<■651行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 正論 「現状維持」民意示した台湾選挙 平成国際大学副学長・浅野和生 2024/1/19 8:00 https://www.sankei.com/article/20240119-LOT7TUYV7JPCXASOC6VM33DW3A/ ■総統選を通し分かったこと 台湾では2024年、 「台南400年」 を記念するイベントが開催される。 これは1624年にオランダ人が台南に上陸してゼーランディア城を築き、組織的な統治を始めた故事に基づく。 その意味する所は、台湾には、中国とは別の台湾独自の歴史があるということである。 台湾の1年は2024年1月13日投開票の台湾の総統選挙、立法委員総選挙で幕を開けた。 選挙戦では外交、国防だけでなく経済発展、社会福祉、教育、住宅問題等について自由闊達に議論が展開された。 最終盤には数万人が集う 「造勢会」 で支持者を鼓舞し、決戦の日を迎えた。 この間の台湾には、自分たちの運命を自分たちで選択する、健全な自由民主主義の姿があった。 総統選挙は蔡英文政権与党の民進党・頼清徳と、野党である国民党・侯友宜、民衆党・柯文哲の争いだったが、いずれもいわゆる中台 「統一派」 ではない。 台湾の政治大学選挙研究センターが2023年6月に発表した世論調査結果では 「中国との統一を望む」者7.4% に対して 「現状維持」が60.7%、 「独立を目指す」は25.9% であった。 また 「自分は中国人」と認識している人が2.5%、 「台湾人であるが中国人でもある」30.5%、 「私は台湾人」62.8% であった。 この数値からすれば、総統候補を擁立し、議会の過半数獲得を目指す主要政党が、中国による台湾統一を看板に掲げるはずがない。 日頃から中華人民共和国の国旗を掲げて活動し、中国との統一を主張する 「中華統一促進党」 は、地域選挙区に10人、全国比例代表区に4人の候補を立てたが、地域選挙区で0.10%、比例代表区で0.13%の得票に終わった。 ■手に入れた自由と民主、繁栄 ところで40%を超える得票率で当選した民進党・頼清徳は、台湾の平和と経済交流、対中関係安定のため中台交渉の実施を目指すと述べたが、その際には台湾の尊厳が保たれる対等の立場を求めると強調した。 台湾が中国の1地方に過ぎないという中国共産党の 「1つの中国原則」 を認めれば、対等な立場を維持できず、将来の台湾併合に途(みち)を開くことが懸念されるからである。 一方、国民党は馬英九総統時代を懐古して、中台経済交流の拡大を目指す対中融和路線だった。 しかし侯友宜は 「1つの中国」 原則は認めるが、中華民国憲法を堅持して台湾の自由と民主を守ると明言していた。 民衆党の柯文哲は中国と交渉すると共に米国との関係も緊密化させ、米中対立の激化を避け、台湾が米中の橋渡し役になると述べていた。 誰も中台統一を望むとは言っていない。 ところで誰が台湾の総統になろうと、 「台湾併合」 という中国の国家目標が変わることはない。 習近平政権は第1に 「平和統一」 を掲げ、それができなければ次善の策として、武力行使も辞さない立場である。 2022年の第20回中国共産党大会での習近平政治報告によれば、 「中華民族の夢」 の実現には、アヘン戦争以来の恥辱を雪(そそ)がなければならず、それ故に香港の祖国完全復帰を進めているのだが、日清戦争で日本に割譲した台湾を手中に収めなければ目標達成とはならないのである。 一方、台湾には、オランダの次は鄭成功一族、清、日本、そして戦後は国民党の中華民国が大陸から移転してきて、外来者による支配が続いてきた歴史がある。 しかし李登輝総統の 「寧静革命」 により1996年に総統直接民選が実現したことで、遂に台湾に住む人々が台湾の主人となった。 こうして手に入れた自由と民主、そして繁栄する台湾について、共産党独裁の中国による併合を望む者など台湾にいるはずがない。 ただし、中国の手先か中国に 「洗脳」 された者はこの限りではない。 ■民主主義諸国はスクラムを 軍事的威嚇の下、偽情報による世論攪乱、地方有力者や若者を中国に招待しての親中派養成、農産品の輸出入規制と優遇など、中国はあらゆる手段を用いて台湾の平和統一工作を進めている。 しかし台湾の有権者は、今回の選挙で蔡英文路線の継続、つまり 「現状維持」 による台湾の自立性の維持と台湾海峡問題の国際化、米国や日本等とのパートナーシップ強化の途を選択した。 これに対して中国は更に圧力を高めるだろう。 民主主義国には選挙があり、指導者や支配政党が変わる。 その都度、国是も政策も変わる。 他方、一党独裁の中国共産党の国家目標は10年経っても50年、100年経っても変わることがない。 それなら、これと対峙する台湾は勿論、価値観を同じくする民主主義諸国も、怯むことなく飽くことなく、自由と民主と法の支配、基本的人権を守るため、スクラムを組んで対抗しなければならない。 今年、台湾南部の古都、台南を中心に開催されるイベントは、台湾が中国固有の領土ではないことを世界に示す機会になるだろう。 「台南開府400年」 に当たり頼清徳総統の誕生が、台湾史に輝かしい一ページを刻むものとなることを願う。産経抄 新総統の最大の責務は中国の暴発阻止 2024/1/16 5:00 https://www.sankei.com/article/20240116-KLTYO4UO6RM6DMESAQXNZFXYM4/ 作家の故吉村昭さんは、代表作の1つ『桜田門外ノ変』を当初原稿用紙250枚ぐらい書いて焼き捨てた。 水戸藩の脱藩者たちはなぜ、井伊大老を暗殺しなければならなかったのか。 ▼朝廷を崇拝し人心を統一して外圧に立ち向かう。 幕府を倒す大義名分となる尊王攘夷の思想が、御三家の中から起こる矛盾を解消できなかったからだ。 ところが現在の茨城県の沖合にアメリカの捕鯨船が多数押し寄せ、その一部が薪水を求めて上陸した事実を知って合点がいく。 ▼先の戦争でも大本営陸軍部はこの海岸を米軍の上陸地点と定めて、塹壕を作らせた。 水戸藩の危機感がどれほど強かったのかを理解して、ようやく本格的に書けるようになった(『歴史を記録する』)。 ▼軍事超大国となった中国が、いつ海を渡って攻め込んできてもおかしくない。 尋常ならざる緊張感の中で行われた台湾の総統選で、中国と距離を置く与党・民主進歩党(民進党)の頼清徳副総統(64)が当選を果たした。 民主主義を何としても守ろうとする民意の表れである。 ▼一方で中国との戦争を誰も望んでいないのもまた事実である。 中国は新政権に対して、今後も外交や経済を含めたあらゆる手段を講じて 「台湾統一」 を実現しようとするはずだ。 それに適切に対応しながら、武力行使という中国の暴発を阻止するのが新総統の最大の責務となる。 ▼もちろん 「台湾有事は日本の有事」 である。 自衛隊が米軍との連携を益々強めると共に、南西諸島の防備の固めを急ぐのは、あくまで 「抑止力」 を高めるためだ。 それが戦争を招くという意見には同調できない。 ロシアがウクライナ侵略という暴挙に踏み切ったのは、相手を与しやすしと侮ったからだろう。 台湾侵攻阻止へカギ握る日本の判断 CSIS「次の戦争の最初の戦闘」(上) 2024/1/16 10:00 https://www.sankei.com/article/20240116-MLO66TJJIRMQJEUEBXAMQWOZKM/ 日本を含む東アジアの有事は、いつ、どこで、どのような形で発生し、如何なる結果をもたらすか。 それは分からない。 だが、想像することは出来るし、それが有事に対する備えにもなる。 国内外で発表されたシミュレーションや分析報告書を読み解き、 「明日の有事」 を考える。 「日本との外交的・軍事的関係の深化に最優先で取り組む」 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が2023年1月に発表した報告書 「次の戦争の最初の戦闘」 が提言の冒頭に掲げたのは日本との関係強化だった。 報告書は2026年の台湾有事を想定した計24回のシミュレーション結果をまとめた。 最も可能性が高い 「基本シナリオ」 を含むほとんどのシナリオで、中国軍が台湾に攻め込む水陸両用作戦は撃退されるというのが結論だ。 台湾や米中両国、日本の被害は甚大になるという結果も出た。 基本シナリオでは作戦機の損失が平均で米軍270機、自衛隊112機、中国軍155機に上り、艦艇は米軍17隻、自衛隊26隻、中国軍138隻となった。 基本シナリオには、日本に関する前提条件が組み込まれている。 @米軍は在日米軍基地を自由に使用でき A中国軍が米軍基地を攻撃すれば自衛隊が参戦し B自衛隊は日本の領域から離れた戦域での作戦に参加する という条件だ。 ■基地が戦局左右 日本政府の個々の判断は戦況にどの程度の影響を及ぼすのか。 報告書では基本シナリオを少しずつ変えながら各条件の影響を大中小3段階で評価した。 最も影響が大きい条件は、日本政府が中立を選び、在日米軍基地の使用を認めないケースだった。 中国側に有利に働く要因としては 「台湾が独力で戦う」 という条件と同等のインパクトを与えると見込まれた。 報告書は 「在日米軍基地を使用できなければ、米軍の戦闘機/攻撃機は効果的に戦争に参加できない」 と結論付けた。 米空軍機は台湾から2800km離れたグアムの基地から展開しなければならず、約750kmの沖縄本島から出撃する場合と比べれば、台湾周辺で作戦を行う時間が短くなる。 この結果、中国の航空戦力は台湾に上陸する部隊への戦闘支援に集中できる。 報告書では中国が決定的な勝利を手にすることはできないが、 「港湾や空港を中国が支配する膠着状態」 となる恐れがあると説明した。 戦闘が長引く結果、死傷者も増えることになる。 「中」程度の影響があると見積もられるたのが、自衛隊が開戦当初から参戦するケースだ。 だが、自衛隊は、日本が武力行使を受ける 「武力攻撃事態」 か、同盟国が攻撃されて日本の存立が脅かされる 「存立危機事態」 と政府が認定しない限り本格参戦は出来ない。 基本シナリオでは、日本の参戦は中国による日本攻撃が前提となっていた。 一方、中国が日本の参戦を防ぐため開戦当初から日本を攻撃するシミュレーション結果は少なかった。 中国が日本を攻撃するのは在日米軍基地から飛び立つ米軍機が中国の海空軍を攻撃するようになってからだ。 つまり、台湾有事を短気に終わらせる上で自衛隊の早期参戦が有益だが、そうなる可能性は低い。 中国軍が開戦当初に日本を攻撃しても、日本政府が迅速に事態認定しなければ日本参戦は遅れる。 外務省幹部は 「米国の意思決定のスピードに追い付けないのは目に見えている」 「事態認定までの時間を短くしなければならない」 と語る。 ■領域防衛が第1 台湾有事では中国本土を出発した水陸両用艦をどれだけ迅速に沈められるかが戦況のカギを握る。 基本シナリオは、自衛隊が領域防衛に徹するのではなく、日本から離れた戦域での攻撃に参加し、台湾の東岸沖に展開する中国軍艦艇や北部から襲来する水陸両用艦を撃沈することを想定した。 ただし、現実の世界では、日本が参戦するとしても台湾周辺での攻撃的任務に当たるとは限らない。 防衛省幹部は 「台湾有事が日本有事に波及すれば自衛隊も参戦する」 「だが、自衛隊の任務は日本の領域と国民を守ることが第1だ」 「台湾防衛に割ける戦力はそれほど大きくない」 CSISのシミュレーションは、日本が領域防衛に徹するシナリオでも行われている。 