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(回答先: 日本共産党第29回大会 田村副委員長の結語(しんぶん赤旗) 投稿者 蒲田の富士山 日時 2024 年 1 月 20 日 20:24:33)
2024年2月11日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/308685/1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/308685/2
共産党トップの委員長に女性で初めて田村智子氏(58)が就任して間もなく1カ月。安倍晋三元首相が主催した「桜を見る会」を巡る問題への舌鋒鋭い追及で注目され、親しみやすい人柄でも知られる田村氏だが、直面する課題は山積みだ。志位和夫前委員長が主導した「野党共闘」路線は、他党の思惑も絡んで先行き不透明。古参党員の除名問題では党の組織体質に内外から批判が集まる。伸び悩む党勢を盛り返すことはできるのか。そして、1月の党大会での「あの事件」の真相は—。全ての疑問を本人にぶつけた。(聞き手・大野暢子、小椋由紀子)
田村智子(たむら・ともこ) 1965年、長野県小諸市生まれ。早稲田大卒。在学中、学費値上げへの抗議行動を機に共産系の青年組織「日本民主青年同盟」(民青)に参加。卒業後は民青の専従職員、共産の国会議員秘書を経て2010年参院選で初当選し、現在3期目。20年、女性初の党政策委員長に。今年1月の党大会で女性初の党委員長に就任した。次期衆院選で比例東京ブロックへのくら替え出馬を予定している。愛称は「タムトモ」。
◆自民党政治への怒りを、政治を変える希望に
Q 委員長として取り組むべき仕事は。
A 国民に広がる自民党政治への怒りを、政治を変える希望に変えていきたい。そして、多くの人を党に迎え入れたい。この間、残念ながら党勢が後退してきたが、今、前進に転じる大きなチャンスがある。私も実感してきたが、共産党は政治を変えたいという立場で自由に議論できるし、学べる。それが楽しい。そういう楽しさを広げていきたい。
Q 「政治とカネ」の問題に揺れる現下の政治情勢をどうみるか。
A 自民党政権の中枢を担ってきた政治家が、モラルのかけらもなく、政治を語る資格もないことが明白になった。金権政治の温床である企業・団体献金を、岸田文雄首相は擁護している。自民党をカネで支える経済界の要請で、国民多数が反対しても消費税増税が強行され、法人税減税がセットで行われてきた。経済界の目先の利益で政治がゆがめられ、結果的に実質賃金が下がり続けるなど、経済の停滞も引き起こしている。
◆「綱領や民主集中制は継承する」
Q 党勢が低迷する理由をどう考える。打開策はあるか。
A 90年代を前後してソ連・東欧の旧体制の崩壊があり、社会主義へのマイナスイメージが大きく広がった。しかし今では、貧富の格差の拡大、気候危機の深刻化のもと、資本主義の方が「やっていけるのか」となっている。
共産党は先月の大会で、人類社会にいろいろな矛盾をもたらしている資本主義の利潤第一主義を乗り越えて「人間の自由」が全面的に花開く社会が、私たちの目指す社会主義・共産主義だと打ち出した。若い人たちの中に「資本主義のままでいいのか」という問いがある。その答えを持っているのは、共産党だけだ。
Q 党の何を残し、何を変えたいか
A 政策の柱となる綱領や民主集中制(民主的に議論し、行動を統一する組織原則)は継承する。その上で、もっと1人1人の党員の力が発揮される党へと発展させたい。1人の力持ちに責任も活動も集中したら、女性役員も増えないし、若い人たちが力をのびのびと力を発揮できない。
私も経験したが、女性は妊娠・出産、生理の時も含め、活動を抑える時期がある。ばりばりと活動しなければ責任ある役割を果たせないというのではなく、自分を大切にしながら活動できる党にしていくのが理想だ。
◆3月の予算案審議「私もつらかった」
Q 自身は自分を大切にしながらキャリアを築いてこられたか。
A 日本社会はジェンダー平等が非常に立ち遅れている。子どもにはかなり我慢をさせたと思う。予算委員会や予算関連法案の審議は毎年3〜4月。子どもの入学式や卒業式に出られない時もあった。子どももつらかっただろうし、私もつらかった。どう両立するのか、もっと議論して変えることはできるはず。
私も1人で頑張るわけではない。志位和夫前委員長が議長になり、指導部の体制もベテランから若手まで層が厚い。困った時には率直に相談できて、その人を支えるような強い組織づくりに挑戦したい。
Q 「桜を見る会」問題の追及で名をはせた。
A 当時問題になった「政治の私物化」は、国民よりも官邸の方を向く政府にしてしまったのではないか。能登半島地震では、1カ月がたってもプライバシーやジェンダー視点の欠如が避難所で頻発している。政府は「マニュアルを徹底する」と言うだけ。各省庁が何とかしようと乗り出して進める姿勢が見えない。一部の政治家が官僚を言いなりにさせ、官邸の主導権を強めたことで、省庁を「指示待ち」にしたのではないか。
Q 安倍政権以降、自民党が改憲への意欲を強めている。特に緊急事態条項の創設を巡っては、一部の野党の協力を取り付けた自民が議論の進展を狙っており、岸田首相も施政方針演説で改めて任期中の改正に意欲を示した。
