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プーチン大統領圧勝の影 戦争とロシアの行方/石川一洋・nhk
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投稿者 仁王像 日時 2024 年 3 月 21 日 06:10:01: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

プーチン大統領圧勝の影 戦争とロシアの行方/石川一洋・nhk
2024年03月18日 (月)
石川 一洋 専門解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/492595.html

ロシア大統領選挙で現職のプーチン大統領が得票率87%で圧勝しました。しかし戦争反対を訴えた候補者の立候補は許されず、選挙の正当性には疑問の声も出ています。プーチン大統領はウクライナでの戦争をどこまで続けるつもりなのか、そしてロシアをどこに導こうとしているのか、今日は考えてみます。

プーチン大統領勝利宣言「投票したロシア国民に感謝する。我々は一つのチームだ」
ロシアの中央選挙管理委員会が発表した選挙の結果です。

投票率は74%、開票率99%で、プーチン大統領は得票率87.35%で圧勝しました。
プーチン氏以外の3人の候補者も体制内野党の公認候補で完全な翼賛選挙といえます。
プーチン大統領は、今回の選挙で投票率70%、得票率80%というこれまで達成したことのない目標を掲げていましたが、結果だけをみればその目標を大きく上回る圧勝といえます。ただ戦時の強権的な統制が強まる中の選挙で、独立機関による投票や開票の監視も十分でなく、この数字はそのまま信じることはできません。

この選挙には大きな問題はあります。
一つは反戦を訴える候補は立候補を許されなかったことです。反戦を唱えたリベラル系野党のナデジディン氏は20万を超える署名を集めながら立候補を許されませんでした。20%前後はあるとみられる反戦の声が表に出ることをクレムリンは強引に押さえつけたといえるでしょう。

もう一つは一方的に併合を宣言したウクライナ東部の占領地、4州とクリミアでも選挙と称する活動を強行したことです。プーチン大統領としては、ロシアが実効支配していると誇示するという狙いがあるのでしょう。ロシアの中央選挙管理委員会によりますとクリミアと東部4州で524万人余りの有権者を登録しています。しかし特に東部4州でこの有権者の数に根拠があるのか。軍による占領の下で住民が自由意思で投票できるのか。投票結果は操作されないのか。非常に疑問です。ウクライナや欧米はクリミアと東部4州の選挙は不法であり違法であり、無効だとしているのも当然です。

ただ翼賛選挙の中でも一定の反戦の意思が表明されたことは忘れてはなりません。
選挙期間中に北極圏の刑務所で反プーチンのリーダー・ナワリヌイ氏が急死しました。権力の押さえつけにあくまで反戦の意思を表明しようと呼びかけていたのもナワリヌイ氏です。夫の遺志を継いだ妻のユリアさんが、17日の正午に一斉に投票所に行き、プーチン氏以外への投票や反戦の意思を投票用紙に書くことを呼びかけました。
モスクワなどの大都市の投票所やロシア国外ではこの呼びかけに賛同する人の長蛇の列ができました。
ただこうした動きもプーチン大統領圧勝の流れを揺るがすまでにはいたりませんでした。

ではなぜプーチン大統領が圧勝したのか、背景は何でしょうか? プーチン大統領は2000年に大統領に当選就任し、今回で5期目となります。2008年から2012年の首相時代を含めると2030年までの任期を務めればロシアの最高指導者として30年間務めたことになります。
これはソビエトの独裁者スターリンの29年間を抜き、20世紀以降もっとも長くロシアを統治した指導者となります。