この条件が戦況に与える影響は3段階のうち「小」と判定された。 日本の攻撃参加よりも重要なのは開戦前の準備だ。 大半のシナリオでは、中国のミサイル攻撃で米軍と自衛隊の戦闘機の多くが損壊されるという結果が出た。 作戦機を守るために強化コンクリート製の格納庫を整備すれば「中」程度の有利な影響を与え、中国に 「決定的な敗北」 をもたらした。 しかも戦闘員の死傷者も減った。 米軍と自衛隊が大規模な民間空港を利用できる態勢が整っている場合でも同種の結果が出た。 格納庫も飛行場利用も、戦闘が始まるまでに準備しておかなえればならない課題だ。 その意味で、台湾有事の帰趨を決する勝負は、既に平時の今から始まっていると言える。 林官房長官、台湾総統選巡る中国の抗議に反論 「台湾は重要なパートナーで友人」 2024/1/15 11:57 https://www.sankei.com/article/20240115-3MXHMJOASZPC7JQFK4UID2Z4A4/ 林芳正官房長官は2014年1月15日の記者会見で、上川陽子外相が台湾の総統選で勝利した民主進歩党の頼清徳氏への祝意表明に中国側が抗議したことについて 「台湾は日本にとって自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有し緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり大切な友人だ」 と反論した。 林氏は 「台湾での民主的な選挙の円滑な実施に対して、我が国はこれまでも祝意を表明している」 とも強調した。 在日中国大使館の報道官は2014年1月14日に発表した談話で、上川氏の頼氏への祝意に対し 「中国の内政を深刻に干渉した」 と主張し、反発を強めている。 中国、頼氏への祝意巡り米国に抗議 「台湾独立勢力に誤ったシグナル」 2024/1/14 17:43 https://www.sankei.com/article/20240114-F7UXJC5PLJPDBD4LYMKYCWGVRQ/ 中国外務省は2014年1月14日に報道官談話を発表し、米国務省が台湾の総統選で勝利した民主進歩党の頼清徳氏に祝意を表明したことに対し、 「『台湾独立』の分裂勢力に重大な誤ったシグナルを発した」 と非難した。 米側に対し 「強い不満と断固とした反対」 を表明し、抗議を行ったことを明らかにした。 習近平政権は、海外から頼氏に祝意が寄せられていることに反発している。 台湾への支援が国際社会で広がることを強く警戒しているとみられる。 中国外務省は談話で 「台湾問題は中国の核心的利益の中の核心で、中米関係における第1の越えてはならないレッドライン(譲れない一線)だ」 と強調した。 台湾が中国の不可分の一部だとする 「1つの中国」 原則について、 「国際関係の基本準則で、国際社会の普遍的な共通認識であり、中米関係の政治的な基礎だ」 と主張した。 在英中国大使館も2014年1月14日、キャメロン英外相が祝意を示したことに対し、 「英側の誤ったやり方に断固反対する」 とする報道官談話を発表した。 在日中国大使館も同日発表の報道官談話で、上川陽子外相が頼氏に祝意を表したことを 「中国の内政に深刻に干渉した」 と非難した。 「一番の敗北者は中国」台湾総統選巡る反発 佐藤正久氏 2024/1/14 17:16 https://www.sankei.com/article/20240114-IAH5W6NXHJL5VDLIHWL4WJ4JWU/ 「中国が反発するということは、日本政府が正しいことをやっているということだ」 2024年1月13日に投開票された台湾の総統選で当選した頼清徳副総統に上川陽子外相が祝意を示したことに対し、中国が反発を強めていることについて、自民党の佐藤正久元外務副大臣は2024年1月14日、産経新聞の取材にこう語った。 佐藤氏は、台湾総統選の結果について 「中国国民党の敗北というよりも、一番の敗北者は中国だった」 と語る。 対中融和路線の最大野党、国民党の候友宜新北市長が敗れたことは、台湾統一を目指す中国の習近平国家主席にとって痛手だったというわけだ。 その上で、佐藤氏は 「習氏は相当怒っていると思う」 と話す。 上川氏の祝意に対して 「強烈な不満と断固とした反対」 を表明した談話を発表したのは、在日本大使館の報道官だった。 佐藤氏は 「在日本中国大使館としては、こういう時は習氏に寄り添った態度を出さないと(駐日中国)大使の立場がないと考えたのではないか」 と語る。 一方、佐藤氏が懸念するのは、中国政府内で習氏に報告される情報が偏っている可能性だ。 「習氏に正しい情報が上がっていない」 「台湾総統選に関しても、習氏の予想と違った可能性がある」 「在日本中国大使館も悪い情報を上げていない」 とみる。 中国と同じ権威主義国家のロシアを巡っては、プーチン大統領に正しい情報が伝わっていなかったことがウクライナ戦争に繋がったという指摘もある。 こうした見方を念頭に、佐藤氏は述べた。 「習氏のプーチン化を危惧している」 台湾巡る中国の抗議に「日本の考え方がある」 田村重信氏 2024/1/14 16:02 https://www.sankei.com/article/20240114-3RXW6I5VBNO3PCWIG3WYYRHLQM/ 2024年1月13日投開票された台湾総統選で当選した頼清徳副総統に対して上川陽子外相が祝意を示したことに対し、中国が反発を強めている。 