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ロシアの兵器増産、持続力には疑問/The Wall Street Journal
Alistair MacDonald によるストーリー • 1 時間 • 読み終わるまで 5 分
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%81%AE%E5%85%B5%E5%99%A8%E5%A2%97%E7%94%A3-%E6%8C%81%E7%B6%9A%E5%8A%9B%E3%81%AB%E3%81%AF%E7%96%91%E5%95%8F/ar-BB1k3uGY?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=f809880c8cbf43f6b46754c0fde2f50d&ei=11
ロシアの戦車・ミサイル・砲弾生産能力は西側諸国を驚かせ、ウクライナにさらなる圧力をかけた。問題は、それがいつまで続くかだ。
欧米の当局者やアナリストの間では、ロシアが公表している軍事生産量は誤解を招きやすく、労働力不足や品質低下などの問題を覆い隠しているとの声がある。増産は経済全体の資源を消耗するため、長く続けるのは難しい可能性がある。生産量が落ちれば、中国・イラン・北朝鮮といった友好国からの援助にさらに頼ることになるかもしれないという。
スウェーデン国防大学のオスカー・ヨンソン研究員は「ロシアは多くの防衛分野で見事なまでに増産を成し遂げている」と話す。「ただ、ロシアがこのペースを維持できるかは非常に疑わしい。生産は停滞するだろう」
ロシアの兵器生産能力はますます重要になっている。ウクライナとの戦争が3年目に突入し、同国に対する米国の今後の軍事支援が不透明なためだ。例えば、ロシア軍が2月にウクライナ東部の要衝アブデーフカを制圧できたのは、砲弾供給能力に勝っていたことが決定打となった。一方、ロシアと国境を接する他の国々は、ウクライナ戦争後にロシアの軍備増強が可能なら脅威となる可能性があると指摘している。
ロシアが2022年にウクライナに侵攻すると、米国とその同盟諸国は一連の制裁を科し、ロシアの軍需産業を阻害しようとした。戦場では、ロシアはすぐに装備を失い、ミサイルや砲弾の在庫が底を突いた。
これを受けて、ロシア政府は直ちに兵器産業に資源を投入した。昨年は連邦政府支出に占める国防費の割合が21%と、2020年の約14%を上回った。2024年の連邦予算ではこの割合がさらに大きくなり、29%を超えた。
ロシアは制裁回避手段も巧妙化しており、欧米製のマイクロチップや通信機器など、直接購入できない部品を他国経由で調達している。
セルゲイ・ショイグ国防相は昨年12月、ロシアは戦前の17.5倍の弾薬、17倍のドローン(無人機)、5.6倍の戦車を生産していると明らかにした。
欧米の当局者らによれば、ロシアはミサイルなどの兵器も増産している。例えば、2021年に40万発だった砲弾生産量は翌年に60万発となり、米国と欧州連合(EU)の合計生産量を上回ったと、エストニアの軍事情報機関は推定している。
北大西洋条約機構(NATO)の高官によれば、ロシアは現在の規模であと2〜5年は戦力を維持できるとみられる。欧州の少なくとも二つの軍事情報機関は、あと数年は十分な兵器を生産できるとの見方を示している。
軍事増産は経済統計にも表れている。
フィンランド銀行(中央銀行)がロシアの統計を分析したところによると、光学製品や加工金属などいくつかの軍事関連産業の生産量は、開戦以降に2倍になった。
しかし、ロシア経済の他部門からの投資・労働力・資材の流出を考えると、増産――および軍事費全体の水準――は持続可能なものではない可能性があるとフィンランド銀行は結論づけている。
同行の分析では、増産された防衛関連品の大半はローテク製品(加工鋼など)であり、ロシアが国外のサプライヤーに依存している、より高度な製品(半導体など)ではないことも明らかになっている。
ロシアは一部の製品については制裁を回避することができたが、戦車の乗組員の視界を確保する光学部品など、ロシアが欧米から購入していた特殊部品は、第三者を通じて購入することがはるかに難しい。
ロシアが主張する生産数に疑問を呈するアナリストもいる。例えばロシアの生産数は、新たに生産された装甲車と、倉庫から出して改修した旧型車を区別していない。
「生産数は誇張されている」と国際戦略研究所のマイケル・ジェルスタッド研究員は言う。
ジェルスタッド氏が開戦前後の衛星画像を調べたところ、ロシアが昨年、少なくとも1200両の旧型戦車を倉庫から引っ張り出してきたとみられることが分かったという。つまり、ロシアが昨年生産した戦車はせいぜい330両ということになるが、実際の数はその半分である可能性が高いと同氏は指摘する。
例えば、米衛星画像企業プラネット・ラブズPBCが提供した衛星写真によれば、2022年後半以降、シベリアのオムスクにあるオムスクトランスマッシュ社の戦車工場の外には、最大で200両の戦車が同時に置かれていた。開戦前の数年間にはこの工場で新たな戦車が生産されていなかったにもかかわらずだ、とジェルスタッド氏は言う。
ロシア大統領府に兵器生産の量と質についてコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ロシアは旧型砲弾の備蓄にも手をつけている。シンクタンクの英王立防衛安全保障研究所(RUSI)によれば、この備蓄は現在約300万発で、その多くは状態が悪い。
RUSIや他のアナリストによると、ロシア国内での弾薬生産では対ウクライナ向けの需要を満たせないため、ロシアは友好国への依存を強めることになりそうだ。
ロシアは北朝鮮・イラン・ベラルーシから軍需品を、中国からコンピューターチップなどの部品や化学薬品を供給されているという。
韓国の申源G(シン・ウォンシク)国防相は最近、北朝鮮の軍需工場が現在、ロシア向けにフル稼働で対応していると記者団に語った。北朝鮮は昨年9月以降、約300万発相当の152ミリ砲弾を輸出した可能性があるという。ウクライナの軍事情報機関によると、北朝鮮の弾薬は品質が悪く、ロシアの砲を破壊することもある。
このような供給と引き換えに、ロシアが中国や北朝鮮と軍事技術情報を共有している証拠があると、前述のNATO高官は述べた。
一方、ロシアの兵器メーカーは人手不足に直面している。
ロシア大統領府のウェブサイトに掲載された発言記録によれば、ウラジーミル・プーチン大統領は2月に同国最大の戦車工場を訪問した際、熟練工が不足していることは認識していると従業員に語った。
ウラルバゴンザボード社の同工場では昨年初め、特に深刻な人手不足に陥り、近隣の刑務所から250人の受刑者を受け入れたと、同刑務所が当時明らかにしていた。
ユーリ・ボリソフ副首相は2022年6月、兵器産業では労働者が約40万人不足していると述べた。ボリソフ氏などの当局者は同産業の必要人員を約200万人としていることから、約20%の人員が足りていない計算になる。
それ以降、ロシアはウクライナでの戦闘にさらに多くの人員を投入した。これに加え、数十万人がウクライナを離れたとエコノミストらは推計しているが、その一部は帰国した可能性がある。
生産量を増やすため、約3万人の労働者を抱えるウラルバゴンザボードは同工場で24時間体制の生産を開始した。
そこで働く労働者は、不十分な訓練、工具の不足、劣悪な安全環境についてソーシャルメディア上で不満を漏らしている。
昨年、ロシアのメディアで大きく報じられた例では、訓練と賃金を巡る争いで、ある従業員が上司の目の前でナイフを自分の喉に突き刺した。この従業員は一命を取り留めた。同社は遺憾の意を表明し、この事件はありふれた人間の悲劇だと述べた。
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