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「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
http://www.asyura2.com/24/ban12/msg/251.html
投稿者 中川隆 日時 2024 年 10 月 22 日 01:10:26: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。
植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及した。

フィリップス曲線は当てにならない
続・超完全雇用時代の謎
2018 年5 月に失業率は2.2%まで下がった。単純に計算すると、名目賃金上昇率は1.5%になってもおかしくない。しかし、フィリップス曲線と呼ばれる失業率と賃金の関係は、時期によってかなり変動する。経済学でも、そうした関係のシフトが起こることが論争になった歴史がある。
失業率で語れることは限られている

 最近、失業率がこれほど低下しているのに、物価・賃金が上昇しにくいことは不思議だ、とエコノミストの間で話題になっている。2018 年5 月の完全失業率は2.2%と1992 年10 月以来の低さである。この謎については、2018 年7 月6 日発行の拙稿「物価・賃金が上昇しにくい体質」で様々に論じた。

 ひとつだけ、その拙稿で十分に論じていないことがあることに気が付いた。失業率が低下すると、賃金(物価)が上がるメカニズムについてである。このメカニズムは、フィリップス曲線(フィリップス・カーブ)として有名であるが、その理論を巡っては、昔、経済学の世界で一大論争が起こった。その時の議論は、失業率と賃金・物価は必ずしも安定的なものではないというものだった。

フィリップス曲線を巡っては、かつて安定的な形状が描けないことへの説明が行われた。伝統的なケインジアンと呼ばれる経済学者は、失業率と賃金・物価上昇率の関係を仮想して、公共事業などの総需要対策を行えば、失業率を低下させることができると考えた。それに対して、自然失業率仮説を唱えるミルトン・フリードマンやエドモンド・フェルプスは一定の失業率(自然失業率、UN)を下回るまで総需要対策を打つと、失業率は下がらなくなり、賃金・物価上昇の方が進むとした(図表2、A→B)。

フィリップス曲線は当てにならない
この状態では、総需要コントロールを信頼する政府が、あまりに雇用拡大・失業率低下を目指すと、インフレ加速だけを残して自然失業率よりも実際の失業率を下げられなくなる。そこの理屈は少し飲み込みにくく、インフレが加速すると、名目賃金から物価の伸びを差し引いた実質賃金の伸びは低下するというものだ。実質賃金が低下するのに気付いた労働者は、名目賃金が上昇しているのをみて一時的に雇用を増やしていたが、やがて雇用を減らすことになる(A→C→B)。名目賃金はプラスでも、実質賃金はマイナスだと知って、一旦は低下した失業率が再び自然失業率のところで下がらなくなり、名目賃金と物価だけが上昇していく。
https://zuuonline.com/archives/188288



右のグラフは、米国経済のフィリップス曲線である。縦軸が物価上昇率、横軸が失業率で、どちらも単位は100ベーシスポイント(1%)である。1960年代後半は、失業率の低下とインフレ率の上昇という典型的な短期における右下がりの関係が表れている。

1990年代はインフレ率の低下と失業率が低下する時代でニューエコノミーとも呼ばれた。期待インフレ率の低下によってフィリップス曲線が漸次、下方にシフトしていったと考えられ、単純にプロットするとむしろ左下がりの関係が見られることとなっている。


実際のフィリップス曲線

1960年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1960phillipsUSA.gif

1990年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1990phillipsUSA.gif  

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コメント
1. 中川隆[-8784] koaQ7Jey 2024年10月22日 01:22:03 : EMvGEEfaSg : LkdpZnNUeHpDUGs=[1] 報告
<■85行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。
植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及した。

「経済モデル」と言うときに思い出されるのは、例えばフィリップス曲線だろうか。労働市場が強まればそれだけでインフレが起こると何の根拠もなく主張する、経済学の教科書に載っている考え方だが、Fedは前議長であるジャネット・イエレン氏の時代あたりまでこの根拠のない経済モデルに従って金融政策を決めてきた。

現在のFedはこのフィリップス曲線という骨董品を既にある程度捨て去っているが、最近日銀総裁に就任した植田氏はいまだにフィリップス曲線に言及している。何故彼はいまだにフィリップス曲線などと言っているのか。植民地政策に遅れて参加してすべての責任を押し付けられた日本人のやることなのだから、何か独創的な考えがあるのだろう。
一方で、ここの読者ならば労働市場は単に物価の一部であるサービス価格に影響する要素でしかないことを理解するだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35636