A 法律を守ることもできない政治家たちに憲法を語る資格があるのか。改憲ではなく、自民党の政治資金を巡る違法行為を徹底究明してほしいというのが圧倒的な世論だ。この国会で憲法の何を語るつもりなのか。緊急事態条項は「国会をやらなくていい。権限をすべて政府に委ねる」のが目的。震災などが起きるたびに持ち出されるが、緊急時ほど国会で各党が国民の代弁者として、現場でつかんだ問題点を政府に突きつけるべきだ。
◆「真剣に政権交代を求めるなら共闘が必要。話し合いの用意はある」
Q 問題のある与党を追い詰めようと「野党共闘」を打ち出した。目指す共闘とは。
A これだけ自民党政治への怒りが広がり、国民が政治を変えてほしいと願っている時、対抗の軸を示す責任が野党にはあり、共闘が必要だ。企業・団体献金の禁止、連座制も含めた政治資金規正法改定では一致している。
野党共闘の1丁目1番地が、立憲主義を破壊した安全保障法制の廃止だ。憲法に背く動きを自民党政治が着々と進めている。軍事費の(対GDP比2%への)倍増や殺傷武器の輸出、戦闘機の国際共同開発などは許されない。消費税減税など経済政策の転換、選択的夫婦別姓・同性婚など、野党が一致できる政策を大いに議論したい。
Q 立憲民主党の泉健太代表が最近、政治改革や教育無償化といった共通政策を持つ野党による連立構想「ミッション(使命)型内閣」を提唱している。
A 真剣に政権交代を求めるなら共闘が必要だし、話し合いの用意はある。政策課題についても、本当に国民の暮らしの要求に応えようと思ったら「軍事費2倍」とはどうしたって矛盾する。軍事費や不要不急の予算、大型事業はいったん見直し、教育や医療介護に回すことが急がれる。こうした重要な課題について協議していく用意はある。
◆「パワハラ」とまで指摘された…あの批判の理由は
Q 「除名問題」に加え、党大会で委員長選出を控えた田村氏自身が党員の除名問題に反発した神奈川県議の発言を厳しく批判した件は、「パワハラ」とも言われ耳目を集めた。党員やサポーターになろうとしている人が「入党すれば自由にものが言えなくなるのではないか」と不安にならないか。
A 党内の議論は自由に行っている。「そういう意見を言ってはならない」という対応はしていない。大会決議案も2カ月前に示し、支部や各地の会議での議論だけでなく個人の意見も応募原稿で寄せてもらい、誰でも読めるように(党機関誌の)しんぶん赤旗号外という形で発行した。自由な議論を保障している。ただ、自由な議論だけで終わってしまったら一致結束して政治を変えていくことはできない。
除名された元党員の主張の柱の一つは、共産党が日米安全保障条約の廃棄を掲げているから野党共闘が進まない、党の基本政策からこれを降ろせというものだった。党綱領のもっとも核心の部分だ。わが党が安保条約廃棄の旗を降ろしたら、国内の全ての主要政党が(日米安保条約を)認め、在日米軍を認めることになる。オスプレイが墜落事故を起こし、危険な訓練を繰り返し、沖縄でどれだけの人権侵害が在日米軍によってもたらされてきたのか。そんな(安保条約を認める)立場に私たちが立つなんて、ありえないことだ。それを党内で議論せず、いきなり出版や会見で主張した。最も重い処分を下すしかなかった。
党大会で「処分は間違いだった」という発言が出た以上、「こういう意見がありました」では済まない。発言の内容に対して、どこに問題があるのかを厳しく批判しなければ、一番の核心部分で党の団結をつくることができない。中央委員会でこれらを議論し、私の討論のまとめで批判を行った。
Q 記者が知っている「タムトモ」のイメージにはなかった。
A (苦笑いしながら)「ええっ?」という感じだっただろうか。
Q 葛藤はなかったか。
A 党内の議論は自由闊達(かったつ)であるべきだが、ばらばらで終わっていいとは思わない。問題点があれば率直に述べる。冷静な議論を尽くし、方針を決定したら、団結していくことが大切だ。
◆「政策の違いがあるから各政党に分かれている」
Q 党の政策を変えたり、曖昧にしたりしてまで、野党共闘を追求するつもりはないということか。
A 政策の違いがあるから各政党に分かれている。共闘できる政策しか持ち合わせないのであれば、違いのない政党になってしまう。私たちが日米安保条約廃棄という立場を掲げ、在日米軍にも厳しくものを言い、米国言いなりの外交でいいのかという問題提起ができる党であることは、世界の中でも大きな意味を持つ。(日本政府は)イスラエルのガザ攻撃についてイスラエルをまともに批判できず、停戦すら促せない。米国の顔色をうかがっており、その根底には安保条約がある。
各党と一致できるところが安保条約の廃棄ではないのは百も承知だ。しかし、安保条約には重大な問題があり、廃棄という立場に立つからこそできる共産党の国会論戦がある。
Q 野党共闘のために政策を変える必要はない、と。
A 他の野党も私たちと違う政策を持っており、それを投げ捨てろなんて私たちは言っていない。共闘で連立政権を実現したら、国民に約束した一致点まで仕事をやって、選挙で信を問う。その時に新たな政策の一致点を議論するのが筋だろう。
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