌などは、必要な日本語試験の基準を他の分野よりも高いレベルとする。 既に特定技能の対象となっている製造業分野でも繊維や鉄鋼、印刷業務などを中に加える。 特定技能は平成31年4月に創設。 最長5年間働ける1号と、家族が帯同できて事実上永住できる2号がある。 政府は、外国人の研修を目的とする技能実習制度を廃止し、外国人材の確保と育成を目的として将来的に特定技能制度に移行できる 「育成就労制度」 創設を柱とする関連法案を通常国会に提出している。 祖国にいながら外国人に怯えて暮らすのか 「受け入れろと」と他人の国で暴走する移民たち WiLL2024年7月号 イスラム思想研究家・麗澤大学客員教授 飯山陽 ■クルド人がまた犯罪 先の衆議院東京15区の補欠選挙は、たくさんの応援を頂きましたが力及ばず落選してしまいました。 皆さんのお陰で、最後までマイクを握ることが出来ました。 今回、選挙に出馬した理由の1つが、日本の移民国家への道にストップをかけるためです。 しかし現状は厳しく、またクルド人による犯罪が起きました。 しかも今度の被害者は何と女子中学生です。 産経新聞オンラインの記事(2024年4月5日付)です。 「女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署は2024年3月7日、不同意性交等の疑いで、トルコ国籍でさいたま市南区大谷口の自称解体工、ハスギュル・アッバス容疑者(20歳)を逮捕した」 「『日本人女性と遊んだが暴行はしていません』と容疑を否認しているという」 再度確認してみると、この記事は削除されており、追加の記事では容疑者は匿名にされていました。 実名は 「デイリー新潮」 やまとめサイトのみで閲覧できます。 容疑者の居住地はさいたま市ですが、川口署が逮捕したということは、川口市で活動するクルド人の居住地が近隣の市にも広がっているということでしょう。 トルコ国籍のクルド人の多くはイスラム教徒ですが、一般的にそれほど信仰に熱心ではありません。 しかし、クルド人文化は、イスラム教文化と共通する所が多く、その1つが女性や性に関する文化です。 イスラム教では、異教徒の女性は二重の意味で卑しい存在とされており、尊厳を持つ人間として扱われません。 更にイスラム教には、性行為や結婚をしても許される最低年齢という概念がありません。 イスラム教徒の男性の中には、本件のような 「異教徒の女子中学生」 というのは、性的に何をしてもいい存在だと思っている人がいる可能性があるのです。 イスラム教徒の移民による、現地の女性たちに対する性暴力事件がヨーロッパで多発している背景には、このようなイスラム教の女性観、異教徒観があります。 イスラム教徒の男性は、異教徒の女性には何をしても構わない、髪や肌を露出させているのは尊厳がないことの証であり、むしろレイプされたがっているのだと、そう理解してしまうことがあるのです。 私はイスラム教の研究者ですから、イスラム教が如何に土着文化を侵食する力を持っているかを知識としてだけでなく、実感としても知っています。 世界にはこうした文化や価値観を当然とする人々が多く存在するため、理想の多文化共生・異文化共生を現実のものにするのは困難です。 実現したいのならば、外国人に対し、 「あなたの常識は日本では受け入れられない」 「日本では日本のルールを守ってもらわねば困る」 と、ハッキリと徹底的に主張するしかありません。 更に、外国人の子供には出来るだけ早いうちから、日本のルール、文化に馴染んでもらう必要があります。 フランスでは、2019年から義務教育が始まる年齢を6歳から3歳に引き下げました。 その背景には、自国の文化や風俗を守るために移民を教育する意図もあります。 一方で日本には、こうした対策は一切なく、多文化共生・異文化共生は素晴らしい、日本人は外国人の文化を理解し、受け入れろと主張するだけです。 このまま何の対策もしなければ、先述のような事件は今後更に増えるでしょう。 ■何が、権力の監視役か にもかかわらず、政府や自治体、企業、そしてメディアも、日本社会に対して影響力(インフルエンシャル)な発言権を持つ”権力者の皆さん”はこぞって、 「活力維持に外国人が必要だ!」 と声高に言います。 読売新聞オンライン版でも 「外国人・高齢者 活力維持へ重要『育成就労』『特定技能』着実に・・・人口減抑制」 と題して、次のような記事が掲載されました。 <人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない> <政府は今年(2024年)、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の創設を決めた> <掲げたのは「人材の確保と育成」> <帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った> (中略) <外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる> (中略) <業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある> <その司令塔として、政府に「誘致戦略本部」を創設すべきだ> <制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する> (2024年4月26日付) 日本社会が人口減を抑制し、活力を維持するためには、外国人をどんどん日本に受け入れることが必須だとして、読売新聞がわざわざ提言しているわけです。 読売新聞だけでなく、既に国から企業まで皆揃って同じ事を言う有り様です。 外国人が必要だ、というのは、つまり”移民推進”です。 多様性の奨励はそのための地均しです。 多様性のある社会は 「活力を維持する」 と盛んに宣伝し、多様性を促進するために移民を受け入れる必要があるとして事を進める。 そもそも自民党は2016年3月15日の 「労働力の確保に関する特命委員会」 の初会合時に、政調会長の稲田朋美議員が 「日本は移民政策は採らない」 と明言した上で、議論を開始しています。 ところが、その8年後の2024年、岸田政権が在留資格 「特定技能」 について2024年度から5年間の受け入れ枠をこれまでの2倍を超える82万人とすると閣議決定しました。 8年前・2016年の方針を平気で変え、国民に嘘を付く、これが自民党政権です。 そしてこの嘘を嘘だと指摘せず、政府方針に同調しているのがメディアです。 何が 「権力の監視役」 でしょう。 「笑わせるな、愚か者!」 と言いたくもなります。 ■7つの大罪である理由 読売新聞が提言した、 「日本社会の人口減を抑制し活力を維持し、成長を続けるためには外国人移民が必要だ」 という主張は完全に間違っています。 理由は7つー。 第1に、人口減の埋め合わせをするために移民を受け入れるなら、考えられないほど多くの移民を受け入れなければならないため、この政策自体が非現実的であることは、国連の調査でも明らかになっています。 第2に、人口減を埋め合わせするために移民を受け入れても、日本人でない人が増えるだけなので、日本で外国人による人口の置き換え(人口が増加も減少もしない均衡した状態になる)が進むだけです。 これを 「人口減の抑制」 だと言う人は、日本が日本でなくなることを積極的に推進する人たちです。 第3に、不足する労働力を補うために移民を受け入れても、移民もいずれ年を取って働けなくなります。 日本は今、永住を認めるという条件で移民を受け入れようとしていますが、労働力だったはずの移民は遠からず、日本の福祉によってその生活を支えなければならなくなります。 ■移民と社会の暴走 第4に、不足する労働力を補うために移民を受け入れると言いながら、日本政府は彼らに家族の帯同を認めています。 5人、10人の家族を帯同すれば、移民の安い賃金では家族全員を養えなくなり、その分を補うのは、私たちの福祉、つまり税金です。 労働力が必要だと言って外国人を受け入れたのに、彼らの生活を我々の福祉で支えなければならないという事態が生じます。 労働力として受け入れた移民が、働く意欲を失ったり、病気になったり、失職すれば移民の家族の生活は、私たちの税金、私たちの福祉で支えなければならない。 これは移民を多く受け入れた欧米で実際に発生している問題です。 第5に、労働力として移民を受け入れれば、日本人の賃金が下がります。 政府が推進するインフレを上回る程度まで賃上げをする方針とは、正反対のベクトルに進みます。 サウジアラビアは移民を多く受け入れている国の1つですが、企業に一定数の自国民の雇用を義務付け、給与体系も外国人とは異なる水準を義務付けています。 しかし日本にはこうした規制はありません。 安い移民労働力を受け入れれば、企業と経営者が得をするだけで、日本人の労働者は専ら損をします。 これでは日本社会を弱体化させるばかりで、 「活力の維持」 どころではありません。 第6に、世界の文化の中には、日本の文化、伝統、常識、法律とは相容れない、矛盾するものが大量にあるため、全て受け入れれば、社会が混乱し、秩序が乱れます。 第7に、移民が増えれば間違いなく治安が悪化します。 現在、警察は外国人の犯罪を見逃し、仮に逮捕しても検察が不起訴にして犯罪者を無罪放免にします。 警察を恐れない”無敵の外国人”が、日本社会で暴走し、好き放題に犯罪に手を染めているのは、こうした背景があるからです。 外国人が増えれば、この状況は更に悪化するでしょう。 日本人は祖国にいながら、外国人に怯えて暮らさなければならなくなり、警察に守ってもらえなければ、自衛せざるを得なくなります。 犯罪の被害者となっても、誰も助けてくれない、そんな世の中にしたいですか? ■”聖域”という名の移民都市 2024年5月1日、バイデン大統領はワシントンでの集会で、日本経済が低迷している理由として 「外国人嫌いで移民を望んでいないからだ」 と述べました。 