フィリップス曲線は当てにならない
2018 年5 月に失業率は2.2%まで下がった。単純に計算すると、名目賃金上昇率は1.5%になってもおかしくない。しかし、フィリップス曲線と呼ばれる失業率と賃金の関係は、時期によってかなり変動する。経済学でも、そうした関係のシフトが起こることが論争になった歴史がある。
失業率で語れることは限られている

 最近、失業率がこれほど低下しているのに、物価・賃金が上昇しにくいことは不思議だ、とエコノミストの間で話題になっている。2018 年5 月の完全失業率は2.2%と1992 年10 月以来の低さである。この謎については、2018 年7 月6 日発行の拙稿「物価・賃金が上昇しにくい体質」で様々に論じた。

物価・賃金が上昇しにくい体質 発表日:2018年7月6日
〜超完全雇用時代の謎〜

https://www.dlri.co.jp/pdf/macro/2018/kuma180706ET.pdf

 ひとつだけ、その拙稿で十分に論じていないことがあることに気が付いた。失業率が低下すると、賃金(物価)が上がるメカニズムについてである。このメカニズムは、フィリップス曲線(フィリップス・カーブ)として有名であるが、その理論を巡っては、昔、経済学の世界で一大論争が起こった。その時の議論は、失業率と賃金・物価は必ずしも安定的なものではないというものだった。

フィリップス曲線を巡っては、かつて安定的な形状が描けないことへの説明が行われた。伝統的なケインジアンと呼ばれる経済学者は、失業率と賃金・物価上昇率の関係を仮想して、公共事業などの総需要対策を行えば、失業率を低下させることができると考えた。それに対して、自然失業率仮説を唱えるミルトン・フリードマンやエドモンド・フェルプスは一定の失業率(自然失業率、UN)を下回るまで総需要対策を打つと、失業率は下がらなくなり、賃金・物価上昇の方が進むとした(図表2、A→B)。

フィリップス曲線は当てにならない
この状態では、総需要コントロールを信頼する政府が、あまりに雇用拡大・失業率低下を目指すと、インフレ加速だけを残して自然失業率よりも実際の失業率を下げられなくなる。そこの理屈は少し飲み込みにくく、インフレが加速すると、名目賃金から物価の伸びを差し引いた実質賃金の伸びは低下するというものだ。実質賃金が低下するのに気付いた労働者は、名目賃金が上昇しているのをみて一時的に雇用を増やしていたが、やがて雇用を減らすことになる(A→C→B)。名目賃金はプラスでも、実質賃金はマイナスだと知って、一旦は低下した失業率が再び自然失業率のところで下がらなくなり、名目賃金と物価だけが上昇していく。
https://zuuonline.com/archives/188288

右のグラフは、米国経済のフィリップス曲線である。縦軸が物価上昇率、横軸が失業率で、どちらも単位は100ベーシスポイント(1%)である。1960年代後半は、失業率の低下とインフレ率の上昇という典型的な短期における右下がりの関係が表れている。

1990年代はインフレ率の低下と失業率が低下する時代でニューエコノミーとも呼ばれた。期待インフレ率の低下によってフィリップス曲線が漸次、下方にシフトしていったと考えられ、単純にプロットするとむしろ左下がりの関係が見られることとなっている。


実際のフィリップス曲線

1960年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1960phillipsUSA.gif

1990年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1990phillipsUSA.gif

2. 中川隆[-8783] koaQ7Jey 2024年10月22日 01:24:06 : EMvGEEfaSg : LkdpZnNUeHpDUGs=[2] 報告
<■84行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。
植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及した。

フィリップス曲線は、労働市場が強まればそれだけでインフレが起こる、と何の根拠もなく主張する、経済学の教科書に載っている考え方だが、Fedは前議長であるジャネット・イエレン氏の時代あたりまでこの根拠のない経済モデルに従って金融政策を決めてきた。

現在のFedはこのフィリップス曲線という骨董品を既にある程度捨て去っているが、最近日銀総裁に就任した植田氏はいまだにフィリップス曲線に言及している。何故彼はいまだにフィリップス曲線などと言っているのか。植民地政策に遅れて参加してすべての責任を押し付けられた日本人のやることなのだから、何か独創的な考えがあるのだろう。
一方で、ここの読者ならば労働市場は単に物価の一部であるサービス価格に影響する要素でしかないことを理解するだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35636


