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尹錫悦弾劾訴追案を可決
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2024年12月14日 植草一秀の『知られざる真実』
12月14日午後、韓国の尹錫悦(ユン・ソニョル)大統領に対する弾劾を求める決議案が採択され、可決された。
投票結果は
賛成 204
反対 85
棄権 3
無効 8
だった。
尹大統領の職務は停止され、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領の職務を代行する。
今後180日以内に、憲法裁判所が弾劾の妥当性を判断する。
裁判所が弾劾を認めれば尹大統領は罷免され、新たに選挙で大統領が選出されることになる。
尹大統領による突然の非常戒厳発令から混乱に陥っている韓国政治はとりあえず、最初のヤマ場を越えた。
憲法裁判所は国会の法制司法委員長や当局者から口頭弁論を通じて意見を聴取する。
同裁判所は大統領を罷免するかどうかを6カ月以内に決定しなければならない。
罷免には裁判官(定数9人)のうち6人以上の賛成が必要だが、現在、憲法裁判所の裁判官は現在6人で、3人が空席になっている。
弾劾訴追案を可決した議会議長は議会が選出する3人の憲法裁判所裁判官を選出し、憲法裁判所が9人の裁判官で審理する見通しを示した。
憲法裁判所が大統領罷免を決定する場合、新たな大統領を決める選挙を60日以内に実施しなければならないことになる。
尹氏が罷免される前に辞任する場合も、60日以内に大統領選を実施することが必要になる。
議会が大統領弾劾訴追案を可決した例は過去に2回ある。
2004年と2017年。
2004年は盧武鉉大統領に対する弾劾訴追案が可決された。
弾劾訴追案可決の理由は盧武鉉大統領が公務員に求められる中立義務に違反したとのこと。
しかし、憲法裁判所は盧武鉉氏に対する弾劾訴追を棄却し、盧武鉉氏は停止された大統領権限を回復し、5年の任期を務めた。
2017年には朴槿恵大統領に対する弾劾訴追案を議会が可決した。
弾劾決議案可決の理由は朴槿恵大統領が親友による国政介入や大統領権限を乱用したとのこと。
憲法裁判所は朴槿恵大統領弾劾を認め、朴大統領は同年3月9日に罷免された。
大統領罷免を受けて同年5月に大統領選が実施された。
本年4月10日に実施された国会議員選挙で、革新系野党の「共に民主党・民主連合」が大勝して定数300の過半数を大幅に上回る175議席を獲得。
与党の「国民の力・国民の未来」は108議席しか獲得できなかった。
大統領段階訴追案可決には議会定数300の3分の2にあたる200以上の賛成が必要。
8人以上の与党議員が弾劾決議案に賛成したと見られ、弾劾決議案が可決された。
議会の主導権を野党に奪われ、尹政権は苦境に陥っていた。
尹錫悦氏は2022年4月の大統領選挙で保守強硬派の候補として僅差で勝利。
同年5月に大統領に就任した。
しかし、本年4月の総選挙で野党が圧勝して政権運営が窮地に陥っていた。
政府提案の法案を議会で可決させることができず、予算制定さえ困難な状況に陥っていた。
大統領支持率は2割程度にまで下落していた。
さらに、尹大統領の妻をめぐる不祥事が発覚し、妻が刑事責任を追及される事態が生じていた。
この状況下で尹大統領が突如、非常戒厳を宣言して発動した。
議会が猛烈に反発し、戒厳はわずか3時間で解除に追い込まれた。
尹大統領が「非常戒厳」を宣布した12月3日夜、尹氏は、
「北朝鮮の脅威や「反国家勢力」から韓国を守り、自由な憲法秩序を守るため」
と説明した。
しかし、40年ぶりに韓国で戒厳令が発動された本当の理由が、外部からの脅威ではなく、尹大統領自身が政治的に追い詰められているからだということが鮮明になった。
尹大統領の職権乱用は明白であり、同氏に対する弾劾訴追案可決は順当である。
韓国政治は尹大統領の暴走によって大転換することになる。
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