http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/373.html
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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2025年3月10日 https://tanakanews.com/
米露の関係改善はどんどん進んでいる。だが、トランプとプーチンの米露首脳会談は、まだ行われていない。サウジアラビアの首都リヤドでの開催が予定され、露払い的な米露高官協議がリヤドで繰り返され、米露は十分に親しくなったはずだが、首脳会談の日程は決まっていない。当初は2月中の開催が言われていたが、もう3月上旬が終わる。
これは、何を意味するか。私は以前から、米露首脳会談はウクライナよりも中東の問題解決に連動しているのでないかと勘ぐってきた。エジプトがガザ市民の入国を止めている限り、米露首脳会談が延期されるという話なのか??。
https://tanakanews.com/250216russia.htm
米露和解と多極化の急進
ウクライナ戦争に関してはトランプもプーチンも、戦争が(戦死者を減らして)低強度で長引き、米国が主導役を放棄して西欧(英国系。英仏独EU)に押しつけ、米覇権を牛耳ってきた英国系が自滅していくのを、こっそり望んでいる。
建前と裏腹に、トランプとプーチンが英国系を潰していくのが、これからのウクライナ戦争だ。建前的に、米露首脳会談はウクライナ戦争の終結と連動している。しかし本音的には、米露首脳が握手してウクライナ終戦を宣言してしまうと、英国系を破壊できない。
だからウクライナに関しては、英仏独EUが本格的にウクライナ戦争の主導役になり、米露首脳が会ってもウクライナ戦争を終わらせられない状態になってから首脳会談する、とか。
https://www.rt.com/news/613891-trump-troops-from-germany/
Trump mulls pulling US troops out of Germany
中東に関しては、これまで米諜報界の英国系が、アルカイダISのテロとか、スンニvsシーアの対立や分割支配、パレスチナ問題(諜報界のライバルであるイスラエルを抑止する策)などをやって、中東を不安定に陥れ続けてきたのを、トランプとプーチンが協力して解除して安定化・良くしていこうとしている。
中東も欧州(ウクライナ)も、それまでの英国系の支配を潰して状況を改善するためにトランプがプーチンに接近して米露協調で事態を転換していく流れは同じだ。
https://www.middleeasteye.net/news/what-happens-middle-east-if-russia-and-us-stop-being-enemies
What Happens To The Middle East If Russia & The US Stop Being Enemies?
トランプは1期目から、イスラエルとアラブ・イスラム諸国との和解と国交正常化を進める「アブラハム協定(合意)」を展開し、協定の枠に沿って、UAEやバーレーン、モロッコ、スーダンがイスラエルと国交正常化した。協定が作られる前からイスラエルの傀儡国だったヨルダンやエジプトを含め、中東で親イスラエルの国が増えている。今やシリアもイスラエルの傀儡国だ。
https://www.israelnationalnews.com/news/404924
Azerbaijan and the expansion of the Abraham Accords
最近は中央アジアのイスラム教系の国であるアゼルバイジャン(1992年の建国時にイスラエルと国交樹立)もアブラハム協定に入り、イスラエル沖のガス田に資本参加したりしている。イスラエルが消費する石油の多くは、アゼルバイジャンからトルコ経由で送られてくる。
だからアゼリはとても重要であり、イスラエル(米諜報界のリクード系)はアゼリに頼まれてアルメニアを加圧し、ナゴルノカラバフを放棄させてアゼルバイジャンと和解させた。(アルメニアは以前、イスラエル方式でナゴルノカラバフを占領していた)
https://tanakanews.com/250126azeri.php
アルメニアを捨てアゼルバイジャンと組んだイスラエル
トランプは2期目の今回、就任直後から、対露和解を阻んできた米諜報界の英国系をDOGEに捜査させて抑止しつつ、ロシアと和解した。対露和解の主眼は、ウクライナ戦争でなく、中東でロシアの政治力を借りてアブラハム協定を拡大し、サウジやイランまでをイスラエルと和解させていくことだ。
トランプのアブラハム協定は、中東を分断・内戦化して支配してきた英国系の体制を破壊するために作られた。今回そこにロシアの協力を得てパワーアップを図る。これが米露和解の要点だ。
(英国系潰しのもう一つの局面であるNATO解体は、プーチンと協力してやるものでなく、トランプだけでやれる。プーチンは傍観していればよい)
トランプ(やプーチン)が親イスラエルなのは、イスラエル(ユダヤ人ネットワーク)が中世以来の諜報界の元祖で、今後の多極型世界で諜報的(国際政治的)な力量を持つと予測されるからだ。
英国は産業革命(それもユダヤ人の知恵と資本の産物)の後、ユダヤ人ネットワークを活用(コピー)して英諜報界を作って世界を支配した。
大英帝国(英国覇権)はユダヤ人の創造物をコピペして作られたが、19世紀後半に経済成長が鈍化し、資本家たちが米独などへの「覇権ころがし」を試みて世界大戦になった。大戦後、米国が覇権国になって世界を多極化するはずだったが、英国系が米諜報界を乗っ取り、事実上の英国覇権が戦後も続いた。
