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元記事http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/2061846.html
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農と食の裏側を追ったドキュメンタリー映画『食の安全を守る人々〜未来の子どもたちのために〜』の自主上映が続けられている。山田正彦元農水相がプロデュースし、原村政樹監督が制作。2021年夏に完成し、劇場上映された。残留農薬基準や添加物の規制緩和、食品表示の改悪などで食の安全がさらに脅かされている今、この映画の価値は一層高まっている。
同作品は、山田・原村コンビが制作した20年の『タネは誰のもの』の基になった。農家の自家採種を原則禁止する内容を含む種苗法改正が国会で審議されることになり急きょ、種苗に関する部分だけ先行して発表したもので、日本映画復興奨励賞を受賞、キネマ旬報文化映画第7位に輝いている。
4月14日は鎌倉市内で、『食の安全を守る人々』の上映会と山田正彦元農水相のミニ講演会が開かれた。「おいしい給食かまくら」(代表・兵藤沙羅)の主催で、70人がグリホサートなど農薬の危険性と給食の有機無償化の重要性を学んだ。
冒頭、主催者を代表して兵藤氏が「1年半前にこの映画を有楽町で見たが、シリアスで農業の問題を真剣に捉えている。学生時代、米国にいて食べ物がプラスチックでできているようなイメージがあったが、この映画で日米が逆転したような感想を持った。まず、知ることで消費者の意識が変わる。これを機に、自分にできる一歩を踏み出せたら」とあいさつした。
グローバル企業がもたらす農薬害、解決策は有機農法
続いて、『食の安全を守る人々』が上映された。約1時間40分の作品で、食と農に関する幾つかの深刻な問題を取り上げている。内容は表題の通り、食の安全を守るために闘う人たちの記録である。
終始登場するのは、プロデューサーの山田正彦氏。東京都中央区の日本モンサント社(現バイエル)前での抗議風景の後、国会議員会館内の各議員室を回りながらグリホサートの危険性を説く姿が映し出される。
鈴木宣弘東京大学大学院農学生命科学研究科教授が、日本だけ農薬が増えている実態を示し、規制緩和は米国の都合で進められていると指摘する。
米カリフォルニア州に住むゼン・ハニーカットさんは、3児の母。子供は3人ともアレルギーを持つ。湿疹や躁鬱(そううつ)、発達障害に直面し、原因を追究すると、除草剤のラウンドアップの主成分、グリホサートに突き当たる。食卓からこの農薬を排除するため、問題意識を同じくする母親たちと共に米国環境保護庁(EPA)やモンサント社に掛け合う。5年後、地域のほとんどのスーパーでは有機野菜だけが並ぶようになった。
同じくカリフォルニア州に住むドウェイン・ジョンソンさんは、学校の用務員をしていて末期がんになった。学校の校庭整備に使ったラウンドアップのせいだとしてモンサント社を提訴。地方裁判所の陪審は、同社に約320億円の支払いを命じる評決を出した。以後、世界で5万件の訴訟が続く。
ロバート・ケネディ・ジュニア弁護士は、モンサント社と闘い続けている。叔父のジョン・F・ケネディ大統領は『沈黙の春』でDDT(モンサント社が開発した有機塩素系殺虫剤)の危険性を告発したレイチェル・カーソンを妨害から救った。「モンサントは悪い企業文化を持つ」との叔父の証言を述懐する。
山田氏は日本人の身体にグリホサートがどれだけ蓄積しているか検証するため、国会議員23人を含む28人の頭髪を検査した。その結果、19人から同成分が検出された。驚くべき事実である。
仏カーン大学のジル=エリック・セラリーニ教授は、危険なヒ素までが含まれていることを明らかにした。日本の法律では、こうした添加物は表示義務がない。日本の脳神経科学の第一人者、黒田純子博士は、グリホサートの被害は本人に影響が出なくても、子供や孫の世代に重大な悪影響を及ぼす可能性があると指摘する。
韓国では、小学校から大学までのほとんどが有機無償給食を実施している。20軒に1軒の農家が有機生産に取り組む。
ゲノム編集技術を用い、肉量が3倍のマダイや角なしウシが開発された。日本では、ゲノム編集食品の表示義務がない。
遺伝子組み換え食品については23年4月から、最新の検出技術によって検出できないものしか「遺伝子組み換えでない」と表示できなくなった。混入が5%以下の場合のものは「分別生産流通管理済み」の表示が可能。5%超のみ「遺伝子組み換え」または「遺伝子組み換え不分別」の表示が義務付けられているが、食用油やしょうゆなどは対象外だ。
