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※紙面抜粋
※2024年4月19日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
四国初の震度6弱、「防災」よりも「軍拡」(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
また地震だ。それも震度6弱。大きい──。深夜の速報に、震源地近くの住民じゃなくとも不安にかられた人は少なくないだろう。
17日午後11時すぎに発生した、愛媛県と大分県に挟まれる豊後水道を震源とする地震。震源の深さは39キロ、地震の規模はマグニチュード6.6と推定され、愛媛県愛南町と高知県宿毛市で震度6弱を観測した。きのう時点で、愛媛・高知・大分の3県で12人が骨折など重軽傷。一部で断水や落石が発生した。倒木により一時孤立状態となった地区があったが、きのう午前中に解消した。
気象庁は、南海トラフ巨大地震の想定震源域内ではあるものの、発生メカニズムが違うと説明。南海トラフ発生の可能性が「急激に高まったとは考えにくい」としている。
震度6弱ながら人的被害が小さかったことに安堵するが、一方で、四国で震度6弱以上を観測したのは現在の震度階級になった1996年以降初めてという事実に不気味さも感じる。
それでなくとも今年は、震度7を観測した元日の能登半島地震に始まり、比較的大きな地震が頻発している。気象庁のデータによれば、震度5弱以上はすでに23回を数え、過去1カ月でも茨城県南部(3月21日)、岩手県沿岸北部(4月2日)、九州南部の大隅半島東方沖(4月8日)で震度5弱を観測している。
「プレート境界の北端に位置する北方4島から南端に近い沖縄や先島諸島まで、2011年の東日本大震災で生じたひずみが少しずつ補正されている状況」(立命館大環太平洋文明研究センター・高橋学特任教授=災害リスクマネジメント)だというから、日本列島の北から南まで、いつ、どこで大地震が起きてもおかしくないということだ。
自然災害は戦争以上に手ごわい
だが、大地震災害への対策や準備が進んでいるのかといえば心もとない。能登地震がいい例だ。石川県の地域防災計画の被害想定が過小で、避難所整備や救援が遅れた。発生から4カ月半が経過した今も小中学校などの1次避難所に3000人弱が身を寄せる。幹線道路が1本しかない半島という地形が影響しているとも解説されるが、日本中に半島は山ほどある。早急に対策を打たなきゃいけないのに、岸田政権がシャカリキになって動いている気配はない。
「防災」に関する著書もあるジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「『自然災害は有事』という考え方を政府が持っているのかどうか。通常、有事は戦争を意味する。しかし、自然災害も戦争と同じで、国民の命を奪い、国土を破壊する。相手国があって交渉できる戦争と違って、自然災害とは交渉できませんから、戦争以上に手ごわい敵なのです。ところが岸田政権は、防衛費を増税までしてGDP比2%、5年間で43兆円に増額しようとしているのに、自然災害の予算は圧倒的に少ない。能登地震でも本予算ではなく予備費からの拠出の繰り返し。なぜ自然災害にもっと予算をかけないのか」
自然災害の事前対策には予知と研究があるが、例えば、火山の調査研究の司令塔を担う、国の火山調査研究推進本部(火山本部)は今年4月ようやく文科省内に設置されたばかりだ。地震本部と同等の組織が火山にもでき、防災力を強化するということだが、58人が亡くなった御嶽山の噴火災害は2014年だった。遅すぎやしないか。
「気象庁の予算は内部で自虐的に『コーヒー予算』と呼ぶほど金額が少ない。年間予算は500億円台後半から600億円で、これを国民1人あたりにすると500円。コーヒー1杯分の値段ということです。豪雨災害をもたらす線状降水帯を分析するスーパーコンピューターを購入したのは昨年3月ですよ。線状降水帯は10年近く前から発生し、各地に甚大な被害をもたらしてきたのに遅すぎる。能登だって群発地震が続いていて、専門家は警鐘を鳴らしていた。なぜ突き詰めて対策を議論しなかったのか。常に最悪の状況を想定して対策を準備するという危機管理ができていない」(鈴木哲夫氏=前出)
