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※紙面抜粋
※2024年3月16日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
半端ない「終わってる感」/(C)日刊ゲンダイ
「森喜朗元首相の時代はどうだったか、ちゃんと聞くべきだ」
14日の自民党政治刷新本部の会合では、派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、出席した議員からそんな意見が出たという。刷新本部長を務める岸田首相は「関係者の声を直接聞くことについて対応を検討する」と応じたものの、対象は明言せず。15日の参院予算委員会で野党の追及を受け、「関係者に森氏も含まれる」と答弁したが、この期に及んでも検討の域を出ない。
つまり、岸田に真相解明の意欲ナシ。14日の刷新本部会合もしょせん、党内の「ガス抜き」が目的だ。7日の会合で岸田ら執行部は裏金事件を受けた党改革案の「総裁一任」を取り付けた。しかし「議論が不十分」との党内反発が収まらず、わずか1週間で急きょ再開催を決めた。
刷新本部は改革案の検討を非公開の作業部会に委ね、公開されたのは7日の会合が初めて。結局、2時間弱で「大筋了承」を意味する一任取り付けへと進んだが、賛意を示す拍手はまばらだった。それもそのはず。改革案は「旧来の派閥」の存続禁止を掲げながら、「政策集団」に看板を付け替えれば事実上、派閥の復活を許すなど、名ばかりのシロモノだからだ。
さすがに中堅・若手から「たった1回の議論で決めるのはおかしい」との声が上がり、14日の会合の冒頭で岸田は「多くの皆さんから声を聞いてもらいたいという強い声が出され、こういった場を持たせていただいた」と表明。むろん、岸田の聞く耳アピールは常に「やってる感」の演出に過ぎない。
「信じるものは救われる」と神にもすがる心境
会合では安倍派元幹部らの厳正な処分や、裏金の納税案も浮上したとはいえ、そんな意見は改革案に反映されっこない。すでに岸田ら執行部はスケジュールありき。くすぶる中堅・若手の不満を吐き出させ、17日の党大会は「シャンシャン」でやり過ごす考えだった。
嘘みたいな話だが、岸田は党大会で改革案を正式決定し、「新生・自民」を打ち出せば、閉塞した現状を打破できると信じているフシがある。安倍派の事務総長経験者である下村博文元文科相が出席する衆院政治倫理審査会について、自民が15日開催に固執したのも岸田の意向をくんだとされる。岸田は党大会までに政倫審に区切りをつけ、裏金事件の早期決着を図り、自身も含めた「生まれ変わった自民」をアピールしたかったのだ。
「信じる者は救われる」と神にもすがりたい心境なのかはいざ知らず、岸田の思惑通りにコトが進むほど世の中は甘くない。結局、下村の政倫審は野党の反発により、党大会後の18日開催を余儀なくされた。党大会前に実現した参院の政倫審にしても案の定、不毛な議論に終始した。
出席した安倍派「5人衆」の世耕弘成前参院幹事長ら3人は揃いも揃って「知らない」「記憶にない」「秘書が……」を連発。裏金づくりの発端やキックバック(還流)復活の経緯、参院選の年に改選議員を対象とした販売ノルマと超過分の全額還流の背景など多くの疑問は残ったままだ。
質問に立った自民の佐藤正久議員からも「残念ながら疑惑が深まった」と酷評される始末で裏金事件にケリをつけるどころか、国民の不信をますます高めただけである。
「全員犯人」のオチに納得できる国民は皆無
とりわけ「あれはひどかった」と身内の自民党議員でさえ呆れさせたのが、世耕の弁明だ。
2022年4月、当時会長だった安倍元首相の指示で還流廃止を決めたのに、なぜ安倍の急死を受けた8月の幹部協議後に再開したのか。世耕も幹部協議に参加した1人だが、「私が出席している場所で還流が決まったり、私が了承したというようなことは一切ない」と断言。「誰が決めたのか、私自身知りたい」と他人事のように言ってのけた。
