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※紙面抜粋
※2024年3月1日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
案の定、従来の答弁を繰り返すだけ(衆院政倫審で答弁する岸田首相=29日)/(代表撮影)
案の定だ。やっても時間の無駄だった。
29日の衆院政治倫理審査会(政倫審)。岸田首相は呼ばれてもいないのに突如、「自民党総裁として説明責任を果たしたい」とシャシャリ出てきたが、結局、発言の中身は驚くほどの新味ゼロ。一体、何しに出てきたのか。衆院予算委員会と同じ答弁を繰り返すだけ。「やってるふり」の茶番劇だった。
昨年11月に自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金事件が発覚してから3カ月以上、国民は自民党への不信感を募らせている。だが、岸田には裏金問題の全容を解明する気がサラサラないことがよく分かった。「自民党は国民感情を甘く見ている」と、与党の公明党関係者から漏れてくるほどだ。「確定申告ボイコット」の「税金一揆」がさらに各地の税務署で広がるんじゃないか。
岸田は弁明の冒頭で、「自民党改革の先頭に立つ」「前例にとらわれない」「信なくば立たず」などと宣言したものの、毎度の掛け声倒れで口をついて出てくるのは、聞き飽きた話ばかり。
安倍派と二階派のパー券販売ノルマ超過分の還流については、「議員個人が受領した例や、政治活動以外への使用、違法な使途は把握されていない」。いったん、中止となった安倍派の還流が復活したことについては、「はっきりした経緯や日時などは確認できていない」。
自身が会長を務めた宏池会の収支報告書の不記載については「事務処理上の疎漏」と表現。決して「裏金」という言葉を使わない。
どれもこれも、不記載議員らにヒアリング調査した“お手盛り”報告書に書いてあることをなぞっただけなのだ。共産党の穀田国対委員長が「何のための弁明か」と吐き捨てたが、その通りだ。
それでも岸田は最後まで淡々とした口調で涼しい顔。国民をナメ切った顔だ。途中、ブ然としたのは、立憲民主党の野田元首相に追い込められ、「首相在任中は個人の政治資金パーティーを開催しない」と言わされた時ぐらいだった。
サプライズ出席は首相の保身
政治評論家の野上忠興氏が言う。
「岸田首相の発言は、何一つ頭に残りませんでした。サプライズ作戦で、呼ばれてもいないのに政倫審に出てきて、さすがに何か一つくらい新しい話があるかと思ったら、想像以上に何もなかった。やってる感の極みです。政治資金パーティーの中止も野田元首相に促されてから『やめる』と言う。みっともなさを露呈しました」
一つ“収穫”だったのは、裏金議員ら85人にヒアリングした調査が「実態解明」ではなく、「再発防止」を目的としたものだったことが分かったことだ。
2月15日の報告書公表から、半月経っても新たな事実は一切出てこない。例えばいったん、中止された安倍派の資金還流が復活したことなどは、岸田が総裁権限で安倍派の事務総長経験者に問いただせばいいはずだ。しかし、岸田はこう言った。
「捜査権等がない中で、なおかつ再発防止という観点を重視しながらヒアリングを行った聞き取り調査においては、(還流復活の)経緯については十分確認できなかった」
つまり、自民党がダラダラと時間をかけてやった裏金議員のヒアリング調査は、いつから、誰が、何のために、という裏金づくりの背景を含めた全容を解明するためのものではないということ。不都合なことはすっと飛ばしたうえでのエセ党改革。だから、会計責任者だけでなく国会議員も責任を負う「連座制」を含めた政治資金規正法の改正や政治団体への外部監査の対象範囲拡大みたいな話が先行する。それはそれで必要だが、その前に、国民が知りたいのは裏金事件の全容だ。