能登地震でハッキリした「原子力災害避難計画」は機能しない
四国電力伊方原発(C)共同通信社
そして、この国で地震発生時にまず頭をよぎるのは「原発は大丈夫か」だ。地震のたびに原発周辺は肝を冷やしている。小さな島国に停止中(廃炉を除く)を含め30基以上もの原発があるのだから、列島のどこかで地震があれば、いずれかの原発に影響を及ぼしかねないのである。
17日の豊後水道を震源とする地震でも、愛媛県の伊方原発が心配された。四国電力は地震発生直後は「異常なし」としていたが、きのう未明に、3号機で蒸気の水分を除去する加熱器のタンクの弁が不調となり、発電機の出力が約2%低下していると発表した。運転には影響なく、原子力規制委員会も安全上の問題はないとしている。
しかし、である。東日本大震災で福島第1原発のメルトダウンを経験した日本で、いまだ原発が当たり前に稼働していることが信じられない。それどころか、岸田政権は新増設にまで踏み込んだのだから狂気の沙汰だ。
正月の能登地震でも、北陸電力志賀原発で不具合が続出し、問題になった。震度6強を観測した珠洲市では、原発建設計画が凍結されていて本当によかったとの声も上がった。裏を返せば、珠洲原発が完成していたら、福島原発事故の再来だったかもしれない。
元経産官僚の古賀茂明氏がこう言う。
「自治体が策定する『原子力災害避難計画』がまったく機能しないことも能登地震でハッキリしました。地震はただ揺れるだけでなく、地震によって道路の隆起や陥没が起き、通行できなくなるという現実を志賀原発の周囲で目の当たりにしたからです。原子力ムラや経産省は、そうした不都合な事実に世間の目が向かないようにしていますがね。ただ、志賀原発と同じ日本海側の原発銀座には東京電力が再稼働に意欲を燃やす新潟の柏崎刈羽原発があります。能登地震を見て、新潟県知事は柏崎の再稼働に慎重になったのではないか。推進派ですら『本当に大丈夫なのか』と不安に駆られたはずです」
原発推進と軍拡を同時に進める倒錯
それでも東電は15日、柏崎刈羽原発7号機の原子炉に核燃料を入れる装填作業を始めた。立地県や自治体から再稼働の同意が得られていないのに既成事実化を進めているのだ。
もちろん岸田政権の原発推進方針があってのことだろう。だが一方で原発は、攻撃されたら核爆発のリスクがある。敵基地攻撃能力のために「トマホーク」を爆買いするなど、防衛費を倍増させることがいかに倒錯であるか、岸田首相は分かっているのか。
「国賓待遇の訪米で岸田首相は『米国と一体となって戦います』と宣言してきた。日本を取り巻く安全保障環境が非常に厳しくなり、中国も北朝鮮もロシアも危ないから米国と一体化しなければならない、と主張しているわけですが、ならば戦争になった時に敵が原発を狙う可能性を考えないのでしょうか。核兵器を使わず、普通のミサイルでも壊滅的な被害を受ける。エネルギー安全保障だとか脱炭素だと原発を推進していますが、軍備拡張の一方で原発が攻撃されるリスクについて何も言わないのは矛盾している。どうしてそうした議論がないのか。安全保障の専門家でなくとも中学生でも考えるような話です」(古賀茂明氏=前出)
岸田の関心が能登より訪米だったのは明らか。自衛隊と米軍の指揮統制の連携や防衛装備品の共同開発・生産など、米国で数々の勇ましい約束をしてきた。「防災より軍拡」の岸田政権に国民の命を守れるのか。
「訪米時の米議会での演説で岸田首相は『米国を支えます』と米国民に誓った。それは、日本は米国と一緒に戦争に行くんですという約束です。岸田首相は日本国民を守るどころか、国民が犠牲になる恐れがあることにも関心がないのでしょう。原発推進も同じで、何でもあり。原発災害に巻き込まれる懸念を抱く国民は置き去りです」(古賀茂明氏=前出)
地震の巣の日本列島に我が身かわいさだけの無策首相。国民は不幸としか言いようがない。
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