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売国政策排し保有米国債全額売却せよ
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2024年5月 1日 植草一秀の『知られざる真実』
かつてジャパンアズナンバーワンともてはやされた日本経済。
凋落が始まって35年の時間が経過する。
ドル表示の日本の名目GDPは1995年を100とすると2022年が76。
27年の時間を経て経済規模が4分の3に縮小した。
同じ期間に米国のGDPは3.3倍に拡大した。
中国のGDPは24.5倍に拡大した。
購買力平価ベースでも日本の平均賃金水準はG5最下位に転落した。
隣国の韓国にも抜かれている。
2012年12月に第2次安倍内閣が発足してアベノミクスなる経済政策路線が提示された。
「成長戦略」と銘打たれ、日本経済の成長を目指すとされた。
しかし、アベノミクスの下でも日本経済の成長はまったく実現しなかった。
国民にとって最重要の経済指標は実質賃金の動き。
労働者一人当たりの実質賃金指数は1996年から2023年までの27年間に16.7%も減少した。
アベノミクス始動下においても、2012年から2023年までの11年間に実質賃金は8.3%も減少した。
2022年の内閣府年次経済財政報告によれば世帯所得の中央値は1994年の505万円から2019年の374万円へと131万円も減少した。
つまり、アベノミクスはまったく成功しなかったということ。
現在、日本は日本円の暴落に直面している。
日本円の実質実効為替レートは1970年よりも下落している。
1ドル=360円時代の日本円よりも日本円の力は落ちている。
通貨の下落は国際評価の下落。
日本国民が保有する資産のドル換算金額は日本円暴落に連動して暴落している。
日本円暴落は日本国民の財産喪失を意味している。
通貨の暴落を誘導する政策を採用することは狂気の沙汰。
この点を含めてアベノミクスの評価を再確認しておく必要がある。
アベノミクスは三つの政策を総称したもの。
三つの政策とは、財政出動、金融緩和、成長戦略である。
財政政策、金融政策、構造政策は経済政策の主要な三本柱。
アベノミクスはこのメニューを羅列しただけのもので目新しさは皆無である。
内容を見ると、財政政策では財政出動を掲げたが、2014年と2019年に二度の消費税増税を実施している。
財政出動ではなく財政緊縮である。
これを「アベコベノミクス」と呼ぶ。
金融政策では量的金融緩和を実行した。
インフレ率を2%に引き上げることを公約に掲げた。
この公約は実現しなかった。
これは不幸中の幸いだった。
そもそも「インフレ誘導政策」が誤りだ。
インフレは政府と大企業に利益を与えるもの。
インフレが進行すると実質賃金が減少する。
インフレが進行すると債務の実質価値が減少する。
一般国民は労働者であり預金者である。
インフレは労働者・預金者に損失を与える。
インフレ誘導に失敗したから国民の大損失は回避されたが、その後遺症が2022年から23年に現れた。
日本でも激しいインフレが生じたが黒田東彦氏が率いる日銀がインフレを煽る政策を実行した。
同時に黒田日銀の量的金融緩和政策が日本円暴落をもたらした。
その結果として、日本国民が甚大な損失を蒙っている。
アベノミクスの核心は「成長戦略」にあった。
成長戦略とは「大企業利益の成長戦略」であり、「労働者=一般国民の不利益の成長戦略」だった。
日本経済を立て直し、国民生活を改善するためには、これまでの経済政策を総括し、政策運営の抜本転換を断行することが必要不可欠である。
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