自民党政調会長室長などを務め、安全保障政策や台湾問題に詳しい政治評論家の田村重信氏は2024年1月14日、産経新聞の取材に 「日本には日本の考え方がある」 「日本政府が考えて今まで通り、台湾との関係を良好にするために祝意を表明するのは当たり前の話だ」 と述べた。 田村氏は、頼氏が当選翌日の2024年1月14日に日本台湾交流協会の大橋光夫会長と会談したことを挙げ 「それだけ日本を重視している」 と指摘。 日本としても 「台湾は半導体工場を日本に造ってくれている」 「日本としては祝意を表すのは当然の話だ」 「中国が反対したとしても、日本としての立場がある」 と語る。 一方、中国側の立場に関しては 「ひょっとしたら国民党の候補が当選するんじゃなかという期待があったが、そうはならなかった」 「それなのに、日本の外相が祝意を表明したことにカチンときたのではないか」 と推し量った。 中国が日本に抗議 台湾への祝意表明に「深刻な内政干渉」と反発 2024/1/14 12:04 https://www.sankei.com/article/20240114-U7CV5GXNWNI7HAQ237PFKCQUVQ/ 在日中国大使館の報道官は2024年1月14日発表した談話で、上川陽子外相が台湾の総統選で勝利した民主進歩党の頼清徳氏に祝意を表したことに対し、 「中国の内政を深刻に干渉した」 と主張し、反発した。 中国として 「強い不満と断固とした反対」 を表明し、日本側に抗議したことを明らかにした。 談話は 「日本の外相が公然と祝意を表した」 と表現した。 その上で 「台湾は中国の台湾で、台湾地区の選挙は中国内部の事柄だ」 と強調し、日本に対し 「『台湾独立』勢力に如何なる誤ったシグナルも発さず、台湾海峡の安定や中日関係を妨害しないよう厳しく促す」 と要求した。 上川外相は2024年1月13日発表の談話で、頼氏の当選と 「民主的な選挙の円滑な実施」 に祝意を表明。 「台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく」 などとの考えを示した。 主張 新総統に頼氏 台湾の自由と民主を守れ 2024/1/14 5:00 https://www.sankei.com/article/20240114-KOQZ3ZV555NHFKKRQ3SSLB2M3A/ 台湾の総統選挙で、民主進歩党の頼清徳副総統が、中国国民党の侯友宜新北市長と台湾民衆党の柯文哲前台北市長との三つ巴の戦いを制した。 蔡英文総統から頼氏へと民進党政権が継続する。 共産党支配の中国は台湾併吞の圧力を強めている。 台湾の人々が総統選を通じ、成熟した民主主義の姿を示した意義は極めて大きい。 新総統の任期は2024年5月から2028年までの4年間だ。 米政府要人らの間では、2027年までに中国が台湾へ武力侵攻する可能性が懸念されている。 総統選では経済政策も争点となった。 そうであっても、頼氏の最大の責務は、中国から台湾の自由と民主主義を守り抜くことである。 総統選では中国による露骨な世論工作があった。 里長と呼ばれる公選の町内会長を格安で中国へ呼ぶ接待ツアーが横行した。 SNSでは与党民進党関係者を誹謗する虚偽情報が拡散された。 中国共産党福建省委員会関係者から指示を受け、偽の世論調査結果を流布したネットメディアの台湾の記者が拘束される事件もあった。 2024年1月に入って台湾本島上空に中国の気球が飛来した。 2024年1月9日には事前通告なしに、衛星を搭載した中国のロケットが台湾本島上空を通過した。 中国は経済的脅迫も躊躇わない。 2023年12月には台湾との協定に基づく関税優遇措置の一部停止を決めた。 中国は民主主義への介入、攻撃を恥じるべきで、2度と繰り返してはならない。 2024年5月の頼政権発足への嫌がらせも厳に慎むべきだ。 頼氏は自由と民主主義を守るために、中国の浸透工作摘発を進めると共に、防衛力の充実によって対中抑止力の向上を急いでもらいたい。 民主主義も法の支配も遵奉しない中国は、 「力の信奉者」 である。 そのような専制主義の国と対話をする上でも、台湾海峡の平和と安定を守る上でも、抑止力の強化が欠かせない。 「台湾有事は日本有事」 である。 日本は自国の平和と繁栄を守るためにも、米国と共に台湾と連携していくべきだ。 日本は台湾を国家として承認していないが、外務・防衛当局による安全保障対話、半導体などを巡る経済安保対話で、関係を深める時である。 台湾・総統選の開票終了 勝利の頼氏「中国の脅威から台湾守る」 立法委員選は与党過半数割れ 2024/1/14 0:52 https://www.sankei.com/article/20240114-4RFGXTVR6JMZFBDGDW5LDWXHJI/ 2024年1月13日に投開票された台湾の総統選で、中国の統一圧力に屈しない姿勢を示す与党、民主進歩党の頼清徳(らい・せいとく)副総統(64)が勝利した。 対中融和路線の最大野党、中国国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長(66)と、米中間でバランスを取る中間路線の第2野党、台湾民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長(64)がそれぞれ敗北を認めた。 中台統一を 「歴史的必然」 だとする中国に、台湾の有権者は改めてノーを突き付けた。 頼氏は台北市内で記者会見し、 「台湾人は民主主義の新たな1ページを刻んだ」 「中国の脅威から台湾を守る決意だ」 と勝利を宣言した。 1996年に総統の直接選挙が始まって以降、初めて同じ政党が3期連続で政権を担う。 2000年以降、民進党と国民党が2期8年ごとに政権交代を繰り返していた。 新総統の就任式は2024年5月20日。 