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ニジェールから米軍が撤退。NATOによる不当なリビア侵攻の答え合わせが西アフリカで進行中
<記事原文 寺島先生推薦>
US out: How NATO’s disastrous Libya invasion still echoes in West Africa today
ニジェール訪問は米国政府にとって事態をさらに悪化させた。その理由はこうだ。
筆者:フランクリン・ニャムシ博士(Dr. Franklin Nyamsi)
作家、講演者、哲学博士、アフリカ自由研究所(バマコ-パリ)所長
出典:RT 2024年5月7日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年8月25日
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ニジェール軍兵士とともに訓練する米特殊部隊。© Wikipedia
ロイド・オースティン米国防長官は最近、ニジェールの米軍が駐留している同じ軍事基地にロシア軍が立ち入ったことを確認したが、これはサヘル諸国の政策転換を明白に示す事実である。国防総省によると、米国政府はニジェールから軍を完全に撤退させ、チャドに駐留する軍人も移転させており、同地域での「米国の対テロ任務」継続の選択肢を検討している、という。3月にニジェールの新指導部が米国との安全保障協定を破棄し、1000人の米軍の存在を歓迎しないと宣言したのはなぜなのだろうか?
長い間、ニジェールと米国の外交関係は、米国が優位な国であり、アフリカ諸国が劣位であるという誤った前提に基づいているように見えた。これは、奴隷制度や人種差別、植民地虐殺、アフリカ全土の軍事基地を通じた帝国主義覇権、そしてその後のドルの独占、IMFと世界銀行が押し付ける不合理な負債、そしてNATOによるアフリカ大陸の再植民地化という、深く血なまぐさい過去に根ざしている。これらすべての目的は明らかである。アフリカの戦略的資源を支配することだ。
しかし、マリやブルキナファソ、ニジェールでアフリカの愛国者が権力を握ると、すべてが変わった。新しいサヘル諸国同盟 (AES) の3名の指導者、アシミ・ゴイタ氏とイブラヒム・トラオレ氏、アブドゥラハマネ・ティアニ氏は、21世紀のアフリカの人々の解放過程に全面的に関与している。その結果、それまで自国を疎外していた関係はすべて断ち切られ、これからの新しい、真に多極化した世界における関係が構築されることになるだろう。
この話は、2012年7月6日に始まった。当時モハメド・バズム氏が率いていたニジェール外務省に、ニジェール駐在の米国大使館が外交文書の「口上書」を送ったのがきっかけだった。この文書は、実際には米国防総省の統治下でニジェールを一方的に支配し、ニジェール領土のすべての権利を米軍に与え、ニジェール政府にいかなる相互主義も与えないことを求めていた。たとえば、この異例の合意の条件をいくつか挙げると、次のようになる (6 ページ)。
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関連記事:US has found a surprising military frontier against Russia and China
「米国大使館はさらに、米国側の契約者は、本協定に基づく活動に関連してニジェール共和国内で課されるいかなる税金または類似の料金の支払い義務も負わないものとし、かかる契約者は、本協定に基づく活動を履行するために、あらゆる個人財産、機器、供給品、材料、技術、研修、またはサービスをニジェール共和国に輸入し、ニジェール共和国から輸出し、ニジェール共和国内で使用することができると提案する。かかる輸入、輸出、および使用は、ニジェール共和国内で課されるいかなる認可、その他の制限、関税、税金、またはその他の料金も免除されるものとする。
米国大使館は、米国側の契約者が職業免許および運転免許に関して米国職員と同じ待遇を受けるべきであると提案する。」
当時のニジェール大統領マハマドゥ・イスフ氏はこの取引に介入せず、米国との交渉を外務大臣モハメド・バズム氏(後に2021年に大統領に選出)に任せていた。
ニジェールの国営ラジオ・テレビ局RTN向けの声明で、ニジェール軍当局の報道官アマドゥ・アブドラマネ・ジボ氏は、米軍の駐留は「違法」であり「すべての憲法および民主主義の規範に違反している」と主張した。ニジェール政府によると、この「不当な」合意は米国が「単なる口上書」によって「一方的に押し付けた」ものだ、という。