フィリップス曲線は当てにならない
2018 年5 月に失業率は2.2%まで下がった。単純に計算すると、名目賃金上昇率は1.5%になってもおかしくない。しかし、フィリップス曲線と呼ばれる失業率と賃金の関係は、時期によってかなり変動する。経済学でも、そうした関係のシフトが起こることが論争になった歴史がある。
失業率で語れることは限られている

 最近、失業率がこれほど低下しているのに、物価・賃金が上昇しにくいことは不思議だ、とエコノミストの間で話題になっている。2018 年5 月の完全失業率は2.2%と1992 年10 月以来の低さである。この謎については、2018 年7 月6 日発行の拙稿「物価・賃金が上昇しにくい体質」で様々に論じた。

物価・賃金が上昇しにくい体質 発表日:2018年7月6日
〜超完全雇用時代の謎〜

https://www.dlri.co.jp/pdf/macro/2018/kuma180706ET.pdf

 ひとつだけ、その拙稿で十分に論じていないことがあることに気が付いた。失業率が低下すると、賃金(物価)が上がるメカニズムについてである。このメカニズムは、フィリップス曲線(フィリップス・カーブ)として有名であるが、その理論を巡っては、昔、経済学の世界で一大論争が起こった。その時の議論は、失業率と賃金・物価は必ずしも安定的なものではないというものだった。

フィリップス曲線を巡っては、かつて安定的な形状が描けないことへの説明が行われた。伝統的なケインジアンと呼ばれる経済学者は、失業率と賃金・物価上昇率の関係を仮想して、公共事業などの総需要対策を行えば、失業率を低下させることができると考えた。それに対して、自然失業率仮説を唱えるミルトン・フリードマンやエドモンド・フェルプスは一定の失業率(自然失業率、UN)を下回るまで総需要対策を打つと、失業率は下がらなくなり、賃金・物価上昇の方が進むとした(図表2、A→B)。

フィリップス曲線は当てにならない
この状態では、総需要コントロールを信頼する政府が、あまりに雇用拡大・失業率低下を目指すと、インフレ加速だけを残して自然失業率よりも実際の失業率を下げられなくなる。そこの理屈は少し飲み込みにくく、インフレが加速すると、名目賃金から物価の伸びを差し引いた実質賃金の伸びは低下するというものだ。実質賃金が低下するのに気付いた労働者は、名目賃金が上昇しているのをみて一時的に雇用を増やしていたが、やがて雇用を減らすことになる(A→C→B)。名目賃金はプラスでも、実質賃金はマイナスだと知って、一旦は低下した失業率が再び自然失業率のところで下がらなくなり、名目賃金と物価だけが上昇していく。
https://zuuonline.com/archives/188288

右のグラフは、米国経済のフィリップス曲線である。縦軸が物価上昇率、横軸が失業率で、どちらも単位は100ベーシスポイント(1%)である。1960年代後半は、失業率の低下とインフレ率の上昇という典型的な短期における右下がりの関係が表れている。

1990年代はインフレ率の低下と失業率が低下する時代でニューエコノミーとも呼ばれた。期待インフレ率の低下によってフィリップス曲線が漸次、下方にシフトしていったと考えられ、単純にプロットするとむしろ左下がりの関係が見られることとなっている。


実際のフィリップス曲線

1960年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1960phillipsUSA.gif

1990年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1990phillipsUSA.gif

3. 中川隆[-8782] koaQ7Jey 2024年10月22日 01:26:15 : EMvGEEfaSg : LkdpZnNUeHpDUGs=[3] 報告
<■87行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。
植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及した。

フィリップス曲線は、労働市場が強まればそれだけでインフレが起こる、と何の根拠もなく主張する、経済学の教科書に載っている考え方だが、Fedは前議長であるジャネット・イエレン氏の時代あたりまでこの根拠のない経済モデルに従って金融政策を決めてきた。

現在のFedはこのフィリップス曲線という骨董品を既にある程度捨て去っているが、最近日銀総裁に就任した植田氏はいまだにフィリップス曲線に言及している。何故彼はいまだにフィリップス曲線などと言っているのか。植民地政策に遅れて参加してすべての責任を押し付けられた日本人のやることなのだから、何か独創的な考えがあるのだろう。
一方で、ここの読者ならば労働市場は単に物価の一部であるサービス価格に影響する要素でしかないことを理解するだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35636