任期は4年で、副総統の蕭美琴(しょう・びきん)前駐米代表(大使に相当)と新政権をスタートさせる。 中央選挙委員会によると、頼氏の得票数は約558万票、侯氏が約467万票、柯氏が約369万票。 投票率は71.8%だった。 前回74.9%から3.1ポイント下がった。 かなりの浮動票が野党候補に流れたとみられるが、頼氏は南部などの支持基盤で票を固め、侯氏らの猛追を振り切った。 一方、総統選と同時に行われた立法委員(国会議員に相当、定数113)選では民進党が過半数を維持できず、国民党が最大勢力となった。 頼氏は蔡英文政権以上に難しい政権運営を迫られることになる。 対中政策で頼氏は、中国の 「1つの中国」 原則に反対しつつ 「独立」 を唱えない、蔡政権の 「現状維持」 路線を継承すると表明。 米国など民主主義陣営と連携して防衛力を強化し、対中関係は 「台湾の主権尊重」 を前提にすると訴えて、対中接近を望まない有権者の支持を集めた。 中国との対話の重要性で一致する侯氏と柯氏は2023年11月、候補一本化で合意したが調整は破綻した。 中台が 「1つの中国」 原則を確認したとされる 「1992年合意」 を引き継ぐ侯氏は民進党の長期政権による 「腐敗」 を批判。 柯氏も 「台湾は米中間の懸け橋になるべきだ」 と訴えたが、支持の広がりを欠いた。 台湾の民進党、長期政権のゆるみ 立法委員選で過半数割れ「努力足りず」 2024/1/14 0:27 https://www.sankei.com/article/20240114-2NDF2K7DARKH7KGSAGRRUNZXFY/ 台湾の総統選では与党、民主進歩党の2期8年に渡る政権運営の総合的な評価が問われた。 対中政策だけでなく、内政面における長期政権の緩みはないか、有権者が審判を下した。 「台湾は民主主義と権威主義の間で民主主義の側に立つことを選ぶと世界に伝えた」。 民進党の頼清徳副総統は2024年1月13日、勝利後の記者会見でそう誇った。 一方、立法院(国会に相当)の過半数割れに対しては 「努力が足りなかった」 とし、原因を分析すると述べた。 選挙戦では、政権交代を狙う最大野党、中国国民党が民進党の長期政権で 「腐敗」 が進んだと批判を強めた。 民進党は票田の南部・台南市で2023年3月、党員の議長ら計10人が市議会正副議長選の買収事件で起訴されるなど、地方で不祥事が相次いでいたためだ。 頼氏は 「ゴキブリを一掃する」 と不正を許さない姿勢を強調し、選挙戦序盤から党内引き締めを図った。 副総統候補、蕭美琴前駐米代表(大使に相当)と共に立法委員(国会議員)選の接戦区に何度も足を運び、 「清廉」 さを訴えてきた。 住宅政策など身近な暮らしの問題も重要な争点で、 「台湾海峡危機より関心が高い」 との指摘もあった。 近年は住宅や物価の高騰が低所得の若者を直撃。 経済成長の恩恵が行き届かず、国民党や第2野党、台湾民衆党は 「長期執政の緩み」 と結び付けて追及した。 頼氏は終始、選挙戦を優位に運んだが、得票数で野党2候補の合計を下回った。 立法院も過半数割れし、生活に直結する経済や既存政治を嫌う若者への政策が広く受け入れられたとは言い難い。 民進党の長期執政への不満は消えておらず、蔡英文政権時代は円滑に進んだ政権運営が困難になることも予想される。 フォト 頼清徳氏勝利 「台湾を第二の香港にしてはならない」支持者1万人集結 2024/1/13 23:25 https://www.sankei.com/article/20240113-KZ3U4XF6GBPDTCR76AGHC5MGLE/ 2024年1月13日の台湾総統選で民主進歩党(民進党)候補の頼清徳副総統が勝利し、支持者は喜びを爆発させた。 台北市の事務所周辺に駆け付けた女性(54)は 「台湾人は正しい候補を選んだ」 「これからも正しい道を歩む」 と興奮した様子で話した。 頼氏陣営の担当者によると、事務所近くで開かれた集会には約1万人が詰めかけた。 周辺の路上も支持者で埋め尽くされ、頼氏のリードが伝わる度に 「当選」 のシュプレヒコールが上がった。 30代の女性は、中国の統制が強まり民主化の芽がつまれた香港を引き合いに 「頼氏は台湾を守ってくれる」 「台湾を第2の香港にしてはならない」 と話した。 各地の投票所には2024年1月13日朝から有権者の長蛇の列ができた。 投票は午後4時(日本時間同5時)に終了した。(共同) 不発に終わった習近平政権の介入 「中台統一」の道筋見えず 2024/1/13 23:08 https://www.sankei.com/article/20240113-YJI3B7IDI5IXVIVORE6FJ4YXZ4/ 中国の習近平政権は、台湾の総統選で勝利した民主進歩党の頼清徳氏を 「台湾独立派」 と見做し、軍事的、経済的な圧力を駆使して当選を阻止しようと躍起になったが不発に終わった。 政権維持に成功した民進党への圧力を更に強めるのは必至だが、習政権が掲げる中台統一への道筋は見えない。 中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の陳斌華報道官は2023年末、民進党が 「台湾を戦争の危険へと押しやっている」 と主張。 頼氏についても 「台湾独立の活動家と自任している」 と非難した。 習政権は、台湾の総統選と立法委員選について 「平和と戦争、繁栄と衰退」 を決めるものだと一方的に位置付けて有権者に選択を迫った。 選挙直前にも中国の気球が台湾海峡の暗黙の 「休戦ライン」 である中間線を相次いで越えた他、化学製品の原料など台湾で生産された12品目について関税を引き下げる優遇措置を停止。 台湾世論を揺さぶる介入を続けた。 