５１５を想起しよう

　515前後（1932年、92年前）頃は、最大の問題は軍縮（軍事費削減）か軍拡かの問題であった。昭和金融恐慌と昭和恐慌が長引く中で、経済不況・不景気に呻吟する国民労働者農民大衆を救済のためには、軍事費を削減する必要があった。この頃の軍事費は、予算総額の合算して3割強を占めていた。現今で言えば、予算110兆円として、30兆円が軍事費のようなものであった。GDP500兆円とすれば、30％約150兆円が軍事費に相当することになる。現状では、安倍内閣が独断で2％に引き上げたとか大騒ぎだが、30％だよ。国民大衆が疲弊する中でだよ。誰が考えても軍事費削減しか、経済回復・国民生活向上の方途ないのは明らかであった。時あたかも世界的軍縮の声が強まる時代で、軍備縮小・軍事費削減は時代の声であった。さすが軍部も、こうした時代の声に苦慮し、名は捨てて実とるとか、裏の手を使うとか、様々な画策した。前者なら、師団連隊の削減に応じるが、代わりに軍近代化は進めるとか、後者ならテロ勢力に闇資金渡して、政治家・言論の口を封じとかに動いた。政治テロをみても、浜口、3月事件、10月事件、井上、団、と続き、515の犬養であった。この流れは最終的に4年後の
226（1937年）へと続き、国の崩壊へと導く戦争路線へのギアアップは止め処なくなった。最後か軍事費が国家予算の８割、9割にも達する
バカげた国となり、国家は崩壊した。
　繰り返すが、あのとき、　515前後（1932年、92年前）頃、軍縮に傾斜し、言論や国民が勝利してたら、国の崩壊はなかった。今また、軍拡・武器海外輸出路線か平和国家路線か岐路が問われてるが、昔の名前で出てます様に、かって辿った轍では困る。あのときああしたらの思いを、最早繰り返したくない。
　　　（参考資料　纐纈　厚『戦争と敗北』2019、新日本出版社
　　　　　　　　　中村　隆英『昭和史　上』2012、東洋経済新報社）　

　関連して、本年1/16阿修羅サイト＜官邸筋から情報リークか＞に下記コメ載せたので参考に再掲する。

＜政治資金法違反で、先ずは萩生田を逮捕し、関連で西村・松野・世耕・高木を逮捕し、国税法違反で森を取り調べ、更に国家資金横領で二階を訊問追及する。このパターンしか、最早我が国再生の道はない。実は、国の岐路が掛かった同様な選択肢を問う場面がかって一度だけあった。88年前の帝都東京を震撼させた事件である。226の叛徒一味を捜査した坂本俊馬憲兵大佐が、寺内陸相・匂坂法務官（検事）等へ送付した「軍上層部内ノ叛軍一味徒党検挙計画案」と題する意見具申書の内容である。
　
　同具申書冒頭は「大臣告示下達に伴う叛乱幇助により、香椎中将を検挙し之に関連して真崎、荒木両大将及山下少将を検挙し、爾後此四人の訊問追及により計画の全貌を暴露し逐次一味を検挙す」とあった。坂本大佐の具申通りにいったならば、その後の我が国の進路は、悲惨な300万人が犠牲になる方向とは、又多少違う可能性もあった。が実際は、統制派が本叛乱を利用し、軍上層部の総対的な責任をウヤムヤにする形で蓋がされ、以後は一瀉千里に戦争拡大に向かった。坂本さん匂坂さんから見れば、無念残念切歯扼腕の思いだった。今回も会計担当とかの子鼠の数匹でシャンシャンでよいのか。新年検察少壮若手から年賀状貰ったが、“巨悪は倒す”とあった。今、我が国の浮沈を問う選択肢が、眼前にある。
　　　　（一部出所：澤地久枝『雪はよごれていた』1988，日本放送出版協会、Ｐ1）