そんなアメリカでは現在、不法移民が急増しています。 米南西部の国境を越えて拘束・保護された不法移民は2023年度(2022年10月〜2023年9月)に247万人と3年連続で過去最多を更新。 かつてはメキシコや南米各国からの流入がほとんどでしたが、今は、中国などから中南米を経由してアメリカを目指す不法移民も増えています。 バイデンの 「外国人好きで移民を望む」 政策が、世界中から不法移民を引き寄せているのです。 アメリカ内で移民に寛容な都市、いわゆるサンクチュアリ・シティ(聖域地域)の代表がニューヨーク市です。 ニューヨーク市では移民を10万人ほど受け入れ、日々増え続ける移民の数に悲鳴を上げ、2022年10月に民主党のエリック・アダムス市長がとうとう非常事態を宣言しました。 「移民はニューヨークのストーリー(歴史)の一部で、アメリカの一部でもある」 「しかし移民政策は崩壊している」 「国家的危機だ」 「もう限界だ」 「市単位の予算には限りがあり、思いやりだけではどうにもならない所まで来ている」 アダムス市長は移民の受け入れの危機的状況を踏まえ、度々このように訴えてきました。 ニューヨーク市の移民関連の予算は2024年度が約42億ドル、2025年度が約49億ドルと巨額です。 その後、アダムス市長は法律違反の疑いのある移民を保護してきた政策を転換する考えを示しています。 つまり不法移民を矢継ぎ早に受け入れる政策を採った結果、市が財政破綻しかかっているのです。 ニューヨーク市に限らず、不法移民を受け入れた州や都市は軒並み財政や治安が悪化し、地元住民の不法移民に対する感情も悪化しています。 今や28%のアメリカ人が不法移民の問題は、アメリカにとって最大の問題だと認識しています。 ■”日本”であるために 一方、日本はどうか。 岸田政権は今まさに 「移民を望む」 政策を採りつつあります。 アメリカで不法移民に厳しい共和党が政権を取れば、アメリカに殺到している世界の不法移民が、今度は日本に殺到するでしょう。 今度は日本が不法移民の”サンクチュアリ(聖域)”になろうとしています。 日本が日本であり続けること、日本が国民にとって安心して暮らせる祖国であり続けること、日本人の暮らし、豊かさ、安全が守られることが何より大事です。 移民受け入れ推進は、こうした安心・安全を全て破壊します。 しかし今の日本の国会議員に、日本国民の安全を主張する人はほとんどいません。 彼らは皆、嘘を付き、移民を受け入れることによって起こる問題に言及する人はほとんどいません。 移民によって破壊された欧米社会や、先述のクルド人による性的暴行事件が彼らには見えていないのでしょうか。 文化や価値観の違いによって生じる事件、財政や治安の悪化などが起き得る移民政策を阻止する必要があります。 日本が移民問題で苦しむ欧米のようになるのは、時間の問題です。 私たちにとって大切な日本という国を、守り抜かなければなりません。 女子中学生に性暴行の容疑者、難民申請中のクルド人 トルコ生まれ川口育ちの「移民2世」 「移民」と日本人 2024/3/8 17:25 https://www.sankei.com/article/20240308-LUTLMINZTNOZNGADECZPNB3CGY/ 女子中学生に性的暴行をしたとして埼玉県警川口署に逮捕されたトルコ国籍で自称解体工の男(20)が、難民認定申請中で仮放免中だったことが2024年3月8日、同署の調べで分かった。 男はトルコ生まれ日本育ちの在日クルド人で、事実上の 「移民2世」 という。 調べによると、男は2024年1月13日午後10時半頃、川口市内のコンビニ駐車場に止めた乗用車内で、東京都内の10代の女子生徒に性的暴行をしたとして2024年3月7日、不同意性交などの容疑で逮捕された。 同署によると、男は先に来日していた父親を頼って幼少期に来日し、地元の小中学校に通っていた。 卒業後は家業の解体業を手伝っていたと供述している。 男は父親と共に難民認定申請中で、入管施設への収容を一時的に解かれた仮放免中だった。 自宅はさいたま市内だが、川口市北部の隣接地域だった。 男は自身の運転する車で、SNS(交流サイト)を通じて知り合った都内の女子中学生らや、日本人男性らとドライブに行くことになった。 女子生徒らは横浜方面に向かうと考えていたが、車は都内から川口市内へ直行。 女子生徒らは車内でスマホを使ってやり取りして逃げ出そうとしたが、犯行現場のコンビニ近くで降ろされ、被害にあった女子生徒だけが車に残されたという。 男は 「日本人女性と遊んだが暴行はしていません」 と容疑を否認。 同署はトルコ語の通訳を介しながら調べを進めている。 川口市内では近年、一部クルド人と地域住民との軋轢が表面化。 「2世」 とみられる若者らによる車の暴走行為や煽り運転も問題となっている。 