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※紙面抜粋
※2024年3月4日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
数の力にモノ言わせ、余裕綽々(岸田首相)(C)日刊ゲンダイ
2024年度予算案の審議が、4日から参議院でスタートする。しかし、参院の予算案審議は「消化試合」に終わってしまうのではないか。
先週2日(土)、岸田自民党が数の力にモノを言わせ、衆院で予算案を強引に可決させてしまったからだ。憲法の規定で参院送付後30日で予算案は自然成立するため、たとえ参院で審議が進まなくても、年度内に成立することが確定している。このままでは参院の予算案審議は、ほとんど意味がなくなってしまいかねない状況だ。
はやくも岸田周辺は「予算の自然成立さえ見えれば、後はどうにでもなる」と余裕綽々である。実際、予算案の年度内成立が確定したことで、もう岸田政権が国会で追い込まれる可能性は、ほとんどないのではないか。「政治とカネ」の問題も政倫審に自民党議員5〜6人を出席させて幕引きにするつもりだ。自民党内には「逃げ切りムード」が漂い、裏金議員の参考人招致や証人喚問に応じる空気はゼロである。
あれほど岸田政権は追い詰められていたのに、予算案の年度内成立が確定したことで、政界の景色は一変してしまった。
「数に劣る野党が、政権に対抗するための数少ない武器が予算案や法案を人質に取った“日程闘争”です。もし、予算案の自然成立を阻止できていたら、参院審議でも岸田政権をかなり追い込めたはず。でも、予算案の年度内成立が決まってしまったら、戦う武器はほとんど残っていない。自民党もそれが分かっているから、ギリギリ年度内に自然成立する2日に強行採決したのでしょう」(立憲民主党関係者)
しかし、さすがに心ある国民は、自民党がゴリ押しした強引な国会運営には批判を強めているのではないか。
例年、衆院の予算案の審議時間は80時間なのに、70時間に満たない審議時間で採決しようとしたのだから、乱暴もいいところだ。
しかも、1日に開かれる政倫審に安倍派の幹部4人が出席することが分かっていたのに、予算委の小野寺委員長(自民)は、その前日、野党に相談することなく、1日に予算案を採決することを職権で決めてしまった。なぜ、政倫審が終わるのを待たなかったのか。これでは野党が怒り、小野寺委員長の解任決議案を提出するのも当たり前である。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「審議が尽くされていないのに強行採決とは、いくらなんでも自民党はむちゃくちゃです。しかも、わざわざ土曜日に国会を開いて予算案を採決している。週明けの4日(月)でも問題はなかったはずです。年度内の自然成立を確定したかったのでしょうが、それは岸田総理の勝手な都合でしょう。一見ソフトに見えますが、岸田政権のやっていることは、強権批判された安倍政権と同じです」
自民の国会運営を批判せず野党を避難する支離滅裂
ところが大新聞テレビは、自民党の強引なやり方を一切、批判しないのだからどうかしている。自民党が強行採決した翌日、自民党を非難した記事は一つもなかった。皆無だった。これでは、多くの国民は、自民党が乱暴な国会運営をしていることにさえ気づかないのではないか。
自民党を批判するどころか、国会審議が深夜に及んだことについて<自民・立民 不毛な攻防>などと、どっちもどっちといったトーンが多く、なかには「解任決議案」や「不信任案」を提出した野党を、<日程の駆け引きは国会のあり方として適切かどうか>と批判する記事もあったほどだ。テレビは、ほとんど野党批判だった。
しかし、自民党の力ずくの国会運営を批判せず、野党を非難するのは、さすがに公平を欠いているのではないか。
そもそも、野党が解任決議案や不信任案を提出せざるを得なかったのも自民党に原因があったのは明らかだろう。例年通り、80時間の審議時間を確保し、審議が十分に尽くされていれば、野党だって解任決議案など出せなかったはずである。
大手メディアが野党の国会対応を批判していることについて、立憲民主党の安住国対委員長は会見でこう語っていた。
「議会は世界中どこを見たって、激しい戦いを繰り広げています。アメリカなんて9月に通らないといけない予算が、共和党と民主党が激しく対立し、いまだに成立していない。どの国を見ても、本気の戦いというのは深夜に及んだり、バスターなどもやるんですよ」
まさに、その通りだろう。大新聞テレビの野党批判は、世界の常識から大きくはずれているのではないか。
「なぜ、大手メディアは自民党の強権的な国会運営を批判しないのか不思議です。土曜日の予算案可決も、審議時間を満たしていないのに強行採決しようとしたのも、すべて岸田首相の政権維持のためでしょう。大手新聞は自分たちの紙面で、岸田首相が周囲に『予算案の通過を週明けに持ち越したら政権はもたない』と漏らしていた、と書いています。予算案の強行採決が国民のためではなく、政権延命のためだということは、大手メディアだって分かっているはずです。なのに、なぜ批判しないのか、おかしいですよ」(五十嵐仁氏=前出)
いつまで腐敗政権を応援するのか
いったい大新聞テレビは、いつまで自民党の応援団を続けるつもりなのか。
裏金事件で分かったことは、もはや自民党は再生不能なほど腐敗堕落してしまったということだ。安倍派だけでも5年間で約7億円もの裏金を組織的につくり、しかも幹部連中は、この期に及んでも「経理には関わっていなかった」と責任を認めようとせず、納税も拒否する始末だ。
ここまで自民党が腐敗したのも、大手メディアが自民党を批判せず、のさばらせてきたからなのではないか。とくに安倍政権の8年間は、首相本人が「モリ・カケ・桜」といった疑惑にまみれ、国民世論を無視した悪政を続けても、正面切って政権を批判することは、ほとんどなかった。
悪事を重ねた安倍首相が、8年間も政権に居座れたのも、大手メディアがやりたい放題を許してきたからだ。疑惑が発覚しても平然と国会で嘘八百を並べ、最後は数の力で押し通すなど、まさにやりたい放題だった。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「大手メディアが、数の力で押し切る国会運営を批判しないのは、自民党のやり方を肯定したのと同じです。メディアは、数の力にモノを言わせる権力者に敏感であるべきです。権力者が有無を言わさず多数決で決めるようになると、議会制民主主義が形骸化してしまうからです。本来、メディアは権力を監視するのが役割のはず。なのに日本の大手メディアは、なぜか野党に厳しい。しかし、ただでさえ弱小の野党を叩いてどうするのでしょうか。毎日新聞の世論調査によると、内閣支持率は14%、不支持率は82%に達しています。自民党の政党支持率も16%に落ち込んでいる。国民が自民党政権に“ノー”を突きつけているのは明らかです。でも、弱小の野党の力だけでは倒閣は難しいでしょう。大手メディアが、自民党批判に動かなければ、この国の腐敗政治はいつまでも続くだけです」
大手メディアは、いつまで自民党を応援し、のさばらせておくつもりなのか。
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