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※紙面抜粋
※2024年3月14日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
金権腐敗のキーマン(森元首相=左)、復権を狙う下村博文元文科相(C)日刊ゲンダイ
自民党の裏金事件をめぐる猿芝居が佳境に入ろうとしている。裏金議員の愚にもつかない弁明の場となった衆院政治倫理審査会の開催から2週間を経て、参院政倫審が14日、開催。出席するのは安倍派(清和会)の世耕弘成前参院幹事長、橋本聖子元五輪担当相、西田昌司議員の3人で、審査は1人約1時間40分の予定だ。自民党調査で判明した政治資金収支報告書への不記載額は、キングメーカー気取りの森喜朗元首相がひいきにする「5人衆」の世耕が1542万円、森子飼いの橋本が2057万円、円安物価高を招いているアベノミクス信奉者の西田が411万円である。
審査の焦点は言うまでもなく、派閥の政治資金パーティーを舞台にした裏金づくりの全容解明だ。安倍派は四半世紀にわたり、パーティー券の販売ノルマ超過分を還流してきた。1999年の政治資金規正法改正(2000年施行)で政治家個人の資金管理団体への企業・団体献金が禁止されたため、錬金術として森会長時代に編み出されたのは永田町の公然の秘密だ。ここが白日の下にさらされなければ始まらない。とりわけ参院側については、改選の年にノルマを免除して全額キックバックする仕組みで、選挙などへの流用が疑われている。
安倍派参院議員でつくる清風会の会長でもある世耕は1月の会見で、「還付金(還流)の習慣は聞いたことあったが、私が受け取っているつもりがなかった」と関与を否定。「なぜ始まったのか、誰が決めたのか、全く分からない」とスットボケていたが、そんな釈明をうのみにするお人よしはそうそういない。世耕はターニングポイントとなる2つの幹部会合に出席していた。安倍元首相が現金での還流廃止を打ち出した22年4月の集まり、安倍死去後の22年8月に廃止を撤回した協議だ。政治活動を左右すると言ってもいい資金の取り扱いを詰める場で、虚空を見つめたり、へのへのもへじでも描いていたとでも言うのか。
醜聞量産で国民的嫌悪
そうでなくても、世耕は醜聞のデパート化している。訂正された資金管理団体「紀成会」の20〜22年分の収支報告書によると、キックバックの主な使い道は「贈答品代」で総額349万4074円。政治団体に寄付している選挙区内の有力支援者に「予約1年待ち」の高級クッキー缶を贈った公選法違反(寄付行為の禁止)の疑いも浮上するほか、自民党に対する国民的嫌悪感をも広げている。青年局が和歌山市内のホテルでエンジョイしたハレンチ懇親会で、ダンサーにチップを口移しする低俗コラボを演出したのは元秘書の県議と現役秘書だった。チップ秘書について「1000円札を横に山折りにして口にくわえ、ダンサーと正面から向き合わないよう顔を横に向け、できる限り距離を取るよう気遣っていた」(地方議員)などとフォローする声も聞こえてくるが、問題の本質はそこではないし、「厳重注意」で済ませる世耕の倫理観はこの際、トコトン問われるべきだ。「秘書が」の垂れ流しでは時間の無駄でしかない。
そうした中、かつてないほど世間の注目を集めているのが、還流をめぐる安倍派の両協議に参加していた下村博文元文科相だ。スッタモンダしたものの、野党の要求を受けて手を挙げた衆院政倫審に出席するメドが立った。4日にX(旧ツイッター)で〈私の名前も何度か出ましたので、今後政倫審が開催されるのであれば、党と相談して説明責任を果たしていきたいと考えています〉と表明し、6日に会見するとアナウンスしたものの、ドタキャン。余計なことをしてくれるなとばかりに「ご本人の判断」(森山総務会長)、「われわれがどうこう言う話ではない」(浜田国対委員長)と突き放され、漂流していた。
「みんな仲良くムラ社会」の伝統