2013年1月23日付けの外交口上書で、2012年の文書に異議を唱えようとしたニジェールの外交官もいたが、そのわずか5日後、バズム外相は米国の条件をすべて受け入れた。「(外務省は)ここに、2012年7月6日付け大使館口上書第174号に盛り込まれた、米軍人および米国防総省の民間人従業員の地位に関する協定案のすべての条件を受け入れる旨を通知する」と。
米国の外交官や軍人、国防総省に関係する民間人は、米国の公式書類を使用するだけでニジェールに自由に入国し、活動することができ、ニジェール側の検査を受けることなくあらゆる種類の物品や武器を輸出入する権利を持っていた。2013年の合意後、米国にはテロと戦う実際の義務はなく、同国での軍事活動に対する責任もなかった。「非常に不公平」で恥知らずな内容だった。
今年初め、ニジェールの新指導者アブドゥラハマネ・ティアニは、フランス軍を国外追放した後、国防相サリフ・モディ将軍の責任で覚書を準備し、同じ悪名高い2013年の米国協定に大幅な変更を加えるよう求めた。しかし、アマドゥ・ジボ報道官の声明で明らかにされたように、米国はこの改定の申し出に応じなかった。その代わりに、米国は3月12日から14日にかけて、アフリカ担当次官モリー・フィー氏と米アフリカ軍司令官マイケル・ラングレー将軍率いる公式代表団をニジェールに派遣し、2013年の協定の下での軍事関係を強化するという明確な意図を示した。
国際共和党研究所所長ダニエル・トワイニング氏とアフリカ担当上級部長のウィル・ミーカー氏によると、 「米国政府が新たなアフリカ政策を必要としていることを示す最新の証拠がニジェールで明らかになった」という。また、両氏は「何カ月にもわたる激しい政治的駆け引き」の後、米国とニジェールとの安全保障協力関係は「終わりを迎える可能性が高い」と指摘している。
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関連記事:‘A threat to our countries’: Why former French colonies decided to leave ‘African version of EU’
米軍は「今や、アフリカ大陸の広範囲にわたる国々を悩ませている一連のクーデターや暴力的な反乱の次の犠牲者になる危険にさらされている」。したがって、ニジェールからの米軍撤退、および米国が資金提供しているニジェールのニアメーとアガデスの空軍基地の閉鎖は、「北アフリカと西アフリカにおける国境を越えたテロの脅威やその他の不安定要因に対処する米国政府の取り組みを危険にさらすことになるだろう」とトゥイニング氏とミーカー氏は考えている。
米国とニジェールの会議では、ニジェールがイランにウランを売る意図があるとする主張など、米国当局者による非難がいくつか表明された。ニジェールのウラン生産全体が、国内唯一のウラン生産者であるオラノ社を通じて、いまだにフランスの独占管理下にあることを知る者にとっては、この主張はまったく信じ難いものに思える。アマドゥ・ジボ氏が述べたように、ニジェール政府は「ニジェール政府に対する米国代表団の報復の脅迫を伴う横柄な態度を強く非難する」と反論した 。
米国のアフリカ担当次官のフィー氏はまた、ニジェールとロシアの間の秘密協定とされるものに対する米国の反対を明言した。しかしニジェール政府は、その根拠のない主張を否定し、ニジェールとロシアの間の協定は、ニジェールとイランの間の協定と同様、すべて公開されており、合法で、透明性がある、と説明した。ジボ報道官はまた、今世紀初頭に米国がイラクを破壊したのも同じ虚偽の告発によるものだ、と指摘した。2003年には、ニジェールはバグダッドのサダム・フセイン政権にウランを供給したという虚偽の告発を受けた。しかし、米国のコリン・パウエル将軍が主張したいわゆる大量破壊兵器は、今日のニジェールとイランの間のいわゆるウラン取引と同様に、実際には虚偽だった。
実際、ニジェールと米国の軍事関係の終焉は避けられないように思われた。これまでの両国の関係は米国の利益だけのために一方的に押し付けられたものであり、2013年の合意はサヘル諸国におけるテロとの戦いにおいて逆効果であることが証明された。2011年にNATOの旗の下でリビアに対して大規模な攻撃をおこなってからずっと、米軍は今日のアフリカの不安定化に責任がある。アフリカ大陸の主権はすべてのアフリカの人々にとって生死に関わる問題であり、交渉の対象にすべき問題ではない。
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