中学生に性的暴行したクルド人は難民申請中だった 地元市議は「実態を正しく直視するべき」 2024年4月5日 https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04050558/?all=1 埼玉・川口市でクルド人男性が不同意性交容疑で逮捕された。 女子中学生に性的暴行をした疑いである。 実はこの男性、難民申請中だった。 悲劇の主人公のはずの 「難民」 が他人を悲劇に追いやる、その実態とは。 *** 報道等によると、2024年3月7日に逮捕されたのはさいたま市に住むハスギュル・アッバス容疑者。 トルコ国籍の20歳、解体工だという。 事件があったのは2024年1月13日のことだ。 アッバスは都内の女子中学生とSNSで知り合い、複数人でドライブ。 2人きりになった後、川口市内のコンビニの駐車場に停車し、車内で犯行に及んだ。 行為の時間は約6分。 粗暴極まりない事件である。 川口市とその周辺でクルド系の住民と地元住民との間に軋轢が生じているのは周知の通り。 ■市議も「不安に思う市民が増えている」 2023年7月4日は男女の揉め事で怪我をしたクルド人男性が川口市立医療センターに運び込まれ、それを巡ってクルド人が100人ほど病院に集結。 一時、救急搬送の受け入れが停止されるという大騒動が起きた。 「不安に思う市民が増えていると感じます」 とは、川口市議の奥富精一氏。 「これまでも一部のクルド人が改造車で危険運転や違法駐車をしたり、あるいは喧嘩をしたりという事例が見られてきました」 2023年6月には市議会で 「一部外国人による犯罪の取り締まり強化を求める意見書」 が採択されている。 「そこにきて今回の事件ですから、市民の不安が益々増したとしても不思議ではありません」 ■クルド人増加の背景事情 クルド人とは、中東のトルコやイラン、イラク、シリアなどの国境地帯に住む「国を持たない民族」。 川口は彼らが集住する地域として知られ、現在、2000人以上が暮らしている。 「彼らは難民申請をしているケースが少なくない」 と言うのは、入管のさる関係者だ。 「トルコと日本は現在、短期滞在ならビザは必要ではありません」 「で、ノービザで入国し、滞在期限が切れるまでの間に難民申請を行うんです」 「すると、その審査期間中は強制送還が止められる」 「川口に来るクルド人の多くは、ある特定の地域の出身です」 「こうした仕組みで入った人たちが地元の親類縁者を呼び寄せ、数が増えていったんです」 今回の事件を起こしたアッバスも、先に日本に来た父を頼って幼少期に来日し、難民申請をした“移民2世”だという。 「実際、彼らが難民認定されることはほとんどありません」 「クルド人が母国で差別されているのは事実でしょう」 「が、難民条約が規定するように、自由が奪われたり、生活が著しく損なわれ、生命の危機が生じているかと言えば、そこまでとは認められないことが多い」 「申請期間中に日本で稼いで帰国するか、或いは子供が小中学校に長期間通うなどすれば、在留特別許可を貰えるかもしれない」 「クルド人増加にはこうした背景事情があります」 しかし、そうした入国経緯の者の中から凶悪犯が出れば、住民との摩擦が生じるのは当然の事だろう。 ■グレる2世 この地域で長年、クルド人支援に携わってきた「在日クルド人と共に」理事の松澤秀延氏は、 「彼らも日本の社会に順応したいと思っていますが、日本側の拒否反応が強く、そこで絶望を感じてしまうことも多い」 と分析するが、 「今回の事件もそうですが、2世の中には学校に行かず、いわゆる“グレて”しまうケースも少なくない」 「この問題を指摘するとすぐ差別と言われますが、まずは実態を正しく直視することが重要だと思います」 (奥富市議) 多様性尊重――そんな建前だけでは語れない現実が、この川口には横たわっているのである。 週刊新潮 2024年4月4日号掲載 外国人・高齢者 活力維持へ重要 「育成就労」「特定技能」着実に…人口減抑制[読売新聞社提言<7>] 2024/4/26 5:01 https://www.yomiuri.co.jp/national/20240425-OYT1T50222/ ■労働者に「選ばれる国」 人口が減って生産年齢人口(15〜64歳)が先細っていく中、社会の活力を維持するためには、労働力の確保が欠かせない。 政府は今年、外国人技能実習制度に代わる新制度 「育成就労」 の創設を決めた。 掲げたのは 「人材の確保と育成」。 帰国を前提としていた技能実習制度から大きな転換を図った。 外国人労働者を中期的に受け入れる在留資格 「特定技能1号」 も、自動車運送業や鉄道などの4分野を追加して16分野に広げた。 日本で暮らす外国人は増えており、約340万人に上る。 労働者は2023年10月末時点で約204万人だ。 政府は、育成就労と特定技能を 「車の両輪」 として、労働力を補っていく。 他国も受け入れを進めており、獲得競争を勝ち抜くには 「選ばれる国」 にならなければならない。 外国人の受け入れは、主に出入国在留管理庁が担っているが、労働者を巡る政策は多くの省庁にまたがる。 