裏金づくりの核心を知る森との犬猿の仲を知らない永田町の住民はいない。下村は文科相時代、道徳を「特別の教科」に格上げ、新国立競技場ザハ案をボツにし、文教族のボスの森の不興を買った。それで安倍死去後の派閥運営にしゃしゃり出てきた森からパージされる憂き目に遭う。総理総裁を目指す下村の遺恨は想像に難くない。収束を急ぐ裏金事件をあおりかねないというわけだ。
流れが変わったのは、もちろん理由がある。自民党に対する逆風が強まる一方だからだ。内閣支持率も政党支持率も下落の一途。ハレンチ懇親会の発覚前には広瀬めぐみ参院議員の不倫がバレた。付いたあだ名は「チョメ姉さん」だ。
「一転して下村氏の政倫審出席に動いた自民党は、唐突に(あす)15日開催を提案してきた。岸田首相が出席し、テレビ中継される参院予算委員会の集中審議の裏でササッと済ませようという魂胆がミエミエ。今週中に裏金事件を一区切りさせ、17日の党大会でお手盛りの党則変更を正式決定して幕を引き、衆院3補選(4月16日告示、28日投開票)は全敗回避という算段です」(野党関係者)
さながらホップ・ステップ・ジャンプで、世論をナメるにもほどがある。立憲民主党は来週開催を主張しているが、さてどうなるか。人呼んで「下村の乱」。森に干された男が「うそ偽りでなく、丁寧に説明させていただきたい」などと男前なセリフを吐き、意趣返しとばかりに政倫審に出ることにはなったが、ワルの責任の押し付け合いの中で、今度はどんな言い訳が飛び出すのか。
政治評論家の野上忠興氏はこう指摘する。
「岸田首相が早期の衆院解散・総選挙に打って出るのではないかとの臆測が広がる中、下村氏は再選が危ぶまれるひとり。洗いざらいぶちまければ自民党はご臨終、自分の政治生命も終わりかねない。勝負に出るとは思えません。森元首相が目をかける安倍派5人衆はバタバタと倒れ、下村氏と同列になった。ここをうまく渡れば、再浮上の目が出る可能性はある。だいたい森元首相にあそこまでコケにされながら、政倫審出席にあたって『党との相談』を条件にしていたのですから、駆け引きしていたのが透けて見えます。自民党というのは、今も昔も『みんな仲良くムラ社会』なんですよ」
仇敵に「潔白の証明」
世論の期待を高めるだけ高めて、森の関与を否定すれば「潔白の証明」として仇敵に塩を送ることになる。「どうぞよしなに」ということだ。岸田は森に矛先が向かう事態をあからさまに嫌がっている。13日の参院予算委でも「森元首相が直接この案件に関わったという証言は確認されていない」という従来の答弁を繰り返した。一方の下村は、数々の疑惑から逃げ回ってきた札付きだ。不起訴になったものの、加計学園から裏献金を受け取った疑いはくすぶっている。文科相時代には文化庁の方針を覆し、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の名称変更を認証。被害拡大を助長させた張本人にもかかわらず、事務方に責任をおっかぶせた。都合の悪いことは頬かむりが常の人間が弁明に名乗りを上げたのは、腹に一物も二物もあるからこそだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「政倫審に出席する目的が本来の趣旨とはかけ離れています。国民に対する弁明ではなく、党に対するアピールに利用しようとしている。裏金議員の処分にしたって、補選直前まで先送りし、支持回復のカードにしようという腹。党則の最も重い処分は『除名』ですが、かつて選挙区調整をめぐって除名された上川外相は復党し、いまや女性初首相に名前が挙がっている。除名といっても形式だけで、重みも何もない。自浄能力を失い、自壊が進む自民党はいよいよ末期症状を呈しています」
下野しかない腐りきった政党が“禊”を押し付ける茶番劇のバカバカしさに国民の怒りは募って当然なのである。
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