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知識や見識あるように見えない
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2024年1月15日 植草一秀の『知られざる真実』
石川県で発生した大地震に対する政府・行政の対応はあまりにも遅い。
1月14日に石川県の馳浩知事と岸田文雄首相が初めて被災地に入ったが、現地での滞在時間はわずか。
震災発生から2週間も時間が経過している。
現地に入ることが重要なのではない。
被災者に対して迅速に支援、救援の措置を講じることが大事なのだ。
しかし、現実は、被災地にも入らず、迅速な対応も示さずというものである。
能登半島は狭隘な地形。
基幹道路が寸断されれば陸路がマヒする。
被災者の救援、物資の輸送には空路を活用するしかない。
海路も選択肢ではあるが、大規模な地盤隆起が生じたため大半の港湾が機能を失った。
自衛隊保有のホバークラフトを活用するのが海路活用の主たる方法になる。
地震が発生して、電気、水道、ガスのライフラインが断ち切られた。
通信回線にも重大な支障が生じた。
陸路が寸断され、ガソリン、灯油のエネルギー資源も供給が枯渇した。
避難所のキャパシティーに対して避難者が多く、多くの避難所で過密が発生した。
そのため、危険な自宅や車中での避難を余儀なく迫られる住民が多数発生した。
1年のなかで最も寒い季節の災害で、冷雨と降雪、強風が襲来する。
被災者が現地の避難所で健康と生命を守るのは客観的に見て困難な状況。
したがって、被災者を空路で遠隔地に運び、宿泊施設に避難させることが求められた。
このことは、震災発生直後に推察できたこと。
本ブログ、メルマガでも1月3日以来、一貫してこのことを指摘してきた。
1月1日は地震の影響で記事を掲載できなかった。
2日は志賀原発の重大性を指摘する必要から、この点を記述しなかったが、重要点の把握は1月1日時点で明確だった。
陸路は寸断されたが、ヘリコプターは狭い場所でも平坦な箇所があれば活用することができる。
現地の避難所ではライフラインを確保できないから、遠隔地に被災者を避難させる必要があることは当初から明らかだった。
被災者を遠隔地のホテル・旅館に避難させる2次避難が1月11日以降にようやく始動したが、対応が遅すぎる。
政府対応を批判したラサール石井氏が2次避難の費用が本人負担であると勘違いしたことを攻撃する報道が相次いだが、誰しも間違いはある。
鬼の首を取ったかのようにあげつらうスタンスがはしたない。
テレビに登場するコメンテーターが、「これくらいの知識や見識で批判…ガッカリ」などのコメントを発しているが、当の本人に深い知識や見識があるようには見えないから滑稽だ。
こうした災害が発生するたびに、被災者がライフラインも確保されない劣悪な環境に放置され、多くの市民が命を失ってきた。
その教訓を踏まえれば、大規模災害が発生した瞬間に、遠隔地でのホテル・旅館等での避難をあらかじめ想定して、直ちに活用できるシステムを構築しておくことが必要なのだ。
震災発生から10日以上も経過して遠隔地避難を始動させ、しかも、そのスピードがあまりにも遅い。
その間に、震災関連死が増加してゆく。
こうした行政対応について、国民が厳しい声を上げなければ、今後も状況は変わらない。
日本全体が広範に被災するようなケースでは、遠隔地避難も簡単には実行できないが、被災地域が限定されている場合は、遠隔地避難によって被災者の当面の生存を支えることは十分に可能である。
このようなことは、想像力を働かせれば可能。
行為の為政者が現地入りして大名行列を演じても害が益を上回ることも多い。
重要なことは、迅速に適正な判断を下し、円滑に実行すること。
今回の地震災害でも、被災者救出と被災者救援が決定的に遅れたと言わざるを得ない。
この点を主権者である国民が厳しく指摘し、今後のために是正を図る必要がある。
国会で集中審議を行うなら、この点の論議が必要不可欠だ。
さらに大きな問題点として指摘できるのは、政府が「義捐金」と「ボランティア」を叫ぶこと。
NHKもこの風潮創作に加担している。
災害発生時に重要なのは「公助」であって「共助」ではない。
この点の本末転倒をただす必要がある。
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