衆院の政倫審でも8月の幹部協議に当時、事務総長として出席した西村康稔前経産相と会長代理の塩谷立元文科相の証言は食い違っていた。還流継続を決めたのは誰なのかすら、ガン首揃えて知らぬ存ぜぬ。誰も分からないなんて、そんなバカな話があるものか。
そのクセ、違法性の認識を巡っては一様に「知らなかった」と口を揃える。協議の場には収支報告書への不記載で立件された会計責任者も同席しており、幹部連中も不記載を知っていれば「共謀」が成立しかねない。
だから、野党は世耕の漏らした「適法な形で対応」という言葉を見逃さなかった。従来の還流の違法性を認めていたとも解釈できるためで、世耕が「違法性の認識があったら、われわれは立件されてますよ」とムキになって反論したのも、むべなるかな。裏金をどう続けるかという密談だから、誰ひとり真相を語れるわけがないのだ。
「次は証人喚問」の声が上がっても国会の追及には限界がある。ロッキード事件以来、国会で真実が明らかになったためしがないのも当然かもしれない。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)が言う。
「衆参の政倫審における安倍派幹部の弁明に、納得できる人がどれだけいるのか。あんな言い分をよくぞ検察もうのみにし、起訴しなかったものですが、岸田首相が“暗黙の指揮権”を発動していたのなら納得です。自身が率いた岸田派も裏金捜査の俎上に載り、安倍派幹部が立件されれば同じ立場の自分も窮する。そこで何かと理由をつけて安倍派幹部の立件を見送らせたのではないか。わが身を守るためなら、岸田首相は何でもやるだけに、うがちすぎとは言い切れないはずです」
森を中心に歴史は繰り返し因果は回る
ゴマカシだらけの安倍派幹部を起訴しなかった検察も、幕引きに加担する岸田内閣もすべて“共犯”──。列車の乗客全員が犯人だった有名海外ミステリーも真っ青の展開だとすれば、政倫審で世耕が「私は不起訴、嫌疑なしだから真っ白」と恥も外聞もなく強弁できたのも、うなずける。かといって、そんな古典的なオチで納得できる国民はいない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言った。
「裏金事件の全容解明と説明責任、そして厳正な処分が果たされないまま、党大会で幕引きを図るのは許されません。今の自民党内で非主流派や中堅・若手議員の突き上げが期待できない以上、もはや党大会で自浄能力を発揮できるのは『地方の乱』だけです」
裏金の逆風を受け、地方選挙で自民は苦戦続き。先月の京都市長選では、与野党相乗りの楽勝ムードが一転、共産候補に大接戦に持ち込まれた。保守王国・群馬の前橋市長選では、自民推薦の現職がまさかの敗北。今年は全国で500以上の地方選挙が実施されるだけに、危機感を募らせている。
内閣支持率が1ケタ台に沈んだ森政権末期には、自民党大会で地方組織が「NO」を突き付け、退陣に追い込んだ例もある。01年3月の党大会を6月に都議選を控えた自民党都議団がボイコット。会場前で「解党的出直し」を求め、全国から集まった党員に鉢巻き姿で配ったビラには「わが党は、このままでは『政党の死』という最悪の筋書きに一直線に突き進んでしまう」と刷られてあった。
他の県連も呼応し、地方の反発に押されて森は総裁選を前倒し。事実上の退陣に追い込まれたが、今なお裏金の最大キーマンとは因果は回る。自民を取り巻く状況は当時も今も変わらない。
「地方の異議申し立ても出なければ、自浄能力を失った岸田・自民党は一巻の終わり。腐り切って落ちていくだけです。もう『的出直し』は必要ありません。国民が望んでいるのは腐敗堕落政党の『解党』大会です」(五十嵐仁氏=前出)
自民党派閥の裏金総額は優に5億円を超える。3.17を機とした「ご臨終」は悪事で私腹を肥やした当然の報いである。
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