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※紙面抜粋
※2024年3月4日 日刊ゲンダイ
※文字起こし
いよいよ鉄火場と化した株価…(C)日刊ゲンダイ
史上最高値に沸いたのも束の間、これで3日続落だ。
7日の日経平均株価は、前日比492円安の3万9598円で取引を終えた。下げ幅は一時、570円を超え、4営業日ぶりに4万円台を割り込んだ。節目の4万円を挟んだ攻防は行きつ戻りつ、なかなか突き抜けられない。
取引開始直後は、ニューヨーク市場で株価が値上がりした流れから日経平均も上昇し、4万472円11銭と取引時間中の史上最高値を更新する場面もあった。
ところが、日銀の中川順子審議委員が講演で「2%物価安定目標の実現に向けて着実に歩を進めている」と発言したことが伝えられた途端、下落に転じた。東京外国為替市場では円買い・ドル売りが加速して円高が進み、それを受けて日経平均は猛スピードで下落していった。
「日銀の審議委員の発言で金融引き締めが意識され、一気に円高に振れました。もっとも、このところ日銀関係者は利上げをにおわせるような発言を続けている。まだまだ金融緩和は続くと思われているところで突然、利上げに動くとショックが大きいので、少しずつ市場に織り込ませているのでしょう」(経済評論家・斎藤満氏)
7日、参院予算委員会で答弁に立った日銀の植田和男総裁も、物価上昇率を2%で安定させる目標について「見通しが実現する確度は引き続き高まっている」と言い、「実現が見通せる状況になれば、マイナス金利政策など大規模緩和策の修正を検討していく」と踏み込んだ。マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール(YCC)など大規模緩和の修正は既定路線ということだ。
「もしトラ」から「ほぼトラ」に
日銀は18、19両日に金融政策決定会合を開く。そこでマイナス金利解除の方針が発表されるのか。「失われた30年」を取り戻せとばかりに浮かれていた市場には警戒感が漂い始めているが、そこへさらに、のしかかる不安要因が「もしトラ」だ。
11月のアメリカ大統領選挙に向けた共和党の候補者選びで、15州の予備選などが集中した5日の「スーパーチューズデー」でトランプ前大統領が圧勝。バイデン大統領とトランプ前大統領が本選で再び対決する構図が固まった。「もしトラ」が「ほぼトラ」になってきた。
トランプは大統領時代に「米国第一主義」を掲げた。保護主義を強化し、対中強硬路線で貿易摩擦を引き起こして世界経済や金融を大混乱させたことは記憶に新しい。
為替についてもツイッターなどで口先介入し続けた。米国の製造業を守るために、日本の円安を猛批判。FRB(米連邦準備制度理事会)に対しても利下げ圧力をかけていた。トランプ再選なら、急激な円高が進む可能性がある。いまの日本で円高は株安に直結するから、株式市場は戦々恐々だ。
「トランプは中国に対する輸入関税を60%に引き上げ、他の国の製品にも10%の関税をかけると言っています。保護主義的な内向きの経済政策が世界の貿易を縮小させる。円高圧力で物価が上がることも景気悪化のリスクになります。年初からの日本の株高は、円安で日本株が割安だから海外マネーが入ってきたことが主因ですが、トランプ大統領の返り咲きで一気に逆回転しかねません。その上、アメリカ大統領の任期は2期までですから、次がないトランプは4年前より危ない。世界を大混乱に陥れても、自分のやりたいことを押し通すでしょう。バブル崩壊の突風に飛ばされないように、身構えておく必要があります」(斎藤満氏=前出)
競争力を失った日本企業と株式市場は耐えられるのか
トランプ再選が世界の地政学的リスクを高める懸念もある。
トランプは、大統領に再選されればウクライナへの軍事支援をすぐさま停止すると明言している。親ロシアであり、同時に強烈な親イスラエルでもあるから、パレスチナ自治区ガザを攻撃するイスラエルにも、ますます肩入れするだろう。
現実に戦争が起きている中で、「米国第一主義」の外交政策が世界を分断し、世界経済はかつてない混迷に直面することになるのだ。
金融緩和による円安の為替差益と株高効果に甘やかされて国際競争力を失った日本企業と株式市場は、それに耐えられるのか。
このところ、認証不正が発覚したトヨタグループなど大企業のあり得ない不祥事が連日のように報道されている。
7日は公正取引委員会が、「割戻金」の名目で一部下請け業者への支払いを減額していたことが下請法違反に当たるとして、日産自動車に対して勧告を行ったことを発表した。
日産は36の下請け事業者に本来支払う下請け代金から、総額30億2367万6843円を減額したという。「割戻金」なんて、もっともらしい言い方をしても、要は苛烈な下請け叩きだ。キックバックの裏金を「還付金」と呼ぶどこぞの政党とよく似て、えげつない。
トヨタも日産も、自民党への大口献金企業である。2022年の政治資金収支報告書によれば、日産は3700万円。それ以外にパーティー券も購入している。カネに色はついていないから、下請けを泣かせて儲けた30億円の「割戻金」の一部が自民党に流れているとも言える。
朝日新聞(7日付)によれば、献金額が多い企業のトップ10に目的を尋ねたところ、日産は「政策本位の政策の実現、議会制民主主義の健全な発展に貢献する社会貢献の一つ」と回答したという。
仮に裏金が選挙に使われていたら議会制民主主義の根幹を破壊する重大事だというのに、ずいぶん寝ぼけたことを言っている。
不正はアベノミクスの後遺症
「大企業の不祥事続発はアベノミクスの後遺症です。金融緩和のぬるま湯に漬かってきた大企業は、技術革新を怠り、モノづくりの実力を失ってしまった。だから下請けイジメと不正が横行する。自力で稼げないから、政権与党に頼って、金融緩和や大企業優遇の税制措置をお願いする。そのための献金やパー券大量購入なのです。その結果、利益が出ても内部留保を積み上げるだけで、企業だけが儲かる仕組みができ上がっている。このイビツな構造を打破しない限り、庶民生活は決して良くなりません。自分たちが出したカネが裏金になっているかもしれないと分かったら怒るのが当たり前なのに、自民党の顔色をうかがって何も言わない。そういう大企業は腐敗政治の共犯者です」(政治評論家・本澤二郎氏)
厚労省が7日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年同月比0.6%減少。これで22カ月連続のマイナスだ。岸田首相がアピールする賃金アップは、物価上昇にまったく追いついていない。
内閣支持率は過去最低水準で、政権はボロボロ。足元では、積極財政派と財政再建派のバトルも勃発し、政府が6月に策定する「骨太の方針」に向けて、金融緩和の賛否が政局に発展しかねない状況だ。
岸田政権は2025年度に国と地方の基礎的財政収支(PB)を黒字化させる財政目標を堅持している。一方、裏金問題でガタガタの安倍派にはPB無視の積極財政派が多い。
裏金議員への処分が検討される中で、自民党の財政政策検討本部が7日党本部で会合を開き、PBに代わる財政指標の導入を目指す方針を確認した。かつては安倍元首相が最高顧問を務めていた積極財政派の集まりだ。
株高バブルと崩壊リスクのはざまで、裏金問題と金融政策が政局含みの火種となり、株式市場はいよいよ鉄火場になりつつある。求心力を失った政権に、この難局の舵取りができるのか。
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