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モスクワ近郊で引き起こされたテロ攻撃の背後にアメリカ政府の影
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202403230001/
2024.03.23 櫻井ジャーナル
モスクワの北西にクラスノゴルスク市がある。そこのクロッカス・シティ・ホールという音楽ホールが3月22日、自動小銃で武装した一団に襲撃され、60名以上が殺され、爆発音の後に火災が発生したという。その日、ホールではロックバンドのコンサートが予定されていた。襲撃グループの行方は不明だ。
3月20日にジェイク・サリバン国家安全保障問題補佐官がキエフを突如訪問して人びとを驚かせたが、アメリカ大使館が3月7日に出していた警告も話題になっている。これはコンサートを含むモスクワの大規模な集まりを標的とする差し迫った計画を立てており、アメリカ市民は48時間、大規模な集まりを避けるようにアドバイスしていたのだ。
元CIA分析官のラリー・ジョンソンはこの警告について、大使館の判断で発せられたものではないと説明している。通常、アメリカが何らかの情報を入手していたならロシア政府へ伝えているはずだが、ロシア側はそうした情報を受け取っていないとしているようだ。
アメリカ国務省が爆破事件発生から2時間以内に声明を発表したことにもジョンソンは注目している。情報が明確になっていない段階で国務省が声明を発表したことから、アメリカ側は事前に知っていた疑いがあるという。つまり、アメリカがロシアへ情報を提供したとしても、ロシア側に伝えなかった情報があったことを示唆していると指摘している。
襲撃のあった日にジョー・バイデン政権はウクライナの「無許可の大胆な行動」を嘆いて見せていたことも注目されている。襲撃にウクライナ政府、あるいはウクライナで戦闘に参加しているダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)が関係している可能性が高いと見られているが、そうした情報が出てきた場合に責任を問われないように先手を打ったのではないかというのだ。アメリカ政府はガザでの虐殺でもイスラエル政府の暴走を嘆き、虐殺を可能にする武器をイスラエルへ供給し続けている。
ウクライナの現体制を生み出したのは、2013年11月から14年2月にかけて実行されたネオ・ナチを主体とするクーデター。ネオ・ナチを率いていたひとりのドミトロ・ヤロシは「右派セクター」を2013年11月に設立、そのグループが中心になって親衛隊の「アゾフ大隊」が14年5月に創設された。一時期、ヤロシュはウクライナ軍最高司令官の顧問を務めている。
ウクライナのネオ・ナチはステパン・バンデラを中心に組織されたOUN-Bの流れに属すが、そうしたひとつのグループにワシル・イワニシン教授が率いていたKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)がある。イワニシンの後継者がヤロシュだ。KUNの指導者になったタイミングでヤロシュはNATOの秘密部隊ネットワークに参加したと言われている。
このネットワークの中で最も悪名高い存在がイタリアのグラディオ。イタリアはアメリカにとって戦略的に重要な国なのだが、コミュニストの支持者が多かった。コミュニストを含む左翼を壊滅させるためにグラディオは1960年代から80年代に爆弾テロを繰り返し、クーデターも計画している。
ヤロシュは2007年5月にウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議で議長を務めた。クーデター後の2014年3月にヤロシュは声明を発表、その中でチェチェンやシリアでロシアと戦ったサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)などイスラム系の武装集団への支援を表明している。
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