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※紙面抜粋
※2024年1月19日 日刊ゲンダイ2面
※文字起こし
突然の「解散」宣言(岸田文雄首相)/(C)共同通信社
唐突な「解散」宣言だった。自民党派閥のパーティー裏金事件を受け、岸田首相は18日、自身が昨年12月まで会長を務めた岸田派について「解散を検討している」と表明した。
東京地検特捜部が政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いで、岸田派の元会計責任者を立件する方針を固めたことが分かり、「派閥解散論」をブチ上げることで党内外の批判をかわす狙いがあるようだ。さも大層な決断を下したように見えるが、論点のスリ替えに国民は騙されてはダメだ。
事件の本質は派閥うんぬんの問題ではない。組織的な裏金づくりが平然と行われてきたのはなぜか、ため込んだ裏金は何に使われたのか──、真相解明し膿を出し切ることが何より肝要なのだ。本気なのかどうかも分からない「派閥解消」という目くらましで幕引きなど決して許されない。
18日は、岸田派のみならず、二階派についても派閥の収入を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、特捜部が元会計責任者を立件する方針であることが判明。安倍派の悪辣ぶりが目立っているが、自民党は上から下まで裏金政党であることがハッキリした。どの派閥もせっせと裏金づくりに励んでいたということだ。
岸田派は、規正法の時効にかからない2018〜20年の3年間で約3000万円の収入が不記載だったという。特捜部は元会計責任者の略式起訴を検討しているようだ。
18年以降の5年間で計2億円超の不記載があった二階派については、元会計責任者を在宅起訴する方針。会長の二階元幹事長に至っては、事務所が5年間で3000万円を裏金化していた疑いを持たれている。二階本人の関与は認められず、秘書の略式起訴で終わりとみられている。
岸田は自らの責任について「事務的なミスの積み重ねと報告を受けている」「それ以上のことは承知していない」と知らぬ存ぜぬだったが、納得する国民はほとんどいないのではないか。
結局、刑事責任を問われるのは会計責任者や秘書ばかり。典型的な「トカゲの尻尾切り」である。安倍派では、池田佳隆元文科副大臣が逮捕され、谷川弥一、大野泰正両議員はそれぞれ略式起訴、在宅起訴される見込みだが、派閥幹部はいずれも逃げ切り濃厚というありさまだ。
「会長案件」なら岸田首相は知り得る立場
しかし、安倍派幹部らの説明と、岸田、二階両派幹部の扱いには矛盾が浮かび上がる。18年以降に事務総長を務めた安倍派の4幹部は、裏金化について「会長案件だった」などと特捜部に説明。当時の会長は細田前衆院議長と安倍元首相で、「死人に口なし」だ。その結果、特捜部は事務総長経験者と会計責任者の「共謀」を問うのが困難、として立件見送りになるとみられている。
安倍派幹部らの説明通りなら、派閥のカネを巡り、会長には絶対的な権限があるということ。岸田派と二階派の会計処理も同様に「会長案件」だとしたら、岸田と二階は「共謀」に当たる。まさか、岸田派と二階派は「会長案件」でなく事務方の「会計責任者案件」だったとでも言うつもりか。そんな理屈が通るとは思えない。
派閥の不記載を刑事告発した神戸学院大教授の上脇博之氏はこう言う。
「岸田派の会計処理も『会長案件』だったなら、少なくとも岸田首相はカネの流れを知り得る立場にあったことになるでしょう。当然、会計責任者が勝手に不記載を決めたとは考えにくく、岸田首相をはじめ派閥幹部に相談があったと考えるのが自然です。『承知してない』という言い訳は通用しないでしょう。説明責任を果たすべきです」
岸田は他人事のように振る舞っているが、まさに犯罪の当事者じゃないか。前出の上脇教授はさらにこう続ける。
「安倍派幹部らの立件が見送られたことにも疑問符がつきます。『会長案件』という説明は辻褄が合っていない。22年5月の安倍派パーティーでは、還流を取りやめる方針を示しながら、夏に撤回。その際、既に安倍元首相は他界しており会長不在です。ならば、撤回という重大な決断を誰が下したのか。会計責任者が独断でできるとは思えず、幹部の意図が働いたとみるべきでしょう」
“盗人”が「刷新」を叫ぶブラックジョーク
フザケているのは、こんな連中が「政治改革」をエラソーに叫んでいることだ。岸田は自ら党内に「政治刷新本部」を設置し、政治改革に向けた議論を行っているが、組織的な裏金づくりを平気でやってのけるヤカラに「刷新」なんてできるわけがない。“盗人”に対策を検討させて何を「刷新」できるというのか。いよいよ「お笑い」だ。
17日に開催した刷新本部会合では7人の有識者を招き、意見を聴取。「外部有識者招聘」と言えば聞こえはいいが、会合はたったの1時間半だ。7人の有識者からどれだけの意見が聞けたというのか。形だけの会合だったのは間違いない。16日の会合には約150人の議員が参加し「派閥を解消すべき」「安倍派を介錯する」などと大騒ぎだったが、党内からは「ただのガス抜きだ」という声が上がっている。
要するに、刷新本部はヤラセの猿芝居。岸田は3回あった会合全てに参加し、計5時間半にわたって意見を聞いたというが、その狙いも今やメッキの剥げた「聞く力」アピールだったに違いない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「刷新本部は、人選、期間、議論の中身全てに問題があります。第一に、『刷新』される対象の裏金受領議員がメンバーに入っている。期間については、たった2週間と短すぎます。これで25日に中間報告なんてあり得ない。議論の内容も『派閥解消』に矮小化している。本来、政治資金関連情報のデジタル化による全面的な透明化、企業・団体献金の禁止などを検討すべきです。刷新本部は『議論してます』というポーズに過ぎない。実際は、いかにして国民を騙すかについて相談しているとしか思えません」
SNSで吹き荒れる「検察いらない」
あまりのデタラメぶりに、多くの国民は我慢の限界だろう。さすがに、自民党への怒りが頂点に達しつつある状況だ。
時事通信が12〜15日に実施した1月の世論調査では、自民党の政党支持率が前月比3.7ポイント減の14.6%となった。これは、同社が1960年6月に調査を開始して以降で、野党だった期間を除き最低だという。
国民の怒りは岸田自民だけでなく、派閥幹部の責任を問えない特捜部にも向けられている。
X(旧ツイッター)では、つい先日まで〈#検察がんばれ〉がトレンドに入っていたが、いまや〈#もう検察いらないよね〉がトレンド入り。〈「強きを助け弱きを挫く」、今の検察はまさにそれ〉〈巨悪集団自民党を守るための組織であるなら要らん〉といった批判が続出している状況だ。
「大山鳴動してネズミ“3匹”では、国民は納得しないでしょう。組織的に裏金づくりを行っていたのが明らかなのですから、権限が強い派閥中枢を立件し、責任を取らせるべきです。これでは、真相解明もままならない。なぜ、検察は厳しく切り込まないのか。『今回は下っ端議員だけで見逃してやる』とばかりに政権に恩を売り、実を取ろうと考えているようにも見えてしまう。国民の不信感は高まるばかりです」(五十嵐仁氏=前出)
92年の東京佐川急便事件では、金丸信副総裁が略式起訴と20万円の罰金刑でシャンシャンとなったが、国民が激怒し、検察庁の石看板にペンキがブチまけられた。今回も、再び同じことが起こるのではないか。国民の怒りは収まりそうにない。
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