http://www.asyura2.com/24/senkyo293/msg/204.html
Tweet |
※紙面抜粋
※2024年1月27日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
場当たり政治で党内混乱(C)日刊ゲンダイ
「政治家として覚悟を持って『ケジメ』として判断した」──。自民党の小渕優子選対委員長が25日突然、所属する茂木派からの退会を表明。同調した青木一彦参院副幹事長に続き、26日は茂木派の関口昌一参院議員会長、石井準一参院国対委員長、福岡資麿参院政審会長と参院幹部3人がそろって派閥離脱を表明した。
ドリル優子は茂木派の前身である小渕派を率いた恵三元首相の次女。青木は官房長官として小渕政権を支え、「参院のドン」と呼ばれた幹雄元参院議員会長の長男だ。政界引退後も幹雄氏は昨年6月の死去まで茂木派に隠然たる影響力を持ち、茂木幹事長との不仲説も取り沙汰されてきた。
「前任の竹下亘会長の死去後、青木さんの承諾を得ないまま、茂木さんが派閥会長に就いたことを最後まで許していませんでした。2人の犬猿の仲はつとに有名で、青木さんは『目の黒いうちは、茂木に派閥を渡さない』と語っていたほどですからね」(茂木派関係者)
茂木を蛇蝎のごとく嫌う一方、参院のドンは盟友の忘れ形見である小渕を娘のように可愛がり、「優子を総理に」が口癖。茂木派をサッサと小渕派にしたがっていたようだ。ドンの息のかかった派内の参院議員ほど茂木と距離を置き、23日夜の同派の幹部会に参院側は出席を見合わせていた。
派閥のプリンセスの決断にドンの遺志を踏まえ、参院側は実子の青木をはじめ、歩調を合わせて次々と派閥を離脱。ドサクサ紛れに「ケジメ」を旗印に掲げ、派閥を存続させる意向の茂木に揺さぶりをかけているのだ。
目を覆いたくなるケジメ合戦と妖怪跋扈の迷走
茂木は「上には弱く、下には強く」という典型的なパワハラ気質。人を見下しがちで、キレやすい。もともと親分に人望がない茂木派は分裂・自壊の道を歩みそうだが、当の茂木本人は独断暴走中。裏金事件で立件を逃れた安倍派幹部に「ケジメのつけ方を考えて自ら提案して欲しい」と伝え、猛反発を招いている。
安倍派幹部にケジメを促した茂木の動きを、岸田首相は何も知らされていなかったようで、「相談なく勝手に岸田派解散を決めたことに不満を持つ茂木さんの意趣返し」(自民党ベテラン)との見方もある。実際、岸田にすれば茂木の暴走は、はた迷惑だ。
確かに、他派閥はもちろん、安倍派の若手・中堅も「派閥が」「秘書が」「会長が」と見苦しい責任逃れに終始する「5人衆」にケジメを要求。新型コロナ禍の緊急事態宣言発令中、銀座のクラブ通いがバレた松本純元国家公安委員長ら“銀座3兄弟”と同様、「離党勧告」を突きつけるべきとの意見も根強い。
とはいえ、処分の「線引き」は厄介だ。党所属議員の約4分の1を占める安倍派では大半の議員が裏金に染まり、その数は実に約80人。これだけ大量の議員を排除すれば党運営は回らない。裏金額の多寡や役職の軽重で処分の対象を分ければ根拠を問われる。
何より安倍派幹部を処分すれば即、岸田本人にも火の粉が及ぶ。会計責任者が立件されたのは安倍派だけじゃない。岸田派も二階派も同罪だ。安倍派幹部も茂木に「岸田派や二階派の幹部も離党させるのか。岸田首相にも『離党しろ』と言うのか」とすごんだらしい。
岸田も処分には慎重にならざるを得ず、頭脳だけは明晰な茂木だって、「ケジメ合戦」で岸田が窮地に陥るのは百も承知だろう。それだけ岸田との仲が冷え切っている証拠で、党総裁と幹事長という最高幹部同士がギクシャク関係とは、目を覆いたくなる迷走ぶりだ。
おとといは今なお安倍派の親分を気取る森元首相が、子分に党執行部が離党や議員辞職を求めたとする報道に激怒。車イスで議員会館の麻生副総裁らの事務所を訪れ、直談判に動いたという。古い政治を象徴する「妖怪」が好き勝手に跋扈する自民党にガバナンスもクソもない。もはや政党の体をなしていないのだ。
