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7月総選挙目論む断末魔岸田首相
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2024年4月 1日 植草一秀の『知られざる真実』
岸田首相が衆議院を解散し、4月28日衆院総選挙を実施する決断を下した。
というのは4月1日情報だが、岸田首相は解散総選挙を乗り切って首相を続投する願望を捨て去っていない。
ぼろぼろの内閣支持率。
自民党支持率も凋落の一途をたどる。
満身創痍の岸田内閣を支える屋台骨が野党不人気。
与野党一騎打ちの地方首長選で野党は敗北を続ける。
3月24日の熊本県知事選。
昨年12月の東京・武蔵野市長選、本年1月の八王子市長選のすべての選挙で野党候補が敗北。
政権末期には与党候補が連敗し続けるのが通例。
政権交代への期待が高まる。
しかし、現状は異なる。
自民人気が凋落しているにもかかわらず、重要選挙で与党候補が勝利を重ねている。
野党第一党の立憲民主党の不人気は自民党に勝る。
現状を踏まえれば岸田首相が解散総選挙で中央突破を図ることは不思議と言えない。
通常国会会期末の衆院解散、7月総選挙の可能性が残存する。
焦点は自民党内の抗争だ。
中央突破を図り、首相続投の野望を追求する岸田首相。
これに対する対抗馬の筆頭が茂木敏充自民党幹事長。
これまでの自民党で最大権勢を振るってきたのは安倍派だ。
裏金事件は安倍派の権勢をそぐために用いられている。
同時に岸田氏にとっての大きな脅威が二階派だった。
裏金事件で安倍派と二階派の権勢を沈めた。
岸田氏に対抗する茂木氏は麻生太郎氏を頼みに岸田氏退陣を画策する。
国民も野党も視界にはない。
自民党内の権力闘争が展開されている。
裏金事件で最重要の問題は政治資金規正法の抜本改正。
野党はここに焦点を絞って予算審議に対応するべきだった。
予算成立への協力の条件として抜本法改正の確約を獲得するべきだった。
岸田内閣が法改正に背を向け、その結果として国会審議が止まるなら、国民の批判は野党ではなく岸田内閣に向かう。
この国民世論を追い風に予算審議での強硬対応を示すべきだった。
ところが、その野党が率先して予算成立に力を貸した。
野党に政治資金規正法を抜本改正する意思が存在しない。
かくして予算は何の抵抗もなく年度内に成立し、裏金事件は自民党内の処分問題に転化してしまった。
自民党内でどのような処分を行おうが大勢に影響しない。
離党勧告で該当者が自民党を離党したところで、総選挙で対立候補を自民党が擁立しないなら、何の変化も生じない。
痛くもかゆくもない自民党内処分問題に焦点をずらされたのは、野党の全面協力のおかげ。
「政治とカネ」問題に真摯に取り組むなら、抜本法改正を通常国会で成立させることが必要不可欠。
1.同法21条の2の2項を削除する
2.政治家に総括収支報告義務を課す
3.連座制を導入する
この三つを盛り込む法改正が必要不可欠。
自民党幹事長が5年で50億円の寄附を受領し、使途が一切公表されない現実に焦点が当たり、この事態を根絶する法改正を実行しないなら、日本政治が腐敗から脱することはできない。
政治自身が腐敗から脱する意思を有していないことが鮮明になる。
岸田首相は自民党内処分を確定し、4月9〜13日に訪米。
実質賃金指数が2年ぶりに前年比プラスを記録する可能性がある。
この統計を受けて「デフレ脱却宣言」を行い、7月総選挙に突き進む。
政権を維持して9月自民党総裁続投を狙う。
こんな皮算用が透けて見える。
この局面でゲームチェンジャーの役割を担うのは主権者国民である。
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