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米港30カ所超で一斉スト懸念 労使決裂なら、10月開始も/日経
物流・運輸2024年9月24日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN234590T20C24A9000000/
【ニューヨーク=西邨紘子】米国の東海岸、メキシコ湾岸の港湾で労使交渉が難航している。30カ所以上の港湾労働者が、9月末に失効する労働協約の更新を経営側と一括交渉しているが、賃金や自動化技術の取り扱いを巡って対立しており、労働組合側は10月からストに入ると宣言している。港湾で働く従業員は計4万5000人で、労使決裂なら米全土の物流に影響が出そうだ。
米東海岸の港湾労働者が加盟する国際港湾労働者協会(ILA)は17日、協定失効の期限までに米国海運連合(USMX)と新たな労働協約を締結できない場合「ストライキを行う準備ができている」と改めて宣言した。
ストの対象はニューヨーク、ニュージャージー、マイアミ、ヒューストンなど東海岸とメキシコ湾岸の主要港を含み、取扱貨物は米輸入品の約5割に達するとされている。
現行の労使協約の失効が9月30日に迫っているが、新しい協約で賃金や自動化技術を巡り労使が対立し、合意への道筋が立っていない。組合側は期限内に合意できなければ10月1日よりストライキに入ると宣言している。
ILAとUSMXは当初、6月に協約の更新に向けた交渉の開始を予定していたが、港湾での自動化技術導入を巡って対立し、交渉を中断した。その後、9月上旬に労使代表が会合したが、賃金や福利厚生で再び交渉を中断した。東海岸の港湾でストが起きれば40年ぶりという。
かき入れ時のホリデーシーズンを前にした混乱に、小売りなど各業界は神経をとがらせている。全米小売業会(NRF)は6月時点で、155以上の業界団体が署名した連盟書簡をバイデン米大統領に送り、スト回避に向けた支援を求めてきた。
バイデン政権も両者に交渉の再開・継続を呼びかけてきた。だが、17日に政権関係者がロイター通信に対し、大統領権限を使ったストの阻止を「考えていない」とコメント。交渉に今後も進展がない場合、ストが決行されるとの見方が強まった。
USMXは「いつでも交渉を再開する準備がある」と呼びかけているが、ILAは「USMXの『トップクラスの賃金』の解釈は我々の解釈と正反対」(ハロルド・ダゲッド会長)と強硬姿勢を崩していない。
ILAにはカナダを含めれば、北米の港湾労働者8万5000人が加盟する。民主党陣営は労働票集めに向け組合へのアピールを強めており「反組合」と取られかねない直接介入を避けたい思惑もにじむ。労組の強硬姿勢の背景になっている可能性がある。
港湾を巡る労働争議では、22年に西海岸の港湾で11日間のロックダウン(閉鎖)が発生、1日あたりの推定で約10億ドル(約1400億円)の損失が出た。
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