農業や介護、建設など職種も幅広い。 業種ごとに必要な人数や求める人材を呼び込むには、一元的に誘致していく必要がある。 その司令塔として、政府に 「誘致戦略本部」 を創設すべきだ。 制度を着実に進めていくため、自治体や地域住民にも配慮しながら、外国人との共生に向けた戦略を策定する。 育成就労では3年間働いた後、在留期間が5年の特定技能1号、永住が事実上可能な2号を段階的に取得してもらうことを目指す。 外国人の受け入れ先は主に地方の中小企業で、自力での育成には限界がある。 自治体の支援が欠かせない。 広島県は2023年、2号取得を目指す外国人を雇う企業に、最大300万円を補助する事業を始めた。 尾道市の 「因島鉄工」 はこの事業を使い、造船・舶用工業分野で全国初の合格者を出した。 その一人、ベトナム人のファン・ヴァン・マインさん(35)は 「将来は奥さんを連れてきて、ここでずっと働きたい」 と語る。 同社では試験対策として日本語講師を雇い、技能向上のための模擬試験を実施。 外国人向けの寮も整備した。 人材を繋ぎ止めるには、異国の地で働く外国人が暮らしやすく、文化に馴染める工夫も求められる。 ■フレイル対策 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、2020年に7000万人超だった生産年齢人口は、2100年に3200万人に減る。 人手不足を補うため高齢者の力も必要だ。 内閣府の調査では、仕事で収入を得ている60歳以上の9割が、「いつまでも」を含め、70歳以上になっても働きたいと回答している。 企業は、技術や経験を持つ高齢者を積極的に受け入れるべきだ。 2040年には医療・介護人材が100万人近く不足するとされ、介護が必要な高齢者を少しでも減らしたい。 要介護一歩手前の状態「フレイル」の高齢者が対策を取った場合、5年後に15%が改善し、35%が状態を維持したという調査もある。 予防には食事や運動、就労といった心身の充実がカギを握る。 郷に入って「郷に従わん」外国人 直球&曲球 宮嶋茂樹 2024/5/9 10:00 https://www.sankei.com/article/20240509-H4LOHB4JIROYBC6FPXFOHBKM7Y/ 日本経済が低調なのは 「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」 やて? いやいや、バイデン米大統領、言葉は正確に伝えんとアカンわ。 多くの日本人が嫌いなんは、日本に来ても日本の文化や伝統、ルールを尊重せず、皇室を敬愛するどころか敵視するような外国人のことや。 日本人もどないかしとるで。 政・官・財・民、挙げて 「インバウンド」 景気やと歓迎して、いちびっとるけど、日本に来る観光客や定住外国人は、当たり前のことやけど、善意の人≠ホかりやないんやで。 最初から転売目的で爆買い≠オたり、白タクで荒稼ぎしたりしとる外国人も後を絶たん。 オーバーツーリズム (とある地域を訪れる人が急増したことにより様々な問題が発生し、その地に暮らす人々や自然環境、生態系、景観などに悪影響を及ぼしている状況のこと。日本では「観光公害」とも呼ばれており、県や市といった全体で起きるものではなく、「〇〇市の橋周辺」や「春の〇〇府の寺院」など、特定の場所や季節、時間に起きるものを指す言葉) の弊害も深刻や。 そこで暮らしとる日本人が多大な不便や迷惑を強いられとる。 東京や大阪じゃ日本人が泊まれるホテルを探すだけで一苦労や。 富士山もゴミだらけやんけ。 これほど外国人観光客が日本に押し寄せる理由は色々ある。 メシがうまいし、安い。 種類も豊富や。 治安もエエし、皆が皆とは言わんけど、まぁ日本人は外国人に親切や。 しかし、一番の原因は昨今の円安やろ。 円安=日本が安う見られとるというこっちゃ。 ハワイやヨーロッパは無理やけど 「円安」 の日本やったらいけるわ、とな。 それでも、ワシは何もやみくもに外国人の観光客や定住者を締め出せ、と言うとるわけやないんや。 困っとるんは、日本に来てまで犯罪まがいのことをやったり、日本の法令に反する自分らの風習を認めろ、と叫んだり、日本を理解しようともしたりせん、外国人なのである。 海外の日本人を見てみい。 皆から嫌われんようにちゃんと努力しとる。 その国の慣習、ルールを尊重して気、遣っとる。 イスラム圏に行ったら、お祈りの時間は静かにしとるし、豚肉は食べんし、公の場では酒も飲まんようにしとる。 「郷に入れば郷に従え」 という、諺を知っとるからや。 その国の交通ルールから公共マナーまで、いくら日本人には理解不能でも尊重するで。 そんな日本人を 「外国人嫌い」 やて? バイデン大統領、それはないで! バイデン米大統領が同盟国を「外国人嫌い」と切り捨てた失言の背景 ポトマック通信 2024/5/9 7:00 https://www.sankei.com/article/20240509-MFUGY3GBRVNUJJQMQJDL5YUPEA/ バイデン米大統領は2024年5月1日、アジアや太平洋諸島系の支持者集会でこう述べた。 