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2024年3月22日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/316516
19日に衆院で審議入りした経済安保情報の保護法案。重要な情報を扱える人物かを調べる「適性評価」が盛り込まれる中、国民民主党の玉木雄一郎代表がこんな主張をしていた。政務三役を対象から外す現行案は見直しを―と。大臣経験者らに裏金疑惑がかかる現状を考えると、そんな案もアリかと思いそうになるが、安易に考えていいか。(森本智之、岸本拓也)
「行政機関の長、大臣、副大臣、政務官、官房副長官、総理補佐官などは、適性評価を受けることなく重要経済安保情報にアクセスできることとなっています。これも見直しが必要です」
◆「大臣らは適性評価なしに情報にアクセス」
「重要経済安保情報保護・活用法案」に盛り込まれた適性評価を巡り、玉木氏はX(旧ツイッター)でこんな主張を展開した。
機密情報を扱う面々にもかかわらず、例外扱いであることに対して問題提起した格好。玉木氏の事務所は21日、「こちら特報部」の取材に「党として修正案を準備している。まとまり次第、記者会見などで公表したい」と回答した。
内閣官房経済安全保障法制準備室によると、現行の適性評価案は二段構えになっている。まずは家族構成や犯罪歴、精神疾患や飲酒などの身辺調査。内閣府内に新設される部署が一元的に担う。その結果を踏まえ、機密情報を扱える人物か、大臣らが評価する。
対象には政府職員らに加え、民間企業の社員も広く含まれる見通しだ。ただ、法案の11条では、政務三役らは身辺調査の対象外と規定されている。
◆「任命する際に必要な考慮がなされる」ので対象外
同様の規定は特定秘密保護法にもある。2013年11月の衆院国家安全保障特別委員会では自民の牧島かれん氏が「行政府の職員として対象とすべきという意見もある」とただした。
今回も対象外にする理由について、岸田文雄首相は今月19日の衆院本会議で「特定秘密保護法と同様に内閣総理大臣が任命を行うにあたり、必要な考慮がなされるとの考えに基づき、適性評価の対象外としている。国務大臣等の任命責任が総理大臣にあるのは言うまでもない」と答弁した。組閣時に必要な身辺調査はパスしているという理屈だ。
とはいえ、政務三役といえば、裏金問題で昨年末、松野博一官房長官や西村康稔経済産業相を含む政務三役をこぞって交代させている。今年に入っても盛山正仁文部科学相が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の選挙支援を受けていた疑惑が大臣就任後に発覚した。
そんな中で玉木氏が議論の俎上(そじょう)に載せようとする「政務三役の適性評価」。かたや岸田氏は「組閣時に調査済み」と述べる。21日午後、新橋駅前で会社員らに尋ねると、岸田氏の説明に否定的な意見が相次いだ。
◆身体検査をした後、不祥事が出てくる閣僚
「組閣時の身体検査って一体、何をやってるんでしょうか。本当にちゃんと検査してるなら、なぜ後から後から不祥事が出てくるんでしょうか」。さいたま市の会社員男性(28)は疑問を呈した。
会社員の40代男性は、公選法違反の罪で有罪判決を受けた柿沢未途元衆院議員に触れ「法務副大臣なのに法律を違反していたのは、笑えないジョークと思った。事前の調査が行き届いているなら、こういう不祥事がどうして起きたのか、そこから説明してほしい」と述べた。別の40代男性は「政務三役は首相の身内のようなものでは。身内の検査を身内で済ませておいて、問題ないと言われても説得力がない」と突き放した。
市井の人々から上がる政治不信の声。玉木氏が標榜(ひょうぼう)する「政務三役の適性評価」の後押しにもなりそうだが、果たして安易に認めてもいいのだろうか。
◆必要な法案なのか?対象拡大自体を疑問視
「政務三役を適性評価の対象にするかしないかという議論は、この法案が社会に必要で、問題はないという前提に立っている点で、まずさがある」。ジャーナリストの青木理氏はそんな違和感を口にする。
今回の法案は、2014年施行の特定秘密保護法を経済分野に拡大する趣旨だ。適性評価の対象がこれまでの公務員中心から、民間人にも広がる。保護される経済安全保障の情報とは、国が持つ電気や鉄道、通信などのインフラ、半導体や鉱物資源などの供給網を指すものとされる。しかし法案には具体的に明記されず、政府も説明していない。
「特定秘密保護法は、適性評価でプライバシーが暴かれ、差別まで起きかねない仕組みだった。何が重要な経済安保情報に当たるか曖昧なまま、それを民間人にまで広げる今回の法案は危険すぎる」
◆「そもそも政治家を公正に調査できるのか」
それなのに現行の法案を容認し、さらなる議論の誘い水にしようとしているのだろうか。
「そもそも政治家を公正に調査できるのか」という疑問もある。
前出のように、組閣時にも調査が行われている。政治ジャーナリストの泉宏氏によると、官邸の秘書官室を中心に、入閣候補者に対して、地元で悪いうわさが流れていないかを警察庁を通じて調べたり、異性関係などのスキャンダルを抱えていないかをメディア関係者に聞いたりする。
だが、岸田内閣では調査の甘さが露呈している。さらに適性評価をするとしても、まともにできるのか。泉氏は「時の内閣によって身体検査の精度は全く違う。有名なのが、常に情報を集めて目を光らせていた小泉内閣の飯島勲総理秘書官。身体検査は属人的な仕事で、能力に結果が左右される」とみる。
◆行政機関が国会議員を調査、個人情報を握ることも
本格的に適性評価をしようとすると、別の問題も浮かび上がってくる。
今回の枠組みでは原則、内閣府に置く組織が適性評価のための調査を担う。つまり一行政機関が、民意の付託を受けた国会議員らを大手を振って調査し、膨大な個人情報を握ることにもなりかねない。
「時の政権によって都合の悪い政敵の排除などに、悪用されることもあり得る。そもそも何を事前に取り締まるのか、基準も曖昧。恣意(しい)的に運用されたら、目も当てられない」と淑徳大の金子勝客員教授(財政学)は言う。
山口大の纐纈(こうけつ)厚名誉教授(政治学)は「政務三役を適性評価の対象にするかどうかはミクロな論点」と断りつつ「大きな視点では、立法権と司法権が相対的に縮小され、行政権が肥大化する問題をはらむ」と三権分立が崩れかねない懸念を述べ、こう続ける。
「民主主義は多くの人が情報を共有することが大原則。にもかかわらず、政府が秘密の範囲を拡大する一方、一元的に支配しようというのが今回の法案の本質。日本の国家体質を変えるものだ」
一方で不適切さが目に余る政治家、政務三役がいることも事実だ。
先の金子氏は「政治家も適性評価の対象に加えよ、という議論の背後には、裏金問題に代表される昨今の政治家不信がある」とみる。「そもそもの政治家不信を招いた自民党がプライバシー侵害を民間人にまで広げようというのは『危機便乗型』の悪乗りだ。まず裏金問題にしっかりけじめをつけて、有権者の審判をあおぐことが筋ではないか」
◆デスクメモ
閣僚は国会議員から選ばれるのが通例だ。その国会議員は有権者が選ぶ。適任かどうかの判断は本来、私たち有権者が担うべきでは。その自覚とともに大切なのが、審判を下す際の判断材料。政治資金をどう使うか。どんな団体と関わるか。それらを可視化する制度を求めたい。(榊)
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