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※紙面抜粋
※2024年4月11日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
裏で進む大軍拡(「ビースト」に乗り、バイデン米大統領と笑顔満面の岸田首相)/(C)ロイター/EYEPRESS Images
米国にすり寄るだけの「朝貢外交」に、随分とご満悦のようだ。
岸田首相は米国時間の9日(日本時間10日)に、バイデン大統領との非公式夕食会に臨み、シーフードレストランで食事を共にした。
よほどうれしかったのか、岸田はX(旧ツイッター)に夕食会へ向かう車中でバイデンと共に納まる写真を投稿。ニッコリと満面の笑みを浮かべてみせた。
夕食会に先立つ「プレゼント交換」では、バイデンから歌手のビリー・ジョエルのサイン入りレコードと版画のセットなどが贈られた。
岸田は能登半島地震を意識して石川県の輪島塗のコーヒーカップとボールペン、沖縄県産のコーヒー豆、任天堂の「スーパーマリオ」のぬいぐるみなど、キャラクターグッズを贈呈。輪島塗はともかく、いくら3歳になる孫のためとはいえ、80歳越えのバイデンにマリオグッズとはセンスを疑う。
日本時間の11日未明に日米首脳会談、続いて公式夕食会が行われ、12日は岸田の米議会上下両院合同会議での演説と、日米にフィリピンを加えた首脳会談が行われる。
翌日にはノースカロライナ州を訪問し、日本企業の現地工場を視察する予定だ。
日米首脳がニコニコ顔の裏で進めるのは、自衛隊と米軍の完全一体化だ。首脳会談では、自衛隊と米軍の指揮統制の連携と、防衛装備品の共同開発・生産に関する協議体創設で合意。指揮統制の連携を巡っては、中国の脅威を念頭に、米国が在日米軍司令部の機能を強化させたい意向だ。防衛装備品の共同開発・生産についても、今後は米国だけに頼らず同盟国の間でどんどん武器をつくりましょうってことだ。要するに、岸田は自民党の裏金事件などなかったかのように、米国との一体化と、日本の軍拡に邁進しているのである。
支持率回復の思惑がミエミエ
9年ぶりの国賓待遇が実現したのだって、とどのつまりバイデン米国の言いなりの結果だ。岸田政権が決めた防衛費倍増、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の爆買いを“評価”されたわけである。
果たして、米国の意向に沿った大軍拡が日本国民の命を守ることにつながるのか。岸田政権は中国による「台湾有事」の危機をあおっているが、むしろ、中国をはじめとした周辺諸国をいたずらに刺激するだけだろう。最悪の場合、日本は米国の戦争に巻き込まれる恐れすらある。
本気で国民の命を守るというのなら、優先すべきは大軍拡ではない。喫緊の課題である災害対策を充実させるべきだ。元日に最大震度7の能登半島地震が発生してから、10日で100日の節目が過ぎても、今なお6000人以上が避難所生活を強いられている。
この間にも日本列島は揺れ続けている。先月15日には福島県沖、21日は茨城県南部を震源とする震度5弱の地震が発生。今月に入っても、2日には岩手県沿岸北部、8日は宮崎県の大隅半島東方沖を震源とする震度5弱の地震が起きている。石川県では今なお余震が頻発している状況だ。
大軍拡に血道を上げる前に、いち早く防災に取り組むべきではないか。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「武器は使えば戦争につながり、使わなければ無用の長物です。米国のための大軍拡より、防災を優先すべきなのは言うまでもありません。ところが、岸田首相は米国にいい顔をしたいと考えているのでしょう。加えて、訪米によって『外交の岸田』をアピールし、裏金事件で低迷する支持率を回復させたい思惑がミエミエです。国民はこうした謀略にだまされてはいけません」
低すぎる「地震大国」の危機意識
日本とは段違いの台湾の地震対応。避難所は快適で超充実(C)共同通信社
ただでさえ、日本の防災政策は世界に遅れている。その後進性を浮き彫りにしたのが、今月3日に発生した台湾東部沖地震だ。最大震度6強の発災から10日で1週間となったが、台湾当局の対応の迅速さには目を見張る。
被害の大半は震源地に近い花蓮県に集中。観光地「太魯閣国立公園」では落石や土砂崩れが発生した。
道路が遮断され、一時は外国人観光客を含む700人超が渓谷のホテルなどに取り残されたが、消防当局は発災翌日の4日朝からヘリコプターで救出や物資の運搬を開始。並行して道路のがれき除去を急ぎ、7日までに早々と孤立状態を解消した。
太魯閣よりも震源地に近い花蓮市では、傾斜したビルの解体工事を発災当日に開始。余震による倒壊でさらなる被害者が出るのを防ぐため、早期解体に着手したという。能登半島地震を巡る日本政府の対応とは比べるまでもない。
台湾では2009年施行の法律で、地震や建物を専門家が個別に調査し、倒壊リスクが高いと判定すれば、所有者の同意なく当局の判断で撤去できる。
こうした迅速対応の背景には、1999年9月に起きた最大震度7の「921大地震」の経験がある。数万棟の建物が倒壊し、2400人以上が亡くなった。大震災から得た教訓を大いに生かしているのだ。
翻って日本では、95年の阪神・淡路大震災や04年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災、16年には熊本地震と巨大災害が相次いで発生。この国は言うまでもなく「地震大国」のはずだが、政府は過去から何も学ぼうとしない。震災のたびに右往左往し、モタモタしているうちに被害が拡大するのがお決まりのパターンだ。
相変わらず劣悪な日本の避難所
能登半島地震の対応もヒドイものだ。
当初から自衛隊派遣の後手後手が問題視されたが、致命的だったのは想定の甘さ。石川県の地域防災計画では、今回の震源・規模に近い被害予測として、死者7人、避難者2781人と想定。「ごく局所的な災害で災害度は低い」と評価していた。いざ、フタをあけてみれば死者は245人(9日時点)で、避難者は一時、3万4000人を超えてしまった。
何より彼我の差を痛感するのは、避難所の環境だ。
台湾の避難所には、プライバシー保護のためのテントが設置され、テント1つにベッドが2〜3床配備されている。温度調節できるシャワー用テントや日用品、食料も充実。避難者は疲れや緊張をほぐすマッサージを受けることもでき、子どもたちにはビデオゲームまで用意されている。携帯電話の充電設備や無料Wi-Fiもあり、至れり尽くせりである。
一方、能登の避難者は体育館に詰め込まれ、プライバシーのない劣悪な環境での生活を強いられている。台湾とは天と地で、SNSでは〈台湾の避難所見ると雑魚寝ジャパンの酷さが際立つ〉〈なさけない日本の避難所〉との批判が渦巻くありさまだ。一体、なぜこんなにも差が出るのか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言った。
「端的に言えば、日本政府に自然災害が『有事だ』との意識が根付いていないのです。災害対策は手間暇がかかり、平時だと国民へのアピール材料になりづらい。そのため、防災を専門にする政治家が少ない事情もあります。しかし、災害は国民の命と国土を脅かす有事です。防衛のために武器を買うと言いながら、災害による有事への対策をおろそかにするなど、明らかにおかしな発想です。岸田首相もあまりに危機感が薄い。考えを変えるべきです」
今からでも遅くはない。岸田は台湾に飛び、防災の教えを請うべきだ。米国に行ってヘコヘコ頭を下げ、武器を爆買いしている場合ではない。
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