「米国経済が成長を続けるのはなぜか」 「理由は我々が移民を歓迎するからだ」 「なぜ中国は経済的に行き詰まっているのか」 「なぜ日本は困難な状況なのか」 「ロシア、インドはなぜか」 「理由は彼らが外国人嫌い(xenophobic)で、移民を望まないからだ」 人は異なる人種、言語、宗教、生活習慣の人々の存在に拒否感や嫌悪感を抱くもので、どの国も受容と葛藤の歴史を続けている。 私が驚いたのは、大統領の失言に慣れっこのはずの米メディアの反応だった。 「同盟国に否定的用語を使った意図は?」 との疑問だ。 バイデン氏がなぜ日印中露を一括りに 「外国人嫌い」 としたのか報道官の釈明を聞いても判然としない。 米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、米国の移民差別の事例を挙げて 「日本の友人たちがバイデン氏のコメントを受け流してくれることを願う」 と述べた。 流せなかったのか、日本政府は 「正確な理解に基づかず残念」 と申し入れをしたと聞く。 日印を軸に中露を牽制する政権のインド太平洋外交への影響を懸念する向きもあるというが、失言には本心や願望が表れることもある。 日本を権威主義陣営との橋渡し役とする新構想があるのかと想像した。 林官房長官、バイデン米大統領の「日本は外国人嫌い」 「正確な理解に基づかない発言」 2024/5/7 12:18 https://www.sankei.com/article/20240507-GHSI6VL6DRNXPNOBYGMUH7TUQU/ 林芳正官房長官は2024年5月7日の記者会見で、バイデン米大統領が、日本経済が低調なのは外国人嫌いなためだと発言したことに関し 「日本の政策に対する正確な理解に基づかない発言で残念だ」 「米国には日本の考えや政策を改めて説明した」 と述べた。 2024年4月の岸田文雄首相の国賓待遇での訪米を踏まえ、 「日米関係はかつてなく強固であり、引き続き日米関係の一層の強化に取り組んでいきたい」 とも強調した。 バイデン氏の発言は「残念」 日本政府が米側に伝達 2024/5/4 16:01 https://www.sankei.com/article/20240504-UYFMDSHLXZKMPNKFYEN72HZNLA/ バイデン米大統領が日本経済が低調なのは 「外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」 と発言したことについて、日本政府は2024年5月3日までに 「正確な理解に基づかない発言があったことは残念だ」 と米側に伝達した。 関係者が明らかにした。 ホワイトハウスが公表した発言録によると、バイデン氏は2024年5月1日、ワシントンでの選挙資金集めイベントで、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛し 「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」 と語った。 ジャンピエール大統領報道官は2024年5月2日、バイデン氏の発言について 「移民が如何に米国を強くしているかについて話した」 と記者団に釈明した。 記者から日本との関係を悪化させるのではないかと問われると 「日本とは力強い関係がある」 とだけ答えた。(共同) 日本や中国の経済不調は「外国人嫌いのせい」 バイデン米大統領が集会で発言、移民を称賛 2024/5/2 18:35 https://www.sankei.com/article/20240502-HXPLHHHEO5LJ5LECJI6HHSVFW4/ バイデン米大統領は2024年5月1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは 「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」 と発言した。 ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。 2024年11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で 「移民こそが私たちを強くしてくれている」 と強調。 一方で 「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」 との見方を示した。 国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した2024年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。 