英国は戦後イスラエルの建国を認めたが、諜報元祖なだけに潜在的な脅威とみなされ、イスラエルは建国予定地域(パレスチナ)の半分(見方によっては4分の1、または8分の1)しかもらえなかった(パレスチナがレバントすべてを指すなら、シリア、レバノン、ヨルダンもイスラエルになる)。
英国系に邪険にされつつも、イスラエルは英傀儡な労働党の国になった。だが英国系(に入り込んだ隠れ多極派)はオスロ合意で意図的にイスラエルを騙した(建国したパレスチナがイスラエルとの長期戦争になる可能性が高かったのに「中東和平」)。英国系は信用されなくなり、労働党が潰れてリクードが与党になった。
米国の多極派はリクード系を米諜報界に誘い込み、クーデター的な自作自演の911テロ事件が起こされ、米諜報界でリクード系(と多極派)が英国系を追い出す動きが始まった。リクード系の要員は、英国系のふりをして覇権運営策を稚拙に過激にやり続けて米覇権を自滅させ、中露BRICSの台頭を誘発した。リクード系と多極派は合体した。この流れの先にトランプがいる。
https://sputnikglobe.com/20250308/european-democracy-kills-anyone-with-different-opinion-1121624970.html
European Democracy Kills Anyone With Different Opinion
ロシアでも経済を握るのはユダヤ系だ。ソ連崩壊後、英傀儡のユダヤ実業家たち(オリガルヒ)が、国有資産の民営化を悪用して経済を私物化してロシアを低迷させた。手に負えなくなったエリツィンは、露諜報界の若手プーチンを後継大統領に起用した。
プーチンはオリガルヒを退治し、英国系による破壊策を乗り越えてロシアを復活した。ユダヤ系ロシア人は親プーチンになった。
トランプ、プーチン、リクード系(ネタニヤフとか)に共通するのは、いずれも英国系による攻撃や嫌がらせを乗り越えて、自分の国を守っていることだ。このような言い方を嫌う人は、うっかり英傀儡になっている。
https://www.rt.com/news/613905-new-american-empire-trump-russia/
A new American empire: Trump, Russia, and the end of globalism
戦後の英米覇権は、人道重視を掲げる「リベラル覇権」だった。英国系は、政敵に人道犯罪や人権侵害、独裁、全体主義のレッテルを貼って潰してきた。以前の米共和党やリクードは、反リベラルとみられることを避けていた。
だが近年、新型コロナや温暖化の対策(超愚策)過激化、不合理なDEI(白人差別)やジェンダー策、ウクライナ開戦のあたりから、リベラルは(リベラル派自身が気づかないまま)「リベラル全体主義(リベ全)」になり、英米のリベラル覇権体制が(多極派がWEFなどをあやつって不合理な過激策を扇動した結果)自滅させられてきた。
トランプの返り咲きとともに、リベラルは米欧全体で破綻した感じになっている。リベラル覇権は不可逆的に終わりつつある。
プーチンはこの流れを察知し、ウクライナ開戦後、ロシアで伝統的な民族主義を鼓舞し、リベラル派の居場所をなくした。
英国系リベラル覇権の終わりと、トランプの再選に合わせてイスラエルが2023年秋から始めたのが(超ホロコースト!!な)巨大な人道犯罪を意図的にやるガザ戦争だった。これは、イスラエルが建国時から英国系に押しつけられてきた「パレスチナ分割」をはねのけると同時に、終わりつつあるリベラル覇権を踏みにじってみせる反英的な策だった。
世界中のリベラル派(うっかり英傀儡)の人々がイスラエルを非難し、ICC提訴も行われたが、イスラエルはほとんど打撃を受けていない。むしろ、世界の各国政府の多くが米諜報界(リクード系)からの報復を恐れたり、英国系とリベラル覇権の凋落を察知した結果、イスラエルを制裁せず看過していることが目立っている。
トランプとプーチンがパレスチナ抹消というイスラエルの人道犯罪に協力するなら、それは中東を「良くする」のでなく「悪く」している、とリベラル派やその他の人々は言うだろう。
だが、もっと視野を広げると、パレスチナ問題やスンニvsシーア対立など、英国系によって作られた分断・敵対構造がある限り、中東は「悪い」状態のままだ。何が「良く」て何が「悪い」かという人々の善悪観自体が、英国系(ジャーナリズムとか)によって操作(洗脳)されてきた。
トランプは再選に向けて立候補した時から、当選したらプーチンを誘ってアブラハム協定を強化し、英国系の中東分割策を無効化してイスラエルとアラブ・イスラム諸国を和解させ、イスラエルを中東の覇権国(の一つ)にしてやるよ、だから諜報面で協力してくれとネタニヤフに言っていたのだろう。
ネタニヤフは、それはありがたいけど、同時に、英国系にはめられたもう一つのくびきであるパレスチナ問題も抹消させてくれ(ガザ戦争をやらせてくれ)とトランプに言い、トランプは、良いけどオレが就任する前にメドをつけてくれ、と言ったのでないか。
それでガザ戦争が始まり、トランプ就任とともに停戦し、今はトランプとプーチンが中東諸国に加圧や説得や勧誘をし始める外交の時期に入っている。
イスラエルは約束通りトランプに諜報界の勘所を教え、それに沿ってイーロン・マスクのDOGEなどが捜査していき、英国系の諜報界を無力化した。
ここまで延々と書いて、まだトランプとプーチンが具体的にどのように中東を「良く」しようとしているのか書いていない。それを書くと、さらに延々と長くなるので改めて書く。
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/250310mideast.htm
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