フィリップス曲線は当てにならない
2018 年5 月に失業率は2.2%まで下がった。単純に計算すると、名目賃金上昇率は1.5%になってもおかしくない。しかし、フィリップス曲線と呼ばれる失業率と賃金の関係は、時期によってかなり変動する。経済学でも、そうした関係のシフトが起こることが論争になった歴史がある。
失業率で語れることは限られている

 最近、失業率がこれほど低下しているのに、物価・賃金が上昇しにくいことは不思議だ、とエコノミストの間で話題になっている。2018 年5 月の完全失業率は2.2%と1992 年10 月以来の低さである。この謎については、2018 年7 月6 日発行の拙稿「物価・賃金が上昇しにくい体質」で様々に論じた。

物価・賃金が上昇しにくい体質 発表日:2018年7月6日
〜超完全雇用時代の謎〜

https://www.dlri.co.jp/pdf/macro/2018/kuma180706ET.pdf

 ひとつだけ、その拙稿で十分に論じていないことがあることに気が付いた。失業率が低下すると、賃金(物価)が上がるメカニズムについてである。このメカニズムは、フィリップス曲線(フィリップス・カーブ)として有名であるが、その理論を巡っては、昔、経済学の世界で一大論争が起こった。その時の議論は、失業率と賃金・物価は必ずしも安定的なものではないというものだった。

フィリップス曲線を巡っては、かつて安定的な形状が描けないことへの説明が行われた。伝統的なケインジアンと呼ばれる経済学者は、失業率と賃金・物価上昇率の関係を仮想して、公共事業などの総需要対策を行えば、失業率を低下させることができると考えた。それに対して、自然失業率仮説を唱えるミルトン・フリードマンやエドモンド・フェルプスは一定の失業率(自然失業率、UN)を下回るまで総需要対策を打つと、失業率は下がらなくなり、賃金・物価上昇の方が進むとした(図表2、A→B)。

フィリップス曲線は当てにならない
この状態では、総需要コントロールを信頼する政府が、あまりに雇用拡大・失業率低下を目指すと、インフレ加速だけを残して自然失業率よりも実際の失業率を下げられなくなる。そこの理屈は少し飲み込みにくく、インフレが加速すると、名目賃金から物価の伸びを差し引いた実質賃金の伸びは低下するというものだ。実質賃金が低下するのに気付いた労働者は、名目賃金が上昇しているのをみて一時的に雇用を増やしていたが、やがて雇用を減らすことになる(A→C→B)。名目賃金はプラスでも、実質賃金はマイナスだと知って、一旦は低下した失業率が再び自然失業率のところで下がらなくなり、名目賃金と物価だけが上昇していく。
https://zuuonline.com/archives/188288

右のグラフは、米国経済のフィリップス曲線である。縦軸が物価上昇率、横軸が失業率で、どちらも単位は100ベーシスポイント(1%)である。1960年代後半は、失業率の低下とインフレ率の上昇という典型的な短期における右下がりの関係が表れている。

1990年代はインフレ率の低下と失業率が低下する時代でニューエコノミーとも呼ばれた。期待インフレ率の低下によってフィリップス曲線が漸次、下方にシフトしていったと考えられ、単純にプロットするとむしろ左下がりの関係が見られることとなっている。


実際のフィリップス曲線

1960年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1960phillipsUSA.gif

1990年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1990phillipsUSA.gif

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【山崎行太郎チャンネル】高市早苗の応援団・高橋洋一の正体。
https://www.youtube.com/watch?v=fUyf_9ZbCdw

4. 中川隆[-8781] koaQ7Jey 2024年10月22日 01:36:23 : EMvGEEfaSg : LkdpZnNUeHpDUGs=[4] 報告
<■91行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
「物価と失業率は逆相関の関係にある」というフィリップス曲線は疑似科学
日銀新総裁の植田和男東大名誉教授は2018年の記事で緩和政策の限界と副作用について語っており、彼がこれから日銀の低金利政策をどうするのかを予想する上でその内容は参考になるだろう。
植田氏はまず、日銀が量的緩和によってマネタリーベースを増やしてもインフレ率が上がっていなかった当時の状況を指摘している。日本は失業率が低いにもかかわらずインフレ率が上がっていないとして、失業率とインフレ率が反相関になるはずだと(根拠なく)主張したフィリップス曲線に言及した。

フィリップス曲線は、労働市場が強まればそれだけでインフレが起こる、と何の根拠もなく主張する、経済学の教科書に載っている考え方だが、Fedは前議長であるジャネット・イエレン氏の時代あたりまでこの根拠のない経済モデルに従って金融政策を決めてきた。

