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アメリカ大統領選挙 バイデンvs.トランプ 波乱含みの再対決/橋祐介・nhk
2024年03月08日 (金)
橋 祐介 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/492375.html
秋のアメリカ大統領選挙は、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が再び対決することになりました。ほかにもっと若くて新鮮な候補はいないものかと長らく待望論がありながら、結局それぞれの党内を束ねて勝てると見込まれたのはこのふたりでした。波乱含みの戦いの行方を考えます。
解説のポイントは3つ。
▼バイデン大統領は施政方針を示す一般教書演説で何を訴えたか。
▼トランプ前大統領が抱える裁判は選挙に影響するか。
▼有権者の移動や世代交代で“変わるアメリカ”です。
時にこぶしを振り上げ、声も枯らして、1時間ほど熱弁をふるった“史上最高齢の大統領”。全米に生中継された一般教書演説は、そのままバイデン氏の再選キャンペーンのようにも見えました。
党派色をむき出しにすることもためらわず、トランプ氏を「前任者」と呼んで、再三やり玉にあげました。
内政では、自らの就任時に「瀬戸際だった経済と雇用を目覚ましく回復させた」として、実績をアピール。バイデン政権が批判されている不法移民対策については、「超党派で取りまとめた国境管理法案の可決を阻んでいるのは前任者だ」と反論しました。
外交でも、トランプ氏が、相応の防衛費を負担しないNATO加盟国はロシアのプーチン大統領の“好きなようにすればいい”とした発言について、バイデン大統領は「言語道断で危険なことだ」と声を荒げました。
ウクライナ支援の予算案を速やかに可決するよう議会に促すとともに、自らのイスラエル寄りの外交姿勢については、「パレスチナ住民の保護」をあらためて呼びかけるにとどまりました。
党派対立に歩み寄りを促すような発言はほとんどなく、演説はトランプ氏との再対決を強く意識したことがうかがえました。
(バイデン大統領の発言)
「私は見かけによらず随分長く生きている/この歳になるとはっきりわかるものがある/アメリカの魂をめぐる戦いを私は何度も見てきた/アメリカを過去に引き戻そうとする勢力と未来に前進させようとする勢力の戦いだ」
いまバイデン氏は、平均支持率でトランプ氏の勢いにおされ、再選に“黄色信号”が灯っている状態です。大統領の過酷な重責をさらに4年間担えるか?多くの有権者が懸念して、健康不安がのしかかっています。
しかし民主党内に有力な後継候補は見当たらず、共和党の相手候補がトランプ氏であれば、バイデン氏が“理想”ではなくても“リスクの最も小さい候補”と目された形です。
一方のトランプ氏は、共和党を「トランプ党」と言われるほど掌握し、スーパーチューズデーでも圧勝、大統領候補の指名獲得は確実です。
ただ、共和党内の一部穏健派や無党派層の取り込みに課題を残します。
バイデン氏もトランプ氏も“どちらも嫌いな有権者”も存在します。そうした「ダブルヘイター」と呼ばれる有権者の投票行動が注目されています。
アメリカの選挙は、莫大なお金がかかります。資金調達は、バイデン陣営がリードしています。トランプ陣営は、巨額の裁判費用の負担が足かせとなり、資金繰りも課題です。
これから11月5日の投票日までのカレンダーです。6月まで、それぞれ支持を広げるチャンスです。7月に共和党大会、8月に民主党大会が開かれて、大統領候補として正式に指名され、新たな政権公約も固まります。9月になると選挙戦は終盤に入り、早い州では期日前投票も始まります。
そうした選挙戦と並行して、トランプ氏は4つの刑事裁判を抱えています。
このうち、不倫相手の女性に口止め料を支払うためビジネス記録を改ざんした罪などに問われているニューヨーク州の裁判は、3月25日が初公判です。
一方、トランプ氏が、大統領在任中の“免責特権”は退任後も適用されるとして起こした訴えについて、4月下旬、連邦最高裁判所で口頭弁論が開かれます。
この“免責特権”をめぐり連邦最高裁がいつどのような判断を示すのかが目下の焦点です。早ければ6月末までに判断が示されるのではないかという観測がありますが、それまでは、議会乱入事件をめぐる裁判は開けません。
ほかの裁判も、いつ始まるか確定していません。
トランプ氏は、いずれの裁判も「政治的な魔女狩り」で「選挙妨害」だと主張し、審理の引き延ばし作戦に出ています。審理を引き延ばした上で、大統領に返り咲けば、免責特権を主張したり、起訴を取り下げさせたりするねらいが見え隠れしています。
今後のポイントを4つにまとめてみました。
まず、トランプ氏の裁判は、どのような影響があるでしょうか。
被告として出廷を求められたら各州への遊説に制約を受けそうです。ただ、共和党支持層の多くは、起訴は「政治的な動機によるものだ」と考えているため、トランプ氏への支持は高まるのではないかという見方もあります。
しかし、選挙前に仮に有罪評決が出たら、トランプ氏は、無党派層の支持を遠ざけてしまうかも知れません。
副大統領候補は誰になるでしょうか。
大統領にもしもの時、職務を引き継ぐ副大統領候補は、かつてなく重みを増しています。
民主党は現職のハリス氏です。共和党は、まだわかりません。前回の選挙は女性やマイノリティーは民主党により多く投票したことから、共和党も今回は女性やマイノリティーを起用するかが焦点になっています。
バイデン氏とトランプ氏はテレビ討論会で対戦するでしょうか。
通常は秋に3回、討論会が開かれますが、両陣営はまだ合意していません。
前回は、罵り合いになる場面もありましたが、有権者の関心は高いのです。
どちらが勝っても負けても、選挙結果を受け入れるでしょうか?
当たり前のように聞こえても、これが最も重要です。トランプ氏は「前回の選挙は不正に盗まれた」とする根拠なき主張を撤回していません。議会乱入事件の再発も心配されています。このため、両陣営が事前に取り決めを結ぶ必要があるとする意見も議会などにあります。
平和的な政権移行は、アメリカ建国間もない頃からの民主主義の根幹です。今度こそ暴力と混乱を回避しなければなりません。
対戦するふたりは同じでも、有権者は変わります。
大統領選挙は人口に応じて各州に割り振られた選挙人の獲得数を競う仕組みです。
地図で青色が前回バイデン氏の勝った州、赤色がトランプ氏の勝った州でした。
国勢調査を反映して、13の州で、人口の増減に応じて選挙人の配分が調整されます。
カリフォルニアやニューヨークなどの大都市から、テキサスなどの新興都市に移り住む動きがあるからです。その結果、前回トランプ氏が勝った州で選挙人が3人増えるのです。
今回は、黄色で示したご覧の6つの州が、両氏が激しく争奪する激戦州になるという見方で衆目は一致しています。そうした激戦州で、2大政党以外の“第3の候補”が一定の支持を集めたら、それだけで、僅差の戦いはたちまち逆転するかも知れません。
有権者の世代交代も進んでいます。前回のあと新たに選挙権を得た人は、およそ1,600万人に上ります。「Z世代」と呼ばれる若者層は、2年前の中間選挙でも投票率が高く、若い世代の選択が今回も勝敗の鍵を握りそうです。
新旧大統領のリターンマッチは、グローバー・クリーブランドがベンジャミン・ハリソンを破って政権に返り咲くことになった選挙以来132年ぶりとなります。
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