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西側の情報機関に狙われていたテレグラムのCEOはなぜパリへ降り立ったのか?
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202408280000/
2024.08.28 櫻井ジャーナル
テレグラムのCEOを務めるパベル・ドロフが8月24日、同行していた女性やボディー・ガードと一緒にパリのル・ブルジェ空港で逮捕された。彼はインターネット支配を強化しているアメリカ、イギリス、イスラエルの情報機関から狙われていたはずの人物。アメリカの支配下にあるフランスへノコノコやって来るとは愚かだ。
インターネット上では同行していた女性に疑惑の目を向ける人も少なくないようだ。彼女はドロフの居場所を明かす投稿を何度も行っていたからである。彼を狙っている西側の政府機関にとって貴重な情報だったことだろう。
実は、似たような話が過去にもあった。例えば、核保有国イスラエルの実態を具体的に告発者したモルデカイ・バヌヌのケース。
バヌヌは1977年8月から約8年間、技術者としてディモナの核施設で働いていた。彼の証言は1986年10月にサンデー・タイムズ紙が掲載した記事に書かれている。それによると、その当時、イスラエルが保有していた核弾頭の数は150から200発。水素爆弾をすでに保有し、中性子爆弾の製造も始めていたという。中性子爆弾は実戦で使う準備ができていたとしている。後にカーターはイスラエルが保有する核兵器の数を150発だとしている。
また、イスラエルの軍情報機関ERD(対外関係局)に勤務、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベン-メナシェによると、1981年時点でイスラエルがサイロの中に保有していた原爆の数は300発以上。水爆の実験にも成功していたという。(Seymour M. Hersh, "The Samson Option", Faber and Faber, 1991)
告発を決意したバヌヌはオリジナルの写真を持ってオーストラリアへ向かい、教会でバヌヌはフリーランス・ジャーナリストのオスカル・ゲレロと知り合う。そして、このジャーナリストがバヌヌの写真を地元の「シドニー・モーニング・ヘラルド」に持ち込んだ。
しかし、同紙は写真と証言を紙面に掲載することを断り、その一方でゲレロが持ち込んだ話を対内情報機関のASIO(オーストラリア安全保障情報機構)に通報、その情報はさらに対外情報機関のASIS(オーストラリア安全保障情報局)へと流れた。ASISはその情報をイスラエルへ知らせた。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙と同じ系列の「ザ・エイジ」にも掲載を拒否されたゲレロはロンドンに向かい、デイリー・ミラーへ持ち込んだが、ミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルはイスラエルの情報機関に雇われていた。軍の情報機関(アマン)に所属していたと言われている。同紙の国外担当編集者だったニコラス・デービスはイスラエルのエージェントだ。
バヌヌに関する情報を入手したイスラエルの情報機関モサドのロンドン支局長はイギリスで国内を担当している治安局(MI5)にイスラエルが安全保障上の問題を抱えていることを伝えてバヌヌ監視の協力を要請する。MI5はイギリス国内で政治的、あるいは外交的問題を引き起こさないという条件で協力を約束した。
リチャード・ニクソン大統領は1971年8月にドルと金との交換停止を発表、73年から世界の主要国は変動相場制へ移行していった。金に束縛されることなくドルを発行するシステムへ移行させたのだが、それを機能させるため、ドルを回収する仕組みを築く必要が出てきた。そこで投機市場の肥大化とペトロダラーがその中核だと言えるだろう。
ペトロダラーとは石油取引を利用したドルの還流システム。アメリカの支配層はサウジアラビアなど産油国に対し、石油取引の決済をドルに限定させたのである。エネルギー資源を必要とする国はドルをかき集めて産油国へ渡し、産油国は集まったドルでアメリカの財務省証券や高額兵器を購入することで還流させ、また米英金融資本が支配するオフショア市場へ沈め、投機市場へ流し込むわけである。
このシステムを作る上でサウジアラビアのファイサル国王は目障りな存在だった。アメリカの言いなりにならなかったからだ。そのファイサル国王は1975年3月に暗殺された。
国王は執務室で甥のファイサル・ビン・ムサイドに射殺されたのだが、ジャーナリストのアラン・ハートによると、その暗殺犯はクウェートのアブドル・ムタレブ・カジミ石油相の随行員として現場にいた。
ビン・ムサイドはアメリカでギャンブルに溺れ、多額の借金を抱えていた。そのビン・ムサイドにモサド(イスラエルの情報機関)は魅力的な女性を近づけ、借金を清算した上で麻薬漬けにし、ベッドを伴にするなどして操り人形にしてしまったというのだ。その後、サウジラビア国王のアメリカへの従属度は強くなった。(Alan Hart, “Zionism Volume Three,” World Focus Publishing, 2005)
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