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※紙面抜粋
※2024年2月1日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
真剣味、レス・ザン・ゼロ(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
〈この報告書は、政治資金規正法に従って作成したものであって、真実に相違ありません〉
政治団体「清和政策研究会」(自民党安倍派)が昨年3月27日付で総務省に提出した政治資金収支報告書には、こう大書きされた宣誓書が添付され、会計責任者の松本淳一郎氏の記名押印で結ばれていた。それから9カ月あまり。自民党派閥の裏金事件を捜査した東京地検特捜部は、規正法違反(虚偽記載)の罪で松本氏を在宅起訴。安倍派は1月31日付で2020〜22年分の収支報告書の訂正を総務省に届け、宣誓書は大きなバッテンと訂正印によって削除された。政治家、とりわけ自民党に所属する国会議員にとって〈真実〉は、いともたやすく手直しできるということ。収支の不記載総額は億単位に上るのに、主犯にほかならない議員側は「おわび」で済まされるのだから、納得がいかない。
安倍派は22年分までの3年間の収支報告書について、政治資金パーティーによる収入を計4億3588万円増額。所属議員らの政治団体への寄付支出として、計4億2742万円増額した。キックバック、あるいは還流で裏金化していた分で、対象は計91人。ほぼ全員だ。安倍派が出したコメントによると、パーティー収入から寄付の形で支出したのは5年間で現職・元職の衆参両院議員の計95政治団体、総額6億7654万円。特捜部が起訴時に認定した不記載額とキッチリ同額だった。平仄を合わせたのだろうか。
安倍派による大規模訂正に伴って1月31日、裏金受領が発覚した小森卓郎総務政務官(衆院石川1区)と加藤竜祥国土交通兼内閣府兼復興政務官(衆院長崎2区)が辞任した。収支報告書の不記載額は小森70万円、加藤10万円。人事がやりたくて総理大臣のイスを欲しがったくせに、岸田首相の政局観のなさ、見識のなさがどんどん際立っている。
「70万円」ははした金なのか
萩生田前政調会長や松野前官房長官ら安倍派幹部「5人衆」などを政権中枢から追放した先月中旬の更迭劇をめぐっては、「安倍派というだけで罪人扱いか」とかいう批判に押され、岸田は一掃を断念。閣僚4人を含む政務三役10人と党幹部3人を辞めさせたものの、政務官5人については本人の意向などを踏まえて続投させた。みっともない追加更迭は党内で「言わんこっちゃない」と揶揄されているが、ポストにしがみつく若手の言い分を岸田がうのみにしたことで、カネにルーズな自民党の体質が浮き彫りになったと言っていい。「一切使っていない。事務所に残していた」という小森は、「関係の薄い、あるいは関係のない政務官は一律で留任になったと受け止めている」と釈明していたが、とうに知命を迎えた男がよくも青二才のようなセリフを吐けたものだ。70万円ははした金だとでも言いたいのか? 当選1回で裏金を受け取り、頬かむりをしていた人間も、その他大勢の安倍派議員同様にバッジをつける資格はない。
解散を決めた安倍派は1日、最後の派閥総会を開き、還流を受けた議員に収支報告書訂正の手順を説明。2日にも総務省などに個別訂正が届けられる見通しだ。裏金の使途を明らかにしないまま、課税対象にならない政治資金だと強弁し、訂正を出して済まそうなんて、白昼堂々の「犯罪隠蔽」だ。安倍派と同じく会計責任者ら関係者が立件された二階派(志帥会)と岸田派(宏池政策研究会)は先んじ、18日付で収支報告書を訂正。二階派はパーティー収入を3年間で約1億3600万円、岸田派は20年のパーティー収入を約900万円増額した。
政治活動の名で商売した派閥と議員に税務調査
立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)はこう言う。
「政治資金パーティーを悪用してつくった裏金を寄付などとして表に出し、収支報告書を訂正したところで派閥は法人税法違反、議員は所得税法違反の疑いを免れない。税務当局が政治資金パーティーを収益事業と解釈していないため非課税扱いとされていますが、利益率は9割前後に上り、実態はほぼ丸儲け。政治活動の名を借りて商売をやっていたのです。当局は税務調査権を適正に行使すべきで、動かなければ不作為の違法性が問われる。いずれも脱税行為で重加算税を課し、ネコババしたカネの半分は徴収しなければおかしい。世間も許さないでしょう。昭和のロッキード事件、平成のリクルート事件と比べても、令和の裏金事件は非常に悪質。『政治とカネ』をめぐる前代未聞の事件なのです」
真っ先に派閥解散を表明した岸田派についても、政治資金をめぐる疑惑が次々だ。
東京簡裁は26日付で宏池会の元会計責任者の佐々木和男氏に罰金100万円、公民権停止3年の略式命令を出した。岸田に「事務処理上の疎漏」をやらかしたと言われた事務方だ。週刊文春(2月1日号)によると、取材に応じた佐々木氏は「でも今回思いましたけど、政治資金規正法では会計責任者に全て責任が行くんですよね。ホントに……」「忸怩たる思いです」などと心情を吐露したという。安倍派の幹部連中は裏金づくりについて「会長案件だった」と口をそろえ、鬼籍入りした細田前衆院議長や安倍元首相の主導によるものだとほのめかしていた。昨年12月まで領袖の座に居座ってきた岸田は本当に何も知らないのか。地元・広島で一昨年に開かれた首相就任祝賀会をめぐっても脱法疑惑が浮上し、国会で追及されている。
たった3日間のお手盛り調査
来年度予算案の国会審議を控える中、自民党は野党の要求に渋々応じ、裏金議員の聞き取り調査を2日から始めるという。渡海政調会長や小渕優子選対委員長ら党幹部と弁護士が手分けして調査にあたり、安倍派や二階派議員が対象となる見込み。予算案の実質審議が始まる5日までに調査結果を国会に提出するというが、短期間で実態が解明されるとは思えない。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着をアリバイ点検で押し切ったように、お手盛りで時間稼ぎをする算段か。
法大名誉教授の五十嵐仁氏はこう言った。
「収支報告書の訂正は、違法行為を認めたのとイコールです。〈政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする〉とうたう規正法の趣旨に反した裏金議員は全員辞職するのが筋。順法精神の欠落した人間が法律をつくる立法府の一員なんてブラックジョークです。泥棒に盗人を取り締まる縄をなわせているようなもので、国民を代表する資格はない。30年前の政治改革をめぐっても、自民党は自分たちに有利な抜け穴をつくった。政党助成制度は企業団体献金の全面禁止が前提だったのに、二重取りしているのがいい例です。野党が規正法の厳罰化を求めていますが、裏金議員を残留させたまま議論に入れば、自民党が焼け太りする可能性がある。国民は何度も何度も自民党に騙されてきた。立憲民主党の泉代表はきのうの代表質問で『自民党には自らをただす自浄能力がない』と断じていましたが、自浄能力が残っているわけがないのです。今回ばかりは目くらましに騙されてはいけません」
繰り返すが、自民党の派閥解消に向けた動きも、収支報告書の訂正も、「政治とカネ」の問題を解消するためではない。イチにもニにも犯罪を隠蔽するためなのだ。犯罪者集団による幕引きを許してはいけない。
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