「岸田首相にとって裏金事件は安倍派と二階派の話であって、どこまでも他人事です。口では『自民党の信頼回復』などと言いますが、岸田首相が政倫審に出席したのは、自民党のためでも何でもなく、自分を守るため。総理総裁から引きずり降ろされたくないという保身ですよ。政倫審が開催できなくなり、予算案の年度内成立が怪しくなったら、威厳が保てなかった。サプライズ出席で党内に泡を吹かせ、してやったり。嘘をついても罰則のない政倫審は適当にごまかせばいいという程度だったのでしょう。こんなもので国民の不信感を解消するのはとても無理です」(野上忠興氏=前出)
自民党が政倫審を「政治ショー」に仕立て、大メディアが加担
大メディアもおめでたい。岸田が政倫審への出席をブチ上げたことを、29日の朝刊で「賭け」「捨て身の一手」などと表現していたが、ちゃんちゃらおかしい。
岸田派の解散検討表明を彷彿させるような急転直下の岸田の政倫審出席は、「公開」での出席を嫌がる安倍派幹部ら5人を引っ張り出す目的だった。憲法の衆院優越規定で、予算案は参院送付から30日で自然成立する。衆院通過の期限は2日だ。自然成立にこだわる岸田が、窮余の策で「政倫審出席カード」を切ったわけだが、「捨て身」なんてカッコイイ話なのか。
最初から岸田が指導力を発揮して、安倍派幹部らにキッチリ説明責任を果たさせればよかったわけで、本来はもっとシンプルな話。それなのに、裏金問題の全容解明を横に置き、スッタモンダで自民党は政倫審を壮大な「政治ショー」に仕立て上げた。結果的にそれに加担した大メディアも罪深い。ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「まずは裏金づくりがいつ、どうして始まり、使い道は何で、どう処理されてきたのかについて解明する必要があったのに、自民党の調査は中途半端で、自浄作用が期待できない中で国会が始まった。疑惑の検証には政倫審、参考人招致、証人喚問という3つの段階があるが、岸田首相は『真摯に説明する』と口では言うものの、一番軽い政倫審で済ませようとして、政倫審を開催するかどうかや開催方法で直前まで揉めた。そうやって政倫審を盛り上げ、その結果、岸田首相が出席するだけですごいことのように報じられたわけです。拘束力のない政倫審では意味がありません。偽証罪に問われる証人喚問や特別委員会をつくらないと全容解明にはほど遠い」
46人の説明責任はどうなった
次は参考人招致、そして証人喚問だ。
29日、岸田の後に政倫審に出てきた二階派事務総長の武田元総務相の弁明も酷いものだった。「会計責任者のミス」「還付金があることも(パー券販売の)ノルマがあることも知らなかった」「会計処理には一切携わっていない」とまあ、知らぬ存ぜぬのオンパレード。
もっとも派閥会長の二階元幹事長の収支報告書不記載については、「他の事務所について想像で答えるのは差し控える」と答弁したため、「やはり本人(二階)に聞かないと」と野党は攻勢を強めた。安倍派についても、裏金スキームの“起点”とされる森元首相を国会に呼んで説明してもらわなきゃ始まらないだろう。
初日の政倫審終了後、立憲民主党の泉代表は「次の段階に移ることは十分あり得る」と、関係者の証人喚問を要求する可能性に言及した。
「岸田首相がパーティーをやめると言ったことについても、永田町とメディアが大騒ぎしていますが、パーティーをやめるのは当然です。それより、政倫審出席の5人以外の残り46人の不記載衆院議員の説明責任はどうなったのか。裏金事件の実態はまったく解明されていないのです。国民はもっと冷静ですよ。確定申告期間の最中に永田町で繰り広げられている茶番を、むしろ国民の方が見抜いていると思います」(鈴木哲夫氏=前出)
政倫審だけで幕引きを狙う自民は、首相の出席が済んだ途端、1日にも本会議で新年度予算案を強行採決し、衆院を通過させる算段だ。
賢明な国民は、自民党のフザケた態度を次の総選挙まで忘れちゃいけない。
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