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アサド政権崩壊直後に始まった西側有力メディアのイメージ工作
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202412170000/
2024.12.17 櫻井ジャーナル
アル・カイダ系武装集団ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)が12月8日にダマスカスを制圧、バシャール・アル・アサド政権は倒された。その直後にCNN記者のクラリッサ・ワードはシリア空軍情報部が運営していたという刑務所へ入る。彼女はそこを秘密刑務所のひとつだと主張、そこで囚人を救出したと伝えたが、その刑務所は12月6日にHTSが占拠したと報じられている。しかもその人物は政治犯でなく、汚職と虐待の罪で投獄されたシリア空軍の中尉だった。
西側の有力メディアはHTSによるアサド政権打倒を「自由の戦士による独裁体制の打倒」として描いているが、イメージ操作のために作り上げたドラマだったと言える。要するにいつものでっち上げであり、CNNが反省しているようには見えない。西側の有力メディアはプロパガンダ機関に過ぎないが、CNNも例外ではない。
CNNが1999年にアメリカ陸軍の第4心理作戦群の隊員を2週間ほど社内で活動させている。「産業訓練」というプログラムの一環だった。この事実はフランスのインテリジェンス・ニューズレターやオランダのトロウ紙が明るみに出している。アメリカ軍の広報担当だったトーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。これ以降、CNNはプロパガンダ機関色を強めていった。(Trouw, 21 February 2000)
アメリカのバラク・オバマ政権がアル・カイダ系武装集団を使ってシリアに対する軍事侵略を始めたのは2011年3月のことだ。それ以来、シリアでの戦闘で30万人以上が殺されたと言われている。そうした戦争の直接的な被害だけでなく、経済制裁、アメリカによる石油の略奪、イスラエルによる攻撃などで疲弊、それに伴って体制の腐敗が進んだ。
そうした中、アサド大統領はロシアとイランの助言に耳を傾けず、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)へ近づいてアメリカとの関係を正常化しようとしていた。アメリカ側の甘言に乗ったということだ。そうしたアサド政権の行動を知っていたロシアとイランは最後の場面で動かなかったのだという。新たな戦乱に巻き込まれることを嫌ったのかもしれない。
4月1日にイスラエル軍はシリアのイラン領事館を攻撃、IRGC(イスラム革命防衛隊)の上級司令官や副官を含む将校7名を殺害したが、その裏でシリアの情報機関がイスラエルのモサドと手を組み、情報を流していたとする話も流れ始めている。
アサド政権が倒れてからイスラエルはシリアを激しく攻撃、そのイスラエルと友好的な関係を築こうとしているHTSはトルコの意向でクルドとは戦おうとするのだろうが、クルドはアメリカやイスラエルが後ろ盾だ。アサド政権が存在している間はこうした勢力のバランスは取れていたようだが、アサド政権が消滅したため、「バトル-ロイヤル」が始まるかもしれないと言われている。
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