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通用しない「政治活動の自由」
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2024年1月31日 植草一秀の『知られざる真実』
岸田首相は
「政治活動の自由と国民の知る権利のバランス」
と繰り返すが、「巨大な裏金を創作すること」は「政治活動の自由」でない。
「企業活動の自由」を認めたら「企業が裏金を創作して闇に資金を流すこと」が容認されるのか。
「個人活動の自由」を認めたら「個人が所得をかくすこと」が容認されるのか。
「巨大な裏金を創ること」は政治活動の自由に含まれない。
政治資金規正法の目的は以下のもの。
(目的)
第一条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。
「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」
「政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより」
「政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与すること」
が政治資金規正法の目的である。
自民党の裏金創りは明白な違法行為。
裏金の金額が4000万円以上は摘発し、4000万円以下は無罪放免にすることに合理性がない。
国会議員の違法行為については国会が厳正な対応を示すべきだ。
少なくとも1000万円以上の裏金を収支報告書に不記載にしてきた議員は議員を辞職して責任を明らかにするべきだ。
国会は重大な違法行為を実行した国会議員に対する議員辞職勧告を決議すべきである。
自民党裏金問題は政治資金パーティーを開き、パーティー券収入を得ていながら、この収入を収支報告書に記載せず、したがって、資金使途も一切公表していない問題。
政治資金規正法は政治資金の「入」と「出」を収支報告書に記載して報告することを義務付けている。
「裏金事件」は法律の定めに違反して、政治資金の「入」も「出」も記載していなかった事件。
4000万円以上の議員は刑事事件として立件されたが、4000万円未満の議員は無罪放免にされた。
しかし、4000万円と3526万円の間に本質的な違いは存在しない。
政治資金規正法は議員立法で制定されたもの。
法律を制定した議員自身が法律を守らないで法治国家を運営できるのか。
違法行為は意識的に、かつ組織的に実行されてきた。
無法国家を主導する議員に対する厳正な対応を国会が示すことは必須だ。
自民党パー券裏金事件に対して厳正な対応を示すべきことは当然だが、この機会に「ザル法」と呼ばれる政治資金規正法を抜本改正することが必要不可欠だ。
法改正に際して必要不可欠な項目が三つある。
第一は連座制の採用。
第二は21条2の2項の削除。
第三は各議員の政治資金収支を総括する「国会議員政治資金収支総括報告書」の作成提出を義務付ける制度の導入。
国会で論じられている「政策活動費」の問題は上記の21条2の2項にかかわる問題。
拙著『資本主義の断末魔』でも大きく取り上げた。
政治資金規正法は議員個人に対する寄附を禁止しているが、政党が行う寄附を例外として除外している。
この「抜け穴」を利用して、政党や政党支部から政治家個人への巨額の寄附が行われ、その使途が一切明らかにされていない。
自民党幹事長には年間で10億円内外の巨額の寄附が行われて、その使途が一切明らかにされていない。
この抜け穴をふさぐには21条2の2項を削除すればよい。
自民党の二階俊博元幹事長への「寄附」は幹事長在任中の5年間50億円近い水準に達している。
同様の公然の「裏金」は維新や国民民主党などの野党でも創作されてきた。
合法の「裏金」を生み出す原動力になっている21条2の2項を直ちに削除すべきである。
速やかに抜本的法改正が実行される必要があるが、岸田首相の対応はあまりにも鈍い。
主権者である国民は当面の各種選挙において自民党に対して明確なNOの意思を表明するべきである。
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