裏金の解明をはぐらかす幹部追及のバカ騒ぎ
岸田の場当たり「派閥解散」宣言以降、自民党内は未曽有の大混乱。憎悪渦巻く内輪もめを演じているが、しょせん、コップの中の嵐だ。
安倍派内の若手・中堅が幹部の責任を追及するのも、わが身かわいさから。参院議員は来夏、衆院議員も任期を迎える1年半以内に選挙を控える。「安倍派」というだけで風当たりが強いだけに「誰も責任を取らなければ次の選挙で痛い目にあう」がホンネ。「ケジメ、ケジメ」の大合唱で高まる党内の不協和音は選挙向けのポーズで、保身に基づく議員心理が働いているに過ぎないのである。
26日召集の通常国会前に主要6派閥のうち4派閥が次々解散。党所属376議員の約7割が「無派閥」となるらしいが、だからどうした。派閥がどうなろうと、議論の本質はそこではない。裏金づくりはいつ始まり、誰がどう指示して何に使ってきたのか――。その背景と実態をつまびらかにすることこそ、真の「ケジメ」のつけ方なのは言うまでもない。
派閥を巡るいざこざや、幹部の責任を求めるバカ騒ぎは、単なるはぐらかし。目くらましの派閥解散ですら、抜け穴だらけだ。政治刷新本部の「中間とりまとめ」は〈解体的な出直し〉をうたいながら、派閥の全廃は求めず「政策集団」に看板を掛け替えての存続を容認。当初想定された「派閥事務所の閉鎖」や「党役員・閣僚の派閥からの離脱」も抜け落ちた。いずれも派閥存続を求める麻生に対する岸田の配慮で、結局「派閥均衡」から抜け出せないのだ。
「自民党は派閥の連合体で、派閥解消のたび復活を繰り返してきた歴史がある。リクルート事件を受け、1989年に策定した党の『政治改革大綱』には、派閥解消の決意や党幹部・閣僚に就いた際の派閥離脱を明記。それよりも中間とりまとめは大きく後退し、『ほとぼりが冷めるまで待てばいい』との開き直りがにじみ出ています。この35年間での党の劣化を物語り、カネとポストを求める以上、実態は変わりません。今度もまた派閥の『偽装解散』で終わるのは歴然です」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
公明党を巻き込み93年の再現を目指せ
そもそも、刷新本部は肝心要の裏金の実態解明には取り組まず、自民党内は誰ひとりコトの本質に迫ろうとしない。きのう召集の通常国会は、首相の施政方針演説に先立ち、29日には裏金事件をテーマに衆参予算委員会で集中審議を行う異例のスタート。ケジメなき集団が派閥の偽装解散で、「政治とカネ」が焦点となる裏金国会を乗り切れると思うなら、いい度胸だ。野党はどう攻めるべきか。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「野党はこのチャンスを逃したら一巻の終わりです。まず一致団結し、裏金捜査で事情聴取を受けた派閥幹部の証人喚問を実現させるのはマスト。また、与党・公明党も政治資金規正法を改正し、会計責任者が有罪となった場合、議員も公民権停止にする連座制の強化を求めています。山口代表も及び腰の自民と『同じ穴のムジナに見られたくない』と意欲マンマン。先日の八王子市長選で、地元選出の萩生田前政調会長が裏金事件の逆風を受けながら、支援する候補が勝てたのも公明票のおかげです。『政治改革』に公明党を巻き込んでいけば、自民党内でも選挙に弱い議員ほど浮足立ってくる。93年に宮沢内閣に対する不信任案の採決で自民から造反者が続出して可決。衆院解散から自民の下野に追い込んだプロセスの再現を目指し、野党は全力で知恵を絞るべきです」
この際、自民下野で本当にケジメをつけさせることこそ、国民が望む「真の政治刷新」のあり方である。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK293掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK293掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。