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異次元にズレた少子化対策 保険料上乗せ月額500円はマヤカシ…「実質的な負担」増は確実
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/336331
2024/02/17 日刊ゲンダイ
加藤こども政策相は「示し方を精査」/(C)共同通信社
国民に実質的な負担は生じないという触れ込みだったが――。岸田首相が唱える「異次元の少子化対策」の関連法案が16日閣議決定され、衆院に提出された。
児童手当や育児休業給付の拡充など、これまでと“同次元”の少子化対策に今後3年間で約3兆6000億円の財源が必要になるため、法案には「子ども・子育て支援金制度」の創設も盛り込まれている。
支援金制度は、医療保険料に上乗せして徴収する仕組み。2026年度に6000億円、27年度に8000億円、28年度に1兆円と段階的に引き上げて徴収する。上乗せ徴収額は初年度が1人当たり月平均300円弱で、28年度には500円弱になるという。
毎月500円ということは、年間で6000円。共働き世帯なら年間1万2000円を新たに徴収されることになる。税金か保険料かの違いだけで、どう考えても「実質的な負担」は増す。しかも、500円で済まない可能性が高いのだ。
徴収額は加入している医療保険や所得、現役世帯か高齢者世帯かによっても変わってくる。
「総理は『増税メガネ』のイメージがつくのを嫌がっていて、負担増もなるべく小さく見せたいのです。それで保険料上乗せという形にし、月額や平均という数字マジックを駆使して少ない数字に見せる工夫をしている。毎月500円は、人口全体でざっくり割った数字であり、実際に健康保険料を負担している現役世代にかぎれば、月額1000円程度になるという試算もあります」(内閣府関係者)
14日の衆院予算委員会では、加藤鮎子こども政策相も「1人当たりの拠出額について、どのようなお示しの仕方ができるか精査を進めてまいります」と、月額500円はマヤカシと認めるような発言をしていた。
「ベビーシッター割引券」も不評
それでも岸田首相は、「実質的な負担は生じない」と言い張っている。支援金で負担額が増えても、賃上げで所得が上がるから、“負担率”は増えないという屁理屈だ。だいたい、賃上げなんて大企業だけの話。給料が上がらなければ負担だけが増える。給与水準が低い若い世代の可処分所得が減れば、ますます非婚化・少子化が進みかねない。異次元のピント外れ政策だ。
加藤大臣が旗を振る「ベビーシッター割引券」も、SNS上では批判や疑問の声が殺到している。前年度の1.8倍にあたる約70万枚を発行するというが、利用できるのは拠出金を支払っている厚生年金加入企業の共働き夫婦だけ。都市部の大企業従業員向けの施策だ。
子育て支援の拡充はいいが、それが少子化対策になる保証はない。ピンぼけメガネの岸田首相は余計なことをせず、保険料の上乗せ徴収を諦めた方が少子化対策には有効かもしれない。
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