一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。(共同) 国貧しくする外国人政策 政策シンクタンク代表 原英史 2024/4/28 8:00 https://www.sankei.com/article/20240428-7IRYKFFZSFP2TFLRAJTQM47IVE/ 外国人の技能実習制度の見直しなどを内容とする出入国管理法等改正案の国会審議が始まった。 2024年4月26日、衆院法務委員会で参考人質疑が行われ、私も参考人の1人として陳述を行った。 私の述べた意見は、技能実習など個別制度の手直しの前に、まず 「外国人基本法」 を制定し、受け入れの戦略を明確にすべきだということだ。 政府は従来、なし崩しで外国人政策を進めてきた。 表向きは 「移民は受け入れない」 と言いつつ、実態は安価な外国人労働力の受け入れが拡大した。 日本人に十分な賃金を払って人材確保できない企業や業界が、安易に外国人労働者に頼り、入管行政も要望に応えた。 「国際協力」 が目的の技能実習制度などの悪用を政府が容認してきたのだ。 この結果、劣悪な労働環境や失踪などの問題が生じ、外国人による犯罪、社会的トラブルなども広がりつつある。 業界・企業が賃上げせず事業継続する道が用意され、賃金水準低迷の一因となった。 今回の改正案はこうした根本問題を解決するものではない。 「技能実習制度の廃止」 を掲げ、実態とかけ離れた国際協力の名目を人材育成などに改めてはいるが、実質大きく変わった点と言えば、転職を認めた程度だ。 看板の掛け替えに近い。 今後、人手不足が拡大する中で外国人受け入れの規模は拡大するから、これまでの戦略なき受け入れの負の側面は、更に大きく広がりかねない。 政府が今、行うべきことは戦略なき状態の解消だ。 国民的な議論も経て、 「外国人基本法」 を制定することが不可欠だ。 基本法ではまず、何のために外国人を受け入れるのかを明確にする必要がある。 「人手不足の解消」 を目的とするのは危うい。 業界要望に安易に応え続けることになり、日本人も含めた賃金引き上げを阻害し、日本をより貧しい国にしかねない。 安易な労働力の受け入れは社会的軋轢も生みやすい。 目的は 「日本を豊かにすること」 とすべきだ。 生産性を高めて経済社会を発展させるため、貢献できる質の高い外国人を戦略的に受け入れていく必要がある。 併せて、外交・安保政策の観点で人的交流を強化すべき国から重点的に受け入れるよう戦略性も求められる。 日本に限らず、移民を巡る議論は、賛否が大きく分かれ、イデオロギー・感情的対立にも陥りがちだ。 解決の道は、安易な受け入れでも全面的排除でもなく、日本国にとって有用な外国人材を選び抜いて受け入れることだと考える。 だが、今回の改正案はなし崩しの延長で、安易な外国人受け入れの道を広げ、社会の混乱を招き、日本をより貧しくしかねない。 必要なのは、なし崩し的な移民から戦略的政策への転換だ。 育成就労決定 永住資格を厳格化 税金滞納で取り消し 産経新聞2024年2月10日 政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、外国人の永住許可制度を適正化する政府方針を決定した。 外国人永住者を巡っては、税金を滞納する事例などが確認されており、悪質な場合は在留資格を取り消せるよう要件を見直す。 政府は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる 「育成就労」 制度の方針を決定。 即戦力の外国人労働者を受け入れる在留資格を 「特定技能」 のうち、事実上永住できる特定技能2号への移行を促す同制度下では永住者の更なる増加が見込まれることから、悪質な外国人を排除する仕組みを整備する。 入管難民法は、永住資格の許可要件として素行の善良さなどを規定。 政府のガイドラインでは他に、納税義務の履行などを要件に挙げている。 一方、入管難民法で在留資格を取り消せるのは虚偽の申請で資格を得た場合などに限られ、税金や社会保険料の滞納を重ねても取り消されない。 関係者によると、永住資格取得後、納税などを拒むケースが複数、確認されている。 永住者は在留期限や活動に制限がない。 2023年6月末時点で約88万人で10年前から4割弱増加。 在留外国人の約3割を占める。 政府、外国人の「育成就労」新設方針 転籍1〜2年で可能 技能実習制度は廃止 2024/2/9 10:30 https://www.sankei.com/article/20240209-44RUQO4NEFNRPJT2WJRKPZ2X5Q/ 政府の関係閣僚会議は2024年2月9日、技能実習制度の代わりに新たに外国人を受け入れる 「育成就労」 制度創設を柱とする政府方針を決定した。 技能実習制度では原則認められていなかった転籍(転職)を原則1年で認める一方、最長で2年間、転籍を制限できるとした。 政府は2024年3月にも国会に関連法案を提出する。 