現在のFedはこのフィリップス曲線という骨董品を既にある程度捨て去っているが、最近日銀総裁に就任した植田氏はいまだにフィリップス曲線に言及している。何故彼はいまだにフィリップス曲線などと言っているのか。植民地政策に遅れて参加してすべての責任を押し付けられた日本人のやることなのだから、何か独創的な考えがあるのだろう。
一方で、ここの読者ならば労働市場は単に物価の一部であるサービス価格に影響する要素でしかないことを理解するだろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/35636

フィリップス曲線の縦軸が物価ではなく実質賃金なら正しかったんだけどね。失業率が低くなると実質賃金が上がるのは当たり前だからね。 現在みたいに輸入物価だけが上がっていて実質賃金が下がっている場合にはフィリップス曲線なんか意味無いんだよ。

フィリップス曲線は当てにならない
2018 年5 月に失業率は2.2%まで下がった。単純に計算すると、名目賃金上昇率は1.5%になってもおかしくない。しかし、フィリップス曲線と呼ばれる失業率と賃金の関係は、時期によってかなり変動する。経済学でも、そうした関係のシフトが起こることが論争になった歴史がある。
失業率で語れることは限られている

 最近、失業率がこれほど低下しているのに、物価・賃金が上昇しにくいことは不思議だ、とエコノミストの間で話題になっている。2018 年5 月の完全失業率は2.2%と1992 年10 月以来の低さである。この謎については、2018 年7 月6 日発行の拙稿「物価・賃金が上昇しにくい体質」で様々に論じた。

物価・賃金が上昇しにくい体質 発表日:2018年7月6日
〜超完全雇用時代の謎〜

https://www.dlri.co.jp/pdf/macro/2018/kuma180706ET.pdf

 ひとつだけ、その拙稿で十分に論じていないことがあることに気が付いた。失業率が低下すると、賃金(物価)が上がるメカニズムについてである。このメカニズムは、フィリップス曲線(フィリップス・カーブ)として有名であるが、その理論を巡っては、昔、経済学の世界で一大論争が起こった。その時の議論は、失業率と賃金・物価は必ずしも安定的なものではないというものだった。

フィリップス曲線を巡っては、かつて安定的な形状が描けないことへの説明が行われた。伝統的なケインジアンと呼ばれる経済学者は、失業率と賃金・物価上昇率の関係を仮想して、公共事業などの総需要対策を行えば、失業率を低下させることができると考えた。それに対して、自然失業率仮説を唱えるミルトン・フリードマンやエドモンド・フェルプスは一定の失業率(自然失業率、UN)を下回るまで総需要対策を打つと、失業率は下がらなくなり、賃金・物価上昇の方が進むとした(図表2、A→B)。

フィリップス曲線は当てにならない
この状態では、総需要コントロールを信頼する政府が、あまりに雇用拡大・失業率低下を目指すと、インフレ加速だけを残して自然失業率よりも実際の失業率を下げられなくなる。そこの理屈は少し飲み込みにくく、インフレが加速すると、名目賃金から物価の伸びを差し引いた実質賃金の伸びは低下するというものだ。実質賃金が低下するのに気付いた労働者は、名目賃金が上昇しているのをみて一時的に雇用を増やしていたが、やがて雇用を減らすことになる(A→C→B)。名目賃金はプラスでも、実質賃金はマイナスだと知って、一旦は低下した失業率が再び自然失業率のところで下がらなくなり、名目賃金と物価だけが上昇していく。
https://zuuonline.com/archives/188288

右のグラフは、米国経済のフィリップス曲線である。縦軸が物価上昇率、横軸が失業率で、どちらも単位は100ベーシスポイント(1%)である。1960年代後半は、失業率の低下とインフレ率の上昇という典型的な短期における右下がりの関係が表れている。

1990年代はインフレ率の低下と失業率が低下する時代でニューエコノミーとも呼ばれた。期待インフレ率の低下によってフィリップス曲線が漸次、下方にシフトしていったと考えられ、単純にプロットするとむしろ左下がりの関係が見られることとなっている。


実際のフィリップス曲線

1960年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1960phillipsUSA.gif

1990年代の米国のフィリップス曲線
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9%E6%9B%B2%E7%B7%9A#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:1990phillipsUSA.gif

▲△▽▼

【山崎行太郎チャンネル】高市早苗の応援団・高橋洋一の正体。
https://www.youtube.com/watch?v=fUyf_9ZbCdw

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