▼プーチン大統領がロシア国民に支持されている理由の一つは初期プーチン政権の実績がロシア国民にいまだに評価されていることです。2008年までのプーチン政権において、1990年代の混乱を収めて、ロシアを安定させたこと。また原油高に恵まれたとはいえ、経済成長と生活レベルも向上したこと。20世紀、戦争と革命的変化に翻弄されたロシア国民が保守政治家としてのプーチン大統領のもたらした安定を評価し、それが続いています。
▼しかしその後プーチン大統領は安定をもたらした保守政治家から、偉大なロシアの復活を目指す冒険主義的な政治家としての性格を強めていきます。2014年クリミア併合、そして2022年のウクライナへの全面的な軍事侵攻にいたります。またロシア経済の成長は鈍り、停滞感も強まっています。そもそも戦争はプーチン支持の基盤となってきた安定を自ら崩すものといえます。それでもなおなぜロシア国民はいまだにプーチン大統領を支持しているのでしょうか
私は偉大なロシアの復活を目指す愛国主義による固い岩盤支持層は20%から30%前後と見ています。投票結果を見ますと欧米との厳しい対立、制裁、戦争の中でこの岩盤支持層がさらに強まっている可能性もあります。残りの50%前後は、変化を恐れる消極的な支持層だとみています。戦争は嫌だけれどもロシアには負けてほしくない、そして大統領を全面的には支持しないが、プーチン体制が崩れてロシアが混乱するのは恐い。こうした消極的な支持層がプーチン大統領の圧勝を支えているように思います。

ではプーチン大統領の圧勝は、今後のウクライナへのロシアの軍事侵攻・戦争にどのような影響を与えるのでしょうか?
プーチン大統領は投票前の国民への最後の呼びかけの中で、「投票によって団結、そして決然と前進する意思を示そう」と呼びかけ、この選挙が自分と、自らの進める欧米との対決、ウクライナへの軍事侵攻への信任投票と位置づけ、圧勝によってロシア国民から全面的信認を得たと考えるでしょう。プーチン大統領は、ウクライナの中立化、非武装化、非ナチ化を求める立場を変えていません。そして東部4州など占領地を現実として認めるよう要求もしています。
今、ロシアはウクライナの反転攻勢をしのぎ切り、東部で占領地のさらなる拡大を目指して軍事的な攻勢を強めており、この強硬姿勢を継続していくでしょう。
その一方プーチン大統領は、ロシアは交渉の用意はあるが、交渉を断っているのはウクライナのゼレンスキー政権だとの発言をたびたび繰り返しています。今後外交面でもゼレンスキー大統領に圧力を強めて、いわば強者の立場でウクライナを交渉の場に引きずり出そうという外交戦も強めてくるでしょう。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領はあくまでクリミアを含めた領土の奪還を目指すとしています。ウクライナ軍も大統領選挙の投票に合わせてロシアの国境地帯への越境攻撃を数日間にわたって試みるとともにドロンによるロシア国内のエネルギー施設などへの攻撃を強めています。ただ防御するだけでなくロシア国内への様々な攻撃によってプーチン体制を揺さぶろうとするでしょう。プーチン大統領はロシア国内への攻撃を防ぐためにウクライナ北東部を安全保障地域として占領する考えを示しており、戦闘はますます激しくなる可能性があるでしょう。

戦闘の激化に対しして、ローマカトリックのフランシスコ教皇やトルコのエルドアン大統領が停戦に向けた交渉を呼びかけています。今後、国際社会から停戦に交渉への働きかけが強まり、今年何らかの交渉が始まる可能性はあります。

一方プーチン大統領にとって、国民の支持をつなぎとめるためにも極めて重要なのは経済です。ロシア経済は、欧米の厳しい制裁のショックを一応耐え抜き、2023年はプラス3.6%の成長を遂げました。プーチン大統領としては中国、インドなどにサウジアラビアなど中東諸国を加えたBRICSプラスの首脳会議に向けてグローバルサウスとの連携を強め、制裁を潜り抜けるサプライチェーンの構築を進めようとするでしょう。欧米、特にアメリカは、ロシアの最大の財源であるエネルギー産業に的を絞ってさらに制裁圧力を強めていくでしょう。

まとめ
2000年プーチン大統領がロシアの指導者となった時、ロシアには大きな可能性が開かれていました。欧米とは異なるロシアの独自の保守的な道を歩むにしても、国内の建設に集中する穏健な保守の道も十分ありました。しかしプーチン大統領は、領土拡大という冒険主義の道を選んでしまいました。
プーチン時代の終焉が見通せない中、欧米とロシアの対立は冷戦時代と同様、長く厳しく続く可能性が強まっています。
 

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