2022年の中国共産党大会で習総書記(国家主席)は、台湾について 「最大の誠意と努力で平和的統一を実現しようとしているが、決して武力行使の放棄を約束しない」 と強調した。 習氏は党大会を経て異例の総書記3期目続投を果たし、長期政権の成果として台湾統一の実現に拘る。 その手段には武力侵攻の選択肢も残されたままだ。 2024年5月に行われる新総統就任式を前に民進党政権への圧力を更に増すのは間違いない。 経済面では、事実上の禁輸措置などを使って世論の分断を狙うと見られる。 台湾海峡の荒れが収まる2024年3月以降、空母などを使い軍事的な威圧を増すことも見込まれる。 だが台湾世論の主流は中台関係の 「現状維持」 を望む。 今回の総統選でも証明されたように、圧力だけで台湾を 「統一」 に向かわせるのは困難だ。 頼氏の任期中である2027年には共産党大会も控え、習氏が総書記4期目続投を睨んで冒険主義に走る危険性はある。 「中国と距離」蔡路線を継承 頼氏当選、新政権に3つの課題 台湾・総統選 2024/1/13 23:01 https://www.sankei.com/article/20240113-I475ZLI4PVIEJFEXRVJTQMJCCA/ 台湾の総統選は、アジアにおける覇権を狙う中国にとり、米国との代理戦争の様相を呈している。 開票の結果、親米派と自称し、中国と距離を置く頼清徳氏が当選した。 このことは、台湾が今後の米中対立において引き続き米国側に立つことを意味する。 蔡英文路線が継承されたことは、日米など自由と民主主義の価値観を共有する国々にとって安心材料だ。 しかし、2024年5月にスタートする頼政権は3つの大きな難問に直面している。 まずは台湾内部の統合だ。 4年前の2020年に57%の得票率で総統選を圧勝し、立法院(国会に相当)でも過半数の議席を手にした蔡英文総統とは異なり、頼氏の得票率は約4割に留まっており有権者の6割の支持を得ていないことになる。 立法院でも与党の議席数を大きく減らし、厳しい政権運営を強いられる。 蔡氏が任期中、成長促進剤が使われた米国産豚肉の輸入や成年男性の兵役延長といった有権者に不人気な政策を次々と実施できたのは、自らの高い支持率と立法院での議席が野党を圧倒していたからだ。 こうした蔡政権の政策は台湾の外交や安全保障の強化に繋がったが、頼政権では強気の政権運営が難しくなる。 頼氏は当選後の記者会見で 「野党との協力を期待している」 と述べた。 今後、躍進した第3勢力、台湾民衆党の柯文哲氏と連携できるかどうかがカギになる。 中国との緊張緩和も新政権にとって大きな課題だ。 中国軍機は近年、頻繁に台湾海峡付近に飛来し、台湾への軍事的圧力を強めている。 頼氏は選挙前、テレビ番組に出演した際に 「(国家主席の)習近平氏と一緒に食事をしたい」 と述べるなど、中国との関係改善に意欲を見せていた。 しかし、中国側は頼氏を明確に拒否している。 中国で対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室の報道官は投票の2日前、頼氏について 「邪悪な道を歩み続ける人物」 と名指しで批判した。 如何に中国との軍事的緊張を緩和するかが頼氏にとって大きな課題となる中、2024年5月20日の就任演説で中国に向けてどのようなメッセージを発信するかが注目される。 米国との信頼関係の維持も課題となる。 学者出身で穏健派として知られる蔡氏と異なり、頼氏は若い頃から台湾独立運動に積極的に参加してきた。 頼氏の周辺には台湾独立派と呼ばれる人物が多くおり、今回の総統選でも大きな役割を果たした。 頼氏は選挙期間中、台湾独立の主張を封印してきたが、中台関係の 「現状維持」 を望む米国は、民進党政権内での独立派の台頭を警戒している。 頼氏が新政権人事で、台湾独立志向の強い側近らをどの程度要職に登用するかが新政権の方向性を判断するポイントとなりそうだ。 中台関係は大きく変化せず 宋国誠・政治大学国際関係研究センター研究員 台湾・総統選 2024/1/13 22:46 https://www.sankei.com/article/20240113-SJWXNFAVXJPYTATSVCUWLFG5UQ/ 台湾の総統選で与党、民主進歩党の頼清徳副総統が初当選した。 台湾の政治大学国際関係研究センター研究員、宋国誠氏は、台湾海峡で軍事的緊張が突然高まる可能性は低いと予測する。 ◇ 今回の台湾の総統選に対し、中国は様々な手段で介入してきた。 しかし選挙後、中国に出来ることは少ない。 3候補のうち、中国が最も好まない頼清徳氏が当選した。 台湾統一を目指す中国の習近平政権にとって不満な結果だが、手段は3つしかない。 軍用機を飛ばしての威嚇、果物の禁輸といった小規模な経済制裁、台湾と外交関係がある国への断交圧力だ。 いずれも台湾社会は既に経験しており、ダメージは少ない。 頼政権はこれから、米国との関係を更に強化していくと見られる。 更なる兵器の購入に加え、米国主導の軍事演習に台湾が参加する可能性がある。 頼氏本人もしくは副総統の蕭美琴氏が訪米することも想定される。 中国がそれを阻止したければ、台湾ではなく米国に直接言うしかない。 中台関係は米中関係と連動しており、米中関係が良くならなければ中台関係も良くならない。 選挙後に中国が最も気にするのは2024年5月20日に行われる総統就任式での演説内容だ。 「中国離れ」 や 「台湾独立」 を連想させる文言を入れないよう工作を仕掛けてくると見られる。 穏便にスタートを切りたい頼政権は、敢えて中国を刺激することはせず就任式を無難に乗り切るだろう。 台湾海峡で軍事的緊張が突然高まる可能性は低い。 中台関係は「闘而不破」(闘うが破局しない)の状態がしばらく続くだろう。 