技能実習制度を巡っては劣悪な労働環境の影響で人権侵害事案などが発覚。 政府の有識者会議が昨年、公表した最終報告書は技能実習制度を廃止し、育成就労制度を創設。 育成就労期間が1年を超えるなどの条件を満たせば原則、転籍を認めるとしていた。 その後、地方から都市部に人材が流出する可能性があるなどの懸念を払拭するため、転籍に一定の制限をかける必要があると自民党の部会が提言。 政府方針は、当面、業界ごとに最長で2年まで転籍を制限できるとした。 転籍時の日本語能力は、最も易しい日本語能力試験「N5」レベルや、基本的な日本語を理解することができる「N4」レベルを設定する。 転籍要件の緩和に伴い、悪質な転籍ブローカーの介入を防ぐため、転籍の仲介状況を透明化するための体制を整備をする他、資格のない外国人を雇うことを禁じる不法就労助長罪の法定刑を引き上げる。 受け入れの仲介を担う監理団体は 「監理支援機関」 とし、外部監査人の設置を義務付ける。 新制度は、人材の育成だけでなく確保も目的とし、受け入れる分野を特定技能制度と揃える。 育成就労期間を終えて日本語と技能の試験に合格すれば、特定技能1号に移行できる。 欧州、難民は「外国に送れ」の新潮流 メローニ伊首相「モデルになる」と意欲満々 緯度経度 三井美奈 2024/2/9 9:00 https://www.sankei.com/article/20240209-O2HOXT6SKVMYXM4VF7UMMMLY64/ 移民流入に悩む欧州で、 「難民を第3国に送る」 という奇策が浮上した。 イタリアと英国が先導している。 イタリアの計画は2023年11月、メローニ首相が発表した。 地中海を渡ってくる不法移民を隣国アルバニアに送るという。 2024年春にもスタートし、年間3万6000人を見込んでいる。 「欧州のモデルになる」 と誇った。 計画によると、アルバニアの沿岸に受け入れ施設を造ってもらい、イタリアに移民船が来たら、上陸させずに施設に直送する。 施設ではイタリアの職員が難民審査を行い、周辺の警備はアルバニアが担う。 難民資格が得られなかった人は、イタリアの責任で送り返すことになっている。 イタリアには2023年、北アフリカから移民船で15万人以上が押し寄せた。 イタリア政府は欧州連合(EU)加盟国に 「分担して受け入れを」 と求めたが、応じてもらえない。 そこで、アルバニアに 「EU加盟を支援する」 と約束し、合意を取り付けた。 地元紙によると、経費は5年間で推計6億5000万ユーロ(約1030億円)。 全てイタリアが負担する。 金と手間をかけて、わざわざ移民を外国に送るのには訳がある。 欧州人権法では、1度入国させると追放は極めて難しい。 難民資格がない人も申請を繰り返し、 「子供や病人がいる」 と法廷で訴えれば、強制退去にブレーキがかかる。 そこで 「とにかく入国させない」 ことが重要になった。 「我が国(イタリア)に来ても外国に送るからムダ」 と示し、密航を諦めさせる狙いもある。 メローニ氏は 「不法移民に危険な旅をさせずに済む」 と、抑止効果を強調した。 欧州研究機関 「国際移民政策開発センター」(ICMPD) のマルティン・ホフマン顧問は 「よく練られたアイデア」 「EU域外の受け入れ施設でも、イタリア法で運営すれば『人権軽視』の批判をかわせる」 「うまくいけば、追随国が増えるだろう」 と予測する。 英国では今、 「移民のルワンダ移送」 法案が国会で審議されている。 英仏海峡を渡ってくる不法移民を6500km南のルワンダに送り、難民申請から定住まで委任することを目指す。 イタリアと英国は、人権団体や左派野党から 「残酷」 「難民保護の責任逃れ」 と批判された。 英国では2023年、当初法案に最高裁が 「人権侵害の恐れあり」 として違憲判決を示し、政局は大揺れになった。 それでも、第3国移送案への関心は高い。 デンマークの他、ドイツ最大野党の中道右派 「キリスト教民主同盟(CDU)」 が、EUによる取り組みを訴えている。 フォンデアライエン欧州委員長は、イタリア案を 「画期的」 と讃えた。 EUはこれまで、リビアやチュニジアに支援金を出し、移民船の出航を止めてもらおうとした。 EU加盟国で受け入れ枠を作り、負担を分け合うことも定めた。 いずれもあまり成果がない。 どの国も 「何とかしろ」 という世論の圧力に直面している。 注目が集まるのは、欧州人を良心の呵責から救う効果もあるからだろう。 各国政府は本音では不法移民を追い払いたいのだが、 「瀕死で救いを求める人を見捨てるのか」 という人権団体の訴えを無下にできず、常に逡巡している。 苦難の末にやってきた移民を、また外国に送る。 そんな方策に飛びつくほど、事態は切迫している。 2023年、欧州で難民申請件数は100万件を超えた。 地中海を渡る途中で死亡、行方不明になった移民は約3000人に上る。
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