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2024年3月8日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/313779
国税庁は政治家からも平等に徴税せよ―。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、厳しく税務調査を行うべきだとの声が高まり、同庁に直接申し入れを行う団体も相次いでいる。一方、非課税の政治資金と主張する議員たちは、自ら修正申告し、納税に動く気配はない。インボイス(適格請求書)制度導入後、初の確定申告も続く中、国民の怒りは高まるばかりだ。(宮畑譲)
◆国税庁は「公平な課税の実現に努める」
「国税庁は庶民の気持ちを忘れるな!」。7日昼過ぎの東京・霞が関。国税庁庁舎前に集まった市民グループ約30人が「自民党のウラガネ・脱税は許さない!」と記した横断幕や、国税庁が作成した「脱税は、犯罪。」と書かれたポスターを持って声を上げた。
その後、代表者が国税庁の職員に「国民は怒っています。頑張ってほしい」と述べ、裏金に課税することなどを求める要望書を手渡した。職員は「確かに収受いたしました」と応じた。
この日の要望にどう応えるか。あらためて「こちら特報部」が同庁に聞くと「一般論」とした上で「課税上、問題あると認められる場合には、税務調査を行うなどして適正、公平な課税の実現に努める」と回答した。
2月26日には、自営業者らを支援する全国商工団体連合会(全商連)も国税庁に調査を要望。自民党のアンケートで政治資金収支報告書への不記載が判明した85人について、独自に試算した追徴税額を公表した。
試算は、不記載などの総額を基に5年間の各年の所得税や重加算税などを合計すると、追徴税額は計約1億3500万円に上るというもの。監修した立正大法制研究所の浦野広明特別研究員(税法学)は「これでも少なめの計算」と憤り、修正申告を済ませたとしても税を逃れたことに変わりないという認識を示す。
◆政倫審で堂々「納税するつもりはない」
国民の怒りが収まらないのは、自民党の政治家が裏金を非課税の政治資金と主張し、納税に後ろ向きな国会答弁が続くこともある。
今月1日に開かれた衆院政治倫理審査会。「裏金は政治資金ではない。納税しないのか」。野党からの質問に、安倍派の座長を務めた塩谷立元文部科学相は「しっかり政治活動に使用している。納税するつもりはない」と強調した。
「裏金を自己資金の一部と認識していたとの議員の発言もある」。6日の参院予算委員会でこう問われた岸田文雄首相も「個人で受領した例を確認できていない以上、納税を促す行為は今は考えていない」と述べ、関係議員への指示を拒んだ。議員などの政治団体が派閥から政治資金を受け取る行為に、法人税の課税関係は生じないという考え方だ。各議員が説明責任を果たすべき期限についても明言しなかった。
◆「時間をかければ国民は忘れると思っているかも」
2月16日から始まった確定申告は3月15日に期限を迎える。「国税庁は何やってんの?」「一般国民は納税は義務 国会議員は任意 通じる?」。交流サイト(SNS)にはこうした恨みの声も渦巻く。「物価高に加え、実質的な賃上げもない。みんなきつい」と、庶民の思いを代弁するのはジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。
自らも確定申告をしているという鈴木氏。「毎年、一年間の伝票整理もあって大変。さらに、今年はインボイスもあって確認作業が増えた」と嘆く。
支持率が低迷する岸田首相だが、起死回生の一手としての解散、総選挙に打って出る可能性もある、とみる。「政倫審には何の中身もなく、参院でも同じことをだらだらとやるだろう。時間をかければ国民は忘れると思っているのかもしれないが、そうはいかない」
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