蔡政権路線の継続は国際社会に利点 松田康博・東大教授 台湾・総統選 2024/1/13 22:37 https://www.sankei.com/article/20240113-ONFYVE2JBJI3BDXCDZL2UJIPVI/ 台湾の総統選で与党、民主進歩党の頼清徳副総統が初当選した。 東大教授の松田康博氏は、蔡英文政権の政策の継続は国際社会にとって利点があると指摘した。 ◇ 民主進歩党の蔡英文政権は政権交代を招いた過去2代の政権と異なり、任期中を通じて支持率が高かった。 頼清徳氏はその路線を継承する候補とみなされたことが勝因となった。 政権交代すべきだという雰囲気はあり、野党が期待を集める候補に統一していればチャンスはあった。 だが、支持者の構造を見ると、柯文哲氏の台湾民衆党は第3勢力とはいえ 「第2民進党」 と言える存在で、国民党との候補統一は実現できなかった。 全体としては 「(台湾の)本土勢力」 が強まり、国民党の長期的な衰退傾向が顕著になった。 国際社会では米国を中心に対中包囲網の形成が進んできた。 その前提は台湾に中国の武力の脅しに屈しない強い意志を持つ政権が存在することだ。 その意味で、蔡政権の政策の継続性が担保できるならば国際社会にとり利点だ。 一方で、立法院(国会に相当)がねじれた場合、政権の政策を実行しにくくなる。 中国にとり民進党が勝利すれば不本意だろうが、今回が初めてではない。 2024年5月の総統就任演説の内容を把握し台湾側に影響力を及ぼすため、水面下で台湾側と意思疎通を始めるはずだ。 2024年11月の米大統領選も見据えて慎重に対応するだろう。 日本を含む国際社会は、中国が武力や威圧で台湾海峡の現状変更を試みないよう監視を強め、中国に責任ある行動を促すことが大切だ。 米国の信頼厚い「戦猫」 台湾の新副総統・蕭美琴氏 2024/1/13 22:29 https://www.sankei.com/article/20240113-HVICTYPXYZNIXITWQUKOFF23SA/ 台湾の総統選で副総統への就任を決めた蕭美琴氏は、2020年7月から2023年11月まで、女性初の駐米代表(大使に相当)を務めた。 大の猫好きで、自らの外交姿勢を中国の 「戦狼外交」 と対比した 「戦猫外交」 と表現。 「猫のように、張り詰めたロープの上を機敏でしなやかに動く」 姿勢を掲げる。 日本の神戸生まれ、台南市育ちの52歳。 母が米国人で流暢な英語を話す。 最年少の26歳で民主進歩党の国際事務部主任に抜擢され、陳水扁総統時代は総統府顧問などを歴任した。 立法委員(国会議員)を4期務め、同じ猫好きで 「盟友」 の蔡英文総統から駐米代表に任命された。 米国関係者の信頼を得て、米紙に 「最も影響力ある大使」 と評された。 2021年1月のバイデン米大統領就任式には米台断交後で初めて招待を受ける形で出席。 2022年8月には中国から 「台湾独立分子」 と認定され制裁も科されるなど、張り詰めた外交の世界を 「戦猫」 として駆け巡ってきた。 選挙戦では動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用。 飼い猫と映るゆるい%ョ画を投稿し、頼清徳氏が取りこぼしがちな若者や女性への浸透を図った。 台湾新総統に頼清徳氏、対米重視 中国、圧力強化か 2024/1/13 22:28 https://www.sankei.com/article/20240113-MJECXZV34ZK2VHHZWIOYNDJBYQ/ 台湾総統選の投開票が2024年1月13日実施された。 対米重視の与党、民主進歩党(民進党)候補の頼清徳副総統(64)が勝利し、初当選を確実にした。 対中融和路線の最大野党、国民党の侯友宜・新北市長(66)と、野党第2党、台湾民衆党の柯文哲・前台北市長(64)が敗北宣言し、頼氏は勝利宣言した。 中国は頼氏を独立派と見なし敵視しており、経済、軍事面での圧力を一層強めると見られ、緊張が高まりそうだ。 1996年に総統の直接選挙が実現して以降、同一政党が初めて3期連続で政権を担うことになる。 国民党と民衆党の候補一本化が実現しなかったことから、選挙戦は頼氏優位の構図で展開。 侯氏は民進党政権が続けば中台関係の緊張が激化すると訴え、政権交代を狙って野党票の自身への集中を呼び掛けた。 ただ若者を中心に第三勢力として二大政党を批判する柯氏に対する支持も根強かった。(共同) 医師で知日派、独立色は封印 台湾・新総統の頼清徳氏 2024/1/13 22:08 https://www.sankei.com/article/20240113-EY3D3HA4YJN4LHCPBPINU5V7RM/ 台湾の総統選で初当選した民主進歩党の頼清徳氏は、北部の現・新北市に炭鉱労働者の息子として生まれた。 生後約3カ月で、炭鉱事故により父親を失った。 幼少期は医師を志し、苦学して台湾大医学部を卒業。 米ハーバード大で公共衛生の修士号を取得した。 南部・台南市の大学病院で内科医として勤務していた頃、当時の国民党政権の腐敗ぶりに怒りを覚え、36歳で政界入りした。 立法委員(国会議員に相当)や台南市長、行政院長(首相)などを歴任した。 2020年の総統選に出馬を表明し、民主進歩党内の予備選で再選を目指す現職の蔡英文氏に敗れた。 党内の結束を重視する蔡氏から副総統候補に指名され、2期目の蔡政権を支えた。 若い頃から 「台湾独立」 派であることを積極的にアピールし、行政院長時代に立法院(国会)での答弁で 「私は台湾独立のための堅実な仕事人」 と発言したことが物議を醸した。 