米北西部、モンタナ州のロイ・ベンジャミンさん一家は3000ヘクタールを超える大規模農場主。この広大な畑で、15年前から農薬や除草剤を一切使わず作物を育てている。健康を考えてのこと。米国やカナダでは、乾燥させるために収穫前にラウンドアップを散布している。今は作物を天日乾燥させるため、肥料にもなり、コストが少ないという。
千葉県いすみ市は太田洋市長の下、17年に学校給食の完全有機米使用を実現した。農薬と化学肥料を一切使わない。「民間稲作研究所」の稲葉光國(20年12月死去)の指導で、子供たちが昔ながらの農業を体験している。その収穫物が給食に出される。懐かしく、心豊かな光景で映画は締めくくられる。
子孫を守る有機無償給食、「必ず実現する」
この4月14日のイベントでは、上映後、山田正彦氏による講演会が30分行われた。その骨子は次の通り。
黒田先生がおっしゃっていたように、グリホサートは孫、ひ孫に影響が出てくる可能性がある。実際、胎児が小さくなる現象が報告されている。ゼン・ハニーカットさんは子供の異変で気付いたが、グリホサートはベトナム戦争で枯れ葉剤として使われたもの。腸内の植物性の善玉菌を殺し、動物性の悪玉菌を増やす。その結果、有害物質ができて全身に回り、脳神経を冒す。
ラウンドアップは小麦の収穫前にも散布されている。浸透性農薬のため、洗っても焼いても煮ても消えず、食べ物を通して身体に入って来る。私の髪の毛からも出て来た。ビールを飲むからで、ビールには輸入小麦が使われている。約7割の人の体にグリホサートが入っている。
ネオニコチノイド系農薬は、稲作でも空中散布されている。ぜひ、「デトックス・プロジェクト・ジャパン」https://detoxprojectjapan.jimdofree.comで検査していただきたい。ほぼ100%の人の尿から、ネオニコチノイド系農薬が検出される。
ラウンドアップやネオニコチノイド系農薬は米国や欧州など49カ国で禁止されているが、日本では規制がない。
ゼンさんはグリホサートが入っていると思い、パンやパスタなど小麦食をやめ有機だけを子供たちに与えたら、4週間で劇的に症状が改善した。日本では福島・熊本のお母さんたちが検査でグリホサートが検出されたため、有機食材を食べるようにしたら、1カ月で9割の人が解毒できた。いかに有機の食べ物が大事か。
2022年の世界の有機農業栽培面積は、前年比27%増えた。1位は豪州で49%増。インド、アルゼンチン、中国が続く。日本は92位。EUは有機栽培面積を30年までに全耕地面積の25%までに拡大する計画だが、日本は0.6%にすぎない。
韓国のように、有機無償給食を実現したい。日本でも2年前、「全国オーガニック給食フォーラム」を開き、鎌倉市も含む41の市町村長が参加した。68のサテライト会場も設け、4000人を結んだ。JAの組合長も7人参加した。
有機給食にすると、食べ残しがない。鎌倉市は年に2回、有機米を給食に出している。コメはいすみ市から提供を受けている。大勢としては、給食を1カ所で集約して作るセンター方式から自校方式に向かっている。
韓国視察から戻った2018年ごろ、無償の所は6、7校だったが、今は3割の自治体に増えた。東京都は今年中に23区全て無償にする計画。青森は全県の小中学校ですでに無償化し、群馬は約8割の自治体で無償と聞く。鎌倉市は今のところ有料だそうだが、無償になると有機にしやすい。お母さんの負担がなくなるから。
11月には、茨城県常陸大宮市で、「第2回全国オーガニック給食フォーラム」が開かれる。立憲と維新が中心になって、給食無償化法案を作っている。自民党がいすみ市長を呼び、話を聞いた。自民党も「検討したい」と前向きだ。
超党派の「オーガニック給食議連」が設立され、共同代表に川田龍平参院議員(立憲)と坂本哲志農水相が就いた。毎週集まって議論している。私たちが小さな声を上げていけば、必ず実現する。
有機農産物は、3割程度高く買ってもらえる。若い人の6割が離農しているが、これならやっていける。豪州のように1年で50%近く有機栽培面積を増やすのは夢でない。
DVDは好評貸し出し/発売中
『食の安全を守る人々』は、3万円以上で誰でも自主上映できるhttps://kiroku-bito.com/shoku-anzen/#dvd。24年1月19日からは、DVDの販売も始めた(個人視聴用は5000円)。自由貿易化の拡大と食料自給率の低下が一層危惧される現在、1人でも多くの日本人に見てもらいたい作品である。
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