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ウクライナ軍、ATACMSでロシア兵100人超を殲滅 過去最悪級の人的損失に/
David Axe によるストーリ
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E8%BB%8D-atacms%E3%81%A7%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%85%B5100%E4%BA%BA%E8%B6%85%E3%82%92%E6%AE%B2%E6%BB%85-%E9%81%8E%E5%8E%BB%E6%9C%80%E6%82%AA%E7%B4%9A%E3%81%AE%E4%BA%BA%E7%9A%84%E6%90%8D%E5%A4%B1%E3%81%AB/ar-AA1o78WS?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=0589a940eca54aab8c8f2e5797f32ad2&ei=26
ウクライナ東部ルハンシク州のクバニ村は、ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月目に入った戦争の前線から100kmほど離れている。ウクライナ軍のほとんどの対人兵器の射程から十分外に位置するため、占領しているロシア軍にとってかなり安全な場所だった。
5月1日かその前日、クバニ付近の野外に大勢のロシア兵らが堂々と集まっていたのも、そうした安心感からだったのだろう。もしかすると数百人いたかもしれない兵士らは、訓練のために集合していたようだ。
だが、ロシア軍にとって問題になるものがあった。米国からウクライナに供与されたATACMS戦術弾道ミサイルである。精密誘導されるこのミサイルはモデルによっては射程が300kmに達し、内蔵している擲弾(てきだん)サイズの子弾を数百個から1000個近くばらまく。
ロシア兵らが白昼、クバニ付近の原っぱを公然とうろつく様子は、ウクライナ軍のドローン(無人機)によってかなり高い上空から監視されていた。そこに、重量2tのATACMSが4発、猛スピードで飛来した。1発は起爆しなかったが、3発は上空で炸裂し、致死的な子弾が飛散した。3発はそれぞれ直径340mの円状のエリア(約10ha)を、ほとんど逃げ場所のないキルゾーンに変えた。
うち1発は、無防備なロシア兵ら116人前後の真上で炸裂した。米ワシントンD.C.にあるシンクタンク、戦争研究所(ISW)によれば、雨のように注いだ子弾によってその全員が死亡したもようだ。
ATACMSを用いた今回の攻撃は、一度の攻撃としてはこの戦争で過去最多の死傷者を出したもののひとつになった可能性がある。それはまた、ロシア軍の指揮官たちによる備えのずさんさもあらわにした。彼らは、このような攻撃が最近可能になっていたこと、さらには実施される可能性も高いことがわかっていたはずだ。米国からATACMSを取得し、それによってロシア軍の脆弱な後方地域をたたくことは、ここ数カ月、ウクライナ側の軍事上の最優先事項のひとつだったからだ。
ウクライナはこの強力なミサイルの供与を米国に繰り返し求めていた。米国は遅ればせながら、それに応じた。
米議会が先月下旬、ロシアに好都合な少数の共和党議員の抵抗をようやく乗り越えて、およそ610億ドル(約9兆3000億円)の新たな対ウクライナ支援法案を可決する少し前、ジョー・バイデン政権は、以前に承認されていたウクライナ向け兵器契約を見直すことで3億ドル(約460億円)を捻出した。
ホワイトハウスはその大半をATACMSの緊急供与に充てた。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、供与数は100発超にのぼったもようだ。さらに、議会で新たな支援法案が可決された翌日、ホワイトハウスがウクライナに急送した10億ドル(約1530億円)相当の兵器にもATACMSが含まれていた可能性がある。
ロイド・オースティン米国防長官は先週、議会の公聴会で、国防総省はウクライナにATACMSを「できる限り多く」譲渡すると証言している。米国の兵器庫にはATACMSが数千発ある。多くはロケット燃料の劣化にともない使用期限が迫っているため、米国は急いで手放そうとするかもしれない。
ロシアはウクライナに新たなATACMSが届くことを知っていた。そのうえ、ウクライナ軍がそれをロシア軍の最も脆弱な集中地点(訓練場を含む)に向けて発射するだろうという警告も十分あった。実際、ウクライナ軍は2月の恐怖の1週間に、今回のATACMSより短い射程のミサイルを少なくとも3回、訓練や上官による閲兵のために野外に集合していた大勢のロシア兵らに向けて撃ち込み、伝えられるところでは100人以上を殺害していた。
ウクライナ軍は昨年秋、ATACMSを初めて少数入手すると、さっそくロシア軍の飛行場2カ所に向けて発射し、ヘリコプター約20機を破壊したり損傷させたりした。また、おそらく先月上旬、ATACMSの新たな供与分の第一弾が届くと、これもあまり間をおかずロシア空軍の貴重なS-400地対空ミサイルシステムへの攻撃に用い、発射機少なくとも4基を破壊した。
ロシア占領下クリミアのS-400に対するこの攻撃は、ロシア側にはATACMSを確実に迎撃できる防空兵器がないこともあらためて示した。その含意は明らかだった。4月時点で、ロシア軍部隊が前線から300km以内で露出した状態になれば、ウクライナ軍が在庫を増やしているATACMSによる攻撃を受けやすくなっていたということだ。
その危険を顧みず、ロシア軍はクバニ付近の野外に多数の兵士らを集めた。案の定、そこにATACMSの一撃が加えられ、100人以上が死亡する結果になったようだ。
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