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韓国の軍事力は世界第5位 ウクライナ危機で装備品輸出も急増/出石直・nhk
2024年01月24日 (水)
出石 直 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/491206.html
韓国軍の創設75年を記念してソウル市内で行われた軍事パレードです。保守政権になって5年ぶりに復活し、韓国軍が誇る戦車や弾道ミサイルなどが披露されました。
北朝鮮のキム・ジョンウン総書記が「戦争も辞さない」と発言するなど、朝鮮半島を取り巻く情勢は今、かつてないほど緊迫化しています。その北朝鮮と対峙する韓国もまた急速に軍事力の強化を進めています。この時間は、韓国に焦点を当て、軍事力強化の動きとアジアの安全保障、とりわけ朝鮮半島情勢に与える影響について考えていきたいと思います。
【解説のポイント】
解説のポイントです。
▽ 韓国の軍事力は世界第5位、
▽ それを支えているのが、官民一体となった防衛装備品の開発です。
▽ 最後に朝鮮半島情勢のこれからを展望します。
【韓国の軍事力】
まず韓国の現在の軍事力からみていきましょう。
(出典:The Military Balance 2023、防衛白書など)
陸上兵力は、42万人、 日本 14万人、
海上兵力は、 230隻、日本 138隻、
航空兵力は、660機、 日本 370機、
単純な比較はできませんが、いずれも数の上では日本を上回っています。
装備面では、国産初の超音速戦闘機の導入や独自のミサイル開発に力を入れていて、2021年にはSLBM=潜水艦から発射できる弾道ミサイルの発射試験にも成功しています。
各国の装備や兵力などをもとにアメリカの評価機関(Global Firepower 2024)が発表している最新の軍事力ランキングでは、去年より順位をひとつ上げアメリカ、ロシア、中国、インドに次ぐ世界第5位に位置付けられています。
国防費の推移です。2000年以降24年連続で増え続けています。注目されるのは、ノ・ムヒョン政権やムン・ジェイン政権など北朝鮮との融和策を掲げていた革新政権の時にも国防費が増加していることです。ドル換算ではおととし初めて日本の防衛費を上回りました。北朝鮮と対峙しているとはいえ、韓国の人口は日本の半分以下、面積は4分の1程度です。いかに多額の予算が国防費に充てられているかお分かりいただけると思います。
【ユン政権の国防政策】
「力による平和」を掲げるユン・ソンニョル政権になって軍事力強化の動きは一段と加速しています。北朝鮮の政権と軍を「敵」と位置付け、軍事的な挑発には断固とした姿勢で対応する姿勢を明確にしています。
先月にはアメリカの宇宙軍基地から韓国初の軍事偵察衛星が打ち上げられました。来年までに5つの軍事偵察衛星を運用して北朝鮮の弾道ミサイルの発射に備えるとしています。
▽ミサイル発射の兆候を捉えればまず先制攻撃をして発射基地を破壊、▽次に飛来するミサイルを迎撃して防衛し、▽北朝鮮指導部などへの大量反撃報復を行うとしています。そのための戦略司令部が年内に創設されることになっています。
もうひとつユン政権になってからの大きな変化がアメリカの核の傘による拡大抑止の強化です。去年4月に行われた米韓首脳会談では、核戦力についての情報を共有するNCG=核協議グループの発足が決まり、韓国はアメリカの核戦略により深く関与することになりました。国民の6割から7割が核保有を支持している世論を背景に「北朝鮮の核には核で対抗する」という姿勢を強めています。
【兵器生産と輸出】
韓国の軍事力を支えているのが官民一体となった防衛装備品の開発です。
去年10月、ソウル近郊で開催された防衛産業の展示会です。韓国製の戦車やドローンなどの最新兵器が展示され、各メーカーが設けたブースでは盛んに商談が行われていました。海外への輸出も活発です。以前はアジアや中東諸国が主な輸出先でしたが、ウクライナ危機をきっかけにヨーロッパの市場も拡大しています。
おととしにはポーランドと大型契約を締結、韓国製の戦車や自走榴弾砲、戦闘機などが売却されました。エストニア、フィンランド、ノルウェーなども韓国が独自開発した自走榴弾砲の購入を決めています。
装備品の輸出額も年々増え続けています。おととしには173億ドルと過去最高を記録しています。ユン大統領は、現在世界第9位の防衛装備品の輸出額を世界第4位に押し上げることを目指し自らが先頭に立ってトップセールスを続けています。
韓国の防衛産業に詳しい専門家に聞きました。
(キヤノングローバル戦略研究所 伊藤弘太郎主任研究員インタ)
「自分たちは軍事力をつけてこそ周辺国と対等に渡り合っていけるという国是というか目標がありますので、今後投資を進めていく分野、宇宙とかサイバーとか通常兵器に関しても技術を投資して新しい技術に基づく防衛装備品を開発していくという姿勢を明確にしています」
【朝鮮半島情勢は】
ここまで軍事力の強化を進める韓国の現状についてみてきました。最後にこうした動きがアジアの安全保障、とりわけ朝鮮半島情勢にどのような影響を与えるのか考えていきたいと思います。
中国は軍事力と経済力を背景に覇権を強め、北朝鮮は国際社会に背を向けて核・ミサイル開発を続けています。こうした東アジアを取り巻く厳しい安全保障環境を考えれば、韓国の軍事力強化がこうした脅威への備え、抑止力の強化につながっていると受け止めることもできると思います。
ただその一方で、こうした動きが軍事的な緊張を高めていることも事実です。北朝鮮で今月15日に開催された最高人民会議で演説したキム総書記は「朝鮮半島で戦争が起きれば、韓国を占領、奪還する。戦争を望んでいないが避けるつもりはない」と韓国を挑発、これに対してユン大統領はすぐさま「北が挑発すれば何倍にもして懲らしめる」と跳ねつけました。
北朝鮮の動向に詳しい2人のアメリカの専門家が最近、連名でこんな分析リポートを発表しています。表題は「キム・ジョンウンは戦争を準備しているのか?」、2人はこの中で「朝鮮半島の状況は1950年の朝鮮戦争勃発以降、かつてないほど危険だ」と警告しています。北朝鮮を何度も訪問しその内情に精通している2人だけに、その指摘は重く受け止めるべきでしょう。
南北間の対話は長く途絶え、共に軍事力を誇示しあう力と力の対立が続いています。北朝鮮の挑発に備えることはもちろん大切です。そのうえで、この地域の平和と安定のためには、偶発的な軍事衝突を防ぐ取り組みも早急に必要です。日韓関係が改善し日米韓の連携強化が進んでいる今だからこそ、日本には韓国、北朝鮮双方に対話を促し緊張を緩和する役割も求められているのではないでしょうか。
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