2023年春に総統候補になってからは 「台湾は既に独立しており、独立を改めて宣言する必要はない」 と強調するようになり、独立色を抑え、バランスを重視する姿勢を見せている。 知日派としても知られ、日本の政界に知己が多い。 2022年7月、安倍晋三元首相の葬儀に参列するために東京に駆け付けた。 大の野球ファンでもあり、以前、日台交流を促進する策として 「台湾のチームが日本のプロ野球リーグに参加できれば面白い」 と産経新聞の取材に答えたことがあった。 台湾・総統に頼氏 中国の統一圧力に「ノー」 侯氏と柯氏を下し初当選 2024/1/13 21:12 https://www.sankei.com/article/20240113-CQMVQMFH2VLHLHKY4J4IXLEZP4/ 2024年1月13日に投開票された台湾の総統選で、中国の統一圧力に屈しない姿勢を示す与党、民主進歩党の頼清徳(らい・せいとく)副総統(64)が初当選を決めた。 対中融和路線の最大野党、中国国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)新北市長(66)が2位につけていたが、敗北を認めた。 中台統一を 「歴史的必然」 だとする中国に対し、台湾の有権者は改めてノーを突き付けた。 頼氏は侯氏のほか、米中間でバランスをとる中間路線の第2野党、台湾民衆党の柯文哲(か・ぶんてつ)前台北市長(64)に差をつけた。 台湾で1996年に総統選の直接選挙が始まって以降、初めて同じ政党が3期連続で政権を担うことになる。 2000年以降、民進党と国民党が2期8年ごとに政権交代を繰り返していた。 次期総統の任期は2024年5月20日から4年。 副総統候補、蕭美琴(しょう・びきん)前駐米代表(大使に相当)と新政権をスタートさせる。 【速報中】台湾総統選挙 民進党の頼清徳氏が勝利を宣言 2024年1月13日 22時14分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240113/k10014319761000.html 投票が行われた台湾の総統選挙で、与党・民進党の頼清徳氏が(らい・せいとく))今夜記者会見し勝利を宣言しました。 頼氏の勝利によって台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担うことになります。 4年に1度行われる台湾の総統選挙には、与党・民進党から今の副総統の頼清徳氏、最大野党・国民党から現職の新北市長の侯友宜氏、野党第2党・民衆党から前の台北市長の柯文哲氏のあわせて3人が立候補しました。 ■民進党の頼清徳氏が勝利を宣言 このうち民進党の頼氏は日本時間の2024年1月13日午後9時半過ぎ、記者会見し、 「選挙の勝利には大きな意義がある」 「台湾の民主主義の勝利だ」 と述べ、勝利を宣言しました。 今回の選挙戦で、頼氏はこの8年間、政権を担ってきた民進党・蔡英文総統の路線を継続することを訴え、 「現状維持」 を望む幅広い層に支持を広げたものとみられます。 頼氏の勝利によって台湾で1996年に総統の直接選挙が始まってから初めて、同じ政党が3期続けて政権を担うことになります。 ■【動画】盛り上がる頼清徳氏の陣営(午後9時過ぎ) 民進党の頼清徳氏の陣営の様子です。(サタデーウオッチ9で放送 データ放送ではご覧いただけません) ■国民党の侯友宜氏が敗北を認める これに先だって、国民党の侯氏は日本時間の午後9時頃支持者を前に 「今回の総統選挙の結果について私個人の努力が足りず、非常に遺憾だ」 「政権交代を実現できず、皆さんを失望させた」 「私は心からお詫びする」 と述べ敗北を認めました。 ■民衆党の柯文哲氏も事実上敗北を認める また民衆党の柯氏は日本時間の午後9時過ぎ、支持者を前に 「私は諦めないので皆さんも諦めないでほしい」 「私たちは必ず努力を続け、4年後、自信を持って柯文哲と民衆党に投票してもらえると信じる」 と述べ、事実上、敗北を認めました。 ■中国との向き合い方が争点の1つ 今回の選挙では、中国との向き合い方が争点の1つとなり、中国の圧力に対抗する姿勢を示す与党・民進党が政権を維持するのか、中国との対話や交流拡大などを訴える野党が政権交代を実現するのかが焦点となりました。 ■最新の開票状況 午後10時現在 投票は日本時間の午後5時に締め切られ、開票作業が続いています。 台湾の中央選挙委員会が発表した日本時間の午後10時現在の開票状況です。 1万7795か所の開票所のうちこれまでに1万7766か所で開票作業が終了したとしています。 民進党の頼清徳氏 557万5036票 国民党の侯友宜氏 465万9195票 民衆党の柯文哲氏 368万 897票 ■【動画】各陣営の様子 午後7時過ぎ 民進党の頼清徳氏、国民党の侯友宜氏、民衆党の柯文哲氏の陣営の様子です。(ニュース7で放送 データ放送ではご覧いただけません) ■中国との向き合い方が争点の1つ 今回の選挙では、中国との向き合い方が争点の1つとなっていて、中国の圧力に対抗する姿勢を示す与党・民進党が政権を維持するのか、中国との対話や交流拡大などを訴える野党が政権交代を実現するのかが焦点でした。 ■立法院の選挙も 今日は台湾の議会に当たる立法院の選挙の投票も行われました。 現在は、与党・民進党が過半数の議席を占めていますが、今回の選挙では、どの党も単独での過半数の確保は難しいという見方が出ています。 どの総統候補が当選しても少数与党となれば、政権運営が不安定になる可能性があり、立法院選挙の行方も注目されます。
[18初期非表示理由]:担当:スレ違いの長文多数のため全部処理
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