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裏金「共謀」巡り深まる新たな謎…安倍派幹部4人が政倫審に出席も、証言に食い違い
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/336963
2024/03/02 日刊ゲンダイ
晴れない疑惑(左から)高木前国対委員長、松野前官房長官、西村前経産相、塩谷元文科相(代表撮影)
自民党派閥パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会(政倫審)が終了した。1日は安倍派の座長を務めた塩谷立元総務会長と事務総長経験者の西村康稔前経産相、松野博一前官房長官、高木毅前国対委員長の4人が出席。怪しい説明が続々で実態解明には程遠く、「共謀」を巡る新たな疑惑は深まるばかりだ。
◇ ◇ ◇
2022年に安倍派はいったん廃止したキックバック(還流)を再開。その経緯に野党の追及は集中した。いったん廃止を決めたのは22年4月の幹部協議だ。当時の派閥会長の安倍元首相、会長代理の塩谷氏と下村博文元政調会長、事務総長の西村氏、世耕弘成前参院幹事長、そして会計責任者で立件された松本淳一郎被告の計6人が参加した。
政倫審で西村氏と塩谷氏は、安倍氏の意向で廃止を決めたと明かした。理由は「現金による還流は不透明で疑念を生じかねない」から。「収支報告書への不記載は話題に出なかった」(塩谷)というのは合点がいかない。還流が現金だろうと振り込みだろうと収支報告書に記載していれば法的に問題ナシ。なぜ現金だと「不透明」で、いきなり廃止に至ったのか。納得のいく回答はゼロだった。
同年8月上旬、前月に横死した安倍氏以外は4月と同じメンツが、議員会館の塩谷事務所に集まり、再び協議。「還流の是非について協議したのは、この1度」(塩谷)という。直後に入閣により事務総長を辞めた西村氏は「結論は出ず、その後の経緯は承知していない」と主張。後任の高木氏は同年11月に「松本氏から一転して継続する方針を伝えられた」とし、「検討の場に出席したことはない」と関与を否定した。
塩谷氏は「希望する声が多く、要望に沿って還流が再開された」「困っている人がいるので仕方がないくらいの話し合いで継続になった」「曖昧な感じで事務的に行われた」などと終始ゴニョゴニョ。いずれも復活主導を否定し、誰が決めたのかは結局分からないまま。裏返せば、誰かが嘘をついていることになる。
松野氏も加えた4人とも派閥の会計に関与せず、不記載を知らなかったと釈明したが、にわかには信じがたい。実は8月の協議に参加した下村氏は、今年1月末の記者会見でこう証言していた。
「ある人から、還付(還流)については個人の資金集めパーティーに上乗せして、それで収支報告書で合法的な形で出すという案もあったと思う」
「合法的な形で出す」との表現自体が参加者同士で「違法性」の認識があったことをうかがわせる。しかも、議員個人のパーティー収入への還流上乗せは西村事務所の手口だ。政倫審で西村氏は「秘書のやったこと」としつつ計上を認めた。「提案者は西村さんですよね」と迫られると、個人のパーティー券を派閥が購入する代替案が「アイデアのひとつ」として示されたと言及。下村証言と主客転倒し、全く食い違う。
「共謀」成立を恐れウヤムヤに
さらに、翌23年に再び還流は廃止。当時の事務総長の高木氏は「22年の暮れごろに話し合って決めた」とし、決定の場に塩谷氏、下村氏、世耕氏、松本被告が「いた」という。2度の還流廃止は幹部同士でキッパリ決めたのに、なぜ焦点の22年8月の協議内容だけハッキリしないのか。同席した松本被告との「共謀」の成立を恐れ、ウヤムヤにしているとの疑念は晴れない。
協議に加わらなかった松野氏も、訂正した収支報告書が疑惑まみれ。会合費の支出が20〜21年は2件約10万円、4件約38万円と続くのに、22年だけ41件約545万円と突出。同じ日に同じ店への支払いも目立ち、与党の公明議員も「不記載額の収入に支出を合わせるため、領収書をカキ集めたのでは」とサジを投げた。
還流の慣習について塩谷氏は「二十数年前から始まったと思うが、明確な経緯については承知していない」と説明。当時の派閥会長だった森元首相の関与について、西村氏は「疑念が生じるのであれば(安倍派の)幹部が確認しても『口裏を合わせた』と言われるので、第三者が確認するのがいい」と踏み込んだ。
だったら森元首相を国会に呼ぶしかない。数々の謎が晴れぬまま、幕引きは許されない。
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